社会保険の適用拡大を避けた労働時間短縮

2024/02/09|1,334文字

 

<社会保険の適用拡大>

社会保険の適用拡大とは、短時間労働者(パート・アルバイトなど)の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象を拡大する制度改正のことです。

2016年10月から、それまでの基準で社会保険加入者(被保険者)が500名を超える企業で、短時間労働者への適用拡大が行われました。

これが、2022年10月からは100が基準となり、2024年10月からは50名が基準となります。

 

<短時間労働者の社会保険加入基準>

社会保険の適用拡大対象となった企業では、次の4つの基準すべてを満たす短時間労働者が社会保険に加入します。

・週の所定労働時間が20時間以上

・所定内賃金が月額8.8万円以上

・昼間学生でないこと(休学中は加入対象)

・雇用期間が2か月以内に限られていないこと

 

<社会保険への加入を避けようとする理由>

社会保険の適用拡大によって、社会保険に加入することを嫌う短時間労働者もいます。

社会保険に加入している夫の扶養に入っている短時間労働者は、夫の加入する健康保険の扶養家族として保険料を支払わずに適用を受けています。また、年金についても、保険料を払わずに国民年金の第3号被保険者となっています。いわゆる主婦年金です。

短時間労働者が自分で社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料を負担することになりますから、手取り収入が減少することになります。

さらに、夫の給与に配偶者手当が含まれていて、手当支給の条件が社会保険の扶養に入っていることとなっていれば、短時間労働者が社会保険に加入することによって、夫の給与から配偶者手当が外されてしまうことになります。

夫の給与が減少することによっても、世帯年収が減少することになるのです。

こうした不利益の大きな短時間労働者を中心に、社会保険への加入を避けようとする動きがあるのです。

 

<社会保険への加入を避けようとする短時間労働者の動き>

新たに社会保険に加入することを避ける方法としては、転職と労働時間の短縮があります。

もともとの加入基準での社会保険加入者が、50人を大きく下回る企業に転職すれば、その転職先に社会保険の適用拡大が及ぶ可能性が低いため、自分も社会保険に加入しなくて済むと考えるのです。

ただ、小さな会社の不慣れな職場での勤務には不安もありますし、やがて従業員数に関係なく社会保険の適用拡大が進む可能性もあります。

もう一つの方法は、会社と相談して1週間の所定労働時間を20時間未満とすることです。労働時間を多く減らしてしまうと、収入も大きく減りますから、たとえば週18時間労働など、20時間を少しだけ下回る条件とします。

しかし、この場合には、雇用保険の対象外となります。つまり、雇用保険では離職扱いとなります。離職票が発行され、ハローワークで手続して失業手当(基本手当)を受給できる建前ですが、収入との調整が行われます。労働時間を少しだけ減らした場合には、計算上、手当を受け取れないことが分かります。しかも、本当に退職した時には、雇用保険の手当を受け取ることができないのですから、今まで支払ってきた雇用保険料が無駄になったと感じるでしょう。

会社としては、こうした事情も説明してあげられたら親切だということになります。

PAGE TOP