退職の記事

<支払いの約束や慣行が無い場合>

退職金の支給について、就業規則や労働条件通知書などに規定が無く、支給する慣行も無いのであれば、雇い主側に支払いの義務はありません。

しかし規定が無くても、退職金を支給する慣行があれば、その慣行を就業規則や労働条件通知書などに規定することを怠っているだけですから、規定がある場合と同様に支払い義務が発生します。

 

<対象者が限定されている場合>

就業規則などに、「勤続3年を超える正社員に支給する」という規定があれば、パート社員など非正規社員に支給する必要はありません。勤続3年以下の正社員も同様です。

しかし、正社員用の就業規則しか無い、就業規則に正社員の明確な定義が無いなどの不備があれば、本人からの請求によって支払わざるを得ないこともあります。

こうした点を含め、就業規則や労働条件通知書は、社会保険労務士(社労士)のチェックを受けておくことをお勧めします。

 

<不支給の例外規定がある場合>

退職金の不支給について、就業規則や労働条件通知書などに規定があって、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当な場合には、例外的に不支給とすることが許される場合もあります。

「規定さえあれば不支給で構わない」ということではありません。

 

「会社の承諾なく退職した者には退職金を支給しない」という規定は、その承諾が会社の主観的な判断ですから、客観的に合理的とはいえないでしょう。

 

「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」という規定があっても、必ずしも不支給が許されるわけではありません。

退職金を不支給としても良いのは「労働者のそれまでの勤続における功労を抹消するほどの信義に反する行為」があった場合に限られます。

それほどの事情があったわけではないのなら、懲戒解雇そのものが不当解雇となり無効である可能性があります。

 

本当に退職金を支払わなくても大丈夫かといった専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.11.26.解決社労士

<退職勧奨の法的性質>

新人を採用する場合には、会社が求人広告を出し、求職者が応募します。そして、採用面接などを経て会社が採用を決めます。この流れの中では、求職者の応募が労働契約の申し込みであり、会社の採用決定が労働契約の申し込みに対する承諾です。こうして労働契約が成立します。求人広告は、労働契約の申し込みを誘っている広告で、法的には「申し込みの誘因」とされます。

同じように、希望退職者を募って社内に告知し、退職希望者が退職の申し出をして、会社が承諾すれば、労働契約の合意解除による退職が成立します。このとき、希望退職者募集の社内告知は、退職の申し出を誘っているので、法的には「申し込みの誘因」とされます。

この退職の申し出を誘う相手が多数の社員ではなく個人であれば、退職勧奨ということになります。退職勧奨は、求人広告と同じように、相手が申し込むかどうかは完全に自由です。

 

<退職勧奨が問題となるケース>

このように退職勧奨は、本来、会社が自由に行えるはずのものですが、社会的に相当な範囲を逸脱した場合には違法とされます。違法とされれば、退職が無効とされたり、会社から退職勧奨を受けた社員に対する慰謝料の支払い義務が発生したりします。

 

<安全な退職勧奨>

退職が無効とされたり、慰謝料が発生したりのリスクが無い退職勧奨とは、次のようなものです。

・1人の社員に対して2名以内で行う(男性が女性に1人で退職勧奨を行うのは、セクハラなどを主張される恐れがあるので避ける)。

・パワハラ、セクハラなど、人格を傷つける発言はしない。

・大声を出したり、机をたたいたりしない。脅さない。だまさない。

・長時間行わない。何度も繰り返さない。

・きっぱりと断られたら、それ以上の退職勧奨は行わない。

・他人に話を聞かれる場所で行わない。明るく窓のある個室が望ましい。

・家族など本人以外の人に働きかけない。

結局、本人の自由な本心による退職の申し出が必要なので、後になってから本心ではなかったとか、脅された、だまされたなどの主張がありえない退職勧奨であることが必要となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社としては何とかして辞めてもらう必要を感じていて、退職勧奨にあたる社員も熱くなりがちです。

冷静さを求められる局面でこそ、信頼できる社労士にご相談いただきたいものです。

 

2017.01.23.解決社労士

<賠償予定の禁止>

会社の就業規則で、研修の費用を労働者の負担とし、一定期間勤続せずに退職した場合には、返還するものと定めていることがあります。

しかし労働契約を結ぶ際に、契約違反があったときの賠償額を決めておくことは、人身拘束につながるとして禁止されています。〔労働基準法16条〕

通常の業務のために行われる教育訓練や、通常の新人研修や社内研修として実施される教育訓練について、退職時の費用返還を定めておくことは、この規定に違反する可能性があります。

 

<返還請求が認められる場合>

ところが裁判の中には、返還請求が認められた例もあります。

たとえば通常の業務と直接の関係がない研修であって、もともと本人が支出すべき内容の研修費用を、会社が一時的に立て替えたに過ぎない場合です。

希望者を募って海外の大学院へ留学させた例で、費用を会社が貸し付けた形をとり、一定の年数の勤続によって返済を免除するという事例で、退職者への返還請求を認めた裁判例があります。

実際に返還請求が認められるためには、返済金額や返済方法などから客観的に見て退職の自由を奪うものではないこと、返還について事前に十分な説明が尽くされていて合意があったことなど、厳格な条件を満たしていることが必要になります。

 

2016.12.16.

<最初の対応>

まず電話をかけます。1~2回電話をかけて出ないだけでは、「音信不通」扱いにはできません。家族と同居しているのなら、固定電話や家族の電話にもかけてみます。

何回も電話をかけて出ないようなら、職場の部門長などが自宅を訪問します。自宅の玄関先で、人の気配が無く電気のメーターがほとんど動いていないような状態であれば、中で社員が倒れている可能性もあります。賃貸物件であれば、大家さんや管理会社にも連絡して、中の様子を確認してもらいましょう。

こうして不在が確認された場合には、実家などの連絡先や、職場で仲良くしている社員に心当たりを聞いてみるなどが必要です。

 

<それでも所在不明の場合>

会社に落ち度は無く、本人が出勤して来ないのだから、自己都合退職で処理できないものかと思えてきます。

しかし、本人が何か事故や事件に巻き込まれていて、出勤できず連絡もとれなかったことについて責任が無い場合には、会社が十分な対応をしたかどうかの問題が発生します。ですから、後に紛争とならないよう十分な配慮が必要です。

そして、本当に紛争となった場合には、会社として十分な対応をしたことの証明が必要となります。こうした場合に備えて、電話連絡の日時の記録は重要です。時間帯を変えて、何回も電話することとその記録を残すことが必要です。自宅を訪問した際の記録も正確に残しておきましょう。

 

<退職扱いにはできないのか>

本人からの申し出が無く、会社から退職扱いにするのであれば、「解雇」にあたります。解雇の場合には、会社から社員に解雇を通告しなければなりません。音信不通であれば解雇の通告はできませんし、社員が未成年者でなければ、ご両親が代理人として解雇の通告を受けるわけにもいきません。

こんなときは、就業規則の中に自動退職(自然退職)の規定があれば、それに従って退職扱いとすることもできます。「15日間以上にわたって音信不通で欠勤が続いている場合には退職とする」という規定です。

 

<万一に備えて>

新人の採用にあたっては、本人の連絡先だけではなく、実家や家族など緊急時の連絡先を確認しておく必要があります。

就業規則に自動退職(自然退職)の規定を置き、社員に周知しなければなりません。

店長など部門長には、社員が出勤して来なくなった場合の対応マニュアルを渡して、教育しておくことも必要です。

 

<連絡がとれた場合>

単なる寝坊なら笑って許せます。

しかし、パワハラ、セクハラ、うつ病など、本人がすぐには言い出せない原因が潜んでいることもあります。

突然出勤しなかったという事実があれば、それを重く受け止め、人事担当者はその後の様子について、きちんとフォローしていく必要があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

新人採用前後の手続きも、就業規則の作成や改善も、例外的な退職手続きも、すべて社労士が専門家として対応する職務です。

万一に備えての準備も、トラブルに発展しうる事実が発生したときにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.30.

<よくある計算方法>

就業規則のひな形によくあるパターンですが、退職時の基本給に勤続年数に応じた係数をかけて退職金の金額を算出することが多いようです。

これだと若いころ、あるいは働き盛りのころの基本給は関係なくて、退職間際になってから頭角をあらわし大きく昇給した人が有利です。

反対に、若いころに大変な努力をして出世し、基本給も役員並みになったあと、働きすぎて体を壊し基本給が大幅にダウンして退職していった社員は、報われないということになってしまいます。

 

<退職功労金>

退職金については、基本給×係数で一律に支給し、これとは別に、個人の会社に対する功績の度合いに応じた退職功労金を支給するというのが、もっとも単純なやり方でしょう。

ただし、これだと金額を客観的に決めるのは難しいでしょうし、その時々の会社のふところ具合に大きく左右されそうです。

 

<ポイント制>

たとえば、毎年4月の基本給1か月分の累計を退職金の金額にすることも考えられます。しかし、物価の変動が大きいと不公平になる可能性もあります。

そこで、担当者は1ポイント、係長は2ポイント、課長は3ポイント、部長は5ポイントなどと、1か月間在籍すると累計されるポイントを決めておき、物価の変動を踏まえて、1ポイントいくらにするかという方式もあります。

 

<退職金の性格>

退職金の性格として、退職後の生活保障的性格、賃金後払い的性格、功労報償的性格があげられます。

このうち、退職後の生活保障は在籍中に給与・賞与に応じた厚生年金保険料を支払っていて、老後の年金額に反映されると考えれば、重視しなくてもよいでしょう。

また、賃金後払い性格については、終身雇用制の崩れた現在では、退職までプールしておかないでタイムリーに給与・賞与に反映してほしいという社員の本音があります。

こう考えると、退職金のメインの性格は、功労報償的性格でしょうから、退職金を会社に対する功績の度合いで決めるというのは、合理的であると考えられます。

 

2016.06.03.

<遺族から退職金の請求>

あと2年で定年退職という社員が、急病で亡くなりました。会社から多くの社員が葬式に参列しました。ただ泣くばかりの奥様が気の毒でした。

後日、就業規則の規定に従い、奥様名義の銀行口座に退職金が振り込まれました。

それから半年後、亡くなった社員の息子さん2人が会社にやってきて、退職金を請求します。会社としては、もう退職金は支払い済みと思っていたところ、奥様とは別の相続人2人があらわれたのです。確かに、法定相続分は、奥様が半分、息子さんは4分の1ずつです。彼らは、母親とは仲が悪く10年以上会っていないのだそうです。それで、自分たちの取り分である退職金の4分の1ずつは、直接自分たちに支払えということなのです。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(退職金の支払方法及び支払時期)

第52条 退職金は、支給事由の生じた日から  か月以内に、退職した労働者(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

<注意書き>

実は、厚生労働省のモデル就業規則には、次のような注意書きがあります。

 

労働者が死亡した場合の退職金の支払については、別段の定めがない場合には遺産相続人に支払うものと解されます。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形なのですが、どうやら今回のようなケースには対応できていないようです。

ですから、専門家ではない人が、就業規則のひな形だけを頼りに自分の会社の就業規則を作ると、思わぬ事態を招いてしまうのです。

 

<こうすればOK>

こうした困ったことにならないようにするには、次のような規定にしておけば良いのです。

 

(退職金の支払方法及び支払時期)

第52条

2 死亡による退職のときの退職金を受ける遺族の範囲および順位は、次のとおりとします。

    ・配偶者(内縁関係にある者を含みます)

    ・子

    ・父母

    ・孫

    ・祖父母

    ・兄弟姉妹

3 同順位の者が二人以上ある場合には、その人数によって等分するものとします。

 

「就業規則の適用対象は社員だけだから、何かあったら、そこは話し合いで」という考え方は危険です。特に、社員が退職した後のことや、ご家族にも影響のあることについては、慎重に規定の内容を吟味する必要があるのです。

 

2016.04.22.

<退職金倒産>

もう10年近く前のことですが、企業が定年退職者の退職金を支払うことによって、倒産するという現象が生じました。

これは、第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれた団塊の世代と呼ばれる人たちが、一斉に定年を迎えて退職することになり、企業が一度に多額の退職金を支払うことになったため、資金繰りができなくなって倒産したのでした。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(退職金の額)

第51条 退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。

 

勤続年数

支給率

5年未満

1.0

5年~10年

3.0

10年~15年

5.0

15年~20年

7.0

20年~25年

10.0

25年~30年

15.0

35年~40年

20.0

40年~

25.0

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに良く出来ています。

この条文によれば、たとえば勤続23年で退職する人の退職時の基本給の額が40万円であれば、40万円×支給率10.0=400万円というように、簡単に計算することができます。

しかし、同い年の人がたくさんいて、同時に定年退職すれば、同時に退職金の支払いが生じます。企業によっては、これに耐えられない場合もあるでしょう。

また、基本給30万円、役職手当8万円、資格手当2万円という給与であれば、総支給額は40万円でも、退職金を計算するときに、基本給30万円×支給率となります。

ところが、同じ総支給額40万円でも、40万円すべてが基本給なら、退職金を計算するときは、基本給40万円×支給率となります。

結局、その会社の社員の年齢分布や、給与体系などによって、会社の負担は大きく異なってくるわけです。

 

<注意書き>

実は、厚生労働省のモデル就業規則には、次のような注意書きがあります。

 

本規程例では、退職金の額の算定は、退職又は解雇の時の基本給と勤続年数に応じて算出する例を示していますが、会社に対する功績の度合い等も考慮して決定する方法も考えられることから、各企業の実情に応じて決めてください。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに手抜かりは無いのです。

ところが、専門家ではない人が、この大事な注意書きを読み飛ばしてしまいます。その結果、思わぬ事態を招いてしまうのです。

 

<こうすればOK>

注意書きにあるように、「各企業の実情に応じて決めて」いれば安心です。

そのためには、規定を考えるときに、充分なシミュレーションをすることです。

現在の社員のうち、1年後に定年を迎える人たちの退職金合計額、2年後に定年を迎える人たちの退職金合計額、3年後に定年を迎える人たちの退職金合計額…を計算します。また、新人の入社を想定して、その分も加えます。

こうして、毎年必要な退職金の額を計算してみて、自分の会社に無理の無い金額であればOKです。

退職金の方式は、基本給×支給率というものだけではありません。最近では、ポイントの積み上げ制を導入する会社も増えていますし、全く違うやり方もあります。是非「各企業の実情に応じて決めて」ください。

 

2016.04.21.

<突然の退職申し出>

入社2年目のエース社員から、社長に退職願が提出されました。

「今日は16日ですから、月末退職でOKですよね。」と何だかうれしそうです。聞けば大学の先輩を通じて、大手企業にスカウトされたとか。先月結婚したのも転職が決まったからだそうです。

社長としては、辞めてほしくないですし、せめてきちんと引き継ぎを終わらせてほしいです。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(退職)

第48条 前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。 

①  退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して14日を経過したとき

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに良く出来ています。

よく見ると、退職を願い出て「会社が承認したとき」と書いてあります。では、会社が承認しなければ良いのでしょうか。

また、「14」には下線が引かれていますから、これを「100」に修正しても良いのでしょうか。

 

<注意書き>

実は、厚生労働省のモデル就業規則には、次のような注意書きがあります。

 

期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項及び第2項)。

なお、月給者の場合、月末に退職を希望するときは当月の前半に、また、賃金締切日が20日でその日に退職したいときは20日以前1か月間の前半に退職の申出をする必要があります(民法第627条第2項)。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに手抜かりは無いのです。

ところが、専門家ではない人が、この大事な注意書きを読み飛ばしてしまいます。その結果、思わぬ事態を招いてしまうのです。

特にここでは、労働基準法などではなく、民法の規定がポイントとなります。

 

<引き継ぎはこうすればOK>

きちんと引き継ぎを完了させるには、次のようなことがポイントとなります。

・普段から退職や異動を想定して、短期間で引き継ぎを完了できるようにしておくこと

・退職にあたっては、引き継ぎを完了することが重要な業務であることを、就業規則にも明示しておくこと

・引き継ぎの拒否は、懲戒処分の対象となることを就業規則に規定すること

そして、年次有給休暇の取得を申し出たとしても、会社が時季変更権を行使できないような場合には、権利の濫用としてこれを拒否することが考えられます。ただ、円満に解決するには、年次有給休暇の買い取りも検討したいところです。

 

<突然辞められないためには>

これには地道な努力が求められます。つぎのようなことがポイントとなります。

・社員が自分の将来を思い描ける人事制度の構築

・経営理念の明確化と理解のための教育研修

・会社の魅力の抽出と社員へのアピール

・社員同士のコミュニケーションを密にし維持する仕組みづくり

 

2016.04.17.

<休職制度とは?>

休職制度とは、労働者の都合で長期間仕事を休む場合に、労働契約を存続させつつ一定の期間労働義務を免除する制度です。

長期の欠勤は労働契約の債務不履行ですが、就業規則などの取り決めで、すぐには労働契約の解除をせずに、復帰を期待して一定の期間様子を見るという恩恵的な制度です。

ですから、休職制度を設けないことは違法ではありません。

 

<法令による制限は?>

休職期間満了の時点で、休職理由が消滅していないときには解雇、あるいは労働契約の自動終了(自動退職)という効果を発生させる規定を置くことがあります。

この場合には、解雇予告期間の趣旨を踏まえ、休職期間は30日以上とすることが必要になるでしょう。〔労働基準法20条1項〕

 

<就業規則の規定は?>

留学や私傷病などの理由毎に、休職期間と期間満了前・満了時の復職・退職、勤続期間への算入の有無などがその内容となります。

なお、会社は労働者の休職中の給与を支払う義務を負っていませんが、反対に社会保険料や住民税などは免除されませんから、労働者の負担額の徴収についての規定も必要でしょう。

 

2016.02.26.

<会社にとって禁止する必要性は?>

高い地位に登りつめ、あるいは、専門性を身に着けた従業員が退職するというのは、それ自体、会社にとって大きなダメージです。

ましてや、その従業員がライバル会社に転職したのでは、ダブルパンチを食らうことになります。

会社としては、できることなら阻止したいところです。

 

<職業選択の自由>

それでも、退職していく従業員には、職業選択の自由があります。〔憲法22条1項〕

しかし、この自由は絶対無制約ではありません。

そして、この職業選択の自由に、会社と従業員との合意で制限を設けたなら、その合意の内容が合理性を欠き公序良俗に反するときだけ、無効とされます。〔民法90条〕

 

<競業避止義務を有効にするためには?>

次のようなことを考慮要素として、公序良俗違反とならないことが必要です。

就業規則や誓約書に内容が明示されていること。

その従業員が営業秘密に関わっていたこと。

正当な目的によるものであること。

「同業他社」の範囲など制限の対象が妥当であること。

地域・期間が妥当に限定されていること。

特別な手当の支給など、相当の代償が与えられること。

 

<違反した場合のペナルティーは?>

競業避止義務に違反した場合、特約に定めたペナルティーとして、競業行為の差止めや損害賠償もありえますが、退職金の減額が一般的です。

 

2016.01.17.