2023/07/04|915文字
<社会保険の加入基準の客観性>
健康保険と厚生年金の加入基準(資格取得基準)は、客観的に決まっています。
そして、手続をする/しないとは関係なく、基準を満たせば加入したことになります。
例えるなら、役所に出生届を提出する/しないに関係なく、赤ちゃんが生まれたという事実に変わりはないのと同じです。
出生届を提出しないからといって、その赤ちゃんが消滅するわけではなく、人権が無視されて良いはずがありません。
社会保険の加入手続(資格取得手続)をしなくても、それは手続が遅れているだけで、後から手続すれば、さかのぼって効力が認められ、保険料が徴収されるということです。
<保険料の負担>
健康保険も厚生年金も、第一に利益を受けるのは加入者(被保険者)です。
しかし、保険料は事業主と加入者とで折半します。
そこで、従業員が基準を満たしているのに、つまり社会保険に加入しているのに、手続をしないという不正が発生します。
もし、加入基準を満たしているのに、会社が手続をしてくれなかったら、年金事務所などに相談しましょう。
<従業員からの拒否>
従業員が基準を満たしていれば、会社は加入手続をする義務があります。
たとえ従業員が拒んでも同じです。
「本人の希望」は関係ないのです。
会社としては、そのような従業員に対して、社会保険加入のメリットを説明して、気持よく手続に応じるよう努めるでしょう。
もし、従業員が正しく理解していれば、社会保険への加入手続を拒むことはないでしょう。
<社会保険に加入したくない場合>
所定労働時間や所得を抑えて、社会保険の加入基準以下で勤務できるよう、会社と相談してはいかがでしょうか。
また平成28(2016)年9月以前の加入基準を満たす従業員が、100人を超えるような会社では、加入基準が引き下げられています。
そのため、大きな会社で勤務していて、基準変更によって新たに社会保険に入ることとなるのを嫌い、小さな会社に転職して加入しないようにした人もいます。
また、週の所定労働時間を20時間未満にすることを希望した人もいます。
しかし、政府の方針では、原則として働く人すべてを社会保険に加入させる方向で、法改正を行っていくことになっています。