ミスを繰り返す社員に対して会社が取るべき効果的な対応方法

2025/07/31|1,162文字

 

<ミスを繰り返す原因と対応>

社員の業務上のミスは、一定の確率で誰にでも起こり得ます。

しかし、同じようなミスを繰り返す場合、個人の資質だけでなく、職場環境や指導体制にも課題がある可能性があります。

単なる注意や叱責で終わらせるのではなく、会社として継続的かつ建設的な対応が求められます。

企業が対応を検討する際の出発点は、「再発防止」と「成長支援」の両立です。懲罰的な姿勢ではなく、本人の理解・行動・環境に着目しながら、以下のようなアプローチが効果的です。

 

<具体的な対応のステップ>

順を追って、次のように対応することが必要です。

 

1.ヒアリングと状況把握

本人との面談を行い、何が原因でミスが起きているのかを丁寧に確認します。

業務内容の理解度、精神的・身体的な健康状態、職場での人間関係など、様々な側面から把握することが重要です。

 

2.ミスの種類と傾向を分析

ミスが「確認不足」「知識不足」「注意力低下」「過重労働」など、どのカテゴリに属するかを整理します。

過去の記録(報告書、メールなど)をもとに、パターン化・可視化することで、対策の方向性が明確になります。

 

3.業務体制と教育体制の見直し

マニュアルの有無や内容の明確性をチェックし、必要なら更新・補足します。

OJTや定期研修が形骸化していないかを確認し、本人の特性に合わせた教育(例えば動画教材やロールプレイなど)を導入します。

 

4.フィードバックの質と頻度を向上

ミスに対する指摘を「問題点の共有」と「改善方法の提案」に分けて行い、ネガティブな印象を減らします。

フィードバックの頻度を週単位・案件単位で定めることで、本人の意識改革につながります。

 

5.業務の再配分・一時的な制限

一定期間、難易度の高い業務を外すあるいは補佐役を付けるなどの方法で、リスクを下げながら適性を見極めます。

単なる「外す」だけでなく、リスキリング(再教育)を並行して進めることで、社員の意欲低下を防ぎます。

 

職場全体でのフォロー体制>

チーム内で共有すべき情報(例:本人の注意すべきポイント)を明確にし、周囲がサポートしやすい環境をつくります。

社内の相談窓口(例えば、産業保健スタッフやメンター制度)の活用を促すことも有効です。

 

<懲戒に関する留意点>

継続的なミスが業務に深刻な影響を与えている場合は、就業規則に基づく注意・指導・懲戒措置も選択肢に入ってきます。

ただし、懲戒は「懲罰」ではなく「改善のための措置」として位置づけることが重要で、記録や手続きを慎重に行う必要があります。

 

<実務の視点から>

ミスを繰り返す社員への対応は、「個人の問題」と決めつけるのではなく、職場環境・教育体制・組織文化を総合的に見直す機会でもあります。

社員の可能性を引き出し、再発を防止するためには、信頼関係に基づく継続的な支援が不可欠です。

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