残業の記事

<残業代を減らすための選択肢>

残業代をカットするのは違法ですし、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法37条、119条〕

しかし、残業を全面的に禁止したのでは、仕事が回らなくなってしまいます。

そこで、ある程度まで残業を制限するという対策が取られます。人件費が予算の範囲内に収まるよう、うまく調整するわけです。これは役職者任せにするとうまくいきません。取締役と管理監督者が働き放題となり、すぐに否定されることになります。

結局、本当に必要な残業だけを認めようということになります。

 

<残業代の多い社員>

残業代の多い社員には、大きく分けて3つのパターンがあります。自己都合で残業する社員と、会社都合で残業する社員、そして能力不足の社員です。

 

<自己都合で残業する社員への対策>

自己都合というのは、生活のために多額の残業代を必要とする、家に居場所が無いなどの個人的な理由で残業するパターンです。本来の勤務時間帯には、おしゃべりをしたり席を外したりダラダラと過ごし、残業の時間帯には頑張っている姿が見られます。

上司が指導し、本来の勤務時間帯に職務に集中するようにさせること、プライバシーの侵害にならないよう気を付けながら、個人的な悩みについて相談に乗ることが対策となります。

 

<会社都合で残業する社員への対策>

会社都合というのは、仕事ができる優秀な社員なので仕事が集まってしまい、やむを得ず残業するパターンです。こういう社員は、始業時間前から残業時間帯までテキパキと仕事をこなしています。

上司が役割分担を見直すこと、代わりにできる人を育てることが対策となります。仕事ができる社員は、仕事を抱え込み他の社員に関与させたがらないことも多いのですが、マニュアルを作らせ他の社員に引き継がせることが必要となります。

 

<能力不足の社員への対策>

能力不足というと、何もできないように思われがちですが、ここでは担当業務が上手にできないことを言うものとします。

こうした能力不足の半分以上は、会社の教育不足によるものでしょう。

たとえば、事務仕事でエクセルを使う場合、コピーして貼り付ける操作でも、マウスの左クリックだけを使う方法、マウスの左右両方のクリックを使う方法、マウスは使わずにキーボードで行う方法、そしてこれらを組み合わせた方法があります。どのような操作が効率的であるかは、作業によって異なります。ところが、本人任せにしておくと1つの方法しか覚えません。これでは生産性が上がりません。

能力不足の社員は、頑張っているのですが、他の社員と同じ仕事を与えられても残業が発生してしまいます。スピード感が無いですし、やり直しが多いのも特徴です。しかし、上司の指導によって改善が期待できます。

 

<どのパターンかわからない場合には>

他部署に異動させてみると、どのパターンかが良くわかります。

自己都合の残業なら、異動の前後で残業時間が変化しません。仕事内容とは関係なく残業しているからです。

会社都合の残業なら、異動直後に残業が減り、その後徐々に増えていきます。異動先でも周囲での評価が高まり、任される仕事量が増えるからです。

能力不足の残業なら、異動直後の残業が多く、その後徐々に減っていきます。異動先の仕事を覚えれば、少しずつ効率が上がるからです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

いつの間にか残業代込みの給与になってしまっているのであれば、正式に定額残業代のしくみを定めて適正に運用したいところです。

また、残業代だけでなく、能力や貢献度に応じた給与にするためには、人事考課制度が必要です。

どちらも、社労士の得意分野ですから、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.13.解決社労士

<使用者の義務として>

労働時間の適正な把握は使用者の義務です。現在では、過重労働による労災の発生や長時間労働の問題がマスコミでも大きく取り上げられ、この義務が再認識されています。

 

<残業要否の判断>

こうした中でも、労働者の希望や申請により残業が認められている会社が多いというのは不思議な現象です。

そもそも、残業というのは使用者の命令によって行われるものです。ですから、残業の要否を判断するのは、労働者ではなく使用者です。

そうでなければ、労働者の自由な判断で残業できることになり、好きなだけ残業代を稼げるということになってしまいます。これでは会社が人件費をコントロールできません。

 

<残業命令のあり方>

だとしても、使用者がその都度、具体的な残業命令を出すことにしていたのでは大変です。

まず、包括的な残業命令を使用者から労働者に一覧表の形で示しておきましょう。たとえば、小売店や飲食店であれば「その場でのクレーム対応が必要な時」「レジで違算が発生し再確認が必要な時」「店内にお客様が残っていて接客が必要な時」というように条件の形で示します。

そして、この一覧表に無いような突発的な理由で、残業の必要性が問題となったときには、労働者から使用者に残業命令を打診するのです。たとえば、地震によって商品や食器が店内に散乱して、ある程度まで片付けておく必要性が感じられる時などです。

使用者側が、ここまで残業の管理をしておけば、労働者の勝手な判断で残業しても、これに対する賃金の支払い義務は無いと主張しうることになります。

 

<やってはいけないこと>

残業命令をうやむやにして、労働者の残業管理を怠っておきながら、残業代をカットしてしまうのは、違法なサービス残業となってしまいます。

ダラダラ残業も、持ち帰り残業も、知っていて放置すると、使用者側が許したものと評価されてしまいます。これらにも残業代を支払わなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

残業そのものを減らすにも、残業代の支払いを減らすにも、合法的で適正な方法を検討するのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.11.解決社労士

<違法残業の発生パターン>

次のような状況下で、法定労働時間を超える勤務をさせると違法残業となります。

・三六協定の労働基準監督署長への届出をしていない

・三六協定の有効期限が切れたままになっている(有効期間は最長1年)

・労働者代表の選出方法が民主的ではないなどにより三六協定が無効

また、三六協定の限度を超える勤務をさせた場合にも違法残業となります。

結局、違法残業というのは、有効な三六協定が届出されない状態で法定労働時間を超える勤務があった場合と、三六協定に違反する勤務があった場合を指すものだといえます。

 

<パン製造販売業者を書類送検>

亀戸労働基準監督署は、平成27326日、労働基準法違反容疑で、パン製造販売業を営む会社の元東京工場エリアマネージャー(工場長)と元工場サンドイッチ部門チームリーダー(部門長)を東京地方検察庁に書類送検しました。

これでわかることは、社長などの経営者ではなくても「使用者」の立場にある者は、長時間労働を行わせたことについて責任を負うということです。

また、サービス残業が発生した場合に、勤務時間の集計をごまかして残業代未払いの原因を作った工場長や部門長が責任を負うこともあるということです。

 

<逮捕・送検の理由>

逮捕・送検の具体的な理由は次の2つです。

東京工場サンドイッチ部門に所属するパートタイム労働者3名(1日の所定労働時間6時間)に対し、最長で月139時間に達する時間外労働を行わせ、労働基準法36条で定める時間外労働協定(三六協定)の延長時間の限度を超える違法な時間外労働を行わせていたこと。

また、本来支払うべき時間外労働に対する割増賃金のうち3割程度の支払しかしていなかったこと。(1月当たり最大で約11万円の時間外手当の不払が発生)

これでわかることは、正社員だけでなくパート社員などについても、労働基準法の順守が求められるということです。

 

<逮捕・送検の背景>

厚生労働省では、長時間労働の抑制と過重労働による健康障害防止対策の強化を喫緊の課題として、平成269月に厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減対策推進本部」が設置され、省をあげて取り組むようになりました。

各労働基準監督署でも、過重労働等の撲滅に向けた対策推進のため、著しい過重労働により労働基準法違反が認められるなど重大または悪質な事案に対しては司法処分を含め厳正な対応を強化することとしています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の人事担当者は、労働法を中心とする法改正には敏感だと思います。しかし、改正が確実になってから対応したのでは、予算取りや人員配置の問題があり、遅れをとってしまうこともあります。やはり、法改正情報の先取りはライバル企業に負けないためにも必要です。

また、国の政策転換にも目を光らせていないと、今まで大丈夫だったことが逮捕・送検の対象となったことに気付かないものです。

会社を守るためにも、法改正や政策転換の情報に明るい社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.03.02.解決社労士

<偉くなるとタイムカードはなくなる?>

タイムカードは、出勤時刻と退出時刻の記録を残し、労働時間を管理するために使われています。会社によっては、休憩時間や外出時間もタイムカードに記録しています。こんなことは誰でもわかっていることです。

ところが、「労働時間を管理するのは何のためか?」と問われると、残業手当の計算ができないと困るから、サービス残業になるといけないからという答えが返ってくることがあります。

タイムカードを使う目的を、残業手当の計算に絞ってしまうと、残業手当の付かない管理監督者にタイムカードは必要ないことになります。そして、やがてはタイムカードの無いことが、役職者の一種のステータスになります。

 

<タイムカードが無い悲劇>

たとえば、部長が勤務中に心臓発作で倒れたとします。過重労働による労災ではないかと疑われたとき、会社はこの部長が長時間労働ではなかったことをどのように証明するのでしょうか。家族が「帰宅は毎日24:00を過ぎていました。土日も出勤していました」と話したら、これが事実とは違っていても、会社は責任を免れないように思われます。

またたとえば、部長が通勤経路で意識を失い倒れたとします。通勤災害かも知れません。しかし、発見されたのが深夜で、仕事帰りなのかどうかすらわからなければ、労災保険の手続きをしようにも情報が足りません。

こうしたことを想定すると、取締役など経営者を除き、誰でもきちんと労働時間を管理するのが正しいことがわかります。

 

<目的を見失うと>

結局、タイムカードを使う目的は、あくまでも労働時間の管理であって、残業手当の計算はその一部に過ぎないのです。

会社の中には多くのルールが存在します。そして、思考の単純化のために、そのルールの存在理由を1つに絞って説明することも良く行われています。

しかし、これが危険なことは、上の例からも明らかでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の就業規則を見直す場合、規定を増やすだけでなく削ることもあります。しかし、その規定を削って良いのか悪いのか、安易な判断は会社にとって大きなダメージにつながることもあります。

就業規則の改善や運用の見直しをお考えでしたら、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.17.解決社労士

<労働基準監督署による監督指導>

厚生労働省は、時間外労働などに対する割増賃金が支払われていないとして、平成27年度に労働基準法違反で是正指導した結果を取りまとめ公表しました。

これは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、不払の割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となったものを取りまとめたものです。

 

<平成27年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果>

(1) 是正企業数               1,348企業

うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、184企業

(2) 支払われた割増賃金合計額      99億9,423万円

(3) 対象労働者数              9万2,712人

(4) 1企業当たり平均741万円、労働者1人当たり平均11万円

(5) 1 企業での支払額のワースト3は、

・1億3,739万円(金融業)

・1億1,368万円(その他の事業(協同組合))

・  9,009万円(電気機械器具製造業)

 

<統計の注意ポイント>

上記の是正結果は、支払額が1企業で100万円以上のものだけを集計しています。100万円未満のものは集計対象に入っていませんので、実際の是正結果はこれらの件数を遥かに上回っています。

 

<サービス残業の落とし穴>

企業の対応として陥りやすい失敗としては、次のようなものがあります。

・昔から続けているやり方が正しいとは限らない。

・所定労働日数、所定労働時間が明確でなければ、割増賃金が計算できない。

・丼勘定で払い過ぎ部分と不払い部分があった場合、相殺されずに不払い部分の是正が求められる。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社として意図的に不払い残業を発生させているわけではないのに、割増賃金を計算するのに必要な労働条件があやふやで計算できていないケースがあります。

労働基準法などの基準がよくわからず、不必要な割増賃金を支払っているケースがあります。

「残業は使用者の命令により行う」という基本が崩れ、従業員の自己判断で残業が行われていて、会社が人件費のコントロール力を失っているケースがあります。

これらの問題を発見し改善するには、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.30.解決社労士

<割増賃金の必要な時間外労働・休日労働>

時間外労働(早出・残業)や休日労働は、一般社員から管理監督者に申請して行うものではありません。管理監督者から、一般社員に命令があって初めて行われるものです。

たしかに、一般社員が必要を感じて「残業しましょうか?」と管理監督者に確認することは、業務遂行の上で必要なことです。しかし、この場合でも、管理監督者の指示があって、初めて時間外労働として認められます。〔労働基準法33条、36条〕

 

<管理監督者に求められる行動>

時間外労働が命令に基づき行われるものである以上、管理監督者には、時間外労働の指示を出す権限があり、部門や店舗運営のために、適切な時間外労働の指示を出す義務を負っています。

個々具体的な業務についての残業命令もあるでしょう。しかし、多くの場合は、条件付きの残業命令となります。たとえば、次のようなものです。

・レジで違算が出たら原因の究明が完了次第勤務を終了すること。

・夜間設備工事の立会では工事人が全員退去次第勤務を終了すること。

こうした命令を前提としない時間外労働は、災害発生などの緊急時以外にはありえませんので、一般社員が居残っている場合には、管理監督者から速やかな勤務終了と事務所・店舗からの退出を促しましょう。

 

<タイムカードなどの正しい打刻>

勤務時間の管理方法は、就業規則に規定されているのが通常ですが、タイムカードなどで行われていることが多いでしょう。

そして会社には、労働者全員の勤務時間を適正に管理する義務があります。この義務は、残業手当が支給されない社員も対象となっています。

ところが実際には、勤務を開始した時のタイムカードなどの打刻、勤務を終了した時のタイムカードなどの打刻が、正しい時刻ではない場合があります。

これはルール違反ですので、管理監督者が自ら率先垂範すると共に、一般社員の正しいタイムカード打刻を指導する必要があります。

 

2016.12.26.

<厳しい残業制限>

会社は労働者に、法定労働時間の1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、法定労働時間の実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法32条〕

厳しいですが、これが労働基準法の制限です。この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法119条〕

ですから、基本的にこの法定労働時間を超えて残業させることは「違法残業」ということになります。

残業は、会社が労働者に命じて行わせるものですが、労働者が独断で残業しているのを野放しにしている場合にも、「残業させた」と評価されます。

 

<三六協定の免罰効果>

しかし会社は、労働者の過半数が加入する労働組合や、労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って18時間を超え、また週40時間を超えて労働者を働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

ここで「罰せられない」と言い、「適法になる」と言えないのは、適法であるためには残業させる根拠が就業規則などに規定されている必要があるからです。また、法定労働時間を超えた時間も、さらには三六協定の限度を超えた時間も、残業代支払いの対象となります。

 

<三六協定の届出>

労働者の過半数で組織される労働組合が無い場合には、その事業場ごとに労働者の過半数を代表する者を選出します。あくまでも労働者の代表ですから、会社からの指名ではなく従業員同志の話し合いを基本に民主的に選出します。

そして、労働時間の上限や休日出勤について、会社と代表とが書面で協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出ます。

協定書を届け出たときから協定が有効になりますので、手続きをしないで制限を超える残業があれば違法残業となります。

また、協定の期間は最長1年間ですから、毎年届け出が必要となります。

 

<三六協定を届け出ても違法となる場合>

まず、協定に定めた残業の上限時間を超える残業が「違法残業」となります。

つぎに、労働者の代表が民主的に選出されず、会社から指名されていた場合や会社から推薦を受けていた場合には、選出が無効なので協定も無効となり、協定が無い場合と同じように「違法残業」となります。

さらに、協定の届け出前や期限が切れた後の残業も「違法残業」となります。

 

マスコミでは「違法残業」という報道が時々クローズアップされます。その中には、本当に悪質なものもあるのですが、三六協定の有効期限切れに気付かなかっただけというのもあります。それでも違法は違法です。

有効期限切れなど起こさないように、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

2016.11.07.

<管理監督者の基準>

管理監督者とは、経営方針の決定に参画し労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者です。

これは、役職とは無関係ですから、部長でも管理監督者ではなかったり、役職者ではなくても管理監督者であったりします。

具体的には、次のような基準から総合的に判断されます。

・労働時間の管理を受けていないこと

  遅刻、早退、欠勤は問題視されず、給与の減額もありません。

・一般従業員と比べて賃金面で優遇されていること

  給与や賞与がその地位にふさわしく優遇されていることが必要ですから、部下が長時間残業すると給与が逆転するとか、本人が最低の評価を受けたとしても部下が最高の評価を受けた場合よりも高額の賞与が支給されるような処遇が基本です。

・労務管理上の指揮権限があって管理的な仕事をしていること

人事考課を行う、年次有給休暇の許可を与える、業務の指示を与える、採用の決定権限があるなど、会社側の立場に立っていることです。

 

<残業手当の支給>

こうした基準で考えてみて、管理監督者といえる社員には残業手当の支給が不要です。

そもそも、時間管理する側の立場であって、自分自身は時間管理されていないのですから、残業手当の計算もできません。

 

<名ばかり管理職?>

上記のことからすると、「名ばかり店長」「名ばかり管理職」という言葉には違和感があります。

店長は確かに店長であり、管理職は確かに管理職であって、労働基準法上の管理監督者ではないので、「形ばかり管理監督者」と呼ぶのがふさわしいのです。

しかし、マスコミ向きではないですね。

 

<隠れ管理監督者>

会社によっては、肩書が課長でありながら、管理監督者の定義にピッタリあてはまる社員がいます。

たとえば、管理監督者の立場にありながら、社内での肩書が人事課長だと、給与規定の作成と運用が任されていて、自分自身に残業手当を支給するルールにしていることもあります。

こうしたおかしな「お手盛り」を防ぐには、社長自身が労働法に強くなるか、信頼できる社労士(社会保険労務士)と顧問契約を結ぶことが必要でしょう。

 

2016.11.06.

<残業が多い人のイメージ>

入社10年目の正社員Aさんが、毎日午後6時から10時まで残業しているとします。

他部署の管理職や社長から見れば、「Aさんは頑張っているなぁ。プライベートの時間をけずって、会社に貢献している」と見えることでしょう。

一方、Aさんと同期のBさんが毎日定時であがっていたらどうでしょう。「自分だけサッサと帰ってしまって、やる気が無いのか」と見えるかもしれません。

 

<残業が多いAさんの実情>

直属の上司からすると「相変わらずAさんは仕事が遅いなぁ。同じ仕事を与えても、Bさんなら定時であがるのに」という見方かもしれません。

Aさんは帰宅するとバタンキュー。休日は死んだように眠っています。家族は「かわいそうに。こんなになるまで働かせてひどい会社だ。いつか訴えてやる」と感じるものです。

いつも疲れが残っているAさんは、朝から調子が上がらずグダグダしているのではないでしょうか。このAさんの態度は、同僚や後輩にもだらしなく見え、悪影響を及ぼすかもしれません。

直属の上司としては、Aさんに重要な仕事や新しい仕事を任せることができません。何しろ、全く余力が無いのですから。

 

<残業しないBさんの実情>

直属の上司からすると「Bさんには余力がある。一段上の仕事を任せてみようか」ということになります。

Bさんには英会話スクールに通ったり、映画館で楽しんだりする時間があります。休日のプライベートも充実させることができます。それが、仕事に良い影響を与えています。

Bさんの働く姿は、同僚や後輩にも良い影響を与えています。後輩が目標にしているかもしれません。

 

<人件費の配分>

Aさんの残業が、違法なサービス残業であったとしても、Bさんと同じ給与ならもらい過ぎでしょう。ましてや、きっちり残業代が支給されているとしたら、会社に対する貢献度と支払われる給与は逆転しています。

さらに、上級の管理職から良く見えるAさんは、Bさんよりも高い評価を得て、より多額の賞与を支給されるかもしれません。

こうなると人件費の配分が、かなり不合理になってしまいます。

 

<こうしたことを防ぐには>

何となくのイメージではなく、客観的な評価基準に基づいた人事考課が必要です。

賞与の金額を決める人事考課で、残業が多いほど評価を下げる会社があります。方向性としては正しいでしょう。

残業時間の基準を設け、残業時間が基準より少ない社員に対しては、賞与の金額に「浮いた人件費」を上乗せするという会社もあります。

何となくのイメージで評価が決まる会社には、仕事のできない人ばかりが残り、仕事のできる人はあきれて去っていくという現象が見られます。

できる社員を定着させるためにも、みんなのやる気を引き出すためにも、きちんとした人事考課を実施しましょう。

 

本に書いてあったり、ネットで検索できたりする人事考課制度は、一般論に過ぎません。

会社の実情に合った人事考課制度の構築と運用については、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.03.

<安易な運用>

上司から部下へ「昨日は2時間の残業ごくろうさん。今日は2時間早く上がっていいよ」という話があると、部下はトクした気分になるかもしれません。

しかし、給与の時間単価が2,000円だとすると、2時間の法定外労働では、

2,000円×2時間×1.25=5,000円

となって、会社は5,000円以上の賃金支払い義務を負います。

一方で、2時間の欠勤控除では、

2,000円×2時間=4,000円

となって、残業代と欠勤控除をそれぞれ正しく計算すると、

5,000円-4,000円=1,000円

となって、プラスマイナスゼロではなくて、総支給額がプラス1,000円になるのが正しいということになります。

しかも、会社都合で2時間早退させたとしたら、休業手当も発生します。

2,000円×2時間×0.6=2,400円

これは、労働基準法26条に規定があります。

法律上、労働者は7,400円だけ多くの賃金を受け取れる計算になります。

しかも、労働法ですから「本人が同意」しても結論は変わりません。

 

<相殺の例外1>

きちんと手続きをして、フレックスタイム制を正しく運用していれば、ある日2時間残業して、別の日に2時間早退すると、結果的に相殺されたのと同じ効果が発生します。

これは、労働者が仕事の都合と個人の都合をバランス良く考えて、自由に労働時間を設定できることによる例外です。

 

<相殺の例外2>

中小事業主は当分の間対象外ですが、月60時間を超える時間外労働の割増賃金(割増率5割以上)については、労働者の健康確保の観点から、割増賃金の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。〔労働基準法37条3項〕

代替休暇制度の導入には、事業場の過半数組合、または労働者の過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

この協定では、a.代替休暇を与えることができる時間外労働の時間数の算定方法、b.代替休暇の単位、c.代替休暇を与えることができる期間、d.代替休暇の取得日の決定方法および割増賃金の支払い日を定めるべきとされています。

 

残業時間と早退時間の相殺を正しく行いたい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

柳田事務所にご依頼いただければ、上手に運用するためのツールのご提供や、研修の実施など、よりスムーズに導入するためのサービスも行っております。

 

2016.09.29.

<原則の法定労働時間>

使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはなりません。〔労働基準法32条1項〕

もちろん、三六協定を交わし労基署に届け出れば、協定の範囲内での時間外労働は処罰の対象となりません。

ただし、法定労働時間を超える労働に対しては、時間外割増賃金の支払いが必要です。

ここで1週間というのは、就業規則などで取り決めがなければ、カレンダーどおり日曜日から土曜日までの7日間をいいます。

 

<労働基準法施行規則による特例>

公衆の不便を避けるために必要なもの、その他特殊な必要があるものについては、その必要かつ労働者の健康・福祉を害しない範囲で、厚生労働省令による例外を設けることができることとされています。〔労働基準法施行規則25条の2第1項〕

こうして例外とされた特例措置対象事業場の法定労働時間は、平成13年4月1日から、1日8時間、1週44時間に改正されました。これが、時間外割増賃金の基準となります。

 

<特例措置対象事業場>

次に掲げる業種に該当する常時10人未満の労働者を使用する事業場が対象です。

 商業 卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
 映画・演劇業 映画の映写、演劇、その他興業の事業
 保健衛生業 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
 接客娯楽業 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

事業場の規模(人数)は、企業全体の規模をいうのではなく、工場、支店、営業所等の個々の事業場の規模をいいます。

 

2016.06.09.