傷病手当金の支給対象期間が思ったよりも少なくておかしいと思うことがあります。

2024/03/24|1,075文字

 

<申請者からの問い合わせ>
保険者に対する傷病手当金の支給申請が完了すると、やがて申請者(被保険者)の元に支給内容のお知らせが届き、指定口座に傷病手当金が振り込まれます。
これについて疑義があれば、申請者から保険者に問い合わせて確認すれば良いのですが、会社の方に問合せが入ることもあります。
一番多いのは、支給日数が少ないというものです。

<傷病手当金の制度>
傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。
・業務外の原因による病気やケガの療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
・休業した期間について給与の支払いがないこと
最初の連続する3日間の休業は、待期期間とされ、傷病手当金支給の対象外とされますが、この点について、申請者が勘違いしていることは少ないものです。

<傷病手当金の支給対象期間>
傷病手当金の支給対象となるには、まず、申請者が申請している期間であることが必要です。本人が申請していない期間について、傷病手当金が支給されることはありません。
つぎに、事業主が欠勤していたことを認めた期間に限られます。これには、遅刻・早退によって賃金が減額された期間も含まれます。
さらに、医師が労務不能であることを認めた期間であることが必要です。
結局、傷病手当金は、この3つが重なり合う期間が支給対象となります。

<3つの期間の食い違い>
上記の3つの期間は、本来であれば一致しているはずですが、食い違ってしまうこともあります。特に、協会けんぽの傷病手当金支給申請書のように、申請者、事業主、医師の記入欄が、それぞれ別の用紙となっている場合には、起こりがちな現象です。
たとえば、入院・手術して、ある程度回復するまでの間、医師は労務不能の期間と認定します。
しかし退院後、医師が労務不能と認定したにもかかわらず、申請者本人がやや無理をして通常の勤務をした場合には、会社はその日を欠勤と証明することができません。
反対に、医師が労務不能と認定しない日に、申請者本人が大事をとって仕事を休んだり、入院準備のために休んだりしても、これは傷病手当金の支給対象期間とはなりません。
こうした事情から、申請者本人が申し出た申請期間と、支給期間とが食い違うことがあります。ほとんどの場合に、こうした説明で理解していただけますので、確認していただけたらと思います。

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