2024/05/11|716文字
<法改正の動向>
少子高齢化対策は国が継続的に力を入れている政策ですから、関連する法令の改正が急速に進んでいます。
ついこの間まで大丈夫だったことが、いつの間にか法令違反となっています。
もともと、妊娠、出産、育児、介護などを理由として、事業主が解雇、雇い止め、降格、不当な配置転換その他の不利益な扱いをすることは、男女雇用機会均等法と育児介護休業法で禁止されてきました。
平成29(2017)年1月からは、職場で妊娠などについての上司や同僚の言動で、労働者の就業環境が害されるのを防止する措置をとることが、事業主に義務付けられるようになっています。
<不利益取扱の理由>
妊娠中または産後の女性労働者が、妊娠した、出産した、妊婦健診のため仕事を休んだ、つわりや切迫流産で仕事を休んだ、産休をとったなどを理由に、事業主が不利益な取扱いをすることは禁止されています。
また、性別に関係なく労働者が、育休や介護休業を取った、子どもの看護休暇を取った、育児介護のため残業や夜勤の免除を申し出たという場合にも、こうしたことを理由に事業主が不利益な取扱いをすることは禁止されています。
ここに示した不利益な取扱いの理由が消滅しても、消滅から1年以内に、何か労働者に不利なことが行われた場合には、妊娠などを契機としていると判断されます。
<実務の視点から>
少子高齢化対策という国の政策による法規制については、昭和の「常識」が通用しません。
事業主の無知を悪用して、労働者の側から法令違反を誘導しておいて、退職後に多額の賠償金を獲得する問題社員もいます。
妊娠した労働者や配偶者が妊娠した労働者がいる場合には、なるべく早い段階で、信頼できる社労士にご相談ください。