残業の記事

2021/12/01|1,474文字

 

<問題社員かもしれない>

採用面接では人柄の良さを見せ、履歴書や職務経歴書によると経験やスキルは申し分の無いものだった。

そして、試用期間中は期待通りの働きぶりを見せ、皆「良い人材に来てもらえた」と喜んでいた。

ところが、試用期間が終わり本採用されると、様々な理由で遅刻が目立ち、体調不良を理由に早退も多い。

仕事のやり直しが多く、残業も長時間に及んでいる。

上司や同僚には「なかなか希望通りに年次有給休暇が取得できないですね」「◯◯さんは三六協定の限度を超えて残業していますね」など、批判するかのような発言が増えてきた。

 

<性悪説の社長>

うっかり問題社員を採用してしまったようだ。

遅刻や早退が多いけれど、会社に申し出た理由もどうせ嘘だろう。

そもそも履歴書や職務経歴書の内容も怪しいもんだ。

なにしろ人事考課の結果はひどいものだ。

私自らこの問題社員と面談して退職勧奨しよう。

 

こうした考えを持って面談すれば、「遅刻の本当の理由は何だ?」「体調不良で早退することが多いのだから治療に専念してはどうか?」「履歴書や職務経歴書の内容に誤りが無いか、これまでの勤務先に確認してみても良いか?」「この会社は自分に向いていないと思わないのか?」と詰問調になってしまいます。

そして、最後には「この会社を辞めて別の仕事をしてはどうか?」と退職勧奨することになります。

1回の面談で問題社員から退職の申し出があればともかく、面談を繰り返すうちに、内容がエスカレートしていくことが多いものです。

こうなると、思惑通り問題社員から退職願が出てきたとしても、やがて代理人弁護士から内容証明郵便が届いたりします。

退職の強要があったと主張され、未払賃金の支払や慰謝料など多額の金銭を請求されてしまいます。

 

<性善説の社長>

問題社員のレッテルを貼られてしまった者がいるようだ。

遅刻や早退が多いけれど、遠慮して会社に本当の理由を言えないのだろうか。

履歴書や職務経歴書の内容からすると、実力を発揮できていない。

なにしろ人事考課の結果はひどいものだ。

対応について人事部長と協議し、この社員の救済に乗り出そう。

 

こうした社長の方針に基づき、人事部長が本人と面談します。

「家庭の事情などで定時に出勤するのが難しいようなら、時差出勤を認めるので申し出てほしい」

「体調不良による早退が見られるが、通院などで必要があればフレックスタイム制の適用を考えたいので相談してほしい」

「過労を避けるため、勤務が安定するまで残業禁止とします」

「人事考課の結果を踏まえ、各部門の協力を得て、特別研修を実施することになった。これで、あなたは本来の力を発揮できるようになるだろう」

「末永く会社に貢献できるよう、是非とも頑張ってほしい」

会社からこのような対応を取られたら、本当の問題社員は、楽して残業代を稼げない、研修で努力を強いられサボれないなど思惑が外れてしまいます。

自ら会社を去っていくことでしょう。

名ばかり問題社員であれば、社長の期待に応えて戦力化される筈です。

 

<解決社労士の視点から>

性悪説で行けば、短期間で決着を見ることができますし、会社の負担は少なくて済むのかもしれません。

しかし、労働審判や訴訟など深みにはまってしまうリスクも高いのです。

その問題社員からの情報で、会社の評判も落ちることでしょう。

そして、対象者が問題社員ではなかった場合には、貴重な戦力を失うことになるのです。

性善説で行けば、会社の負担は大きいのですがリスクは抑えられます。

どちらの方針で行くか、長期的視点に立って判断していただけたらと思います。

2021/11/27|1,566文字

 

残業の削減方法https://youtu.be/4zoPGEeciCY

未払残業代の経済的リスクhttps://youtu.be/lf4nqYYECFs

 

<定額(固定)残業代>

定額(固定)残業代は、1か月の残業代を定額で支給するものです。

基本給に含めて支給する方式と、基本給とは別に定額残業手当として支給する方式があります。

残業時間を減らしても給与が減らないので、長時間労働の抑制になります。

会社にとっても、人件費が安定するので人件費の予算や計画が立てやすくなります。

 

<適法性>

かつては違法な運用が横行していたために、定額(固定)残業代そのものが悪であるかのように言われていました。

しかし、適法に運用する会社が増えてきており、必ずしも悪いものとは見られなくなりました。

ハローワークの求人票でも、正しく内容を明示すれば問題無いものとして扱われることが多くなっています。

適法な導入と運用の概要は次のとおりです。

まず、残業について1か月の基準時間を定めて、これに応じた定額の残業代を設定します。

基準時間を下回る時間しか残業が発生しない月も、定額の残業代は減額せずに支給します。

基準時間を上回る時間の残業が発生した月は、定額の残業代を上回る部分の残業代を給与に加えて支給します。

賞与でまとめて支給することはできません。

深夜労働や休日労働の割増賃金は、別計算で支給する方式をお勧めします。

たしかに、深夜労働や休日労働の分も定額(固定)にすることは、理論的には可能です。

しかし、計算や運用が難しくなりますし、人件費が割高になるのでお勧めできません。

多くの労働基準監督署でも、このように指導しています。

 

<具体的な計算方法>

定額(固定)残業代の設定に必要な計算はやや複雑ですから、Excelなど表計算ソフトを活用した方が良いと思います。

ここでは、1日8時間、1週40時間、1か月の勤務日数が22日で月給が設定されている場合を例にとります。

残業の基準時間が30時間で、基本給+定額残業手当=25万円にしたいときは、

定額残業手当=基本給÷(8時間×22日)×1.25×30時間なので、

25万円-基本給=基本給×37.5÷176

基本給×(37.5÷176+1)=25万円

基本給=25万円÷(37.5÷176+1)

これを計算すると、206,089円となります。

定額残業手当は、25万円-206,089円=43,911円です。

206,089円の基本給の場合、1か月の勤務時間が8時間×22日=176時間なら、

30時間分の残業手当は、(206,089円÷176時間)×30時間×1.25=43,911円で計算の正しいことが確認できます。

※ただし実際の給与計算では、円未満の端数処理のルールがありますから、上記のとおりにいかない部分もあります。

 

<その他の注意点>

このとき注意したいのは、最低賃金です。

計算結果の基本給が、最低賃金×176時間を下回ると最低賃金法違反となります。

上記の例では、206,089円÷176時間=1,170円ですから、1時間あたりの賃金が1,170円となり、現在どの都道府県でも最低賃金を上回ります。

しかし、基本給+定額残業手当=20万円の場合を想定すると、1時間あたりの賃金が936円となり、東京都や神奈川県などでは最低賃金を下回ってしまいます。

これでは最低賃金法違反となってしまいます。

なお、基本給に定額残業代を含めたいときは、上記の基本給+定額残業手当を基本給として設定すればOKです。

この場合でも、きちんと内訳を表示する必要がありますから、本来の基本給分がいくらで、定額の残業代が何時間分でいくらなのかを対象者に明示しましょう。

さらに、残業時間が基準時間を超える場合に、残業手当を別途支給するときの基準額も示す必要があります。

何も示さないと、定額残業代を含んだ基本給をベースに残業手当を計算することになってしまいます。

これでは、想定外に人件費が膨らんでしまうので注意しましょう。

2021/11/18|739文字

 

<スタートは法定手続から>

フレックスタイム制は、労働基準法の規定によって認められています。

この規定に定められた手続を省略して、形ばかりフレックスタイム制を導入しても、すべては違法であり無効となります。

そのポイントは次のとおりです。

・業務開始時刻と業務終了時刻は労働者が決めることにして、これを就業規則などに定めます。

・一定の事項について、会社側と労働者側とで労使協定を交わし、協定書を保管します。これを労働基準監督署長に提出する必要はありません。

 

<無効だとどうなるか>

上記の法定手続をせずに、残業時間を8時間分貯めると1日休むことができるというようなインチキな運用をしても無効です。

無効ということは、フレックスタイム制が無いものとして賃金の計算をしなければなりません。

間違って、フレックスタイム制のルールで賃金を計算して支払ってしまった場合には、不足する差額分を追加で支払わなければなりません。

たとえば、法定労働時間を超える8時間の残業に対しては、10時間分の賃金支払が必要です。

( 8時間 × 1.25 = 10時間 )

しかも、消滅時効の関係で最大3年分遡って精算することになります。

 

<違法だとどうなるか>

正しい手続でフレックスタイム制を導入した場合を含め、次のような違法な運用が見られます。

・残業手当を支払わない。

・残業時間が発生する月は年次有給休暇を取得させない。

・残業時間を翌月の労働時間に繰り越す。

・業務開始時刻や業務終了時刻を上司など使用者が指定してしまう。

・コアタイムではない時間帯に会議を設定し参加を義務づける。

・18歳未満のアルバイトにフレックスタイム制を適用してしまう。

違法だと、労働基準法の罰則に触れるため罰せられることがあります。

2021/11/15|976文字

 

 一人で残業https://youtu.be/JlOkgpkLnlo

 

<上司による管理>

上司は部下の仕事ぶりを管理しています。

しかし、部下が全員帰るまで、上司が会社に残っているというのも不合理です。

ある程度育った部下のことは信頼して、ひとりで残業させるというのも許されるでしょう。

しかし、部下だけで残業させておいてノーチェックというのも、上司としての職責を果たしていないことになります。

残業代が欲しくてただ残っているだけの部下に気付かないのではお話になりません。

 

<勝手に残業したのなら>

残業は、会社が社員に命じて行わせるものです。

具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

それなのに、部下が自己判断で勝手に会社に残って働いたのなら、上司が指導しなければなりません。

しかし、この場合でも最初の1回は残業代を支払わなければなりません。

なぜなら、会社側である上司の教育指導不足が原因だからです。

 

<残業命令があったとしても>

たしかに「明日の会議の資料を完成させてから上がるように」とは言ったものの、残業時間の長さの割に完成度が低いのであれば、上司から部下に具体的な事情を聴かなければなりません。

解らなかったり迷ったりで時間がかかったのであれば、上司も一緒に残業すべきだったのかもしれません。

能力不足が原因であれば、少なくとも会議資料の作成については、ひとりで残業させないようにする必要があるでしょう。

 

<ひとり残業を発生させない工夫を>

ひとりで残業するというのはモチベーションが下がりますし、たった一人のために光熱費をかけるというのも不合理です。

たとえ部下が残業の必要性を主張したとしても、ひとり残業になるのなら、上司はその部下を帰らせる勇気を持つべきです。

残業の必要性を申し出るタイミングが遅いのなら、仕事の進め方やスケジューリングについての指導が必要です。

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間の総合計が長い一方で残業が発生している社員は、人件費の割に仕事が進んでいないことになります。

このような部下に対しては、上司の徹底的な指導が必要でしょう。

2021/11/13|1,073文字

 

労働基準監督署の立入調査https://youtu.be/lNxUYDb6rFo

 

<労働局の指導>

厚生労働省は、違法な長時間労働を複数の事業場で行っていた社会的に影響力の大きい企業について、都道府県労働局長等から企業の経営幹部に対して、全社的な是正を図るよう指導を行った上で、その旨を公表することにしています。

令和3(2021)年11月1日、これに基づき東京労働局長が指導を実施し、その当日に内容が公表されています。

◯違法な長時間労働の実態

労働基準法第32条に違反し、かつ1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が複数の事業場で認められた

◯是正指導の状況

令和3(2021)年11月1日、東京労働局長から代表取締役社長に対し、違法な長時間労働について、代表取締役社長主導のもと、本社及びすべての傘下事業場における状況を再度点検し、速やかに全社的な改善措置を講ずるよう指導書を交付

◯早期是正に向けた当該企業の取組方針

長時間労働削減並びに法令遵守のため、本社主導で全社的な改善に取り組む

また、採用強化による必要人員の確保、機動的な社員配置を行うとともに、デジタル化の推進及びグループ会社を活用した業務効率化により、労働時間の削減を進める

 

<企業に対する指導・公表制度>

対象はあくまでも複数の事業場を有する大企業ですが、違法な長時間労働等が複数の事業場で認められた企業に対する指導・公表制度についても公表されています。

◯通常の場合

1.違法な長時間労働、2.過労死・過労自殺等で労災支給決定、3.これらと同程度に重大・悪質

1年間で2事業場に上記1.~3.があると、労働基準監督署長による企業幹部の呼出指導、ついで改善状況を確認するための全社的な立入調査が行われます。

ここで再び違反の実態が確認されると、労働局長による指導と企業名の公表が行われます。

◯特に重大・悪質な場合

1.月100時間超の違法な長時間労働、2.過労死・過労自殺で労災支給が決定され労基法32・40,35,36-6,37条違反あり

1年間で2事業場に上記2.が、あるいは上記1.と上記2.が2事業場で発生した場合には、即、労働局長による指導と企業名の公表が行われます。

 

労基法第32・40条違反 :時間外・休日労働協定(36協定)で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせている

労基法第35条違反 :36協定に定める休日労働の回数を超えて休日労働を行わせている

労基法第36条6項違反 :時間外・休日労働時間数が月100時間以上又は2~6月平均で80時間を超えている

労基法第37条違反 :時間外・休日労働を行わせているにもかかわらず、法定の割増賃金を支払っていない など

 

2021/11/10|1,553文字

 

<ある判決>

平成27(2015)年に長時間労働で過労死した服飾雑貨メーカーの男性の遺族が起こした訴訟で、東京地裁が令和3(2021)年10月28日、会社側に約1,100万円の損害賠償を命じる判決を出しました。

退勤後でも、メールの送信やパソコンのファイル更新の時刻が確認できれば、「業務時間」と判断できるという遺族側の主張を認めたものです。

しかし、このことから「退勤後のメールも労働時間に該当する」と短絡的に一般化できるわけではありません。

 

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

もっとも、これは法令に規定されているわけではなく、最高裁判所が判決の中で示したものですし、抽象的な表現に留まっていますので、具体的な事実に当てはめてみた場合には、判断に迷うことが多々あります。

会社の業務との関連性がある程度薄かったり、使用者の指揮命令関係から解放されていると断定できなかったりと、グレーゾーンにある時間帯が問題となります。

使用者側が「指揮命令下に置いていなかった」と主張し、労働者側が「指揮命令下に置かれていた」と主張して、意見が対立することもあるわけです。

 

<労働時間の把握義務>

使用者には労働時間を適正に把握する義務があります。〔労働安全衛生法第66条の8の3、労働安全衛生規則第52条の7の3〕

そして労働時間の適正な把握を行うためには、単に1日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これをもとに何時間働いたかを把握・確定する必要があります。

使用者が始業・終業時刻を確認し記録する方法としては、原則として、次のいずれかの方法によることが求められています。

・使用者が自ら現認し記録すること。

・タイムカード、ICカード、パソコン入力等の客観的な記録を基礎として確認し記録すること。

こうして把握された労働時間は、原則として使用者が労働者を指揮命令下に置いていた時間ということになります。

 

<裁判の証拠>

最初に掲げた判決の事件のように、遺族から「長時間労働で過労死した」という主張があった場合でも、使用者側が労働時間の客観的な記録を保管していれば、この証拠を法廷に提出して主張を退けることも可能になります。

しかし、実際の事件では、使用者側が法令に違反して労働時間の把握を怠っていたのです。

この場合、亡くなった労働者が何らかの記録を残していれば、あるいは遺族の証言があれば、それが法廷に提出され裁判の証拠となります。

タイムカードなどに比べれば、客観的な正確性は劣るかもしれませんが、こうした証拠がある以上、裁判所は判断を拒めません。

こうなると、使用者側はかなり不利な立場に立たされます。

 

<解決社労士の視点から>

もし、この会社がタイムカードで労働時間を適正に把握していたのなら、「退勤後のメールの送受信は、使用者の指揮命令によらず、労働者の個人的な判断で行っていたに過ぎず、会社はプライベートな時間の行動まで管理しきれなかった」という主張が可能だったかもしれません。

このように、会社が法定の義務を怠ったことにより、罰則が適用されることとは別に、民事訴訟で不利な立場に立たされることがあるのは、数多くの裁判例の示すところです。

「労働時間の客観的な把握」が法的な義務となったのは、平成31(2019)年4月からのことです。

働き方改革の一環で急速に進む法改正に取り残されないようにしましょう。

2021/10/09|1,974文字

 

残業の削減方法https://youtu.be/4zoPGEeciCY

 

<必要性の高くない業務をやめる>

「昔からこの業務をやっているから」というのは、無駄な業務である可能性が高いといえます。

なぜなら市場は変化し、これに対応する企業の業務も変化するわけですから、昔から行っている業務ほど無駄な業務である可能性は高いのです。

「もし、この業務をやめてしまったら」と仮定してみて、特に支障が無いのであれば直ちにやめましょう。

多少の不都合がある場合でも、それには目をつぶるとか、やり方を変えて時間を短縮できます。

ひとつの部門で無駄な業務を削減しようとしても、何が無駄なのか分からないことがあります。

関連する複数の部門で意見交換すれば、「その資料はもう要らないよ」という話が出てくるでしょう。

 

<ダブって同じ業務をやらないようにする>

上司が部下の仕事の具体的な内容を把握できていないことがあります。

これは上司が悪いのではなく、把握する仕組みが無いために起こる現象です。

上司が部下の仕事を具体的に把握できる仕組みがあれば、同じ仕事を複数の社員が行っているという無駄は省けます。

また、上司が部下の仕事内容を具体的に把握できている場合でも、別の部門とダブって同じ仕事を行っているケースは多いのです。

たとえば、総務、人事、経理で仕事内容の比較をすると、似通った業務があります。

どこか一つの部署でまとめて行えば、全体の労働時間が減少します。

 

<業務に必要な情報を社内外で共有する>

名刺情報を社内で共有するシステムは一般化しています。

小さな会社でも、「来週の火曜日は取引先の〇〇さんがお休み」という情報を共有すれば、その取引先に無駄な連絡を取ることが無くなります。

また、その取引先にとっても煩わしさが軽減されます。

情報の共有は、パソコンのサーバーを活用するなどITの活用が中心となりますが、専門的な知識は不要です。

できるところから実行に移しましょう。

 

<会議・打合せの廃止・短縮>

定例の会議というのは、必要性が疑われます。

その会議によって得られる効果がどのようなものであるか、具体的に検討して、よく分からなければ一度やめてみたらどうでしょう。

それで不都合が無いのであれば、廃止するのが正しいのです。

たとえ必要な会議であっても、本来の勤務時間外にはみ出してしまうようなものは開催時間帯の再検討が必要です。

また、会議の時間を2時間に設定していたところ、1時間で結論が出たので、あとの1時間は雑談や意見交換というのも見直したいです。

本当に必要な会議や打合せというのは、法定のものを除き、驚くほど少ないものです。

 

<その業務を行う日時の見直し>

たとえば、「業務日報はその日のうちに」というルールを設定すれば、当然に残業が発生するでしょう。

しかし、上司の自己満足ではないのかなど、これが本当に必要なのかを検討して、期限を延ばすとか、日報ではなく週報や月報にできないかなど、検討の余地が大いにあります。

 

<空き時間の活用>

手が空いてしまう時間があります。

こんなとき雑談したり仮眠を取ったりも良いのですが、「手が空いた時やることリスト」を作っておいて、これを行ってはいかがでしょうか。

書類のファイリング、不要書類の廃棄、徹底清掃、OJT、ロールプレイイングなど、「時間のある時にやろう」と思えることをリストアップしておいて、実際に行うということです。

 

<役割分担の見直し>

「全員が必ず」という仕事を、得意な人に集中して任せてしまうことが考えられます。

任された人は、その能力が高いのですから、給与が上がって当然です。

その分、負担が減った社員に別の仕事を任せるとか、見合った待遇を考えるとか、調整することも必要になります。

 

<スキルの向上>

社員の能力が向上するというのは、本人にとっても嬉しいものです。

資格を取得して業務に活用している社員に資格手当を支給するというのが一般的ですか、資格取得に必要な経費を会社が負担するという形もあります。

客観的に認められる形で能力の向上が示されるのであれば、他の社員も納得できますし、社員にとっても、能力向上へのモチベーションが高まります。

いずれにせよ、会社が負担する経費以上に、その社員が会社の利益に貢献してくれるのなら生産性が向上します。

そして、業務内容が同じであれば、それに要する時間も短縮されています。

 

<新たなツールの導入、運用の改善>

マニュアル、チェックリスト、予定表、目標達成グラフなどを新たに導入することにより、効率が上がったり、モチベーションがアップしたりということがあります。

ミスの軽減になったり、情報共有による効率化を図れたり、いずれにせよ労働時間の短縮につながります。

また、今使っているツールについても、そのツールを導入した目的に立ち返り、より良い活用法を考え、場合によっては廃止することも考えましょう。

2021/09/28|3,104文字(長いなぁ)

 

これって労働時間?https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<是正結果の概要>

厚生労働省は、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和2(2021)年度に不払となっていた割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上である事案を取りまとめ公表しました。

 

【監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)】

1.是正企業数1,062企業(前年度比549企業の減) うち、1,000 万円以上の割増賃金を支払ったのは、112企業(同49企業の減)

2.対象労働者数6万5,395人(同1万3,322人の減)

3.支払われた割増賃金合計額69億8,614万円(同28億5,454万円の減)

4.支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり658万円、労働者1人当たり11万円

 

<不正確な労働時間の把握の問題>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「出勤の記録をせずに働いている者がいる。管理者である店長はこのことを黙認している。」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

ICカードを用いた勤怠システムで退社の記録を行った後も労働を行っている者が監視カメラに記録されていた映像から確認され、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

労働者の正確な労働時間について把握すべく実態調査を行い、不払となっていた割増賃金を支払。

○企業の改善策

・労働基準監督官を講師として、各店舗の管理者である店長を対象に労務管理に関する研修会を実施するとともに、店長以外の従業員に対しても会議等の機会を通じて法令遵守教育を行い、賃金不払残業を発生させない企業風土の醸成を図った。

・社内コンプライアンス組織の指導員を増員して、店舗巡回を行い、抜き打ち調査を行うことにより勤怠記録との乖離がないか確認することとした。

●ポイント

管理職としては、自部門の人件費が少なくなるという期待から、不正を見逃したくなる誘惑にかられます。

労務管理に関する研修会や法令遵守教育は、最低でも年1回、しつこく繰り返すことが必要です。

途中で手を緩めると、いつの間にか元に戻ってしまう可能性は驚くほど高いのです。

 

<労働時間記録との乖離の問題>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「時間外労働が自発的学習とされ割増賃金が支払われない」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

ICカードを用いた勤怠システムにより労働時間管理を行っていたが、ICカードで記録されていた時間と労働時間として認定している時間との間の乖離が大きい者や乖離の理由が「自発的な学習」とされている者が散見され、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

勤怠記録との乖離の理由が自発的な学習であったのか否かについて労働者からのヒアリングを基に実態調査を行った。

この結果、自発的な学習とは認められない時間について不払となっていた割増賃金を支払った。

○企業の改善策

・代表取締役が適切な労働時間管理を行っていくとの決意を表明し、管理職に対して時間外労働の適正な取扱いについて説明を行った。

・労働組合と協議を行い、今後、同様の賃金不払残業を発生させないために労使双方で協力して取組を行うこととした。

・事業場の責任者による定期的な職場巡視を行い、退勤処理をしたにもかかわらず勤務している者がいないかチェックする体制を構築した。

●ポイント

賃金支払義務の無い「自発的学習」と認定されるためには、参加/不参加が全くの自由であって、参加しなくても欠勤控除されず、評価の対象とされず、上司を含め社内で非難されることが無いものであることが必要です。

また、その学習が業務に必須のものであれば、参加せざるを得ないのですから、この場合も「自発的学習」とは言えません。

 

<自己申告制の不適切な運用の問題>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「自己申告制が適正に運用されていないため賃金不払残業が発生している」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

生産部門は、ICカードを用いた勤怠システムにより客観的に労働時間を把握している一方、非生産部門は、労働者の自己申告による労働時間管理を行っていた。

非生産部門の労働者について、申告された時間外労働時間数の集計や、割増賃金の支払が一切行われておらず、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

非生産部門の労働者について、申告が行われていた記録を基に時間外労働時間数の集計を行い、不払となっていた割増賃金を支払った。

○企業の改善策

・非生産部門もICカードを用いた勤怠システムで労働時間管理を行うとともに、時間外労働を行う際には、残業申請書を提出させ、残業申請書と勤怠記録との乖離があった場合には、実態調査を行うこととした。

・労務管理担当の役員から労働時間の管理者及び労働者に対して、労働時間管理が不適切な現状であったため改善する旨の説明を行い、客観的な記録を基礎として労働時間を把握することの重要性についての認識を共有した。

●ポイント

自己申告制も「やむを得ない」事情があるときには許されます。

しかし、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によれば、対象労働者ひとり一人の教育、上司の教育、抜き打ちの実態調査、把握した労働時間と実際の労働時間の食い違いについての原因究明と改善など、非常にハードルが高いといえます。

真に「やむを得ない」事情がある場合を除き、自己申告制を運用することはお勧めできません。

 

<全社的な賃金不払残業が行われていたケース>

○立入調査(臨検監督)のきっかけ

「退勤処理を行った後に働いている者がいる」との情報を基に、労基署が立入調査を実施。

○指導の内容

ICカードを用いた勤怠システムにより労働時間の管理を行っていたが、労働者からの聴き取り調査を実施したところ、退勤処理後に労働をすること、出勤処理を行わず休日労働をすることがある旨の申し立てがあり、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導。

○企業の一次対応

労働者へのヒアリングやアンケートなどにより実態調査を行った結果、全社的に退勤処理後の労働が認められ、また、出勤処理を行わず休日労働を行っていることが判明したため、不払となっていた割増賃金を支払った。

○企業の改善策

・会社幹部が出席する会議において、代表取締役自ら賃金不払残業解消に関するメッセージ(労働時間の正しい記録、未払賃金の申告)を発信し、発信内容を社内のイントラネットに掲載するなどして、会社一丸となり賃金未払残業を解消することを周知した。

・36協定(時間外労働の協定届)の上限時間数を超えないために、時間外労働の適正な申請をためらうことが賃金不払残業の一因となっていた。このため、各店舗の勤務状況の実態調査を行い、人員不足や業務過多の店舗に対する人員確保や本社からの応援を行い、店舗の業務が過度に長くならないような措置を講じた。

●ポイント

賃金不払残業に限らず、パワハラやセクハラなど、代表者が「これを絶対に許さない」という決意を全社に表明することは、最初に行うべきことですし大きな効果が期待できます。

ただし、これもまた「労基署に言わされているのではないか」「本心は違うのではないか」と思われないように、繰り返し継続する必要があります。

代表者が「まともに残業代を支払って人件費が増えるのは嫌だ」「お気に入りの役職者のパワハラやセクハラは大目に見よう」と考えているのではないかと疑われるようでは、一歩も前に進めないのです。

2021/09/21|1,098文字

 

残業の削減方法https://youtu.be/4zoPGEeciCY

 

<残業の性質>

残業は、会社が社員に命じて行わせるものです。

具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

そして、いつも上司がいるわけではありませんから、伝票の処理が終わらないときは残業しなさい、お客様のクレームがあったときは対応して報告書を作成するまでは残業しなさいという包括的な命令もありえます。

この場合には、ダラダラ残業の危険がありますから、上司は十分な事後チェックをしなければなりません。

ところが、社員がこの原則に違反して残業してしまった場合、タイムカードなどに出退勤の記録が残っている以上、会社は残業代を支払わざるを得ません。

 

<残業代を稼ぎたい社員の行動>

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間は、本当の労働時間ではありません。

こうした時間の総合計が長い一方で、残業が発生している社員は、人件費の割に仕事が進んでいないことになります。

つまり、生産性が低いわけですから、これを人事考課に反映させて評価を低くし、賞与の金額を下げたり昇給を抑えたりということは、人事考課制度本来の目的にかなっています。

 

<残業したがらない社員の行動>

早く会社を出て、家に帰りたい、飲みに行きたい、パチンコをしたいなど、個人的な欲求から残業したがらない社員もいます。

残業の本来の性質からすれば、周囲の雰囲気を察して自発的に残業を打診しないからといって評価を下げてしまうのは、人事考課制度の適切な運用ではありません。

しかし、上司から残業命令が出ても、これを無視して業務を離れてしまうのは、評価を下げる正当な理由となりますし、しばしば行われれば懲戒処分の対象ともなりえます。

 

<残業と人事考課との関係>

このように、残業時間の多寡と評価との関係は単純ではありません。

残業が多い理由、あるいは、少ない理由を踏まえて評価を考えることが必要で

す。

単純に考えれば、自己都合の身勝手な残業と残業拒否は評価を下げるといえるでしょう。

 

<大前提として>

法定労働時間を超える残業は、所轄労働基準監督署長への三六協定書の届出が無ければ違法になってしまいます。

そもそも、就業規則に残業を命じる場合がある旨を規定しておかなければ、残業を命じる根拠がありません。

こうした手続き的なことは、残業の大前提となりますから、足元をすくわれないよう、しっかりと行っておきましょう。

2021/07/14|1,903文字

 

労働基準監督官の行動規範https://youtu.be/gmncel00ZWc

 

<労働基準監督署への申告>

労働基準監督署への申告については、労働基準法に次の規定があります。

 

【監督機関に対する申告】

第百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

 

申告事案は、最低労働基準を定めた労働基準法などに違反するとして、労働者が労働基準監督署に救済を求めるものですから、労働基準監督署では、労働者が置かれた状況に配慮し、懇切・丁寧な対応に留意しつつ、迅速・的確に処理を行っています。

 

<令和2(2020)年の申告>

申告受理件数は3,965件で、前年と比べ159件(3.9%)減少しました。

直近10年間の申告受理件数の推移をみると、平成23(2011)年の6,460件をピークとして、その後減少が続いていましたが、平成29(2017)年に増加に転じ、平成30(2018)年も引き続き増加していたところ、平成31年(令和元年)以降再び減少に転じています。

申告を内容別にみると、賃金不払が 3,075 件(前年比 6.1%減)で最も多く、業種別では、接客娯楽業(22.3%)、商業(16.1%)、保健衛生業(11.8%)の順となっています。

次いで、解雇が 622 件(前年比 11.7%増)となっており、業種別では、同じく接客娯楽業(27.5%)、商業(15.4%)、保健衛生業(10.3%)の順となっています。

具体的な申告事例としては、次のようなものが公表されています。

 

<賃金不払>

退職した労働者から、退職月の賃金が一部支払われていないとの申告を受け、調査したところ、退職月の賃金額が約定した金額を下回る東京都最低賃金の金額まで減額されていたことが判明した。(その他の事業)

 

労働者が、会社側と感情的に対立したまま退職し、会社側が賃金の一部を支払わないということがあります。

しかし、賃金の全額を支払わないことは、労働基準法違反の犯罪となりますから、会社側がこうした手段に出ることは避けなければなりません。

 

<休業手当不払>

パート労働者から、会社から休業を命じられて休業しているにもかかわらず、休業手当が支給されないとの申告を受け、調査したところ、正社員以外には休業手当を支給していないことが判明した。(接客娯楽業)

 

労働基準法に規定されている労働者の権利には、正社員限定とされているものがありません。

非正規社員には、同一労働同一賃金についての認識も強まっていますので、不公平な格差は是正されなければなりません。

 

<割増賃金不払>

退職した労働者から、在職中の割増賃金が支払われていなかったとの申告を受け、調査したところ、1か月単位の変形労働時間制を採用していないにもかかわらず、1か月単位の変形労働時間制を採用したものとして時間外労働として計算していたことが判明した。(教育・研究業)

 

1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制など、変形労働時間制は法定の手続を踏み、それぞれの制度に特有の正しい賃金計算が必要です。

なんとなく、それらしき制度を運用し、誤った賃金計算を行えば、当然に労働基準法違反となってしまいます。

 

<解雇>

解雇された労働者から、即時解雇されたにもかかわらず、解雇予告手当が支払われていないとの申告を受け、調査したところ、解雇予告手当の支払いを行わないまま即時解雇したことが判明した。(接客娯楽業)

 

解雇予告手当の支払が不要なのは、労働基準法に示された例外に該当する場合だけです。

会社側の裁量で支払わないことは許されません。

即時解雇であれば、特殊なケースを除き、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払が必要となります。

 

<労働時間>

労働者から、違法な時間外労働を行っているとの申告を受け、調査したところ、36協定の上限時間を超えて、月100時間を超える時間外労働、または2か月平均で80時間を超える時間外労働を行わせていたことが判明した。(その他の事業)

 

36協定違反や労働基準法の上限を超える時間外労働は違法です。

こうしたことが発生する恐れがある場合には、緊急避難的に会社全体の業務量を削減する必要があるかもしれません。

また、採用の強化や定着率の向上も大事です。

 

<解決社労士の視点から>

そもそも業界の常識が、労働基準法違反ということも多々あります。

常識を疑い、法令などの情報源に遡って確認することが、経営者に求められています。

2021/07/04|1,474文字

 

<人件費を考えると>

たとえば、月給20万円の社員を3人雇って、月45時間の残業をさせるよりは、4人雇って残業ゼロにした方が、同じ人件費でも生産性が上がります。 

月給20万円の社員が、月に45時間残業しているとします。

月間所定労働時間が174時間(8時間勤務で週休2日)だとすると、時間単価は、 

20万円 ÷ 174時間 = 1,150円(円未満切り上げ)

法定外残業の割増賃金は、 

1,150円 × 1.25 1,438円(円未満切り上げ)

毎月45時間残業しているとすると、その残業代は、

1,438円 × 45時間 = 64,710

これが3人だと、

64,710円 × 3人 = 194,130

これは、ほぼ1人分の月給に相当します。

つまり、ある会社に、あるいは、ある部署に3人いて、毎月45時間残業しているのなら、もう一人雇って残業しないことにすれば、同じ人件費で生産性が上がるということです。 

なぜなら、3人が残業した時間は、

45時間 × 3人 = 135時間

これは、月間所定労働時間の174時間を大きく下回るわけですから、4人で今までより多くの仕事をこなせますし、疲労も軽減されるので生産性が上がるということになります。

もちろん、残業代を不当にカットしていれば、この計算は狂ってきます。

しかし、日本は法治国家です。

「残業代をキッチリ支払っていてはやっていけない」などという会社はやがて消えます。

ですから、上の計算は長期的に見れば正しいと思います。

ただ現実には、最低賃金は上回るものの、ある程度の残業代が出ないと生活できない、そもそも一定の残業を前提として基本給や手当が決定されているという中小企業も多いのは事実です。

ですから当面は、長時間労働の解消と生活費の確保のバランスを考える必要が大きいのです。

 

<人間関係を考えると>

社長を含め4人の会社が1人増員して5人にすると、人間関係が66%も複雑になりますから、報連相やコミュニケーションが弱い会社ではギクシャクしてしまいます。

紙の上に4つの点を打って、そのうちの2つの点を結ぶ線を引くと、全部で6本の線を引くことができます。

これは、4人いる場合に人間関係が6通りできることを意味します。

紙の上に5つの点を打って、そのうちの2つの点を結ぶ線を引くと、全部で10本の線を引くことができます。

これは、5人いる場合に人間関係が10通りできることを意味します。

ちなみに、社員がn人の場合の人間関係は、n(n-1)÷2 通りとなります。

こうして、4人から5人に1人増えただけで、人間関係は6通りから10通りに66%も増えてしまうことになります。

退職理由の第1位は人間関係とも言われますので、せっかく1人採用しても、退職者が出やすいことになってしまいます。

 

<増員するにあたっては>

物理的な対応も必要です。

机やロッカー、制服など、什器・備品も増やさなければなりません。

社内のルール作りも急がれます。

従業員が10名になれば、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届出を行う必要がありますし、安全衛生推進者の選任なども必要になってきます。

こうしてみると、社員を増やすのも気が重いものです。

しかし、事業拡大のためには、人員の増加はやむを得ません。

ルール作り、労務管理、労働安全衛生といったことについては、ネットで検索できる一般論で済ませるわけにはいきません。

各企業へのカスタマイズを専門に行っている国家資格者の社会保険労務士(社労士)がいるわけですから、悩んでいないで委託することをお勧めします。

きっと社内で専門職を育てるよりは、遥かに短期間で格安に体制を整えることができるでしょう。

 

社会保険労務士の顧問契約https://youtu.be/XcBLsc-tOiQ

2021/05/07|1,055文字

 

<労働者の過半数を代表する者>

就業規則の新規作成・変更の所轄労働基準監督署長への届出や、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」など労使協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

 

<正しい選出手続が必要な理由>

過半数代表者になることができる労働者の範囲は限定されていて、選出手続にも制限があります。

この過半数代表者の選出が適正に行われていない場合には、たとえば36協定を締結し労働基準監督署長に届け出ても無効となります。

つまり、36協定書の届出をきちんとしてあっても、そもそもその協定書が無効とされれば、残業させたことがすべて違法になってしまうというリスクがあります。

 

<過半数代表者となることができる労働者>

労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者ではないことが必要です。

管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。

しかし、この基準を誤って解釈している会社が多いのが実態です。

過半数代表者の選出に当たっては、役職者は避けた方がよいでしょう。

 

<労働者全員での選出>

選出手続は、投票、挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続がとられていることが必要です。

また、選出に当たっては、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続に参加できるようにします。

こうした手続がとられたことの記録を残しておくことをお勧めします。

 

<会社側が関与しない選出>

会社の代表者が特定の労働者を指名したり、候補者を数名指定してその中から選出したりするなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出されたと疑われる場合、その過半数代表者選出は無効です。

 

<選出手続を行うこと>

社員親睦会の幹事などを自動的に過半数代表者にした場合や、社内で特定の立場にある人が自動的に過半数代表者になるというのでは、その人は「選出」されたわけではありませんので、過半数代表者の選出にはなりません。

過半数代表者の選出手続は、それ自体を独立させて行いましょう。

 

<解決社労士の視点から>

思わぬところで足元をすくわれないよう、専門家の関与は必要です。

労務管理について専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

2021/04/21|1,812文字

 

YouTube三六協定届出後の対応

https://youtu.be/ak4DF0JLQ4E

 

<様式の変更>

令和2(2020)年4月、働き方改革関連法の影響で三六協定届の様式が変更になったばかりです。

しかし、令和3(2021)年4月にも、今度は政府の押印省略の方針を受けて様式が変更となりました。

これ以降に届出する場合には、ネットで最新版の様式をダウンロードして使用しなければなりません。

 

<労働者の過半数を代表する者>

三六協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合が無い場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

管理監督者(労働基準法第41条第2号)は過半数代表者になれません。

また、三六協定を締結するための過半数代表者であることを明らかにしたうえで、投票、挙手などにより民主的に選出する必要があります。

こうした要件を満たさず、過半数代表者の選出が適正に行われていない場合には、三六協定を締結し労働基準監督署長に届け出ても無効となります。

このことを担保するため、三六協定届の最新様式には、届出日記入欄の上に次の文言が追加されています。

 

上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である又は上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する者であること。□(チェックボックスに要チェック)

上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。□(チェックボックスに要チェック)

 

使用者が過半数代表者の選任に干渉してはいけないのですが、会社は過半数代表者本人に三六協定の内容を熟知させ、また、労働者の意見や希望を使用者に伝える役割を自覚させなければなりません。

これを行わなければ、過半数代表者の役割が果たされません。

 

<健康・福祉確保措置>

三六協定に特別条項を置けば、一定の範囲内で限度時間を超えて労働させることが可能です。しかしこの場合、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」の欄には、以下の措置の中から選択し「(該当する番号)」にその番号を記入したうえで、その具体的内容を「(具体的内容)」に記入することになります。

 

1 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること

2 労働基準法第37条第4項に既定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること

3 就業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること

4 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること

5 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること

6 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること

7 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること

8 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること

9 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保険指導を受けさせること

10 その他

 

どれか1つでも選択すれば、三六協定届は受け付けてもらえます。

しかし、実際に限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康・福祉確保措置を実施しなければ、その時間外労働は違法になってしまいます。

会社にとって無理のない措置を選択し、確実に実行するのが得策です。

 

<制限の遵守>

本来であれば労働基準法により罰せられる法定時間外労働や法定休日労働が、三六協定の範囲内で罰せられないことになります。

当然ですが、三六協定の範囲を超える法定時間外労働や法定休日労働を労働者に行わせることは、労働基準法違反の犯罪となります。

各事業場は本部に任せきりではなく、自分たちが遵守すべき基準について主体的に確認する必要があります。

また、本部は各事業場に任せきりではなく、各事業場で基準を理解し遵守しているか確認する必要があります。

これらを怠ることは、三六協定届を提出せずに残業させているに等しい状況を生むことになります。

三六協定届を提出した後の対応もしっかり行いましょう。

 

解決社労士

2021/04/05|1,717文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<スタートは法定手続から>

フレックスタイム制は、労働基準法の次の規定によって認められています。

この規定に定められた手続を省略して、形ばかりフレックスタイム制を導入しても、すべては違法であり無効となります。

 

第三十二条の三 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。

一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月以内の期間に限るものとする。次号において同じ。)

三 清算期間における総労働時間

四 その他厚生労働省令で定める事項

 

長い条文ですが、ポイントは次のとおりです。

・業務開始時刻と業務終了時刻は労働者が決めることにして、これを就業規則などに定めます。

・一定の事項について、会社側と労働者側とで労使協定を交わし、協定書を保管します。これを労働基準監督署長に提出する必要はありません。

 

<違法な名ばかりフレックス>

上記の法定手続きをせずに、残業時間を8時間分貯めると1日休むことができるというインチキな運用も聞かれます。

この残業時間は、割増賃金の対象となる法定時間外労働でしょうから、25%以上の割増が必要です。

つまり、8時間の残業に対しては、10時間分の賃金支払いが必要です。

( 8時間 × 1.25 10時間 )

だからと言って、残業時間を6時間24分貯めると1日休めるという運用も違法です。

( 6時間24分 × 1.25 8時間 )

計算上はこのとおり正しいのですが、労働基準法が認めていないことを勝手にやってもダメなのです。

 

<フレックスタイム制導入後の違法な運用>

せっかく正しい手続でフレックスタイム制を導入しても、次のような違法な運用が見られます。

・残業手当を支払わない。

・残業時間が発生する月は年次有給休暇を取得させない。

・残業時間を翌月の労働時間に繰り越す。

・業務開始時刻や業務終了時刻を上司など使用者が指定してしまう。

・コアタイムではない時間帯に会議を設定し参加を義務づける。

・18歳未満のアルバイトにフレックスタイム制を適用してしまう。

 

<メリットはあるのか>

導入手続と正しい運用が面倒に感じられるフレックスタイム制ですが、導入手続は最初に1回だけですし、運用は慣れてしまえば問題ありません。

私生活と仕事との調整がしやすくなりますから、生産性の向上が見込めます。

これを誤解して、人件費を削減する仕組だと捉えると上手く機能しません。

 

<活用のポイント>

勤務時間の情報を上手く社内外と共有することが大事です。

また、業務開始時刻と業務終了時刻を自由に決められるとはいえ、労働者個人の好みで決めて良いわけではありません。

仕事のスケジュールや、他部署や取引先などとの連動を考えながら、同僚、関連部署の社員、取引先などと相談しながら決めることになります。

しかし、これをすることによって、他部署や社外とのコミュニケーションも良くなりますし、業務の連動も取りやすくなります。

つまり、生産性の向上につながるわけです。

 

<解決社労士の視点から>

社員数の少ない会社ほど、フレックスタイム制活用のメリットは大きいでしょう。

フレックスタイム制の導入をキッカケに、社員の多機能化を図ることも可能です。

具体的にどうしたら良いのかという専門的なことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

2021/03/23|1,786文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<就業規則にタイムカードで管理するという規定だけがある場合>

厚生労働省のモデル就業規則には、労働時間の管理について次の規定があります。

 

(始業及び終業時刻の記録)

第15条 労働者は、始業及び終業時にタイムカードを自ら打刻し、始業及び終業の時刻を記録しなければならない。

 

こうした規定が就業規則にある場合には、原則としてタイムカード通りに勤務したものと見られます。

もし労働時間の実際の管理がタイムカードによらないのであれば、就業規則違反とも言えますが、就業規則の変更手続を怠っているとも考えられます。

いずれにせよ、適法な状態ではないので速やかに是正すべきでしょう。

 

何か特別な事情があって、一部の労働者についてだけ就業規則とは異なる方法で労働時間の管理を行っている場合には、どのような範囲の人について、どのような場合に、タイムカードによらない管理をするのかについて、就業規則に定めておく必要があります。

 

就業規則がある場合に、就業規則の規定による労働時間の管理方法によらず、別の根拠で始業時刻や終業時刻を認定しようとしても、とても難しいのです。

 

始業時刻や終業時刻、休憩時間などの認定について、使用者側が労働者側の主張と違う考え方をとり、争いになることがあります。

労働者や退職者が未払賃金の支払を求めて労働審判や訴訟となった場合が典型です。

また、労働基準監督署の監督や会計検査院の調査などがあった場合には、就業規則通りに認定します。

使用者側が、これを否定して別の方法で認定してもらうのは至難の業です。

 

<タイムカードとは違う認定が可能な場合>

タイムカード通りに労働時間を認定したのでは、実際よりも長く計算されてしまうということがあります。

こうしたことを防ぎたいのであれば、就業規則に特別な規定を置き、それに沿った運用をすることで、本当の労働時間と計算上の労働時間との誤差を少なくすることができます

しかし、このためには就業規則と運用の整備や社員教育が必要です。

これは、高度に専門的な知識と技術が必要ですから、導入に当たっては、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

<タイムカードとは違う認定を可能にする就業規則>

就業規則に、タイムカードは職場への入場時刻と職場からの退出時刻を示しているということ、これは勤務時間の参考記録にはなるが、ここから直接労働時間を計算できるわけではないということを明示すべきです。

 

<たとえば残業時間の認定についての運用>

運用を整備しなければ、就業規則上の所定の終業時刻から退出時刻までが残業時間となってしまいます。

多くの会社では、このような状態になっています。

残業は、本来使用者から命じられて行うものですが、自己判断での残業が許されていたり、残業時間の管理がルーズだったりすれば、タイムカード通りに認定するしかなくなってしまいます。

 

まず、会社の上司など使用者から早出や残業を命じる場合には「残業指示書」により時間外勤務を命令します。

反対に、労働者が早出や残業の必要を感じて使用者に命令を求める場合には、あらかじめ「残業申請書」により申請し、使用者の命令があった場合には許されるという運用を徹底しなければなりません。

 

ただし、指示書や申請書が無いまま勝手に残業してしまった場合でも、働いたからには賃金を支払わざるを得ないというケースが多くあります。

しかし、これはルール違反ですから、きちんとした教育指導を前提として、懲戒処分の対象とすることもできます。

 

そして、早出や残業については、実際の勤務開始と勤務終了、そして行った業務を使用者に具体的に報告させる必要があります。喫煙や私用などで休憩した時間も申告させます。

使用者は、残業命令を出す場合や残業申請を許可する場合には、この報告内容を参考に判断することができますし、ダラダラ残業を阻止することもできます。

 

こうした運用についても、就業規則に規定しておくことが好ましいですし、ルール違反や虚偽の報告に対する懲戒処分を可能にするには、就業規則に具体的な懲戒規定が必要となります。

 

「残業代が一向に減らない」と悩んでいる経営者の方には、ぜひ取り組んでいただきたい課題です。

そして、こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談いただくことをお勧めします。

 

解決社労士

2021/03/21|1,401文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<割増になる理由>

労働基準法は、18時間、週40時間を法定労働時間として定め、この基準を超える労働に対しては、割増賃金の支払を義務づけています(労働基準法第37条)。

本来であれば自由である使用者と労働者との間の労働契約に、労働基準法による国家の介入があって、割増賃金の支払が義務づけられています。

これは長時間労働を抑制して、労働者の命と健康を守り、家庭生活や社会生活の時間を確保するのが目的です。

 

<労働者の命と健康を守る>

1日8時間、週40時間を超えて、もっと長時間働きたい労働者もいます。

 

まず、今の仕事が気に入っていて、納得がいくまで働きたいという労働者がいます。

たとえば企画、制作、デザイン部門で働く若手は、納得のいく物ができるまで、じっくり時間をかけて取り組みたいと思います。

「残業代は要らないから、やりたいだけやらせて欲しい」という人もいます。

これは、一種の仕事中毒の状態でもあります。

ですから、会社が残業を抑制しなければ、命と健康がおびやかされます。

どんな仕事にも締切があり、個人的に納得がいくかどうかではなくて、会社として客観的に求める出来栄えのレベルがあるわけですから、このことをしっかりと教育して、一つひとつの仕事に厳格な制限時間を設け、生産性を高めるよう求めることが必要です。

 

また、出世のため一定の成果を上げたいので、十分な労働時間を確保したいという労働者がいます。

こういう労働者のいる会社は、人事考課の基準に問題があるかもしれません。

会社側から見れば、他の人よりも多くの人件費をかけて成果を出しても、生産性が上がるわけではなく会社の利益は増大しません。

残業手当が増えることは、会社にとって人件費の負担が増えることですから、人事考課にあたっては、残業時間が多いことをマイナス評価にするのが理にかなっています。

残業が多いと頑張っているように見えて評価が上がるという、昭和時代の人事考課は見直す必要があります。

 

<家庭生活や社会生活の時間を確保する>

たとえば、扶養家族が増え、家庭生活の維持のため収入を増やしたいという労働者がいます。

子供が生まれたとか、親を扶養に入れるようになったなどの事情があります。

本人としては、将来の昇給よりも、とりあえず残業代が欲しいと思っています。

この場合でも、本人の希望で残業することを理由に、残業代をカットしたり、割増しない賃金を支払ったりということはできません。

労働基準法の割増賃金は、本人の個人的な事情や希望とは関係なく義務付けられているものです。

むしろ、割増賃金とすることによって、少ない残業時間で多くの賃金を得られるようにして、家庭生活の時間を増やす狙いがあります。

 

さらに、学生は夏休みなどの長期休暇にたくさん働いておきたいと考えます。

しかし、長時間労働によって学業がおろそかになり、卒業できないという事態も現に発生しています。

やはり学生はしっかり勉学に励むための時間が必要です。

こうして、学生生活の時間を確保する必要があることは明らかです。

この趣旨から、アルバイトでも残業すれば割増賃金が発生するという労働基準法の規定には合理性があります。

 

労働基準法を順守しつつ、人件費を抑制し定着率を高めるには、採用の工夫と教育研修の強化が必須課題です。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

解決社労士

2021/03/20|1,160文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<残業手当の理由>

労働基準法は、18時間、週40時間を労働時間の基準として定め、この基準を超える労働に対しては、割増賃金の支払を義務づけています(労働基準法第37条)。

本来であれば自由である使用者と労働者との間の労働契約に、労働基準法による国家の介入があって、割増賃金の支払が義務づけられています。

これは長時間労働を抑制して、労働者の命と健康を守り、家庭生活や社会生活の時間を確保するのが目的です。

 

<仕事が遅いと給与が増える>

同じ初任給の新人Aと新人B2人に全く同じ単純作業を任せたとします。

たとえば、A4サイズ2枚の資料を三つ折りにして封筒に詰めるというような作業です。

これを新人Aと新人Bに同じ分量ずつ行ってもらいます。

新人A6時間で終わらせ、余った2時間で別の仕事をして残業せずに帰ったとします。

新人B10時間かかってしまい、2時間の割増賃金が発生したとします。

この場合、新人Bの給与は、新人Aの給与よりも多くなります。

「仕事が遅いのは自分のせいだから残業代は支払わない」というのは、労働基準法に違反します。

 

<請負の場合なら>

A4サイズ2枚の資料を三つ折りにして封筒に詰める作業1万枚分を外注に出したとします。

この場合気になるのは、納期を守ってもらえるのか、仕上がりは綺麗かということです。

どんな人が何人で何時間作業するのかは気になりません。

請負代金には影響しないのです。

 

<雇用契約と請負契約との違い>

雇用の場合には、働き手に対して使用者が口出しできます。

それどころか、教育指導もできますし配置転換もできます。

一方、請負の場合には、働き手の顔ぶれを確認して「上手なやり方を指導させなさい」「他の人に交代させなさい」という口出しはできません。

つまり雇用の場合には、書類の封筒詰めなら不得意な新人Bには分担させず、新人Aに任せるなり、新人Bに上手なやり方を指導するなりして、残業代を削減できるということです。

少なくとも、作業開始の1時間後に、「どうも新人Bは苦手のようだ」と気づいて役割分担を変更することはできます。

 

<残業代を削減するための教育>

教育指導の強化は、生産性の向上に直結します。

また、自分を育ててくれる会社に対しては、愛社精神も高まり「ずっとこの会社で働いていこう」という気持を生み出します。

最近、企業では教育がおろそかにされています。

しかし、教育こそが企業の利益の源泉となります。

とはいえ必要な教育は、外部の研修に参加させたり、資格を取得させたりではありません。

ひとり一人が担当している具体的な業務を効率的にこなし、さらに改善できるようにするには、職場ごとのカスタマイズされた教育が必要です。

自社でまかない切れない場合には、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

解決社労士

2021/02/22|1,739文字

 

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<労働時間の定義>

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に、労働時間の定義が示されています。

これは、厚生労働省が平成29(2017)年1月20日に策定したものです。

企業が労働時間を管理する場合には、このガイドラインを参考にして行うことになります

これによると「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間である」とされています。

最高裁判決にも、労働時間の概念が示されています。

三菱重工長崎造船所事件の判決です。

ガイドラインの定義は、この最高裁判決を参考にしたものです。

こうした定義は、公的なものとして、すでに確定しています。

ですから、各企業で自由に定義を定めるわけにはいかないのです。

 

<黙示の指示>

この労働時間の定義の中の「黙示の指示」とは、一体どのような場合を指すのでしょうか。

黙示(もくし、もくじ)という言葉は、暗黙のうちに意思や考えを表すことをいいます。

具体的に、どのような行為が「暗黙のうちに指示を出した」と評価されるのか、その判断がむずかしいのです。

特に、労働者が「自主的に」残業しているように見える場合の、残業代支払義務について争われます。

労使でこの点が争われた場合には、最終的には司法判断によって決着がつくことになります。

 

<裁判で黙示の指示があったとされたもの>

まず、労働者の残業を使用者が黙認しているような分かりやすい黙示の指示の他、残業することを前提とする業務命令が出された場合、時間外に会議が予定される場合など、間接的に残業を指示している場合には、黙示の指示があったものとされます。

これは、労働者が休日に出勤をしていることを知りながら、使用者が注意を与えなかった場合にも認められます。

また、労働者が所定労働時間ではこなし切れない量の業務を抱えていること、所定労働時間の労働だけでは締切に間に合わないことなどを、使用者が把握しておきながら、こうした事情の解消について具体的な指示を出していない場合も、残業することについて、黙示の指示があったものとされます。

また、タイムカード、出勤簿、日報などにより、使用者が労働時間の把握をしておきながら、労働者に対して抑制的な態度を示さず、自己判断での残業などを止めるように指導していない場合には、黙示の指示があったものとされます。

これらの場合には、使用者から明示の指示がなく、労働者から残業の申告などがなければ、残業代の支払は不要であるという勘違いが生ずる危険があります。

 

<裁判で黙示の指示が無かったとされたもの>

労働者が職場にいるのは、労働に就く目的であることが推定されます。

それだけに、黙示の指示の存在が否定されるのは、むしろ例外であると考えた方が安全でしょう。

ただ、次のような例外的な場合には、裁判例でも黙示の指示が否定されています。

まず、残業禁止の業務命令が発せられ徹底されていた場合、使用者が定時に労働者の帰宅を促していた場合、残業には事前申請を必要とする規定が運用されているにもかかわらず事前申請無く時間外労働に就いていた場合など、残業について厳格な管理が実施されている場合には、黙示の指示が否定されます。

また、客観的に見て時間外労働を必要とするだけの業務を抱えていない場合、業務に就く意思がなく習慣的に早く職場に来てくつろいでいた場合など、時間外労働の指示が想定できない場合にも、黙示の指示が否定されます。

さらに、実習中の労働者が業務の下調べをしていた時間や、仕事に慣れるため自発的に出勤した時間も、それが期待されていることではなかったため、黙示の指示が否定されています。

これらは裁判例ですから、それぞれの具体的な事実に即して判断されているわけであり、一般化することはできませんから注意が必要です。

 

<解決社労士の視点から>

管理監督者や、その代行者は、無駄な人件費の発生を抑制しなければなりませんし、長時間労働による健康被害の発生防止に努めなければなりません。

「黙示の指示」が発生しないように、部下の動向に目を向け、想定外の勤務に気付けば、声を掛けるということが管理職に期待されているわけです。

2021/02/23|1,936文字

 

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<アルバイトを始める前に労働条件を確認>

働き始めてから、「最初に聞いた話と違っていた」ということにならないように、会社から契約書など書面をもらい、労働条件をしっかり確認しましょう。

特に次の6項目については必ず確認しましょう。

・契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)

・契約期間の定めがある契約を更新するときのきまり(更新があるか、更新する場合の判断のしかたなど)

・どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)

・勤務時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、 残業の有無、休憩時間、休日・ 休暇、 交替制勤務のローテーションなど)

・バイト代(賃金)はどのように支払われるのか(バイト代の決め方、計算と支払いの方法、支払日)

・辞めるときのきまり(退職・解雇に関すること)

※労働条件を確認する書類には、雇用契約書、労働契約書の他に、雇い入れ通知書、労働条件通知書などがあります。

 

<バイト代は、毎月、決められた日に、全額支払われるのが原則>

労働基準法では、バイト代などの賃金について「賃金の支払の5原則」というルールがあります。

バイト代は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、 一定の期日に 支払われなければなりません。

また、バイト代などの賃金は都道府県ごとに「最低賃金」が定められており、これを下回ることはできません。

 

<ペナルティによる減給の制限>

遅刻を繰り返すなどにより職場の秩序を乱すなどの規律違反をしたことを理由に、就業規則に基づいて、制裁として本来受けるべき賃金の一部が減額されることがあります(これを減給といいます)。

しかし、事業主(会社)は規律違反をした労働者に対して無制限に減給することはできません。

1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。

また、複数にわたって規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給制なら月給の金額)の10分の1が上限です。

 

<アルバイトでも残業手当があります>

労働基準法では、法定労働時間を超えて残業をさせる場合、事業主はあらかじめ、労使協定(「36(さぶろく)協定」)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

また、残業に対しては、割増賃金 (残業手当)を次のように支払うよう定めています。

・1日8時間または週40時間を超えた場合は、通常の賃金の25%以上の割増賃金

※ 労働者10人未満の商業、接客娯楽業等は週44時間

・1か月に60時間を超える残業の割増率は50%(ただし、中小企業は猶予)

午後10時から午前5時までに働いた場合は25%以上の割増賃金(深夜手当)が支払われます。

(満18歳になるまでは、午後10時から午前5時までの時間帯に働けません。)

※「残業」と言っていますが、正確には「時間外労働」です。早出も「時間外労働」ですから、「残業代」が支払われます。

 

<アルバイトでも条件を満たせば有給休暇が取れる>

年次有給休暇とは、あらかじめ働くことになっている日に仕事を休んでも、賃金がもらえる休暇のことで、いわゆる 「有休」や「年休」のことです。

年次有給休暇は、正社員、パート、アルバイトなどの働き方に関係なく、次の条件を満たす場合、取ることができます。

・週1日以上または年間48日以上の勤務

・雇われた日から6か月以上継続勤務

・決められた労働日数の8割以上出勤

 

<アルバイトでも仕事中のけがは労災保険が使える>

正社員、アルバイトなどの働き方に関係なく、また、1日だけの短期のアルバイトも含めて、労災保険の対象です。

仕事が原因の病気やけが、通勤途中の事故で病院に行くときは、健康保険を使えません。※健康保険証を提示しないことになります。

病院で受診するときに、 窓口で労災保険を使うことを申し出てください。

原則として治療費は無料となります。

また、仕事が原因のけがなどで仕事を休み、バイト代をもらえない場合は、休業補償制度があります。

 

<アルバイトでも会社の都合で自由に解雇はできない>

アルバイトだからといって、簡単に解雇できるものではありません。

解雇は、会社がいつでも自由に行えるというものではなく、社会の常識に照らして納得が得られる理由が必要なのです。

 

<困ったときの相談窓口>

アルバイトをして労働条件など、労働関係で困った場合は、全国の労働局や労働基準監督署などにある「総合労働 相談コーナー」にご相談ください。

相談は無料です。

また、夜間・土日の相談は、「労働条件相談ほっとライン」 を活用してください。

 

労働条件相談ほっとライン

0120-811-610

月~金:午後5時~午後10時

土・日:午前10時~午後5時

 

解決社労士

2021/02/12|1,239文字

 

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<失敗例>

経営者側が「残業は月20時間までにしなさい」「残業禁止」などと言い放つだけなのは最悪のパターンです。

上司、同僚、部下の能力不足を一人で背負いこんで、毎月無理な長時間労働に追い込まれているスーパー社員もいます。

この社員は、過労死するか退職するかの選択に迫られるでしょう。

サービス残業も発生します。

残業しても会社に申告しなければ、上司は黙認してしまうでしょう。

あるいは、労働時間の管理がいい加減で、サービス残業に気付かないパターンもあります。

サービス残業に耐えられなくなった社員は、退職後に会社に対して未払い賃金を請求します。

一人がこれに成功すれば、みんなが同じことをします。

さらに、仕事の持ち帰りも発生します。

これによって顧客の個人情報や会社の機密が流出します。

ありがちなのは、帰宅途中に過労で居眠りして、パソコンを盗まれるという事件です。

マスコミに報道されると、会社は社会の信用を失います。

そもそも、安易な残業削減・残業禁止で会社が躍進したという実例は見られません。

 

<目標の設定>

残業の削減を思いついたら、社員一人ひとりの能力と業務内容を具体的に確認して、無理のない目標を設定しなければ失敗します。

これができるのは、適正な社員教育と人事考課で、給与・賞与など処遇への評価の反映が正しくできている会社だけです。

 

<繁閑の差の縮小>

忙しい時間帯や繁忙期というのは、部署により個人により時間的なズレがあります。

その人でなければ、その部署のメンバーでなければできない仕事ばかりではありません。

少しでも手の空いている上司や他部署のメンバーが、忙しいところの応援に入れば良いのです。

これができる会社は、社員の長期入院や退職者が出た時にあたふたしません。

 

<臨時の異動>

多店舗展開の飲食店では、ある店のシフトに穴が開きそうなときに、他店からパート店員やアルバイト店員を借りてくるということが行われます。

人手の足りない部署に、足りている部署から人員を一時的に貸し出すわけです。

これをするためには、労働条件通知書などでどの範囲のお店までの応援がありうるのか、臨時の転勤もありうるのかなど、明確にしておくことが必要です。

 

<多機能化による対応>

ひとり一人の社員が、営業も、販売も、経理も、採用もできるというように多機能化されていれば、忙しいところに応援に入るのは容易です。

多機能化のためには、特別な研修を行ったり、他部署にイベント的に応援に行ったり、ジョブローテーションやキャリアパスを踏まえた計画的人事異動を行ったりの方法があります。

 

<解決社労士の視点から>

上手に目標を設定し、これを根拠と共に社員に提示する。

社員の多機能化を進め、繁忙部署への応援を促進する。

そして、応援に入れる社員は、入れない社員よりも一段高く評価して、それにふさわしい処遇とする。

このように残業削減には大変手間がかかります。

しかし少しでも改善を進めれば、生産性が向上し、強い会社、魅力的な会社へと成長していきます。

2021/01/30|1,111文字

 

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<営業手当の意味>

営業手当は、営業という業務を担当することにより、他の業務には無い負担があるため、その負担に応じて支給される所定労働時間内の業務に対する手当です。

洋服代や靴代、精神的負担など、その理由は様々です。

ですから、所定労働時間外の残業代の代わりにはなりません。

また、営業手当に残業代を含めるということもできません。

 

<よくある言い訳>

会社が営業手当を残業代の代わりに支給する、あるいは残業代を含めて支給するときの言い訳としては、「営業社員は勤務時間を把握できないから」というのが多いでしょう。

しかし、これが本当なら営業社員はサボり放題です。

なぜなら、会社は営業社員の勤務時間を把握しないのですし、営業手当を支給しているから把握しなくても良いと思って安心しているからです。

きちんと勤務時間を把握し、営業成績を正しく評価し、個人ごとの生産性を人事考課に反映させて、給与や賞与にメリハリをつけなければサボりは防げません。

反対に、過重労働による過労死の危険もあります。

営業成績の上がらない社員は、サボりどころか長時間労働に走ります。

営業成績の良い社員がたくさん働いているとは限らないのです。

万一、営業社員が過労死あるいは自殺したときに、過重労働ではなかったという証拠が無ければ、遺族から慰謝料など多額の損害賠償を請求された場合に反論のしようがありません。

 

<退職者から未払い残業代を請求されたら>

残業代は25%以上の割増賃金なのですが、そのベースとなる賃金には営業手当が含まれます。

会社としては、残業代の代わりに営業手当を支給していたつもりでも、その営業手当を加えた賃金の25%以上割増で計算することになるのです。

会社にとっては、まるで残業代が複利計算になっているような感じを受けます。

恐ろしいのは、会社側に勤務時間のデータが無いために、退職者の手帳の記録などが証拠となりうることです。

退職者の記録が誤っていることを一つひとつ立証するのは、とても無理なことでしょう。

そして、退職者は過去3年分の残業代を請求することになります。

労働基準法の規定する消滅時効期間は2年でしたが、令和2(2020)年4月に民法が改正されたことで、3年に延長されました。

やがて、5年に延長されるかもしれません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

営業社員の誰かが退職して、過去の未払残業代を請求してきたら、在籍している営業社員の全員が同じことを考えても不思議ではありません。

たしかに、残業代の代わりに営業手当を支給する制度を適法に行う方法もあります。

しかし、これは導入も運用もむずかしいのです。

詳しいことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/13|895文字

 

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<設立直後の会社>

できたばかりの会社では、創業者だけ、あるいは創業者の他は家族だけということもあります。

この場合は、労働条件通知書も就業規則も作られないことが多いでしょう。

すべてはお互いの信頼関係に基づいた口約束で足ります。

創業者に対する尊敬や恩義の気持から、大きな問題は発生しないものです。

 

<事業の拡大>

やがて知り合いを採用し、近隣の人たちをパートやアルバイトとして採用します。

法律上は、労災保険や雇用保険の手続だけでなく、労働条件通知書などの作成交付も必要です。

ところが、家族による事業の運営の延長線上で、これらの手続が行われないことがあります。

もちろん、労働基準法違反の犯罪ですから、罰則の適用もありえます。

違法だと分かっていて手続をしないよりは、よく分からないから放置することの方が多いようです。

また、労働保険や労務管理の専門家は社会保険労務士なのに、何でもかんでも税理士の先生に確認して済ませていると、違法な状態が解消されません。

 

<創業者の離脱>

事業がこれからという時に、創業者が病に倒れ、配偶者やお子さんたちが後を継ぐという事態は、常に想定しておかなければなりません。

相手のあることであれば、分からないことは相手に聞けば良いのですが、それですべてが分かるわけではありません。

特に、従業員の給料のこと、とりわけ残業代については、労働条件通知書や就業規則、そしてきちんとした給与明細書が無ければ、分からずじまいになってしまうことも多いのです。

創業者に対する尊敬や恩義の気持から長く働いていた従業員も、会社から心が離れ、何年分もの残業代を請求してくるかもしれません。

また、退職金を要求するかもしれません。

こうした法的紛争になったときに頼れるのは、人ではなくて、書類を中心とする物的証拠なのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

労働関係法令を知らずに他人を雇うリスクは大きなものです。

会社が大きくなったら、事業が軌道に乗ったらではなくて、創業の時から信頼できる社労士にご相談ください。

従業員がいないうちに、労働条件や会社のルールを決めておいた方が楽なのは明らかなのですから。

 

解決社労士

2021/01/04|984文字

 

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<残業時間の繰越>

建設業で働くある男性が、月80時間を超える時間外労働をしたのに、将来代休を取る予定にしてその時間分を差し引くことで、80時間未満と申告していました。

この方法は、この職場で長年の慣習だったようです。

本来、適法な三六協定を交わし、かつ、所轄の労働基準監督署長への届出をしていなければ、法定労働時間を超える残業は、たとえ1分間でも違法です。

 

<違法な慣習の発生メカニズム>

社内のある部門で、会社のルール通りにやっていては上手くいかないときに、その部門の部長や事業部長などが「いいこと考えた」とばかりに、少しルールを曲げて運用し、上手くいったつもりになってしまうことがあります。

これが会社目線の素人判断であり、労働法の中のある法令のある規定に違反して違法であったとしても、偉い人の言うことには逆らえませんから、これがその部門での新たな慣習として定着してしまうのです。

もし「いいこと考えた」のが社長であれば、人事部門の責任者も逆らえない可能性があります。

 

<違法な慣習の例>

違法な慣習は、一部の部門だけでなく会社全体に蔓延していて、就業規則に違法な規定が置かれていることもあります。

所轄の労働基準監督署は就業規則の届を受付けているわけですが、細かいチェックまではできないのです。

違法な慣習としては、次のような例があります。

・正社員には年次有給休暇を取得させない。

・臨時アルバイトには労災保険を適用しない。

・軽いケガであれば労災にも健康保険証を使わせる。

・妊娠したら退職するルールがある。

・日給制、年俸制で残業手当を支給しない。

・その日の仕事が終わった時点が終業時刻としている。

・会社で決められた制服への着替え時間が勤務時間外とされている。

・遅刻に対する「罰金」の定めがある。

・会社の備品を壊すと新品を弁償させられる。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

今日までは何事も起こらなくても、明日には事件が起きてマスコミが大々的に報じ、違法な慣習があったことについて深く反省させられるかもしれません。

たとえば、国が少子高齢化対策を強化している今、「パパママ育休プラス」「子の看護休暇」を知らない経営者の方は、基本的なことだけでも確認しておくことをお勧めします。

面倒でしたら、信頼できる社労士を顧問に置いておくという手もありますので、お近くの社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/11/15|1,325文字

 

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<残業の性質>

残業は、会社が命じて社員に行わせるものです。

具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

そして、いつも上司がいるわけではありませんから、伝票の処理が終わらないときは残業しなさいとか、お客様のクレームがあったときは対応して報告書を作成するまでは残業しなさいという包括的な命令もありえます。

この場合には、ダラダラ残業の危険がありますから、上司は十分な事後チェックをしなければなりません。

 

<上司の怠慢>

ところが実際には、上司の命令が無いままに、部下が自己判断で残業することがあります。

上司は、これを発見し、注意し、禁止しなければなりません。

そうしなければ、際限なく残業代が発生しますから、人件費の垂れ流しになってしまいます。

このような管理能力を備えていない上司が、部下の残業を野放しにしておくと、上司による黙示の承認があったものとされ、会社は多額の残業代を支払うことになります。

支払わなければ、サービス残業とされ、未払い残業代の請求が発生します。

上司には、部下を管理する役目があって、その分給料が高いのですが、上司が給料分働かないうえに、部下の余計な残業代まで負担するのですから、会社はたまったものではありません。

上司の管理能力の有無は、きちんと人事考課によって評価されなければなりません。

管理能力の不足する上司が、適正に降格されなければ、会社全体の生産性が低下してしまいます。

 

<就業規則での対処>

業務が終了したら直ちに帰ることを規定しましょう。

残業代が発生しなくても、ただそこに社員が残っているだけで、余計な光熱費が発生しますし、雑談などしようものなら、残業している社員の邪魔になります。

それだけでなく、使用者の指揮命令下にあるものとされ、タイムカードを打刻した後の時間にも残業代が発生してしまいます。

残業は、上司の命令によって発生することを明記しましょう。

上司の命令に応じるのではなく、自己判断で残業することは禁止しましょう。

こうした規定に違反する社員は、人事考課で適正に評価されなければなりません。

場合によっては、懲戒の対象とする必要もあるでしょう。

 

<残業代を稼ぎたい社員の発見>

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間は、本当の労働時間ではありません。

こうした時間の総合計が長い一方で、残業が発生している社員は、上司が注意指導して仕事をさせなければなりません。

これもまた、適正な人事考課と必要に応じた懲戒の対象となります。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

部下に対して「残業を減らしなさい」「残業は月20時間まで」などと言うのは、上司のあるいは会社側の責任放棄です。

これでは、仕事が回らなくなるか、生産性が低下するか、サービス残業が発生してブラック企業に転落するかでしょう。

社内でうまく残業を減らせないのなら、働き方改革に詳しい社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/11/10|1,018文字

 

<定額残業代の失敗による打撃>

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。

そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。

これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

そして、制度の導入や運用に誤りがある場合には、定額残業代の有効性が否定されます。

否定されると、基本給など残業代を計算するときのベースとなるはずだった賃金に、定額残業代を加えた金額をベースとして残業代を計算し、定額残業代とは別に支給しなければならなくなります。

これは、複利計算の形で残業代の二重払いが発生することになります。

ですから、会社にとっては思わぬ打撃となります。

 

<正しい導入にはひと手間かかる>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。

このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。

文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

こうした導入ができていないと、定額残業代は無効となりますから、労働者から別途残業代を請求されたら支払わなければなりません。

 

<正しい運用も手間がかかる>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。

なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。

そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。

しかし、正しい制度であれば、会社にも労働者にもメリットが多いはずです。

その反面、誤った制度にしてしまうと、会社は何らかの形で労働者から残業代の二重払いを請求されます。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/11/08|1,867文字

 

<厚生労働省の公表>

厚生労働省は、監督指導による賃金不払残業の是正結果のデータとともに、賃金不払残業の解消のための取組事例を公表しています(平成31年度・令和元年度)。

無作為抽出によって行われた立入調査の事例が1件と、労基署への情報提供によって行われた立入調査の事例が3件示されています。

無作為抽出による立入調査は、特定の業種や重点項目など目的をもって行われるものですから、その企業に監督が入るのは偶然性が高いものです。

これに対して、労基署に情報が入ったために行われる立入調査は、情報の真否を含め実態を確認し、是正を求める目的ですから偶然ではありません。

情報源としては、従業員が疑われやすいのですが、実際には、退職者、取引先、ライバル企業など広い範囲に渡っています。

 

<タイムカード打刻後の労働>

賃金不払残業の防止を目的として、労基署が立入調査を実施しました。

検査部門の労働者に対し、所定終業時刻にタイムカードを打刻させた後、部品の検査を行わせており、検査した個数に応じて「手当」を支払っていたが、作業に要した時間を確認した結果、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導しました。

タイムカードを打刻させた後で働かせているので、終業時刻の正しい把握・記録ができていません。

社内独自のルールで、残業代に代えて「手当」を支給しているので、正しい時間外割増賃金が計算・支給されていません。

 

<始業前残業と労働時間の切り捨て>

「タイムカード打刻前の朝礼と車両点検に対して割増賃金が支払われない」との情報を基に、労基署が立入調査を実施しました。

産業廃棄物の収集車の運転者に対し、始業前の朝礼への出席と車両点検を義務づけていたほか、労働時間の算定の際に、1日ごとに30分単位で切り捨て計算を行っており、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導しました。

朝礼への出席や車両点検が、会社から義務づけられていることで、これに必要な時間が労働時間の計算から漏れていて、労働時間の適正な把握・記録ができていません。

賃金の計算にあたって、労働時間の算定は1分単位で行うべきであり、「切り捨て計算」によって賃金不払残業が発生しています。

 

<自己申告制の不適切な運用>

「残業代が支払われない」との情報を基に、労基署が立入調査を実施しました。

労働者がパソコンに入力する出退勤時刻により労働時間管理を行っていたが、店舗への入退場を管理する静脈認証システムの記録との間にかい離が認められ、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導しました。

労働者が、自己申告制でパソコンに入力していた始業終業の時刻と、店舗に入った時刻、店舗から出た時刻との間に、大きな食い違いがあったため、賃金不払残業が発生していました。

「労働時間適正把握ガイドライン」によれば、労働時間の管理に自己申告制を用いる場合には、使用者が定期的にその正しさを検証しなければなりません。

 

<固定残業代制度の不適切な運用>

「労働時間が全く把握されておらず、残業代が一切支払われない」との情報を基に、労基署が立入調査を実施しました。

労働者に対し、月10時間から42時間相当の残業手当を定額で支払っていたが、実際の労働時間を全く把握しておらず、賃金不払残業の疑いが認められたため、実態調査を行うよう指導しました。

固定残業代制度の下でも、基準となる時間を超えた労働時間に対しては残業代を計算・支給しなければなりません。

実際の労働時間の把握・記録の義務は、免除されませんので注意が必要です。

 

<労基署の立入調査>

労働者からの聞取り調査を含め、一部の実態調査を行います。

ここで、賃金不払残業の疑いがあると、会社に対して、全体の実態調査を行い報告書を提出するよう求めます。

この報告書に基づき、会社に対して、未払の残業代を支払うよう指導があります。

また、支払った内容についても、労基署への報告が求められます。

労働基準法などの理解が不十分なために、賃金不払残業が発生したのなら、労基署は正しい理解を説明し指導して、会社がこれに従えば良しとします。

しかし、労基署の指導に従わないことで、故意に賃金の不払が行われていたという悪質性が認められます。

ですから、会社が実態調査を行わない、虚偽の報告書を提出する、未払の残業代を支払わないなどの場合には、書類送検の手続がとられることもあるわけです。

労基署の立入調査は、会社を改善するきっかけと捉え、教えを請う態度で望むのが得策といえます。

 

解決社労士

2020/10/25|778文字

 

<従業員から>

従業員からの申し出により労働問題とされやすいのは、パワハラ、セクハラ、労働条件の不利益変更です。

これらは、従業員からの申し出があったとき、経営者が判断に困り、適切な対応ができないでいるうちに、社内で解決しきれない労働問題に発展することがあります。

会社に落ち度が無いという自信があれば、所轄の労働基準監督署に確認して、従業員に説明すれば良いでしょう。

そうでなければ、何かアクションを起こす前に、なるべく早く信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<訴訟や労働審判への発展>

退職者からの、残業代請求、不当解雇、退職に伴う請求がメインです。

どう考えても円満退職だった退職者の代理人弁護士から、内容証明郵便が届いてビックリというパターンです。

在職中は会社に遠慮して言えなかった不平不満が、退職後に爆発するのですから意外性があります。

退職者ご本人にその気が無くても、ご家族やお知り合いの中には労働法に詳しい方がいらっしゃいます。

そして、この方が労働者の権利を強く主張すると、退職者が同調して会社に請求することもあります。

 

<複合的な形になるもの>

退職者から未払残業代の請求がある場合、パワハラによる慰謝料請求が加わったりします。

セクハラの被害者が退職させられ、加害者が会社に残り、これを不満とした退職者からの慰謝料請求に、未払残業代の請求が加わったりします。

パワハラの加害者として退職させられた人から、不当解雇を主張され、賃金、賞与、慰謝料を請求されることもあります。

権利の侵害を感じた退職者が弁護士に依頼すると、弁護士は依頼人に事実を確認し、これを法的に構成し、できる請求をすべてすることになります。

依頼人と弁護士との契約は、委任契約ですから、医師が治療にベストを尽くすのと同じように、弁護士も依頼人の権利実現にベストを尽くすわけです。

 

解決社労士

2020/10/15|1,166文字

 

<定額残業代のメリット>

定額残業代は良い仕組みです。

労働者にとっては、残業が少なくても定額残業代が保障されていますし、会社にとっては人件費が安定します。

しかし、それだけではありません。

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。

そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。

これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

 

<定額残業代の正しい導入>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。

このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。

文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

人間は変化を嫌います。

良い制度を導入する場合でも同じです。

定額残業代には、悪いイメージもありますからなおさらです。

 

<誤った導入をすると>

定額残業代の計算が誤っていたり、割増率が法定の基準を下回っていたり、最低賃金法違反があったり、労働者への説明が不十分であったりすると、制度そのものが無効とされます。

この場合、労働基準監督署の監督が入ったり、労働審判が行われたりすると、基本給にあたる賃金に定額残業代を加えた金額を基本給として残業代を計算し、さかのぼって支払うことになるでしょう。

これは、実質的には残業代の二重払いですから、会社にとって想定外の出費となります。

このように、導入の失敗は大きなリスクとなります。

 

<定額残業代の正しい運用>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。

なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。

そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。

ハローワークで求人票に定額残業代の表示をすることについては、窓口で慎重すぎる態度を示されてしまいます。

これは、誤った制度導入や運用があまりにも多いため、悪い印象を持たれてしまっているからでしょう。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/11|1,061文字

 

<労働時間を把握しない>

残業代を払うには、従業員の労働時間を適正に把握する必要があります。

払う気の無い会社では、タイムカードなどの打刻をきちんとさせていません。

しかし、政府が継続的かつ熱心に進めている働き方改革により、労働安全衛生法が改正され、平成31(2019)年4月から各企業には従業員の労働時間の把握が義務化されました。

残業代が支給されない管理監督者を含め、労働時間を客観的に把握し記録を保管する義務を負うようになりました。

現時点でまだ労働時間の把握をしていないなら、これは労働安全衛生法に違反し違法ですから、早急に適切な対処をする必要があります。 

 

<所定労働時間・日数が不明確>

時間給ならば、1時間当たりの賃金は明確ですから、残業代の計算が可能です。

しかし、日給制や日給月給制の場合には、1日の所定労働時間が不明なら、1時間当たりの賃金がわからないので、残業代の計算ができません。

さらに、月給制ならば、月間所定労働時間が不明なら、やはり1時間当たりの賃金がわからないので、残業代の計算ができません。

こうした労働条件は、入社時に会社から従業員に書面で通知されていなければ、会社の規模に関係なく違法です。

それでも、残業代を払う気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

残業代を払わないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。

ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

一部の元気な従業員は、忙しくてバタバタしています。

しかし、それよりも長時間労働で疲れた従業員が目立ちます。

中には「どうせ残業代が出ないので」のんびりマイペースでやっている従業員もいます。

全体として見れば、人件費を削った以上に、従業員の働きが低下しています。

つまり、生産性が低いのです。

人件費を削りたいのは経営者です。

お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。

ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報によって低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。

ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。

信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/08/28|1,540文字

 

<申請の意味>

会社の中で「申請」というのは、労働者が自分の希望を申し出て、会社の許可を得ようとする行為です。

会社からの命令に応じて行う業務や、労働者としての権利の行使は、会社の許可を必要とするものではありませんから、申請の対象とはならない筈です。

 

<出張申請書>

自ら出張を希望して、出張申請書を起案し上司に提出するということもあるでしょう。

役職者であれば、出張の必要性を判断する権限を与えられていることもあるからです。

しかし、担当者であれば上司から出張命令を受けるのが一般です。

この場合でも、その担当者は出張申請書を起案します。

出張申請書を起案するのは、出張したいからではなく、出張の目的や業務内容、交通手段、経費などを明らかにして、会社の決裁を得るためです。

出張そのものは上司からの命令であっても、出張の具体的な内容については、上司を通じて会社の決裁を得る必要があるので出張申請書を起案するのです。

出張を終えて帰社すれば、出張申請書の内容との差異や、出張の効果を明らかにするために、出張報告書を提出するのが一般です。

 

<残業申請書>

残業というのは、本来、労働者が会社側からの命令に応じて行うものです。

だからこそ、時間外労働は労働基準法により規制され、違反に対しては使用者に罰則が適用されることもあるわけです。

労働者が、時間外労働の制限をオーバーしたからといって、罰則が適用されるようなことはありません。

それなのに、労働者側から残業を希望する「申請」というのは不合理です。

しかし管理職が、部下の業務内容や進行状況を、すべて具体的に把握できているわけではありません。

残業の必要性について、いつも上司が把握しているとは限らないのです。

このことから、部下は上司に対して、「これこれの業務で2時間の残業が必要と思われます」といった打診をして、上司からの残業命令を促す必要が生じます。

これを文書で行っているのが、残業申請書という名の「残業命令お伺い書」です。

万一、所轄の労働基準監督署の臨検監督が入り、残業申請書の運用が明らかになれば「残業申請書というのはおかしい。申請が却下されたら、サービス残業になるのですか」などという指摘を受けるかもしれません。

この場合には、「残業申請書という名称ですが、実態は残業命令を打診するための書類であって、決して申請書ではありません」という説明をすることになるでしょう。

ですから、申請書のタイトルを「残業申請書 兼 残業命令書」として、申請とこれに対する命令の形式を整えておくのが無難でしょう。

むしろ、出張の場合と同様に、事後の報告をする「残業報告書」を運用し、不必要と思われる残業を減らすよう指導していくのが得策ではないでしょうか。

 

<年休申請書>

出張や残業が、会社から労働者に対する命令であるのとは異なり、年次有給休暇の取得は労働者の権利です。

そして、年次有給休暇の取得は、労働者から会社に対して一方的に時季を指定することによって行います。

ですから、会社に許可を求める「申請」というのは、あり得ないことになります。

会社としては、年次有給休暇の取得日を指定する届が提出されれば、理由を問わずこれを受けなければなりません。

例外的に、会社の事前準備や努力によっても、その日に年次有給休暇を取得させることが、事業の正常な運営を妨げることになってしまう場合には、取得日を変更させることができるに過ぎません。〔労働基準法第39条第5項〕

「人手不足」「忙しい」というだけの理由で、取得日を変更できるわけではないのです。

こうして、年次有給休暇については、「年休申請書」ではなく「年休取得届」を運用するのが正しく、また、「理由欄」も設けてはならないということになります。

 

解決社労士

2020/08/22|1,753文字

 

<残業制限と三六協定>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの制限を超える残業は「違法残業」ということになります。

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って1日8時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

この三六協定は、社内で人事の仕事に関わらない人にも知られている有名な労使協定です。

ところが、人事部門の担当者でも思わぬ勘違いをしていることがあります。

 

<時間外労働の意味>

時間外労働については、一般に考えられている「残業」と、法律上の「時間外労働」が異なっている場合があるので注意が必要です。

一般に「残業」というと、会社で定めた「所定労働時間」を超えて労働した時間のことを指しています。

一方、法律上の「時間外労働」とは、上記の労働基準法第32条で定められた「法定労働時間」を超えて労働した時間のことをいいます。

三六協定にいう「時間外労働」も、法律上の「時間外労働」を指しています。

ですから、「所定労働時間」が「法定労働時間」よりも短い場合には、「所定労働時間」を超えて労働した「残業」の合計が、三六協定の上限を超えるように見えても、「法定労働時間」で計算すれば制限の範囲内ということがあります。

こうした勘違いが多いからでしょう、三六協定の新しい書式には「所定労働時間を超える時間数(任意)」という欄が設けられていて、注意を喚起しています。

 

<特別条項の適用対象>

臨時的な特別の事情の発生に備えて、三六協定に特別条項を設けることができます。

この場合、「限度時間を超えて労働させる場合における手続」を踏めば、限度時間を超えて労働させることができます。

しかし、これには年6回(6月)という回数制限があります。

この特別条項の適用や回数制限は、全社的にあるいは部署単位で行われることもありますが、本来的には個人ごとに行われるべきものです。

個人ごとの管理にすると、やや煩雑にはなりますが、時間外労働の幅が広がりますから、個人単位での管理をお勧めします。

 

<協定書と協定届の兼用>

就業規則であれば、これを所轄の労働基準監督署長に届け出る場合、就業規則とは別に「就業規則届」「意見書」が必要です。

しかし、三六協定の場合には「三六協定書」と「三六協定届」の両方を作成して手続を行うのではなく、「三六協定届」が「三六協定書」を兼ねています。

このことから、「三六協定届」では、協定の当事者である労働組合や労働者の過半数を代表する者の署名または記名・押印が必要とされるわけです。

 

<三六協定を守っていても>

かつては、三六協定の適正な届出をして、その内容を遵守していれば、労働基準監督署から行政指導を受けることはあっても、違法になることはありませんでした。

これは、残業時間について、法律による上限が定められていなかったためです。

ところが、働き方改革の一環で労働基準法が改正され、平成31(2019)年4月1日からは残業時間の上限が設けられました。

 

【労働基準法による残業の上限】

原則 = 月45時間かつ年360時間(1日あたり約2時間) 

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合であっても、

・年720時間以内

・休日労働の時間と合わせて複数月平均80時間以内

・休日労働の時間と合わせて月100時間未満

ただし、月45時間を超えられるのは年6回までという制限があります。

複数月平均80時間以内というのは、過去2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のどの平均も80時間以内ということです。

 

三六協定の遵守とは別に、この労働基準法の基準も超えないように注意しなければ違法となってしまいます。

労働時間の管理を失敗しないよう、細心の注意を払わなければなりません。

 

解決社労士

2020/08/19|1,751文字

 

<残業制限と三六協定>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの制限を超える残業は「違法残業」ということになります。

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って1日8時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

ところが、所轄の労働基準監督署長に三六協定書を届け出て、その控えを会社に保管し、社内に周知していても、労働基準法違反となってしまうことがあります。

 

<選出手続の失敗>

「労働者の過半数を代表する者」を選出するにあたっては、次のような条件があります。

うっかり、これらの条件に違反していると、三六協定の締結そのものが無効となり、法定労働時間を超える残業がすべて違法となってしまいます。

・管理監督者を除く一般の労働者から選出すること。

・「労働者の過半数を代表する者」の具体的な役割を説明したうえで選出すること。

・会社から適任者を打診するなどの関与をせず民主的に選出すること。

社員親睦会の代表者が、自動的に「労働者の過半数を代表する者」となるような、選出そのものが行われないのは、当然に無効となってしまいます。

 

<期限切れ>

三六協定の有効期間は、最長でも1年間です。

取引契約書のように、「甲乙いずれからも申出が無い場合には、従前と同一の内容をもって更新されるものとする」という自動更新の規定を置くことはできません。

所轄の労働基準監督署長への届出も、毎年行うことになります。

期限が過ぎてから届出を行っても、さかのぼって効力が認められることはありません。

うっかり、三六協定の更新を忘れると、違法残業が発生してしまいます。

 

<上限を超える残業>

三六協定では、法定労働時間を超える時間数として、1日、1か月、1年それぞれの上限を定めます。

1日単位のチェックは、従業員一人ひとりに説明しておいて、自己管理を求めるのが簡単です。

管理職も、自分の部下の残業時間について、管理を怠らないでしょう。

また、1か月単位の上限については、半月あるいは20日経過したところで、人事部門から各部門長や各従業員に対して「オーバーペースです」という警告が発せられる仕組ができている企業も多いと思われます。

しかし1年単位となると、従業員も部門長も、あまり意識していないため、年度末になってから、思いの外、残業が制限されてしまったり、あるいは、うっかり制限をオーバーしてしまったりということがありえます。

やはり、1年単位での時間外労働の集計も必須です。

 

<三六協定の対象者>

三六協定届には、労働者数の欄があり、カッコ書きで「満18歳以上の者」と書かれています。

これは、三六協定が満18歳未満の従業員には適用されないからです。

適用されないということは、満18歳未満の従業員は、三六協定が締結されても法定時間外労働が許されないことになります。

うっかり残業させてしまうことがないよう、十分に注意する必要があります。

 

<特別条項の回数制限>

臨時的な特別の事情の発生に備えて、三六協定に特別条項を設けることができます。

この場合、「限度時間を超えて労働させる場合における手続」を踏めば、限度時間を超えて労働させることができます。

しかし、これには年6回(6月)という回数制限があります。

年の前半で特別条項を5回使ってしまえば、後半では1回しか使えませんから、年度末の繁忙期に限度時間内の残業しかできずに困ることになります。

特に注意したいのは、年度の途中で人事異動がある場合です。

特別条項の回数制限は、個人ごとのカウントとなりますから、異動前に何度も限度時間を超えていると、異動後には限度時間を超えられない不都合を生じます。

これも、うっかり違反の大きなポイントですから注意しましょう。

 

解決社労士

2020/08/11|1,177文字

 

<定額(固定・みなし)残業代>

1か月の残業代を定額で支給するものです。

基本給に含めて支給する方式と、基本給とは別に定額残業手当として支給する方式があります。

労働基準監督署では正しい運用を指導しています。

しかし、所轄の労働基準監督署に確認せず、誤った運用も多いことから、ハローワークでは求人票に載せることを嫌います。

 

<誤った運用その1>

対象となる従業員に、定額残業代の計算根拠について、何時間分だからいくらなど説明が無い。

あるいは、就業規則に残業代の計算方法について、具体的な規定が無い。

これは誤った運用です。

残業代について、具体的な計算方法が分からなければ、給与を支給されたときに、それが正しいのか誤っているのか分かりません。

対象者全員に、計算方法を理解させることは必須です。

 

<誤った運用その2>

残業時間が少ないと、定額残業代が減額される。

これも誤った運用です。

基準時間を下回る時間しか残業が発生しない月も、定額の残業代は減額せずに支給します。

「定額」ですから当然のことです。

定額残業代は、全く残業しなくても支給される最低保証額なのです。

 

<誤った運用その3>

残業時間がどんなに多くても、残業代は増えず、定額残業代だけが支給される。

これは誤った運用です。

基準時間を上回る時間の残業が発生した月は、定額の残業代を上回る部分の残業代を給与に加えて支給します。

賞与でまとめてということはできません。

そもそも定額残業代の基準時間が無いという悪質なものもあります。

 

<誤った運用その4>

定額残業代に、深夜労働や法定休日労働の割増賃金を含めている。

これは、技術的な困難を伴いますから、多くの場合に誤った運用となります。

深夜労働や法定休日労働の分も定額にすることは、理論的には可能です。

しかし、それぞれの基準時間と金額を明らかにする必要があって、計算や運用が難しくなりますし、人件費が割高になるのであまり使われません。

 

<誤った運用その5>

1時間あたりの基本賃金が、最低賃金法の基準を下回っている。

これも誤った運用です。

残業の基準時間を長く設定してしまうと、時間単価が下がってしまうのです。

最低賃金は、年々上昇していますので、いつの間にか違法になってしまうケースもあります。

給与の設定が春だと、最低賃金の変更が秋なので、この時点で違法になることも多いのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

定額残業代(固定残業代・みなし残業代)を使うなら、適法に運用しなければなりません。

それだけではなく、適法に運用するとかえって人件費が割高になるという場合には、給与制度や人事制度を見直す必要があります。

それぞれの職場に合った制度をお考えでしたら、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

社労士であれば、社名を出すことなく、所轄の労働基準監督署で相談することも可能です。

 

解決社労士

2020/07/22|1,754文字

 

<残業代を減らす方法>

残業代をカットするのは違法です。

安易に「残業代込み、休日出勤の賃金込み」のような約束は、残業代カットの典型例でしょう。

経営者としては、人件費の見込みが明確であれば、管理しやすいので助かるのですが、労働者は、たまったものではありません。

もちろん、居酒屋の店員が、すべて込みで月額200万円なら文句はないでしょう。

しかし、月額30万円程度で、開店前の仕込みや閉店後の作業の賃金がカットされたのでは、決して納得のいくものではありません。

残業代をきちんと支払わなければ、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法第37条、第119条〕

とはいえ、残業を全面的に禁止したのでは、仕事が回らなくなってしまいます。

そこで、ある程度まで残業を制限するという対策が取られます。

人件費が予算の範囲内に収まるよう、うまく調整するわけです。

これは役職者任せにするとうまくいきません。

取締役と管理監督者が働き放題となり、すぐに否定されることになります。

結局、本当に必要な残業だけを認めようということになります。

 

<残業代の多い社員>

残業代の多い社員には、大きく分けて3つのパターンがあります。自己都合で残業する社員と、会社都合で残業する社員、そして能力不足の社員です。

 

<自己都合で残業する社員への対策>

自己都合というのは、生活のために多額の残業代を必要とする、家に居場所が無いなどの個人的な理由で残業するパターンです。

本来の勤務時間帯には、おしゃべりをしたり席を外したりダラダラと過ごし、残業の時間帯には頑張っている姿が見られます。

上司が指導し、本来の勤務時間帯に職務に集中するようにさせること、プライバシーの侵害にならないよう気を付けながら、個人的な悩みについて相談に乗ることが対策となります。

 

<会社都合で残業する社員への対策>

会社都合というのは、仕事ができる優秀な社員なので仕事が集まってしまい、やむを得ず残業するパターンです。

こういう社員は、始業時間前から残業時間帯までテキパキと仕事をこなしています。

上司が役割分担を見直すこと、代わりにできる人を育てることが対策となります。

仕事ができる社員は、仕事を抱え込み他の社員に関与させたがらないことも多いのですが、マニュアルを作らせ他の社員に引き継がせることが必要となります。

 

<能力不足の社員への対策>

能力不足というと、何もできないように思われがちですが、ここでは担当業務が上手にできないことを言うものとします。

こうした能力不足の半分以上は、会社の教育不足によるものでしょう。

たとえば、事務仕事でエクセルを使う場合、コピーして貼り付ける操作でも、マウスの左クリックだけを使う方法、マウスの左右両方のクリックを使う方法、マウスは使わずにキーボードで行う方法、そしてこれらを組み合わせた方法があります。

どのような操作が効率的であるかは、具体的な作業内容によって異なります。

ところが、本人任せにしておくと1つの方法しか覚えません。これでは生産性が上がりません。

能力不足の社員は、頑張っているのですが、他の社員と同じ仕事を与えられても残業が発生してしまいます。

スピード感が無いですし、やり直しが多いのも特徴です。

しかし、上司の指導によって改善が期待できます。

 

<どのパターンかわからない場合には>

他部署に異動させてみると、どのパターンかが良くわかります。

自己都合の残業なら、異動の前後で残業時間が変化しません。

仕事内容とは関係なく残業しているからです。

会社都合の残業なら、異動直後に残業が減り、その後徐々に増えていきます。

異動先でも周囲での評価が高まり、任される仕事量が増えるからです。

能力不足の残業なら、異動直後の残業が多く、その後徐々に減っていきます。

異動先の仕事を覚えれば、少しずつ効率が上がるからです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

いつの間にか残業代込みの給与になってしまっているのであれば、正式に定額残業代のしくみを定めて適正に運用したいところです。

また、残業代だけでなく、能力や貢献度に応じた給与にするためには、人事考課制度が必要です。

どちらも、社労士の得意分野ですから、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/07/20|925文字

 

<使用者の義務>

労働時間の適正な把握は使用者の義務です。

この義務は、会社員だけでなく、美容師でも、医師でも、職人でも例外ではありません。

現在では、過重労働による労災の発生や長時間労働の問題がマスコミでも大きく取り上げられ、この義務が再認識されています。

 

<残業要否の判断>

こうした中でも、労働者の希望や申請により残業が認められている会社が多いというのは不思議な現象です。

そもそも、残業というのは使用者の命令によって行われるものです。

ですから、残業の要否を判断するのは、労働者ではなく使用者です。

そうでなければ、労働者の自由な判断で残業できることになり、好きなだけ残業代を稼げるということになってしまいます。

これでは会社が人件費をコントロールできません。

 

<残業命令のあり方>

だとしても、使用者がその都度、具体的な残業命令を出すことにしていたのでは大変です。

まず、包括的な残業命令を使用者から労働者に一覧表の形で示しておきましょう。

たとえば、小売店や飲食店であれば「その場でのクレーム対応が必要な時」「レジで違算が発生し再確認が必要な時」「店内にお客様が残っていて接客が必要な時」というように条件の形で示します。

そして、この一覧表に無いような突発的な理由で、残業の必要性が問題となったときには、労働者から使用者に残業命令を打診するのです。たとえば、地震によって商品や食器が店内に散乱して、ある程度まで片付けておく必要性が感じられる時などです。

使用者側が、ここまで残業の管理をしておけば、労働者の勝手な判断で残業しても、これに対する賃金の支払い義務は無いと主張しうることになります。

 

<やってはいけないこと>

残業命令をうやむやにして、労働者の残業管理を怠っておきながら、残業代をカットしてしまうのは、違法なサービス残業となってしまいます。

ダラダラ残業も、持ち帰り残業も、知っていて放置すると、使用者側が許したものと評価されてしまいます。

これらにも残業代を支払わなければなりません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

残業そのものを減らすにも、残業代の支払いを減らすにも、合法的で適正な方法を検討するのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/07/10|983文字

 

<スーパーマーケットと経営者を逮捕・送検>

江戸川労働基準監督署長は、スーパーマーケット経営会社とその代表取締役等を労働基準法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検したことがあります。

 

<逮捕・送検の理由>

このスーパーマーケット経営会社の代表取締役は、東京都江戸川区内の2店舖で勤務する従業員に残業代を支払いませんでした。

そこで、江戸川労働基準監督署労働基準監督官が、割増賃金の不払につき是正指導し、その是正措置結果について報告をするよう求めました。

ところが、この代表取締役は、部長A、課長Bと共謀し、労働基準監督官に対し、実際には支払をしていないのに、過去の賃金不払残業に対する割増賃金を遡及して支払ったとする虚偽の内容を記載した是正報告書を提出しました。

このウソの報告書提出が逮捕・送検の理由です。

 

<捜査が入ったキッカケ>

この会社に対しては、二度にわたり、江戸川労働基準監督署が、割増賃金の不払について是正するよう監督指導を行ってきました。

ところが、その指導にもかかわらず、違反行為を続けてきたので捜査に着手したのです。

そしてこの会社は、是正指導に対して是正報告を行っていたのですが、本社などを家宅捜索したところ、実際には遡及支払を行っていないことがわかり、ウソの報告であったことが判明したのです。

 

<サービス残業に対する指導>

各労働基準監督署では、事業者に対して適正な労働時間管理の徹底を図り、賃金不払残業を起こさせないことを重点とした監督指導を実施しています。

また、是正指導にも関わらず改善の意欲が認められず、賃金不払残業を繰り返し、または労働基準監督署に対し虚偽の報告を行うなど重大悪質な事業者に対しては、書類送検を含めて厳正に対処しています。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

労働基準監督署は、退職者などからの申告に基づき、会社に抜き打ちの調査をすることがあります。

また、事前に調査内容や調査日時を通知したうえで調査に入ることもあります。

通知があった場合には、ぜひ信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

調査への立会や、その後の報告書作成・提出を含め、会社の負担を最小限にして速やかな対応をすることができます。

また、顧問の社労士がいれば、抜き打ち調査への対応も安心です。

 

※労基署による監督をわかりやすく調査と表示したところがあります。

 

解決社労士

2020/07/08|1,826文字

 

<違法残業の発生>

次のような条件下で、法定労働時間を超える勤務をさせると違法残業となります。

・労働基準監督署長に三六協定の届出をしていない

・三六協定の有効期限が切れたままになっている(有効期間は最長1年)

・労働者代表の選出方法が民主的ではないなどにより三六協定が無効

また、三六協定の限度を超える勤務をさせた場合にも違法残業となります。

さらに、労働基準法の改正により、新型の違法残業も登場しています。

 

<新型の違法残業>

これまでは、三六協定の適正な届出をしていれば、労働基準監督署から行政指導を受けることはあっても、違法になることはありませんでした。

これは、残業時間について、法律による上限が定められていなかったためです。

ところが、働き方改革の一環で労働基準法が改正され、平成31(2019)年4月1日からは残業時間の上限が設けられました。

 

【労働基準法による残業の上限】

原則 = 月45時間かつ年360時間(1日あたり約2時間) 

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合であっても、

・年720時間以内

・休日労働の時間と合わせて複数月平均80時間以内

・休日労働の時間と合わせて月100時間未満

ただし、月45時間を超えられるのは年6回までという制限があります。

複数月平均80時間以内というのは、過去2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のどの平均も80時間以内ということです。

 

このように、新型の違法残業は形式的な不備よりも、労働時間の管理を失敗することによって発生することが多くなります。

これが新型の違法残業の特徴です。

 

<適用猶予・除外の事業・業務>

実態を踏まえ、上限規制の適用が5年間猶予されるものとして、自動車運転の業務、建設事業、医師があります。

これらは、すぐには長時間労働を解消できないと見られるため、5年間だけ猶予が与えられています。

また、新技術・新商品等の研究開発業務では、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた場合には、時間外労働の上限規制が適用されません。

 

<パン製造販売業者を書類送検>

亀戸労働基準監督署は、労働基準法違反容疑で、パン製造販売業を営む会社の元東京工場エリアマネージャー(工場長)と元工場サンドイッチ部門チームリーダー(部門長)を東京地方検察庁に書類送検したことがあります。

これでわかることは、社長などの経営者ではなくても「使用者」の立場にある者は、長時間労働を行わせたことについて責任を負うということです。

また、サービス残業が発生した場合に、勤務時間の集計をごまかして残業代未払いの原因を作った工場長や部門長が責任を負うこともあるということです。

 

<逮捕・送検の理由>

逮捕・送検の具体的な理由は次の2つです。

東京工場サンドイッチ部門に所属するパートタイム労働者3名(1日の所定労働時間6時間)に対し、最長で月139時間に達する時間外労働を行わせ、三六協定の延長時間の限度を超える違法な時間外労働を行わせていたこと。

また、本来支払うべき時間外労働に対する割増賃金のうち3割程度の支払しかしていなかったこと。(1月当たり最大で約11万円の時間外手当の不払が発生)

これでわかることは、正社員だけでなくパート社員などについても、労働基準法の順守が求められるということです。

 

<逮捕・送検の背景>

厚生労働省では、長時間労働の抑制と過重労働による健康障害防止対策の強化を喫緊の課題として、平成26(2014)9月に厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減対策推進本部」が設置され、省をあげて取り組むようになりました。

各労働基準監督署でも、過重労働等の撲滅に向けた対策推進のため、著しい過重労働により労働基準法違反が認められるなど重大または悪質な事案に対しては司法処分を含め厳正な対応を強化することとしています。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

会社の人事担当者は、労働法を中心とする法改正には敏感だと思います。

しかし、改正が確実になってから対応したのでは、予算取りや人員配置の問題があり、遅れをとってしまうこともあります。

やはり、法改正情報の先取りはライバル企業に負けないためにも必要です。

また、国の政策転換にも目を光らせていないと、今まで大丈夫だったことが逮捕・送検の対象となったことに気付かないものです。

会社を守るためにも、法改正や政策転換の情報に明るい社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/06/21|920文字

 

<偉い人はタイムカードが要らないか>

タイムカードは、出勤時刻、退出時刻、休日、休暇の記録を残し、労働時間を管理するために使われています。

会社によっては、休憩時間や外出時間もタイムカードに記録しています。

しかし、「労働時間を管理するのは何のためか?」と問われると、「残業手当の計算ができないと困るから」「サービス残業になるといけないから」という答えが返ってくることがあります。

タイムカードを使う目的を、残業手当の計算に絞ってしまうと、残業手当の付かない管理監督者にタイムカードは必要ないことになります。

そして、やがてはタイムカードの無いことが、役職者の一種のステータスになります。

 

<タイムカードが無い悲劇>

たとえば、部長が勤務中に心臓発作で倒れたとします。

過重労働による労災ではないかと疑われたとき、会社はこの部長が長時間労働ではなかったことをどのように証明するのでしょうか。

家族が「帰宅は毎日24:00を過ぎていました。土日も出勤していました」と話したら、これが事実とは違っていても、会社は責任を免れないように思われます。

またたとえば、部長が通勤経路で倒れたとします。

通勤災害かも知れません。

しかし、発見されたのが深夜で、仕事帰りなのかどうかすら分からなければ、労災保険の手続をしようにも情報が足りません。

こうしたことを想定すると、取締役など経営者を除き、誰でもきちんと労働時間を管理するのが正しいことがわかります。

 

<目的を見失うと>

結局、タイムカードを使う目的は、あくまでも労働時間の管理であって、残業手当の計算はその一部に過ぎないのです。

会社の中には多くのルールが存在します。

そして、思考の単純化のために、そのルールの存在理由を1つに絞って説明することも良く行われています。

しかし、これが危険なことは、上の例からも明らかでしょう。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

会社の就業規則を見直す場合、規定を増やすだけでなく削ることもあります。

しかし、その規定を削って良いのか悪いのか、安易な判断は会社にとって大きなダメージにつながることもあります。

就業規則の改善や運用の見直しをお考えでしたら、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/04/02|894文字

 

<実質残業代ゼロ>

東京の大手タクシー国際自動車(kmタクシー)では、残業代が増えるほど、それに合わせて歩合給が引かれ、結局同じ額の給与となる仕組が取られていました。

ドライバーに対し、基本給や残業代のほか、売上高に応じた歩合給が支払われていましたが、歩合給を計算するときに、残業代相当額などが差し引かれて、「実質残業代ゼロ」の状態になっていたのです。

この制度の導入にあたっては、ドライバーの約95%が加入する最大組合も了承していました。

ところが、別の少数組合のドライバーが、こうした制度は未払残業代を発生させるものであり違法だとして提訴しました。

 

<東京高裁の判断>

高等裁判所では、法令違反などがない限り、賃金をどのように定めるかは自由としたうえで、名目上は法定の金額を下回らない残業代が支給されていることなどから、制度を合法と解釈していました。

手続面を含め、手当の名称や算定方法などから、形式的な判断が行われていたわけです。

 

<最高裁の判断>

最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は令和2年3月30日、残業代の支払いについて定めた労働基準法第37条の趣旨に反するなどとして、規則を違法とする判決を言い渡しました。

ドライバー側が敗訴した高裁判決が破棄され、未払い残業代の金額を算定するため、審理が東京高裁に差し戻されることになりました。

最高裁判決では、労働者に対する補償や労働基準法第37条の時間外労働抑止の趣旨を踏まえ、賃金体系全体における位置付けなどにも留意すべきだとして、実質的な判断が行われました。

 

<タクシー業界の動向>

「通常の労働時間の賃金」と「時間外割増賃金(残業代)」とは、明確に区別されていなければなりません。

これは、固定(定額)残業代については周知されつつあります。

しかし、残業代の中に歩合給が含まれるという運送業界特有の制度については、明確に否定されてはきませんでした。

国際自動車は、訴訟を提起されてから、既に従来の仕組を見直したそうです。

一方で、他のタクシー会社や運送会社では、同じような規則を設けている会社があります。

これらの会社でも、早急に見直しが行われるでしょう。

 

解決社労士

2020/02/24|1,091文字

 

<厳しい残業制限>

会社は労働者に、法定労働時間の1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。

また、日曜日から土曜日までの1週間で、法定労働時間の実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

厳しいですが、これが労働基準法の制限です。

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が用意されています。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの法定労働時間を超えて残業させることは「違法残業」ということになります。

残業は、会社が労働者に命じて行わせるものですが、労働者が独断で残業しているのを野放しにしている場合にも、「残業させた」と評価されます。

 

<三六協定の免罰効果>

しかし会社は、労働者の過半数が加入する労働組合や、労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って18時間を超え、また週40時間を超えて労働者を働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

ここで「罰せられない」と言い、「適法になる」と言えないのは、適法であるためには残業させる根拠が就業規則などに規定されている必要があるからです。

また、法定労働時間を超えた時間も、さらには三六協定の限度を超えた時間も、残業代支払いの対象となります。

 

<三六協定の届出>

労働者の過半数で組織される労働組合が無い場合には、その事業場ごとに労働者の過半数を代表する者を選出します。

あくまでも労働者の代表ですから、会社からの指名ではなく従業員同士の話し合いを基本に民主的に選出します。

そして、労働時間の上限や休日出勤について、会社と代表とが書面で協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出ます。

協定書を届け出たときから協定が有効になりますので、手続きをしないで制限を超える残業があれば違法残業となります。

また、協定の期間は最長1年間ですから、毎年届け出が必要となります。

 

<三六協定を届け出ても違法となる場合>

まず、協定に定めた残業の上限時間を超える残業が「違法残業」となります。

つぎに、労働者の代表が民主的に選出されず、会社から指名されていた場合や会社から推薦を受けていた場合には、選出が無効なので協定も無効となり、協定が無い場合と同じように「違法残業」となります。

さらに、協定の届け出前や期限が切れた後の残業も「違法残業」となります。

 

マスコミでは「違法残業」という報道が時々クローズアップされます。その中には、本当に悪質なものもあるのですが、三六協定の有効期限切れに気付かなかっただけというのもあります。それでも違法は違法です。

有効期限切れなど起こさないように、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/02/21|1,046文字

 

<管理監督者の基準>

管理監督者の範囲を、会社の方針で決めることはできません。

管理監督者とは、経営方針の決定に参画し労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者です。

これは、役職とは無関係ですから、部長でも管理監督者ではなかったり、役職者ではなくても管理監督者であったりします。

具体的には、次のような基準から総合的に判断されます。

 

【労働時間の管理を受けていないこと】

 遅刻、早退、欠勤は問題視されず、給与の減額もありません。

 会議への遅刻が非難されることはありますが、「定時」に遅刻して非難されることはありません。

 

【一般従業員と比べて賃金面で優遇されていること】

 給与や賞与がその地位にふさわしく優遇されていることが必要です。

 部下が長時間残業すると、支給額が逆転するような給与ではいけません。

 評価によって、賞与の支給額が部下に逆転されるのもいけません。

 

【労務管理上の指揮権限があって管理的な仕事をしていること】

 人事考課を行う、休暇の許可を与える、業務の指示を与える、正社員採用の決定権限があるなど、会社側の立場に立っていることです。

 

<残業手当の支給>

こうした基準をすべて満たしていて、管理監督者といえる社員には残業手当の支給が不要です。

そもそも、時間管理する側の立場であって、自分自身は時間管理されていないのですから、残業手当の計算もできません。

ただし健康管理上、会社は労働時間の把握義務を負っているという微妙な関係です。

つまり、いつ出勤し、いつ業務を終了するかは、管理監督者の裁量に任されていますが、結果としての労働時間は会社が把握しなければならないのです。

 

<名ばかり管理職>

これらのことからすると、「名ばかり店長」「名ばかり管理職」という言葉には違和感があります。

店長は確かに店長であり、管理職は確かに管理職であって、労働基準法上の管理監督者ではないので、「形ばかり管理監督者」と呼ぶのがふさわしいのです。

しかし、マスコミ向きではないですね。

 

<隠れ管理監督者>

会社によっては、肩書が課長でありながら、管理監督者の定義にピッタリあてはまる社員がいます。

たとえば、管理監督者の立場にありながら、社内での肩書が人事課長だと、給与規定の作成と運用が任されていて、自分自身に残業手当を支給するルールにしていることもあります。

こうしたおかしな「お手盛り」を防ぐには、経営者が労働法に強くなるか、信頼できる社労士(社会保険労務士)と顧問契約を結ぶことが必要でしょう。

 

解決社労士

2020/02/16|1,281文字

 

<残業が多い人のイメージ>

入社10年目の正社員Aさんが、毎日午後6時から10時まで残業しているとします。

他部署の管理職や社長から見れば、「Aさんは頑張っているなぁ。プライベートの時間をけずって、会社に貢献している」と見えることでしょう。

一方、Aさんと同期のBさんが毎日定時であがっていたらどうでしょう。「自分だけサッサと帰ってしまって、やる気が無いのか」と見えるかもしれません。

 

<残業が多いAさんの実情>

直属の上司からすると「相変わらずAさんは仕事が遅いなぁ。同じ仕事を与えても、Bさんなら定時であがるのに」という見方かもしれません。

Aさんは帰宅するとバタンキュー。休日は死んだように眠っています。家族は「かわいそうに。こんなになるまで働かせてひどい会社だ。いつか訴えてやる」と感じるものです。

いつも疲れが残っているAさんは、朝から調子が上がらずグダグダしているのではないでしょうか。このAさんの態度は、同僚や後輩にもだらしなく見え、悪影響を及ぼすかもしれません。

直属の上司としては、Aさんに重要な仕事や新しい仕事を任せることができません。何しろ、全く余力が無いのですから。

 

<残業しないBさんの実情>

直属の上司からすると「Bさんには余力がある。一段上の仕事を任せてみようか」ということになります。

Bさんには英会話スクールに通ったり、映画を観て楽しんだりする時間があります。休日のプライベートも充実させることができます。それが、仕事に良い影響を与えています。

Bさんの働く姿は、同僚や後輩にも良い影響を与えています。後輩が目標にしているかもしれません。

 

<人件費の配分>

Aさんの残業が、違法なサービス残業であったとしても、Bさんと同じ給与ならもらい過ぎでしょう。ましてや、きっちり残業代が支給されているとしたら、会社に対する貢献度と支払われる給与は逆転しています。

さらに、上級の管理職から良く見えるAさんは、Bさんよりも高い評価を得て、より多額の賞与を支給されるかもしれません。

こうなると人件費の配分が、かなり不合理になってしまいます。

 

<適正な人事考課>

何となくのイメージではなく、客観的な評価基準に基づいた人事考課が必要です。

賞与の金額を決める人事考課で、残業が多いほど評価を下げる会社があります。働き方改革を意識しています。

残業時間の基準を設け、残業時間が基準より少ない社員に対しては、賞与の金額に「浮いた人件費」を上乗せするという会社もあります。

何となくのイメージで評価が決まる会社には、仕事のできない人ばかりが残り、仕事のできる人はあきれて去っていくという現象が見られます。

できる社員を定着させるためにも、みんなのやる気を引き出すためにも、きちんとした人事考課を実施しましょう。

 

本に書いてあったり、ネットで検索できたりする人事考課制度は、一般論に過ぎません。

また、仕事は「できる」社員に集まります。残業が多いことを一律に否定するのも不合理です。

会社の実情に合った人事考課制度の構築と運用については、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/03|998文字

 

<安易な運用>

上司から部下へ「昨日は2時間の残業ごくろうさん。今日は2時間早く上がっていいよ」という話があると、部下はトクした気分になるかもしれません。

しかし、給与の時間単価が2,000円だとすると、2時間の法定外労働では、

2,000円×2時間×1.25=5,000円

となって、会社は5,000円以上の賃金支払い義務を負います。

一方で、2時間の欠勤控除では、

2,000円×2時間=4,000円

となって、残業代と欠勤控除をそれぞれ正しく計算すると、

5,000円-4,000円=1,000円

となって、プラスマイナスゼロではなく、総支給額がプラス1,000円になるのが正しいということになります。

しかも、会社都合で2時間早退させたとしたら、休業手当も発生します。

2,000円×2時間×0.6=2,400円

これは、労働基準法第26条に規定があります。

法律上、労働者は7,400円だけ多くの賃金を受け取れる計算になります。

しかも、労働法ですから「本人が同意」しても結論は変わりません。

 

<相殺の例外1>

きちんと手続きをして、フレックスタイム制を正しく運用していれば、ある日2時間残業して、別の日に2時間早退すると、結果的に相殺されたのと同じ効果が発生します。

これは、使用者側の指示によらず、労働者側が仕事の都合と個人の都合をバランス良く考えて、自由に労働時間を設定できることによる例外です。

 

<相殺の例外2>

中小事業主は当分の間対象外ですが、月60時間を超える時間外労働の割増賃金(割増率5割以上)については、労働者の健康確保の観点から、割増賃金の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。〔労働基準法第37条第3項〕

代替休暇制度の導入には、事業場の過半数組合、または労働者の過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

この協定では、a.代替休暇を与えることができる時間外労働の時間数の算定方法、b.代替休暇の単位、c.代替休暇を与えることができる期間、d.代替休暇の取得日の決定方法および割増賃金の支払い日を定めるべきとされています。

 

残業時間と早退時間の相殺を正しく行いたい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

柳田事務所にご依頼いただければ、上手に運用するためのツールのご提供や、研修の実施など、よりスムーズに導入するためのサービスも行っております。

 

解決社労士

2019/12/12|1,021文字

 

<労働時間の把握義務>

使用者は、労働安全衛生法第66条の8の3に基づき、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に則って、従業員の労働時間を適正に把握する義務を負っています。

そして、大半の企業では、タイムカードやICカードを用いた客観的な記録を基本に、自己申告による修正を加える形で、労働時間を把握しています。

このように、使用者が労働時間を把握する義務を負っていることと、労働者がこれに協力する義務を負っていることについて、企業は繰り返し教育を行う必要があります。

また、会社が把握している労働時間が、実態とかけ離れたものとなっていないか、定期的なチェックも怠ることができません。

 

<過少申告の問題>

従業員が労働時間を過少に申告する場合があります。

上司が、実情を踏まえることなく、残業時間を制限している場合には、サービス残業を余儀なくされることがあります。

ミスが多く、やり直しが多いことに引け目を感じて、自主的にサービス残業を行う従業員もいます。

喫煙やトイレの時間が長いと自覚している従業員、若い頃に比べて生産性が低下していると自覚している従業員などにも、過少申告が見られることがあります。

これらの場合、従業員が不正を行ったことによって、会社に損失がもたらされるわけではありません。

ですから、ほとんどの場合、不正を行った従業員への指導と教育が正しい対応であって、懲戒処分を行うことは見当違いとなります。

ただし、上司が部下に圧力をかけて、過少申告を促していたようなケースでは、この上司を懲戒処分の対象とする必要が出てきます。

 

<過大申告の問題>

従業員が労働時間を過大に申告する場合があります。

手口としては、複数の従業員で残業していたところ、最後の一人となり、これをいいことに私用を始め、適当なところでタイムカードを打刻して帰るというのが多いでしょう。

外出先から帰社するにあたって、交通渋滞などを理由に中抜けし、私用を果たしてから帰社するというのもあります。

たった一人で休日出勤した場合などは、やりたい放題になってしまうこともあります。

これらは、会社に損失をもたらすものであり、一種の詐欺でもありますから、指導や教育では足らず、懲戒処分が相当と考えられます。

いずれのパターンでも、過失ということはなく、故意に会社に損失をもたらす一方で、自分自身の不当な利益獲得を目指しているわけですから、情状酌量の余地はありません。

 

解決社労士

2019/11/14|2,289文字

 

<労働法は労働者の味方>

労働基準法には労働者に対する罰則が無いことからも分かるように、労働基準法をはじめとする労働法は労働者の保護を徹底しています。

その解釈にあたっても、労働者に明らかな権利濫用があったとか、世間の反感を買うような不誠実な態度が見られたとか、特別な事情がない限りは「労働者は悪くない」という解釈になります。

 

<労働者が勝手に残業している場合>

残業というのは、使用者の命令に応える形で行われるものです。

このことは、労働基準法の次の条文にも示されています。

長い条文ですが、間を省略すると「使用者は、・・・労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」と規定しています。

 

【時間外及び休日の労働】

第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

 

労働者が勝手な判断で行った残業に対して、使用者が賃金の支払義務を負うというのでは、人件費のコントロールはむずかしくなります。

ところが、労働者が勝手に残業したのに対して、「自分の勝手な判断で残業してはならない」ということを徹底的に指導しなければ、「会社が残業を黙認した」ということになり、残業代を支払わなければなりません。

これを防ぐには、就業規則に「自分の勝手な判断で残業してはならない」ということをきちんと規定し、違反した場合には、始末書をとって反省してもらう譴責(けんせき)処分などの懲戒規定が必要となることもあるでしょう。

あるいは、自分の勝手な判断で行った残業を、人事考課のマイナス材料とすることも考えられます。

前提として、どのような場合に残業が必要か、条件と具体的な内容を書面化して労働者に示し教育しておく必要があります。

たとえば、「閉店時刻にお客様が店内に留まっていて接客が必要なときには、その対応が終わり閉店作業を完了するまで残業しなさい」という内容になります。

これをしておかないと、上司の個別具体的な命令がなければ一切残業できないということになり不都合だからです。

 

<労働者がタイムカードの打刻を怠っているとき>

労基署はタイムカードなどの出勤退出の時刻を基準に、労働時間を正しく計算し直すよう求めてきます。

ですから、労働者がきちんと打刻していなければ、計算できません。

これは、労働者の自業自得であるようにも思えます。

ところが、きちんとタイムカードを打刻するように指導し、打刻もれがあれば、その都度正しい時刻を確認するのが、会社の責任だとされます。

そして、労働者から「この日は23時頃まで残業した」「先月の日曜日はいつも4時間程度休日出勤した」という申し出があれば、基本的にはこれを信じて計算しなければなりません。

こうしたことを防ぐには、定期的に正しい打刻についての指導を行い、就業規則に打刻義務を規定し、必要に応じて懲戒処分についても規定を置き、人事考課の対象とすることも考えられます。

一般に、残業手当をきちんと支払わない職場では打刻もれが目立ちます。

ですから、打刻もれが多いという点については、労基署の監督官も注目します。

これは大きな注意ポイントでしょう。

 

<労働者の不正打刻>

労働者が出勤直後にタイムカードを打刻せず、しばらく働いてから本来の出勤時刻に打刻するという不正があります。

また、タイムカードを打刻してから残業するという不正もあります。

場合によっては、ミスの多い社員や加齢によって生産性の低下した社員が、能力不足をカバーするために自主的に行っていることもあるでしょう。

ところが客観的に見ると、これは会社が得をして、労働者が損をする行為です。

そのため労基署の監督官は、会社が労働者に対して不正な打刻を強要しているのではないかと疑ってしまいます。

これを防ぐには、打刻を怠っている場合の対応に加えて、きちんとした評価基準の設定と、正しい人事考課が必要です。

生産性の低い労働者については、同期の社員よりも基本給や時給が低いのは当然なことなのです。

厳しい話ですが、これをきちんとしないと本人も苦しいですし、労基署からは違法行為を指摘されてしまいます。

 

<労働者に落ち度があって未払い賃金の支払が不要な場合>

残業が必要となる場合の基準を明確に示し、この内容を徹底的に教育して、労働者の個人的な判断による勝手な残業や休日出勤を禁止し、違反者に対する懲戒や人事考課の評価を落とすことも行っている会社で、教育されても注意されても懲戒処分を繰り返されても、身勝手な自主残業をやめない労働者に対しては、その部分の賃金支払い義務が発生しない場合もあるでしょう。

タイムカードを打刻しなかったり不正に打刻したりの場合にも、同様に考えてよいでしょう。

ただ、こうした社員を会社が放置しておくというのは、いかにも不自然です。

教育指導の甲斐なく、ルール違反を繰り返していれば、解雇の対象になると思われるからです。

こうしてみると、解雇されずに働いている社員について、労基署から賃金未払いを指摘されたら、支払わねばならないのは当然ともいえます。

 

解決社労士

<是正指導の結果>

令和元(2019)年8月8日、厚生労働省が、平成30(2018)年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を取りまとめ公表しました。

全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成30(2018)年4月から平成31(2019)年3月までの期間に不払だった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案のみを取りまとめたものです。

 

【平成30年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】

(1) 是正企業数 1,768企業(前年度比 102企業の減)

  うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業(前年度比 34企業の減)

(2) 対象労働者数 11万8,837人(同 89,398人の減)

(3) 支払われた割増賃金合計額 125億6,381万円(同 320億7,814万円の減)

(4) 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円

 

<サービス残業解消のための取組事例>

監督指導の対象となった企業では、タイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか定期的に確認するなど、賃金不払残業の解消のために様々な取組が行われています。

具体的な内容についても、上記の是正結果と共に公表されています。

 

〇事例1:小売業

 

【賃金不払残業の状況】

◆残業をしている労働者がいるにもかかわらず、管理者が労働者全員のタイムカードを終業時刻に合わせて打刻しているとの労働者からの情報を基に、労基署が立入調査を実施。

◆会社は、タイムカードにより労働時間を管理していたが、その記録と入退館記録との間にかい離が認められたことから、タイムカード打刻後も作業が行われており、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

 

【企業が実施した解消策】

◆会社は、入退館記録などを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。

◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

①タイムカードの代わりに、他人が記録できない生体認証による労働時間管理システムを導入した。

②同システムの記録と入退館記録との間にかい離があった場合は、部署の管理者に対し、書面により指導を行うこととした。

③労働時間の適切な管理方法について記載した社内向けのガイドラインを作成し、管理者を含む全労働者に配布し、周知した。

 

〇事例2:金融業

 

【賃金不払残業の状況】

◆割増賃金が月10時間までしか支払われないとの労働者からの情報を基に、労基署が立入調査を実施。

◆会社は、自己申告(労働者による労働時間管理表への手書き)により労働時間を管理していたが、自己申告の時間外労働の実績は最大月10時間となっており、自己申告の記録とパソコンのログ記録や金庫の開閉記録とのかい離が認められたことから、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

 

【企業が実施した解消策】

◆会社は、パソコンのログ記録や金庫の開閉記録などを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。

◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

①支店長会議において、経営陣から各支店長に対し、労働時間管理に関する不適切な現状及びコンプライアンスの重要性を説明し、労働時間管理の重要性について認識を共有した。

②労働時間の適正管理を徹底するため、自己申告による労働時間管理を見直し、ICカードの客観的な記録による管理とした。

③ICカードにより終業時刻の記録を行った後に業務に従事していないかを確認するため、本店による抜き打ち監査を定期的に実施することとした。

 

〇事例3:小売業

 

【賃金不払残業の状況】

◆過重労働解消相談ダイヤルに寄せられた違法な長時間労働が行われているとの労働者の家族からの情報を基に、労基署が立入調査を実施。

◆会社は、自己申告(労働者が残業申請書を提出し、上司が承認)により労働時間管理を行っていたが、自己申告の記録と警備システム記録とのかい離から、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

 

【企業が実施した解消策】

◆会社は、警備システム記録や労働者からのヒアリングなどを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。

◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

①経営トップが賃金不払残業解消に取り組む方針を打ち出すとともに、全店舗の店長が出席する店長会議において、同方針の説明を行った。

②店長が定期的に、労働時間の記録と警備システム記録を照合してかい離がないかを確認し、かい離があった場合は、その理由を確認するとともに、本社の総務担当者がダブルチェックを行うこととした。

③全労働者に対し、残業申請書に正しい残業時間を記載した上で提出を行うことなどについて研修を行った

 

〇事例4:電気機械器具製造業

 

【賃金不払残業の状況】

◆残業時間の過少申告が常態化しているなど、労働時間管理について不適切な取扱いがあるとの労働者からの情報を基に、労基署が立入調査を実施。

◆会社は、自己申告(パソコン上で労働者が時間外労働申請を行い、上司が承認)により労働時間管理を行っていたが、自己申告の記録とパソコンのログ記録とのかい離などから、賃金不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

 

【企業が実施した解消策】

◆会社は、パソコンのログ記録や労働者からのヒアリングなどを基に労働時間の実態調査を行った上で、不払となっていた割増賃金を支払った。

◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

①労働時間の自己申告方法を含む適切な労務管理について記載されたガイドブックを作成し、管理者を含め、全労働者に周知した。

②労働時間管理上の問題点などについて、労使で定期的に話合いの場をもち、必要な改善を行うこととした。

③自己申告の記録とパソコンのログ記録との間にかい離があった場合は、上司がその理由を確認する仕組みを導入した。

 

2019.09.02. 解決社労士 柳田 恵一

<個人的な残業禁止令>

日中ダラダラと効率の悪い仕事をしていながら、夕方になると調子が上がって業務に集中する人もいます。

これによって長時間の残業が発生しているのなら、生活リズムの個性を認めて午後からの出勤にするという方法もあるでしょう。

中には、残業手当が欲しくて時間外に頑張っている人もいます。

しかし、いわゆる生活残業になってしまっていると、適正な人事考課基準が運用されている会社では、生産性の低い社員であると評価され、昇進・昇格・昇給が遅れますから、長い目で見れば、収入が少なくなってしまいます。

上司が面談して、こうしたことを説明すべきですし、どうしても今の収入を増やしたい事情があるのなら、仕事を多めに割り振ることも考えられます。

お付き合い残業というのもあります。

同期社員間や同じ部署の社員間で、仕事の早い人が遅い人を待つ形で、一緒に帰るのが習慣になることもあります。

この場合には、全員が定時で帰れるようにする方向で、仕事の配分や役割を見直すべきです。

このように、それぞれの事情に応じた対応を取るべきなのですが、残業の発生に合理的な理由が見出せない社員に対しては、残業の禁止を命じなければならないこともあります。

 

<集団的な残業禁止令>

全社で、あるいは一部の部署で、残業禁止とされることもあります。

特定の曜日や給料日だけノー残業デーと決めることもあります。

働き方改革の一環で、残業時間の削減を試みてもなかなか進まないので、「残業禁止」という施策も増えてきました。

 

<残業禁止令の本質>

就業規則に残業の根拠規定が置かれます。

「業務の都合により、所定労働時間を超え、又は所定休日に労働させることがある」といった規定です。

「労働させることがある」という表現から解かるように、「使用者側から労働者に対して、時間外労働や休日労働をさせることがある」という意味です。

具体的には、使用者から個別に残業命令が出た場合や、「クレームが発生した場合には、所定労働時間を超えても、一次対応と報告を完了するまでは勤務を継続すること」のような条件付きの残業命令がある場合に、そうした事態が発生すると残業が行われるということになります。

このことから残業禁止令の本質を考えると、「使用者側から残業命令は出さない。条件付きの残業命令はすべて撤回する」という内容になります。

 

<残業する権利>

残業禁止令が出されると、残業手当が減って収入が減る、あるいは業務が溜まっていくことによる不安が増大するなど、労働者側に不利益が発生します。

これは、労働者の残業する権利の侵害ではないかという疑問も湧いてきます。

しかし、残業が使用者側から労働者への命令によって行われる性質のものである以上、労働者から会社に残業を権利として主張することはできないでしょう。

判例では、労働者から使用者に対して就労請求権が認められることも稀です。つまり、会社が給与を支払いながら労働者の出勤停止を命じた場合に、労働者から会社に対して働かせるよう求めることは、特殊な事情が無ければ認められていません。

ましてや、労働者から会社に残業させるよう求める権利は認められないわけです。

 

<残業禁止令の弊害>

残業禁止となると、収入減少や持ち帰り仕事の発生などにより、社員のモチベーションは大いに低下します。

また、残業時間ではなく残業手当の削減という、目的をはき違えた方向に進んでしまうと、管理職へのシワ寄せが発生し、管理職が過重労働に陥り心身に障害を来すこともあります。

こうなると、一般社員がその会社で管理職に昇進することを敬遠し、将来の構図を描けなくなれば、転職者が多数出てしまいます。

残業禁止という最終手段に出る前に、業務や役割分担の見直しや機械化・IT化などの正攻法によって、残業の削減を目指していきましょう。

 

2019.08.17. 解決社労士 柳田 恵一

<原則の法定労働時間>

使用者は労働者に休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはなりません。〔労働基準法第32条第1項〕

もちろん、三六協定を交わし所轄の労働基準監督署長に届け出れば、協定の範囲内での時間外労働は処罰の対象となりません。

ただし、法定労働時間を超える労働に対しては、時間外割増賃金の支払いが必要です。

ここで1週間というのは、就業規則などで取り決めがなければ、カレンダーどおり日曜日から土曜日までの7日間をいいます。

 

<労働基準法施行規則による特例>

公衆の不便を避けるために必要なもの、その他特殊な必要があるものについては、その必要かつ労働者の健康・福祉を害しない範囲で、厚生労働省令による例外を設けることができることとされています。〔労働基準法施行規則第25条の2第1項〕

こうして例外とされた特例措置対象事業場の法定労働時間は、平成13(2001)年4月1日から、1日8時間、1週44時間に改正されました。

これが、時間外割増賃金の基準となります。

 

次に掲げる業種に該当する常時10人未満の労働者を使用する事業場が対象です。

 商業 卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
 映画・演劇業 映画の映写、演劇、その他興業の事業
 保健衛生業 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
 接客娯楽業 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

事業場の規模(人数)は、企業全体の規模をいうのではなく、工場、支店、営業所等の個々の事業場の規模をいいます。

 

2019.08.07. 解決社労士 柳田 恵一

<50%以上の割増賃金>

月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

これは、労働者が健康を保持しながら、労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう、平成22(2010)年4月1日に労働基準法が改正され、1か月に60時間を超える法定時間外労働について、法定割増賃金率が5割以上に引き上げられたものです。

なお、深夜(22:00~5:00)の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は、 深夜割増賃金率25%以上 + 時間外割増賃金率50%以上 = 75%以上となります。

1か月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日(例えば日曜日)に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日(例えば土曜日)に行った法定時間外労働は含まれます。

 

【法定休日】

使用者は1週間に1日または4週間に4回の休日を与えなければなりません。これを「法定休日」といいます。法定休日に労働させた場合は35%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 

なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいものです。

 

<代替休暇>

1か月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。

代替休暇制度導入にあたっては、過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

 

【労使協定で定める事項】

①代替休暇の時間数の具体的な算定方法

②代替休暇の単位(1日、半日、1日または半日)

③代替休暇を与えることができる期間(法定時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内)

④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

 

この労使協定は、各事業場で代替休暇の制度を設けることを可能にするものであって、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務づけるものではありません。

個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の希望により決定されます。

 

なお、中小企業については、令和5(2023)年4月まで、60時間を超える法定時間外労働に対する50%以上の率で計算した割増賃金の支払いが猶予されていますから、代替休暇制度の導入もこれ以降となります。

 

2019.08.05. 解決社労士 柳田 恵一

<定額残業代の導入>

割増賃金の基礎となる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、最低賃金を下回らないことが必要です。

割増賃金の基礎となる賃金から除外できる手当は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つに限定されています。〔労働基準法第37条第5項〕

これらの手当は、労働の量とは無関係に福利的に支給されるものとして、除外することが認められているのです。ですから、これらに該当するかどうかは、手当の名称ではなく、その性質に基づいて判断されます。

この割増賃金の基礎となる賃金から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

定額残業代の計算が誤っていたり、割増率が法定の基準を下回っていたり、最低賃金法違反があったり、労働者への説明が不十分であったりすると、制度そのものが無効とされます。

この場合、労働基準監督署の監督が入ったり、労働審判が行われたりすると、定額残業代を含めた総額を基準として残業代を計算し、さかのぼって支払うことになるのが一般です。

残業代の二重払いが発生しますから、会社にとって予定外の出費となります。このように、導入の失敗は大きなリスクとなります。

 

<定額残業代の運用>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<働き方改革と定額残業代>

働き方改革の推進によって残業時間が減少し、自分の時間が増えたものの、手取り収入が減ってしまったという不満が聞かれます。

この点、定額残業代は良い仕組みです。

労働者にとっては、残業が少なくても定額残業代が保障されていますし、会社にとっては人件費が安定します。

しかし、それだけではありません。

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。そのためには、自主的に学んだり、仕事の手順を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

こうした自己啓発や自己研鑽が期待できない場合であっても、仕事による疲労の蓄積が無い分だけ、生産性が上がると考えられます。

 

<上手に活用しましょう>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われていました。

今でも、ハローワークで求人票に定額残業代の表示をすることについては、窓口で慎重すぎる態度を示されてしまいます。

これは、誤った制度導入や運用があまりにも多いため、悪い印象を持たれてしまっているからでしょう。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2019.07.21. 解決社労士 柳田 恵一

令和2(2019)年6月23日、朝日新聞が次のように報じています。

 

 サッカーJ2水戸ホーリーホックの沼田邦郎社長は23日、少なくとも自身が社長となった2008年4月以降の11年間、社員への残業代をいっさい支払っていなかったことを明らかにした。沼田氏は「クラブ存続の危機が続き、社員もわかってくれていると思った。甘えがあった」と釈明した。

 記者会見した沼田氏によると、今年4月まで、退職した社員を含む20~40代の計20人の残業代が未払いで、残業時間も把握していなかった。一般に1日8時間、週40時間超の残業や休日の労働については、労使協定(三六協定)を結べば可能だが、クラブは今年4月まで未締結だった。未払い分支払いは労使間で交渉中という。

 一方、沼田氏は昨年4月ごろ、40代男性幹部が20代男性社員に、大声で怒鳴るパワーハラスメントがあったことも明らかにした。社員は退職済みで、クラブが設けた第三者委員会はパワハラと認定。幹部と沼田氏の処分を検討している。

 クラブは現在J2の上位で、J1昇格に必要なJ1クラブライセンスを今後申請する予定だが、認められるかどうかについて沼田氏は「Jリーグが判断すること」としている。

 

ファンとしては、大変ガッカリな内容です。

 

上記の中で「1日8時間、週40時間超の残業」というのは、「1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える労働」という意味です。

1日8時間まで、週40時間までの残業なら、労使協定(三六協定)を結ばなくても可能ということではありません。

 

また、「休日の労働」というのは、カレンダーの数字が赤い日という意味ではなく、週1日の「法定休日の労働」という意味です。

 

さらに、「労使協定(三六協定)を結べば可能」というのは、「労使協定を交わして所轄の労働基準監督署長に届け出れば罰則が適用されない」という意味です。

 

なお、社員がわかってくれていても、同意してくれていても、残業代を支払わないのは違法です。

「ビルの屋上から突き落としてもかまいません」と言う人を本当に突き落としたら、犯罪が成立し刑罰が科せられるのと同じです。

 

報道は伝えるのが使命です。わかりやすさを優先します。

何が適法で何が違法かという専門的なことは、社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

 

2019.06.26. 解決社労士 柳田 恵一

<年俸制と残業代>

プロ野球の選手なら年俸制で残業代の支払いはありません。

しかし一般の労働者には、残業代をはじめとする割増賃金の支給が必要です。

労働基準法は、時間外労働と休日労働・深夜労働の割増賃金を定めていて、年俸制を例外としてはいません。

この割増賃金の支払いを使用者に義務付ける理由は、法定労働時間と法定休日の維持を図るとともに、過重な労働に対する労働者への補償を行おうとすることにあります。

この趣旨は、どのような賃金体系であっても変わりがありません。

働き方改革関連法により、労働時間の規制は、ますます厳しくなってきていますが、制限を超える違法残業であっても、割増賃金は支払わなければなりません。

 

<年俸制で割増賃金が割高になる原因>

年俸制における代表的な賃金の支払い方法には、次の2つがあります。

・賞与無し=年俸額の12分の1を月例給与として支給する

・賞与有り=年俸額の一部を賞与支給時に支給する(例えば、年俸の16分の1を月例給与として支給し、年俸の16分の4を二分して6月と12月に賞与として支給する)

このうち、賞与有りの支払い方法の場合には、賞与が割増賃金の算定基礎額に含まれるという通達があるのです。〔平成12年3月8日基収78〕

したがって、月例給与よりも高い「年俸の12分の1」を基準に割増賃金を計算することになりますから、ある意味、賞与の二重払いが発生するのです。

 

<書面による合意で合法に>

労使の合意で年俸に割増賃金を含むものとする場合についても、上記の通達が基準を示しています。

年俸がいくらで、その中に何時間分の残業代としていくら含まれているのか、書面をもって合意し、その12分の1を超える残業が発生した月には、その都度不足分の残業代を月々の給与と共に支払えばよいのです。

ただし、深夜労働や休日出勤の割増賃金は別計算となります。

 

ちなみに実際の通達は、次のように言っています。

「年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区分することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われている場合は労基法37条に違反しないと解されるが、年間の割増賃金相当額に対応する時間数を超えて時間外労働等を行わせ、かつ、当該時間数に対応する割増賃金が支払われていない場合は、労基法37条違反となることに留意されたい。また、あらかじめ、年間の割増賃金相当額を各月均等に支払うこととしている場合において、各月ごとに支払われている割増賃金相当額が、各月の時間外労働等の時間数に基づいて計算した割増賃金額に満たない場合も、同条違反となることに留意されたい」

 

2019.05.06. 解決社労士 柳田 恵一

<基本の残業制限>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの制限を超える残業は「違法残業」ということになります。

 

<従来からある違法残業>

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って1日8時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

三六協定についての適正な手続きを怠ることによって、発生しやすくなる違法残業には次のようなものがあります。

 

1.三六協定の届出をせずに行う残業

2.三六協定届に署名した労働者代表の選出手続きが不適切であった場合の残業

3.三六協定の有効期限が切れた後の残業

4.三六協定で定めた上限時間を超える残業

 

ここでいう「残業」は、すべて1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えての残業を意味します。

上に示した違法残業のうち、1.~3.は形式的な不備によって発生します。

これが、従来型の違法残業の特徴です。

 

<新しい違法残業>

これまでは、三六協定の適正な届出をしていれば、労働基準監督署から行政指導を受けることはあっても、法律による上限が定められていなかったため、違法になることはありませんでした。

ところが、働き方改革の一環で労働基準法が改正され、平成31(2019)年4月1日からは残業時間の上限が設けられます。中小企業については、1年間の猶予が与えられ、令和2(2020)年4月1日からの適用となります。とはいえ、たった1年間の猶予ですから、今から急いで対応する必要があります。

 

【労働基準法による残業の上限】

原則 = 月45時間かつ年360時間(1日あたり約2時間)臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合であっても、

・年720時間以内

・休日労働の時間と合わせて複数月平均80時間以内

・休日労働の時間と合わせて月100時間未満

ただし、月45時間を超えられるのは年6回までという制限があります。

複数月平均80時間以内というのは、過去2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のどの平均も80時間以内ということです。

 

このように、新型の違法残業は形式的な不備よりも、労働時間の管理を失敗することによって発生することが多くなります。

これが新型の違法残業の特徴です。

 

<適用猶予・除外の事業・業務>

実態を踏まえ、上限規制の適用が5年間猶予されるものとして、自動車運転の業務、建設事業、医師があります。これらは、すぐには長時間労働を解消できないと見られるため、5年間だけ猶予が与えられています。

また、新技術・新商品等の研究開発業務では、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた場合には、時間外労働の上限規制が適用されません。

 

2019.03.31.解決社労士

<残業代未払い>

企業には残業代を支払う義務があり、サービス残業(サビ残)をさせることは違法になります。

中小企業の経営者の中には、「残業代を支払っていては経営が成り立たない」という言い訳をする人もいます。

大企業の役職者の中には、部下の残業代を100%支払っていては、業績の前年割れが発生し責任問題になるという言い訳をする人もいます。

しかし、企業が残業代を適切に支払っていない場合には、訴訟になることもあり、また、労働基準監督署への申告で行政指導を受ける危険もあります。

 

<経済的な損失のリスク>

残業代の未払いがあった場合には、労働者から裁判を起こされる可能性があります。

タイミングとしては、退職してからしばらく経ってからということが多いものです。

本人はおとなしい性格で、とても裁判など起こしそうになかったのに、友人や親戚から「おかしい。訴えるべきだ」と強く主張されて、これに従うということがあります。

 

<付加金という制度>

未払い残業代だけ支払っても済まないことがあります。

裁判所は、本人から請求があり悪質性が認められる場合には、未払い残業代と同額の付加金の支払いを命じることがあります。

この制度によって、本来の残業代の2倍の金額を支払うことになります。

 

<不法行為責任>

残業代の未払いは、基本的に民法上の債務不履行責任の問題です。

しかし、労働時間の管理義務を怠ったことにより、残業代が支払われてこなかった場合には、民法上の不法行為責任が追及されることもあります。

未払い残業代請求権の消滅時効期間は2年間ですが、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間は3年間です。

残業代の未払いが不法行為と認定された場合には、3年分の未払い残業代の支払いが命じられる可能性があります。

 

<証拠資料は労働者に有利>

会社を出た時刻を書いた手帳の記録、帰宅時刻を書いたノート、タイムカードに印字された時刻などが、出勤時刻・退出時刻の証拠として認められています。

手帳やノートの記録が裁判の証拠になるのは、少し不思議な気もします。しかし本来、使用者が労働時間を適正に把握し記録する義務を負っているわけですから、これを怠っていれば、基本的には労働者の言いなりになるしかないのです。

出勤してタイムカードを打刻した後、しばらく休憩して、定時から業務を始めるのはよくあることでしょう。

また、仕事を終えて、仲間同士で雑談してからタイムカードを打刻するということもあります。

タイムカードに記録された時刻と、実際の勤務時間とが違うということは当たり前に発生しています。

しかし、裁判になれば「あなたの会社では労働時間の管理・記録をどうしていますか?」「タイムカードです」「では、タイムカードの記録で労働時間を認定します」ということになります。

こうならないためには、就業規則の規定を工夫するなどの対策が必要です。

 

<労働基準監督署の監督(調査)>

労働基準監督署は、計画的に対象事業場を選定して調査を行います。これに当たるのは、ある意味、運が悪いともいえます。たとえ何か悪いことをしていなくても、経営者や担当者が調査に対応するわけですから、時間と労力の負担が発生します。

これとは別に、労働者からの申告をきっかけに行われる調査があります。申告監督といいます。労働基準法により、労働基準監督官は労働者の申告を受けることになっています。現在勤務している従業員だけでなく、退職者からの申告があった場合にも、その真偽や具体的な内容を確認するために調査が行われます。

 

不思議と強気な経営者や役職者は多いものです。そうでなければ務まらないのでしょうか。

こと残業代の未払いについては、あまりにもリスクが高すぎるように思います。

裁判は公開の法廷で行われますし、労働基準監督署が調査(監督)に入れば、残業代だけでなく、あらゆる角度から労働基準法違反の可能性を調査します。

コストを抑えて適法に経営することを考えるのが、結局のところは得だということを認識していただきたいです。

 

2019.03.13.解決社労士

<作成支援ツールの公開>

2019年4月1日施行の改正労働基準法に対応した「三六協定届」を作成するための支援ツールを、厚生労働省が公開しています。

これを使えば、パソコン画面上で、入力フォームから必要項目を入力し印刷して、労働基準監督署長に届け出る三六協定書が作成できます。

 

<スタートアップ労働条件>

事業者のための労務管理・安全衛生管理支援サイト「スタートアップ労働条件」のページから入って利用することができます。

 

↓こちらです。

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support.html

 

入力フォームから必要項目を入力・印刷することで、労働基準監督署に提出する次の4種類の書面を作成することができます。

〇時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)

〇1年単位の変形労働時間制に関する書面

協定届、労使協定書、労働日等を定めたカレンダー

 

<会員登録>

会員登録をしないで利用することもできますが、会員登録をしておけば、36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面の入力データを保存し、過去に登録したデータを呼び出して書き換えることができます。

次回の届けを作成する手間が省けますし、今後新たなサービスが追加されるでしょうから、会員登録することをお勧めします。

 

<適用が猶予される企業にも>

中小企業のうち、2024年3月31日まで上限規制が適用猶予される事業場・労働者(建設業、鹿児島・沖縄の砂糖製造業、自動車運転者、医療に従事する医師)に向けたツールも用意されています。

 

2019.03.07.解決社労士

働き方改革関連法により、1か月の時間外労働についての基準やチェックポイントが複雑になります。

基本的なものを、以下にまとめましたので参考にしてください。

 

<45時間>(1年単位の変形労働時間制では42時間)

□三六協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に該当しない時間外労働をしそうな社員はいないか。

□三六協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる月数」を超えて時間外労働をしそうな社員はいないか。

□三六協定に定めた健康確保措置の必要は発生しそうか。

 

<60時間>

□60時間以上の時間外労働に5割以上の割増賃金を支払っているか(中小企業は2023年4月から)。

 

<80時間>

□時間外労働と休日労働の時間を合計して、過去2か月、3か月、4か月、5か月、6か月それぞれの平均が80時間を超えそうな社員はいないか。

□時間外労働が80時間を超えた場合に、その社員と産業医に速やかに知らせているか。

 

<100時間>

□時間外労働と休日労働の時間を合計して100時間を超えそうな社員はいないか。

 

人事部門ではなく、現場でチェックしないと間に合わない項目もあります。

罰則の適用対象とならないように、現場に周知徹底することが必要です。

 

2019.03.02.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<正しい計算の法的根拠>

労働基準法には、残業手当を何分単位で計算するのかについて規定がありません。

しかし、規定が無いからといって、労働局や労働基準監督署が企業の残業代計算について、指導できないというのでは困ります。

そこで、法令の具体的な解釈が必要な場合には、行政通達が出されて、その内容が解釈の基準となります。

残業手当の計算についても、労働省労働局長通達が出されています。

531ページまである行政通達の220ページから221ページにかけて、次のような内容が記載されています。

 

【昭和63年3月14日付通達 基発第150号】

次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、・・・違反としては取り扱わない。

 

・時間外労働および休日労働、深夜労働の1か月単位の合計について、1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げること。

 

・1時間当たりの賃金額および割増賃金額に1円未満の端数がある場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げること。

 

・時間外労働および休日労働、深夜労働の1か月単位の割増賃金の総額に1円未満の端数がある場合は、上記と同様に処理すること。

 

結局、この基準に沿った四捨五入は許されますし、たとえば常に切り上げるなど労働者に有利なルールで運用することも問題ありません。

 

<行政通達の効力>

この行政通達は、厚生労働省が労働局や労働基準監督署に、企業指導のための具体的な指針を示したものです。

ですから、労働基準法などの法律とは異なり、行政通達が直接企業を拘束するものではありません。

しかし、企業から「行政通達の内容が不合理だから従いません」と主張するためには、行政訴訟で指導の不当性を争い、裁判所に行政通達の違法性を確認してもらうしかないでしょう。

これは、立法機関が法律を作り、行政機関が執行し、司法機関がその違法性や違憲性を審査するという三権分立のあらわれです。

結局、現実的には、どの企業もこの行政通達に従うしかないでしょう。

 

<トイレの時間は勤務時間外か>

これも法令には規定が無いのですが、一般に「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。仕事をしなければ賃金を支払う必要がないということです。

この原則をしゃくし定規にとらえると、トイレに行っても、タバコを吸っても、居眠りをしても、1分単位で給料を減らして良いように思えます。

しかし、「ノーワーク・ノーペイの原則」は労働契約の性質から導き出されています。労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者と使用者が合意することによって成立する契約です。〔労働契約法6条〕

つまり「働くなら払います」の裏返しで、「働かないなら払いません」ということを言っているに過ぎません。

そもそも、労働契約を締結する際には、いちいち確認しなくても、トイレに行くことぐらいは当然に了解済みです。タバコについては、その職場のルールが説明されるでしょう。そして、居眠りについては、ひどければ懲戒処分の対象としておけば済むことです。

結局、労働時間の中には、労働以外のことをする時間もある程度含まれているという了解のもとで、労働契約が成立し給与も決められているといえるのです。

 

2018.12.27.解決社労士

<原則の割増賃金>

使用者は、過重な労働に対する労働者への補償のため、原則として次の割増賃金を支払う義務があります。

・1日8時間または1週40時間を超えて時間外労働させた場合25%以上

(特例対象事業場では、1週44時間が基準となります)

・深夜(原則として午後10時~翌日午前5時)に労働させた場合25%以上

・週1日の法定休日に労働させた場合35%以上

 

 <割増賃金の計算基礎>

割増賃金の計算の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当を含めなくてもかまいません。ただしこれは、名称ではなく内容により判断されます。

 

<割増の条件が重なった場合>

深夜に時間外労働を行った場合には、25% + 25% = 50% 以上の割増賃金です。

法定休日に深夜労働を行った場合には、35% + 25% = 60% 以上の割増賃金です。

しかし、法定休日に時間外労働を行った場合には、35%以上の割増賃金です。

この割増賃金ですが、働き方改革の推進により残業手当が減ってしまう不都合を緩和するために、割増率を法定の率よりも高く設定する動きが見られます。

 

<「限度時間」を超える時間外労働>

「限度時間」とは、「時間外労働の限度に関する基準」が定める時間のことで、1か月45時間、1年間360時間です。

「限度時間」を超える時間外労働については、法定割増賃金率(25%以上)を超える率とするよう努めなければなりません。そして、具体的な割増率は三六協定に明記することになります。

たとえば、「限度時間」を超える時間外労働の割増率を30%とした会社の場合には、深夜労働と重なれば 30% + 25% = 55% 以上の割増賃金となります。

 

<1か月60時間を超える時間外労働>

1か月60時間を超えて時間外に労働させた場合には、50%以上の割増賃金となります。

したがって、1か月60時間を超える時間外労働のうち、深夜労働と重なる部分は50% + 25% = 75% 以上の割増賃金となります。

 

<中小企業の例外>

1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金は、中小企業については適用が猶予されていますので、「限度時間」を超える時間外労働の割増率が適用されています。

適用が猶予される中小企業の範囲は、次のとおり業種ごとに、資本金の額または出資の総額と常時使用する労働者数の限度が決められています。

小売業 ― 5,000万円以下 または 50人以下

サービス業 ― 5,000万円以下 または 100人以下

卸売業 ― 1億円以下 または 100人以下

その他 ― 3億円以下 または 300人以下

「資本金の額または出資の総額」と「企業全体での常時使用する労働者の数」のどちらかが基準以下であれば、中小企業として適用が猶予されることになります。

 

<猶予期間の終了>

働き方改革関連法により、中小企業でも2023年4月1日からは1か月に60時間を超える時間外労働を行わせた場合、50%以上の割増賃金を支払う義務が課せられることになります。

 

2018.11.26.解決社労士

<特別条項付き三六協定>

原則として、三六協定の範囲内で時間外労働や休日出勤が許されるわけですが、どうしても臨時的に「限度時間」を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き三六協定」を結ぶことにより、「限度時間」を超える時間を延長時間とすることができます。

ここで「限度時間」とは、「時間外労働の限度に関する基準」が定める時間のことで、1か月45時間、1年間360時間です。

 

<特別条項に定める内容>

「特別条項付き三六協定」では、次の項目について定める必要があります。

・原則としての延長時間(限度時間以内の時間)

・限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない具体的な「特別の事情」

・一定期間途中で「特別の事情」が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続

・限度時間を超える一定の時間

・限度時間を超えることができる回数

 

<特別条項を定めるときの注意点>

「特別の事情」はできるだけ具体的に定めます。また、臨時的なものに限られ、一時的または突発的であること、全体として1年の半分を超えないことが見込まれることが必要です。

さらに、長時間の労働(週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している労働者が申し出た場合には、医師の面接指導を受けさせる義務が会社に発生します。〔労働安全衛生法66条の8、66条の9、104条〕

特別条項付き三六協定によっても、1か月の延長時間は80時間までと考えるのが、現在でも常識的な上限となっています。

働き方改革関連法により、このことが罰則付きで法定されましたので、特に注意が必要です。

 

2018.11.25.解決社労士

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第4 中小事業主における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し(新労基法第138条及び整備法附則第1条関係)

1 趣旨

 中小事業主において特に長時間労働者の比率が高い業種を中心に、関係行政機関や業界団体等との連携の下、長時間労働の抑制に向けた環境整備を図りつつ、中小事業主に使用される労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、月 60 時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上とする労働基準法第 37 条第1項ただし書の規定について、中小事業主にも適用することとしたものであること。

 

 2 猶予措置の廃止(新労基法第 138 条関係)

 上記1の趣旨に基づき、労働基準法第 138 条を削除し、中小事業主についても月 60 時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上としなければならないものとするものであること。

 なお、週休制の原則等を定める労働基準法第 35 条が必ずしも休日を特定すべきことを求めていないことに着目し、月 60 時間を超える時間外労働に対する5割以上の割増賃金率の適用を回避するために休日振替を行うことにより、休日労働の割増賃金率である3割5分以上の割増賃金率を適用することは、労働基準法の趣旨を潜脱するものであり、望ましくないことに留意 すること。

 

 3 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 猶予措置の廃止に係る改正規定の施行期日は、平成 35 年4月1日である こと。

 

法改正により、月間60時間超の時間外労働に対する割増賃金率は、2割5分以上から5割以上に引き上げられています。

この法改正は、中小企業には猶予されていましたが、2023年4月1日から中小企業であっても大企業と同様に5割以上の割増率となります。

社内で月間60時間を超える残業をする人がいるのなら、2割5分の割増率であっても、もう一人雇った方が、会社の人件費は安くて済みます。

幸い2023年度に施行されるということですので、東京オリンピックが終わってから、チャンスを伺って新人を雇うのが得策でしょう。

 

2018.10.07.解決社労士

<所定労働日数についての勘違い>

「所定」は「定まる所」つまり「決めたこと」「決まっていること」ですから、所定労働日数というのは就業規則や労働契約で決められている労働日数です。

月給制の人について、1か月の所定労働日数がある場合、これを下回ったら欠勤控除が必要で、これを上回ったら休日出勤手当が必要だという勘違いが起こりやすいようです。

 

<所定労働日数の意味>

所定労働日数は、月給の時間単価を計算するのに必要です。

月給を月間所定労働時間で割って時間給を計算し、時間外労働1時間当たりの賃金を、時間給 × 1.25などとして計算します。

この場合、月間所定労働時間 = 1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数で計算されるのが一般です。

 

<所定労働日数を決めなくても大丈夫か>

賃金が時間給の場合や、月給制でも労使協定を交わしてフレックスタイム制を使っていれば、賃金計算には困りません。

しかし、所定労働日数が決まっていないと、年次有給休暇の付与日数が決まりません。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表1】のとおりです。週所定労働日数が4日以上で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日以上の欄が適用されます。

 

【図表1】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
5日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日以上5日未満

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日以上4日未満

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日以上3日未満

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日以上2日未満

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

【図表1】の中の週所定労働日数は、一般には「4日」「3日」などと表示されていますが、たとえば「4日」というのは「4日以上5日未満」という意味です。

月間所定労働日数さえ決まっていれば、週所定労働日数は次の計算式で求められます。

週所定労働日数 = 月間所定労働日数 × 12か月 ÷ 52週

こうして求められた週所定労働日数を、【図表1】に当てはめて年次有給休暇の日数を確定することができます。

 

会社によっては、所定労働日数を年間で決めている場合もあります。

この場合、次の【図表2】が用いられます。

 

【図表2】

年間所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

所定労働日数を半年間で決めているのなら2倍し、3か月間で決めているのなら4倍すれば良いのです。

 

結論として、所定労働日数が全く決まっていないとすると、年次有給休暇の日数が確定しません。

これでは、平成31(2019)年4月1日から、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになるのに、対応できないので困ったことになってしまいます。

やはり、明確に確定することが求められているのです。

 

2018.09.29.解決社労士

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