2023/06/13|860文字
<実例として>
小さな飲食店では、アルバイトがシフト制で、始業時刻も終業時刻もその日によって違うということがあります。
休憩もあったり無かったり、休憩開始の時刻もその日によって臨機応変にというわけです。
シフトを組む段階で、お店の都合とアルバイトの都合とをすり合わせて何とかしのいでいるわけですから、あらかじめ決めておくというのが無理なようにも思えます。
ましてや当日のお客様の状態によって、当初の計画どおりにはいかないこともあります。
しかし「労働条件通知書」など、をきちんとアルバイトに交付しなければ、労働基準法違反になってしまいます。
労働条件の明示義務違反については、1人につき30万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法第120条第1号)〕
令和5年2月以降は、労働基準監督署による書類送検も増えていますから、何とかしなければなりません。
<対処法>
労働条件が決まっていないと、年次有給休暇付与の有無や日数が決まらない、社会保険や雇用保険の加入対象かどうかがわからない、残業代の計算もできないなどなど、ブラック企業丸出しの状態になります。
これを避けるには、平均値から「標準」となるものを割り出して、「労働条件通知書」などに示せば良いのです。
つまり、入社時は本人の実績が無いですから、同じような状態のアルバイトを参考に、「標準的な始業時刻」「標準的な終業時刻」を決めます。この通りに働くわけではなく、あくまでも年次有給休暇などの基準として使うわけです。
同じように、「標準的な休憩時間」「標準的な時間外労働」「標準的な休日出勤の日数」なども決めます。
これで「労働条件通知書」などが作れます。
そして、ある程度勤務が続いて、実態が「労働条件通知書」などと離れてしまったら、内容を修正して「労働条件通知書」に示せば良いのです。
「平均値と言われてもよくわからない」という場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。
書類の作り方だけではなく、効率の良いシフトの組み方など、実質的な内容についての相談も可能です。