建設業の人手不足

2025/06/30|1,354文字

 

<人手不足の原因>

建設業における人手不足は、複数の要因が絡み合って発生しています。主な原因として以下の点が挙げられます。

 

(1) 少子高齢化と労働力人口の減少 日本では少子高齢化が進み、労働力人口が減少しています。建設業は特に高齢労働者の割合が高く、若年層の担い手が減少しているため、人手不足が顕著になっています。

 

(2) 労働環境の厳しさ 建設業は体力を必要とする仕事が多く、夏場や冬場の気候の影響も大きいことから、労働環境が厳しいとされています。また、長時間労働が発生しやすく、休日が少ないことも若年層が敬遠する要因の一つとなっています。

 

(3) 賃金と待遇の問題 建設業の平均賃金は他の業種と比べると決して低くはないものの、労働時間や業務内容を考慮すると割に合わないと感じる人も多いです。特に未経験者にとっては、最初の収入が比較的低いため、魅力を感じづらいという問題があります。

 

(4) 技術者の不足と職人の高齢化 建設業の中でも特に専門技術を要する職種では、高度なスキルを持つ職人の高齢化が進んでいます。若い世代が技術を習得する前に、熟練者が引退してしまうケースが増えており、技術継承が難しくなっています。

 

<今後の解消に向けた取り組みと見通し>

人手不足を解消するためには、さまざまな対策が必要です。現在、以下のような取り組みが進められています。

 

(1) 生産性の向上とDXの推進 建設業では、ICT技術の活用やロボット技術の導入によって業務の効率化が進んでいます。例えば、建設現場における3D測量やドローンの活用、AIによる工程管理などが普及しつつあります。これにより、少ない労働力でも高い生産性を維持できるようになる可能性があります。

 

(2) 働き方改革と待遇改善 建設業の労働環境を改善するために、週休2日制の導入や労働時間の短縮などの取り組みが進められています。また、給与の引き上げや福利厚生の充実を図ることで、若年層の参入を促す狙いがあります。

 

(3) 外国人労働者の活用 特定技能制度の拡充により、建設業における外国人労働者の受け入れが増えています。海外からの労働者が技術を習得し、日本国内で活躍することで人手不足の解消につながる可能性があります。

 

(4) 若年層の教育と魅力向上 建設業の魅力を若い世代に伝えるために、専門学校や大学との連携を強化し、インターンシップや研修プログラムを充実させる取り組みが行われています。特に最新技術を活用した施工方法や新しいデザインに関心を持ってもらうことで、業界全体のイメージアップを図ることが求められています。

 

<今後の展望>

こうした取り組みが進められているものの、人手不足が完全に解消されるまでにはまだ時間がかかるでしょう。しかし、技術革新や労働環境の改善が進むことで、将来的には建設業の人手不足が緩和される可能性があります。特に、AIやロボット技術の発展によって業務の効率化が進めば、必要な労働力の総量が減り、少ない人数でも業務をこなせるようになるでしょう。

現状ではまだ厳しい状況が続いているものの、企業や行政が積極的に対応策を講じているため、将来的には改善の兆しが見えてくると考えられます。建設業の持続的な発展のために、業界全体での取り組みが重要となるでしょう。

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