損害の大きさによるバランス(懲戒規定)

2023/11/20|731文字

 

<損害の大きさに見合った処分>

社員の不都合な行為によって会社が被る損害としては、会社存続の危機、業務の妨害、取引の不正、欠勤・遅刻・早退、金銭・備品・設備の損失、取引関係の消滅、金融機関・取引先・顧客の信用毀損、社員の安全侵害(ハラスメントを含む)、情報の不足、誤った情報の伝達などなど、考えただけでも心配になるくらい多くの種類があります。

同じ種類の損害でも、その損害が大きければ、より重い懲戒処分が検討されることになります。

 

<会社により違う評価>

すべての損害が金銭に換算できるわけではありません。

ですから、「損害の大きさ」といっても、異なる種類の損害の間で大小を比べるのは困難です。

それだけではなく、会社の方針が「お客様第一」の場合と、「会社の利益第一」の場合とでは、同じ行為に対する評価が変わってきます。

またたとえば、社員がトイレに入り手を洗わずに出てきた様子をお客様に見られたとします。

その社員が飲食店の店員であった場合には、靴屋の店員の場合よりも会社のダメージが大きいことは明らかです。

つまり、損害の大きさに見合った処分を行うというときの「損害の大きさ」は、客観的に決まっているものではなく、その会社や職場ごとにある程度主観的に決めなければならないものです。

もともと就業規則というのは、ひな形をベースにしても、自社に合うように修正することが必要なのですが、特に懲戒規定についてはオーダーメイドの覚悟で大幅な修正が必要になるのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

会社の就業規則に定めてある懲戒規定がおかしいので改善したい、あるいは、いざ懲戒処分を行おうとしたら迷いが生じたということであれば、ぜひ、刑法が得意な信頼できる社労士にご相談ください。

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