老齢年金繰上げ受給のデメリット

2023/05/20|852文字

 

<老齢年金繰上げ受給のしくみ>

老齢年金の本来の受給開始年齢よりも早めに受け取るのが、繰上げ受給です。

老齢基礎年金・老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができます。ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりません。厚生年金基金から支給される年金も減額される場合があります。

なお、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求をする必要があります。また、共済組合の加入期間があれば、共済組合から支給される老齢年金についても、同時に繰上げ請求をしなければなりません。

繰上げ請求すると、請求した日の翌月分から、年金が支給されます。

 

<基礎年金と厚生年金に共通のデメリット>

繰上げ受給のデメリットは、年金の減額だけではありません。

繰上げ請求は取消ができませんし、国民年金の任意加入や保険料の追納もできなくなります。

また、65歳になるまでは、遺族厚生年金や遺族共済年金など、他の年金と併給することはできず、どちらかの年金を選択して受給することになります。

さらに、国民年金の寡婦年金の権利がなくなり、寡婦年金を受給中であれば支給されなくなります。

事後重症などによる障害年金を請求することもできなくなります。治療中の病気や持病がある方は注意が必要です。

 

<老齢厚生年金のデメリット>

65歳未満の配偶者を扶養していれば、本来は加算されるはずの配偶者加給年金額が65歳までは加算されません。

65歳になるまでの間、失業手当(雇用保険の基本手当)や高年齢雇用継続給付が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部の年金額が支給停止となります。また、在職老齢年金の適用による支給調整もありえます。

 

<繰上げ受給は慎重に>

一時的な収入不足を補うために、老齢年金の繰上げ受給を開始したものの、状況が変わって後悔することもあります。

減額以外のデメリットを踏まえ、よく考えたうえで繰上げ受給をしていただきたいと思います。

 

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