2024/02/08|887文字
<セクハラは犯罪になることがある>
社内でセクハラを受けたなら、その行為は強制わいせつ罪にあたる可能性があります。〔刑法第176条〕
わいせつ行為には、普通の人であれば嫌がるような行為すべてが含まれます。
たとえば、相手が嫌がっているのにもかかわらず、服を脱がせたり、キスをしたり、身体に触る行為は、全てわいせつ行為にあたります。
社長が行為者であれば、自由な意思で同意しているとは認められにくい場合が多いでしょう。
拒んだらクビにされると思い、仕方なく耐えている状態は、暗黙の脅迫がある状態ともいえます。
一般の社員が行為に及んだ場合よりも、犯罪の成立が肯定されやすいことになります。
<行為者の民事責任>
被害者に対して不法行為責任を負います。〔民法第709条〕
つまり、損害賠償責任を負うのです。
ここは、セクハラ行為者が社長でも他の従業員でも同じです。
<会社の民事責任>
会社も不法行為責任を負います。〔民法第44条第1項〕
まともに働ける環境を提供していないといえる場合なら、債務不履行責任も負います。〔民法第415条〕
「社長=会社」ではありませんから、社長がセクハラを行った場合には、会社も社長も責任を負います。
<被害者が取るべき行動>
・セクハラ行為の記録や証拠を残す。
・同じ行為者からのセクハラ被害者がいれば協力し合う。
・労働相談情報センターなどに相談する。
社長がセクハラを行う人物である場合、その権限の強さから、被害者が複数である可能性は高いでしょう。
一人では心細いですが、被害者が協力し合うことによって、解決しやすくなります。
また、セクハラの問題は、第一に社内で解決するのが原則です。
しかし、セクハラの相談窓口や担当者は、被害者の味方に付いてくれないかもしれません。
早めに社外の相談窓口に相談することをお勧めします。
<実務の視点から>
本気でセクハラ、パワハラ、マタハラなどを防止したい会社なら、相談窓口は社外の専門家に委託して、社内でもみ消されないようにするのではないでしょうか。
ハラスメントに限らず、働いている人たちの相談窓口として、信頼できる社労士をご検討ください。