2025/07/24|1,221文字
中小企業が人材獲得に苦戦する一因は、「知名度」や「給与水準」で大企業に劣ると思われがちな点です。しかし、中小企業ならではの魅力や強みを的確に伝え、ターゲットを明確にした工夫ある採用戦略を講じれば、十分に優秀な人材を確保できます。
<自社の魅力を具体化する>
中小企業の魅力は、アットホームな雰囲気、経営者との距離の近さ、チャレンジしやすい環境など多様です。これらを漠然とではなく、具体的に言語化して発信することが重要です。
たとえば、「アットホームな雰囲気の職場です」というのは、ブラック求人によく見られる表現です。→「社員15名、月1回のランチミーティングで社長ともざっくばらんに話ができます」のような具体的な表現をしましょう。
<採用ターゲットを明確にする>
「どんな人に来てほしいか」が曖昧なまま求人を出すのは非効率です。
・年齢層(新卒/中途)
・経験の有無
・求める価値観や志向(成長志向か、安定志向か)
など、人物像を明確にすることが、応募者とのミスマッチを防ぎます。
<求人票やホームページの「情報品質」を高める>
求人票や自社サイトが古くて情報が不十分だと、それだけで応募者が離れてしまいます。
以下のような内容を具体的に明記すると好印象です。
・社長のメッセージ(ホームページには動画で)
・1日の勤務スケジュール例など
・入社3年目でリーダー昇格などキャリアステップの例
・働く人の声や写真(リアルな雰囲気が伝わります)
<若手にはSNSや動画での発信も有効>
若手を中心に、テキストよりも動画やSNSでの企業理解が進む傾向があります。
採用特設ページにショート動画を掲載する、Instagramで日常の様子を発信するなど、自社のリアルな姿を伝える施策が効果的です。
<応募者対応の「スピード」と「丁寧さ」が命>
中小企業の強みは「スピード」と「人の温かさ」です。
・応募から面接までのレスポンスが早い
・面接で応募者の話をしっかり聞き、受け止める姿勢
これらが、「ここで働きたい」と思わせる最初のきっかけになります。
<採用後の育成・定着施策を見据える>
どんなに魅力的な採用ができても、早期離職を招いてしまっては本末転倒です。
・入社後のオンボーディング(受け入れ体制)
・1on1などの定期面談制度
・キャリアパス提示やスキルアップ支援の仕組み
こうした定着施策は、採用活動でも好印象を与える材料になります。
<公的支援や採用イベントも活用>
厚生労働省や自治体などが運営する以下のような支援策も活用するとよいでしょう。
・ハローワークの求人開拓支援
・地方自治体や商工会主催のマッチングイベント
・中小企業向けの職場見学会やインターン制度推進事業
<実務の視点から>
中小企業は、大企業のように「条件」で勝つことは難しくても、「人」「空気感」「成長できる環境」など、“らしさ”で惹きつけることは十分可能です。
それには、会社の内側にある魅力を言語化・視覚化し、丁寧に届けることが第一歩です。