2023/08/10|841文字
<会社の周知義務>
会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法第106条第1項〕
労使協定というと三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が有名です。〔労働基準法第36条〕
最近では、派遣社員の同一労働同一賃金に関する労使協定方式もクローズアップされました。
しかし、傷病手当金は健康保険の制度ですから、会社が従業員に周知する義務を負っていません。
健康保険や年金、労災保険や雇用保険、所得税の還付などについては、国が広報に努めるべき内容です。
<会社が説明する必要>
とはいえ、健康保険や年金、労災保険や雇用保険などの給付は、すべて請求手続きをしなければ給付されません。
健康保険の保険料は、会社と従業員とで折半します。
つまり、会社も保険料を負担しています。
それなのに、分からないから給付を受けられないというのでは、ずいぶんと勿体ない話です。
会社は、保険料を無駄にせず、従業員が給付を受けられるようにするため、傷病手当金、高額療養費、療養費支給申請など健康保険の給付や、労災保険で受けられる給付について、従業員に説明しておくべきです。
少しでも記憶に残っていて「何かお金がもらえる制度があったような…」ということになれば、あとは人事担当者にたずねるなどして、手続へと結びつくでしょう。
<給与計算とも連動して>
給与計算担当者に専門知識があれば、あるいは、社労士に給与計算を委託していれば、従業員の長期休業について理由を確認します。
健康保険に入っている従業員であれば傷病手当金の手続に進みますし、勤務中のケガで休んでいれば労災保険の手続に進みます。
わからないから受け取れないということが防げるわけです。
また、様々な仕組により従業員が給付を受ける場合について、社労士が会社でレクチャーを行い、従業員からの質問にわかりやすく答えるというサービスもあります。
もし社内でまかなえないことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。