2023/05/30|556文字
<内定者の立場>
内定者については、働き始める時期までに、どういう事情が発生したら会社が内定を取り消せるのか、採用内定の時にあらかじめ決まっているのが一般的です。
まだ正式に採用していないから自由に取り消せるというものではありません。
そしてまだ決定していない配属先で、業務上自動車の運転をする可能性があり、内定取消理由の一覧に運転免許取消が掲げられている場合には、多くの場合、運転免許取消を理由とする内定取消に合理性が認められます。
<内定取消の理由として明示されていない場合>
一般的には、運転免許取消が内定取消の合理的な理由になるとは限りません。
運転免許を保有していなくても、その会社で勤務している人はいるでしょう。
ただし、運送会社で配送の仕事に就くことを予定して、あるいはタクシー乗務員として勤務する予定で、採用が内定しているという場合、内定の取消理由として明確に示されていなくても、内定取消に合理性が認められます。
この場合には、採用されてもすぐには勤務できないことになりますから、信義則上、内定取消が認められないと不都合だからです。
つまり、内定者は自動車を運転する仕事に就くにあたって、安全運転を心がけ、万が一にも運転免許の取消など受けることのないよう、最大限の注意を払う道義的な責任を負っているということです。