2025/07/25|1,027文字
<自己効力感>
自己効力感(じここうりょくかん)とは、心理学者バンデューラ(Albert Bandura)が提唱した概念で、「自分にはある課題や状況をうまく乗り越えられる能力がある」と自分自身が信じる感覚のことです。
これは単なる「自信」や「自己肯定感」とは異なり、「ある特定の状況で自分がうまく行動できるかどうか」という、より具体的で文脈に根ざした感覚です。
<自己効力感の4つの源泉>
バンデューラは、自己効力感を形成する4つの主な要因を挙げています。
◯達成体験(Mastery Experience)
過去に実際に成功した経験は、最も強力に自己効力感を高めます。たとえば難しいプレゼンに成功した経験は、「またやれる」という感覚を生みます。
◯代理経験(Vicarious Experience)
自分と似た他者が成功する様子を見たり、共有された経験を聞いたりすることで、「自分にもできそうだ」と思えるようになります。
◯言語的説得(Verbal Persuasion)
周囲からの励ましや説得も効果的です。信頼する人から「あなたならできる」と言われると、自分の可能性を信じやすくなります。
◯生理的・情動的状態(Physiological & Emotional States)
緊張や不安は自己効力感を下げますが、リラックスして前向きな感情にあるときは「自分ならできる」と感じやすくなります。
<自己効力感が高い人の特徴>
自己効力感が高い人には、次のような特徴が見られます。
・困難な課題に直面してもすぐにあきらめず、粘り強く取り組む
・挑戦を好み、新しいことに積極的に関わろうとする
・失敗しても「次はうまくやろう」と捉える前向きな姿勢をもつ
・ストレスに強く、柔軟に問題を解決しようとする
<実生活での応用例>
◯職場でのリーダーシップ:部下に自己効力感を育てることで、主体性や自律的行動が促進されます。
◯教育現場:生徒に成功体験を与えたり、同級生の成功を共有することで、学習意欲が向上します。
◯健康行動:たとえば禁煙や運動習慣の定着なども、「自分ならできる」という感覚があるかどうかで継続率が大きく変わります。
<自己効力感を高めるためには>
自己効力感を高めるためには、次のようなことの積み重ねが効果的です。
・ハードルを下げて取り組み小さな成功を積み重ねる
・ロールモデルを見つけてお手本とする
・他者からの励ましを素直に受け取る
・不安を感じたときは深呼吸や瞑想で感情を落ち着かせる