2025/06/29|1,057文字
<基本的な考え方>
退職者が残っている年次有給休暇(以下、有給休暇)をすべて取得したいと申し出た場合、企業は労働基準法に基づき適切に対応する必要があります。
有給休暇は労働者の権利であり、企業は原則としてこれを認める義務があります。
ただし、業務の円滑な運営を考慮しながら対応することも重要です。
<有給休暇の取得は労働者の権利>
労働基準法第39条により、労働者は有給休暇を請求する権利を持っています。
企業は、労働者が希望する時季に有給休暇を取得できるよう配慮する必要があります。
ただし、企業が努力しても、業務に著しい支障がある場合には、時季変更権を行使することが可能です。
<退職時の有給休暇取得のポイント>
退職者が有給休暇をすべて取得したいと申し出た場合、企業は以下の点を考慮して対応する必要があります。
① 退職日までの勤務状況の確認
退職日までに有給休暇を取得することが可能か確認する。
業務の引継ぎや最終的な処理が完了するかを確認する。
② 有給休暇の取得時季の調整
企業は、努力しても業務に支障がある場合、時季変更権を行使できるが、退職日が決まっている場合は変更が難しい。
退職日までに有給休暇を取得できるよう、スケジュールを調整する。
③ 有給休暇の買取の検討
法的には、有給休暇の買取は原則として認められていないが、退職時に限り未消化により消滅してしまうことになる分を買い取ることは、本人の同意があれば可能な場合がある。
企業の就業規則に基づき、買取の可否を確認する。
<企業が取るべき対応>
企業は、退職者の有給休暇取得に関して以下の対応を取ることが望ましいです。
① 事前のルール整備
就業規則に退職時の有給休暇取得に関する規定を明記する。
退職者がスムーズに有給休暇を取得できるよう、社内ルールを整備する。
② 退職者との適切なコミュニケーション
退職者と相談し、業務の引継ぎや最終的な処理を考慮しながら有給休暇の取得計画を立てる。
退職日までに有給休暇を取得できるよう、柔軟に対応する。
③ 法令遵守の確認
労働基準法に基づき、退職者の有給休暇取得を適切に認める。
必要に応じて労働基準監督署や社会保険労務士に相談する。
<実務の視点から>
退職者が残っている有給休暇をすべて取得したいと申し出た場合、企業は労働基準法に基づき適切に対応する必要があります。
業務の円滑な運営を考慮しながら、退職者と協議し、スムーズな有給休暇取得を支援することが重要です。
企業は事前にルールを整備し、適切なコミュニケーションを取ることで、円満な退職を実現できます。