2025/07/30|1,077文字
<紹介予定派遣>
紹介予定派遣は、派遣先企業が将来的に直接雇用することを前提に派遣社員を一定期間(最長6か月)受け入れる制度です。
派遣期間終了後に、双方の合意により正社員や契約社員として採用されます。
<紹介予定派遣のメリット>
派遣社員側の利点として、職場の雰囲気や仕事内容を事前に確認できるなど、本採用前に実務を経験できることで、ミスマッチのリスクが減少する、直接雇用のチャンスが見える働き方である、書類や面接では伝えきれない実力を実務を通して見せられるということがあります。
派遣先企業の利点として、採用前に勤務状況や職場への適応を実際の働きぶりから見極めることができます。また、業務理解が深まった状態で採用することで、早期離職のリスクが低減します。さらに、紹介予定派遣は人材紹介と派遣のハイブリッド型で、募集・選考の手間が軽減されます。
<紹介予定派遣のデメリット>
派遣社員側の懸念としては、派遣期間終了後に必ず正社員として採用されるわけではなく、不安定さが残ることがあります。実際、「紹介予定」とあっても、実質的には通常の派遣契約と変わらず、企業側の事情で採用されないケースもあります。また、派遣中に待遇交渉できず、正社員化後に条件が想定と違う可能性もあります。
派遣先企業側の懸念としては、派遣期間中に業務機密が漏れる可能性があります。つまり、長期間にわたって業務に関与させるため、情報管理が重要になります。採用できない場合の説明責任は免れませんから、派遣社員側が直接雇用を期待していた場合、採用見送り時の不信感につながることがあります。
<解決策・改善ポイント>
運用面での改善策として、事前に採用の可能性や条件を具体的に明示する方法があります。派遣前に採用基準・職務内容・想定条件を具体的に説明することで、透明性を確保することになります。
フィードバック制度を導入し、派遣期間中に定期的な評価・面談を行うことで、意思疎通を図り双方の理解を深めることもできます。
雇用契約前でも待遇や業務範囲について文書化しておくことが安心材料になります。また、雇用実績を開示することで、信頼性の高い派遣企業・派遣先企業の評価につながります。
派遣会社の方で、教育やキャリア相談などを提供することで、派遣社員の満足度を向上させられます。
<実務の視点から>
紹介予定派遣は、企業と労働者の双方にとってメリットがある制度ですが、「期待とのギャップ」をどう埋めるかが鍵です。
事前の情報開示、継続的なコミュニケーション、透明性の高い契約運用が、信頼関係の構築と制度運用の成功に直結します。