2024/05/02|1,062文字
<直接の被害者への悪影響>
直接の被害者はセクハラを受けたことにより、その職場にいられなくなり退職することになったり、再就職が困難になったりします。
対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。
企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。
<他の従業員への悪影響>
セクハラ行為を直接受けた従業員だけでなく、セクハラ行為を見聞きした従業員も被害者です。
ですから、直接の被害者が加害者を許したとしても、他の従業員に対する関係で、決して許されるわけではないのです。
従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。
出勤するのが辛くなる従業員も出てきます。
<企業全体への悪影響>
直接・間接の被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。
組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。
企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。
もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。
<加害者への悪影響>
信用の失墜は職場に留まりません。
顧客や取引先に対する信用も失われます。
何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。
被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。
加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、軽い気持で行為に及んでしまったというケースもあります。
こうなると、セクハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。
<セクハラの性質>
業務上必要なセクハラ行為というものはありません。
この点、会社の意向を受けて行った注意指導が、パワハラになってしまうことがあるのとは、全く事情が違っています。
仕事をするうえで、全く必要性が認められず、百害あって一利なしというのがセクハラの性質です。
何としても、阻止しなければなりません。
<セクハラの予防>
まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。
これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。
また、セクハラの相談窓口を設けることです。
この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。
そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。
就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)に依頼してはいかがでしょうか。