2025/04/26|1,346文字
<働けない時の手当>
従業員が、プライベートな病気やケガで長期間働けず、収入がない状態となることがあります。このようなとき、その従業員が健康保険に加入していれば、会社の総務・人事部門から傷病手当金についての案内があって、迷うことはないでしょう。
しかし、会社から案内が届くまで待ちきれず、あるいは退職を考えていて会社に問い合わせることを遠慮するなどで、自分で調べることも少なくありません。
こんなときは、健康保険の傷病手当金と、雇用保険の傷病手当が、よく似た言葉であるために、勘違いしてしまうことも多いものです。
<健康保険の傷病手当金>
傷病手当金は、休業中に健康保険の被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
この手当金は、被保険者が病気やケガのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
<傷病手当金の1日当たりの金額>
1日当たりの金額は、「支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額」÷30日×(2/3)です。
ここで、「支給開始日」とは、最初に傷病手当金が支給された日のことです。
ただし、支給開始日の以前の期間が12か月に満たない場合は、次のいずれか低い額を計算して使用します。
ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
イ その年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額 ・30万円:支給開始日が令和7年3月31日以前の方 ・32万円:支給開始日が令和7年4月1日以降の方
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傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。
<雇用保険の傷病手当>
傷病手当とは、雇用保険の受給資格者が離職後、ハローワーク(公共職業安定所)で、求職の申込みをした後に15日以上引き続いて病気またはケガのために職業に就くことができない場合に、その病気またはケガのために基本手当(昔の失業手当)の支給を受けることができない日の生活の安定を図るために支給されるものです。
14日以内の病気またはケガの場合には、基本手当が支給されます。
傷病手当は基本手当の代わりに支給されるものですから、その日額は基本手当の日額と同額です。
なお、30日以上引き続いて病気またはケガのために職業に就くことができないときは、受給資格者の申出によって、基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できます。
受給期間を延長した後、その延長理由と同様の病気またはケガを理由として傷病手当の支給を申請したときの支給日数は、その受給期間の延長がないものとした場合における支給できる日数が限度となります。
<両者に共通の注意点>
仕事に就くことができないことについて、医師の証明が必要ですから、医療機関で受診していないと証明してもらうことができず、手続することはできません。
また大事をとって、あるいは辛くて休んでいたということで、仕事に就くことができないほどの病状ではない場合には、対象外となります。