2023/08/02|995文字
<過去の行為で懲戒処分を受けるケース>
「過去の行為で懲戒処分を受ける」という場合、次のようなパターンが考えられます。
1.過去に一度懲戒処分を受けた事について再び懲戒処分を受ける場合
2.その当時は懲戒処分の対象とならなかった事について蒸し返される場合
<懲戒処分を受けた行為について重ねて懲戒処分が行われる場合>
「二重処罰の禁止」という原則があります。
これは、日本国憲法第39条で保障されているものです。
一度処分や処罰を受けた事について、重ねて処分や処罰を受けないということです。
この原則は、社内の懲戒処分についても、基本的にはあてはまるものですから、会社から「二重処罰」されそうになったら、大いに反論の余地があります。
ただし、例外があります。それは常習犯的な場合です。
たとえば、遅刻を繰り返した社員を譴責(けんせき)処分にして、厳重注意をしたうえで、始末書を取ったとします。
それにもかかわらず、相変わらず遅刻を繰り返しているという場合、今度は一段重い懲戒処分にするということがあります。
きちんと就業規則に「懲戒処分を受けたにもかかわらず同じ過ちを繰り返した場合には」という規定を置くなど、条件を満たしていれば有効です。
<懲戒処分にならなかった事について再び懲戒処分が検討される場合>
「一事不再理(いちじふさいり)」というのがあります。日本国憲法第39条で保障されているものです。
一度処分や処罰が検討された事について、後になってからもう一度処分や処罰を検討されないということです。
この原則は、社内の懲戒処分についても、基本的にはあてはまるものですから、会社から蒸し返されそうになったら、大いに反論の余地があります。
こうした場合だけでなく、会社に発覚したのに長年懲戒処分を検討されなかった事について、ある時突然懲戒処分を言われるというのは、会社が信義誠実の原則に反していることが多いでしょう。
あるいは、退職に追い込むための言い訳として、無理に過去の事を問題にしているのかもしれません。
こうしたことも決して許されることではありません。
会社から懲戒処分を受けそうになった時、あるいは受けた時、それが有効なのか、それとも懲戒権の濫用であり無効なのか、かなり専門的な判断が必要です。
おかしいと思ったら、労働事件を扱う弁護士や信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。