アルバイトの解雇

2025/06/22|999文字

 

<アルバイトでも「労働者」としての権利がある>

まず前提として、アルバイト(パートタイマーや短期雇用者を含む)であっても、労働基準法上の「労働者」に該当します。

したがって、正社員と同様に、解雇に関しても法律による保護を受けています。

 

<解雇には「客観的合理性」と「社会的相当性」が必要>

労働契約法第16条は、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効」としています。これはアルバイトにも適用されます。

たとえば、以下のような理由では解雇は認められにくいです。

・シフトに入れない日が多い

・店長と合わない

・売上が落ちてきたから人を減らしたい

これらは一見もっともらしく見えても、解雇の正当な理由としては不十分とされる可能性があります。

 

<解雇予告義務>

労働基準法第20条により、使用者は労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。これはアルバイトにも適用されます。

例外として、試用期間中や重大な規律違反があった場合などは即時解雇が認められることもありますが、それでも「合理的な理由」が必要です。

 

<不当解雇だと訴えられる可能性>

アルバイトであっても、解雇が不当であると判断された場合、労働者側から労働基準監督署への相談や、労働審判・訴訟に発展することがあります。

企業側が敗訴した場合、損害賠償や未払賃金の支払を命じられることもあります。

 

<契約期間の途中解雇>

有期雇用契約(たとえば「3か月契約」など)の途中で解雇する場合は、さらに厳しい条件が課されます。

労働契約法第17条では、「やむを得ない事由」がなければ契約期間中の解雇はできないとされています。

 

<解雇以外の選択肢>

業務量の減少や人員整理が必要な場合でも、まずは次のような代替手段が検討されるべきです。

・シフトの調整や短縮

・配置転換

・契約更新の見送り(契約満了)

これらを経ずにいきなり解雇することは、法的リスクを高めることになります。

 

<実務の視点から>

アルバイトの解雇は、正社員と比べて「簡単そう」に見えるかもしれませんが、実際には法律上の制約が多く、慎重な対応が求められます。

企業側が一方的に解雇を進めると、法的トラブルに発展する可能性があるため、解雇の前には必ず「客観的に合理的な理由」「社会通念上の相当性」「手続きの適正性」があるかを確認する必要があります。

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