2023/05/19|1,410文字
<高額療養費制度>
健康保険で自己負担額が高額となった場合に、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
また、病院などの窓口での支払を、一定の限度額までにできるしくみもあります。
ただし、健康保険外の診療、食事代、差額ベッド代などは対象外です。
先進医療など健康保険が適用されない医療については、生命保険会社でこれらに対応できる保険に入ることをご検討ください。
<高額療養費制度の具体的な内容>
重い病気で病院に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。
そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。
保険加入者本人(被保険者)、扶養家族(被扶養者)ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢および所得に応じて一定の計算式により算出されます。
また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます(世帯合算)。
さらに、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000 円以上ある場合も同様です(70~74歳の方がいる世帯では算定方法が異なります)。
なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります(多数該当)。
<高額療養費の現物給付>
70歳未満であっても、従来の「入院される方」「外来で在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料及び在宅末期医療総合診療料を算定される方」に加え、「外来で療養を受ける方」の高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができます。
この制度を利用するには、事前に保険者(全国健康保険協会の各都道府県支部など)に「健康保険限度額適用認定申請書」に健康保険証のコピーを添付して提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と健康保険証を提出してください。
病気が徐々に悪化して、計画的に入院する場合には利用しやすい制度ですが、突然の入院の場合には利用がむずかしい場合もあります。
※保険者は健康保険証に記載されています。
<長期高額疾病についての負担軽減>
人工透析を実施している慢性腎不全の患者については、自己負担の限度額は 10,000 円となっています。
これを超える額は現物給付されるので、医療機関の窓口での負担は最大でも10,000 円で済みます。
ただし、診療のある月の標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の保険加入者本人(被保険者)またはその扶養家族(被扶養者)については、自己負担限度額は20,000 円となります。
この他、血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群の人についても、自己負担の限度額は10,000 円となっています。
なお、人工透析患者などについては、医師の意見書等を添えて保険者に申請し、「健康保険特定疾病療養受療証」の交付を受け、医療機関の窓口にその受療証と健康保険証を提出してください。