社会保険の記事

<傷病手当金支給申請書>

傷病手当金支給申請書の提出先は、健康保険証に書いてある保険者です。

そして申請書の形式は、保険者が決めています。

たとえば、協会けんぽの申請書であれば、1セット4枚で、次の内容になっています。

1,2枚目 = 申請者情報、申請内容

3枚目 = 事業主の証明 ※事業主とは会社などのことです。

4枚目 = 療養担当者の意見書 ※療養担当者とは医師などのことです。

 

<記入する人>

1,2枚目の申請者情報、申請内容は、仕事を休んだ健康保険加入者(被保険者)自身または、被保険者が亡くなった場合は相続人が記入します。

会社の担当者が、ほとんど代筆してくれることもあります。

3枚目の事業主の証明は、会社の担当者や顧問の社会保険労務士が記入します。

4枚目の療養担当者の意見書は、担当医師が記入します。

 

会社が傷病手当金の書類を書いてくれなくて困るというのは、事業主の証明の部分を書いてくれないということになります。

1,2枚目の書き方がわからないのであれば、保険者に確認することになります。

 

<会社が知らないケース>

会社に傷病手当金のことを知っている人がいないとか、書類の書き方がわからないとかいう理由で、書類を書いてもらえないということがあります。

この場合には、事業主の証明を自分で代筆して、ゴム印と代表印だけもらうのが早いと思います。

自分で書くのが難しければ、書き慣れている人に依頼しましょう。

 

<会社が労災を隠しているケース>

たとえば、パワハラが原因でうつ病になった場合には、本来は労災保険の手続きをとるのが正しいのです。

こんなとき、うつ病になった被害者から傷病手当金の書類を書くように求められると、会社は労災の責任を問われることを恐れて、書類の作成から逃げることも考えられます。

労災の認定をするのは、所轄の労働基準監督署や労働局ですから、少しでも業務に原因がありそうな場合であれば、お近くの労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。

労災にあたるケースであれば、労働基準監督署が会社に対して、労災保険の手続きをするように指導してくれます。

 

<会社が社会保険料をごまかしているケース>

会社が社会保険加入者(被保険者)の給料などを過少申告して、社会保険料を少なめに支払っていることがあります。

健康保険も保険ですから、手当金の金額は保険料に見合ったものとなります。

ですから、傷病手当金の手続きをとると、支給額が不当に少ないことがわかってしまい、不正が発覚することになります。

会社の不正が疑われる場合には、お近くの年金事務所などで相談することをお勧めします。

 

<会社が意地悪をしているケース>

会社と申請者が何らかの対立関係にあれば、会社が意地悪をして書類を書いてくれないことも考えられます。

こうしたケースでは、労働組合や議員さんに相談して何とか解決できたという話も聞かれます。

しかし、健康保険法に次の規定があります。

 

(報告等)

第百九十七条 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者を使用する事業主に、第四十八条に規定する事項以外の事項に関し報告をさせ、又は文書を提示させ、その他この法律の施行に必要な事務を行わせることができる。

2 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提出させることができる

 

(罰則)

第二百十六条 事業主が、正当な理由がなくて第百九十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

 

これらを根拠に、会社を説得するよう保険者にお願いしてみてはいかがでしょうか。

保険者は「…できる」という規定ですから、保険者に義務付けられているわけではないので、あくまでも熱心にお願いすることになります。

罰則も「十万円以下の過料」と決して重くはないですが、会社に対するプレッシャーにはなるでしょう。

 

<原因がわからないケース>

以上のどれにもあてはまらないケースもあるでしょう。

傷病手当金の書類を会社が書いてくれない理由がさっぱりわからないのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.09.解決社労士

<かつて流行った広告>

「社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)を大幅に削減!」

こんな広告が流行っていた時期がありました。

その多くは、社労士(社会保険労務士)が出していたものです。

社会保険料を削減するということは、会社の負担も社会保険に加入している社員の負担も減ります。

社労士に報酬を支払ってでも、社会保険料を削減するのは得だという話でした。

その具体的な手法は、法による規制をかいくぐって行う脱法行為が中心でした。

 

<厚生労働省の対応>

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が予定通りに集まらなければ、年金制度や健康保険制度の維持に支障が出るかもしれません。

ですから、脱法行為による社会保険料の削減を厚生労働省が放置するわけがないのです。

結局、脱法行為が増えるたびに、厚生労働省が社会保険料の計算ルールを追加して、その脱法行為ができないようにしていったのです。

こうして「大幅に削減!」の効果は失われていきました。

 

<保険のしくみ>

厚生年金保険も健康保険も「保険」です。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

特に、社会保険(厚生年金保険と健康保険)は保険者を選ぶことができません。

保険契約の内容も、制度として法定されています。

保険料を「大幅に削減!」すれば、社会保険に加入している社員への補償(給付)も削減されるわけです。

 

<不当な保険料削減のリスク>

社会保険に加入している社員が将来もらう老齢厚生年金には、支払った保険料が反映されています。

もし、会社が違法なことをして少なめの保険料しか納めていなかったなら、老齢厚生年金も少なめになります。

こうした社員は、老齢厚生年金の受給額が不当に少ないと気付いたら、会社を訴えようとするかもしれません。

しかし、気付くまでに長い年数が経過して時効の壁があるでしょうし、会社が無くなっているかもしれません。

 

厚生年金保険に加入している社員が障害者になってしまい、障害厚生年金を受給するときに、受給額が不当に低いと気付けば、その時点で会社を訴えるかもしれません。

厚生年金保険に加入している社員が万一亡くなって、遺族が遺族厚生年金を受給するようになれば、遺族が会社を訴えるかもしれません。

 

健康保険に加入している社員が、プライベートの病気やケガで入院したような場合には、休業期間の賃金を補償するため傷病手当金が支給されます。

この支給額は、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

健康保険に加入している社員が、産休を取った場合にも、休業期間の賃金を補償するため出産手当金が支給されます。

この支給額も、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

病気、ケガ、出産をきっかけに退職を考える社員もいるでしょう。この場合には、会社を訴えたい気持ちも強くなると思われます。

 

<社会保険料削減の方法>

社会保険料は、入社月について丸々1か月分が徴収されますから、1日に入社しても月末に入社しても保険料は同額です。

中途採用であっても、入社日は1日にするのがお得です。

 

社会保険料は、社会保険の資格を失った月の前月分までが徴収されます。たとえば退職の場合、資格を失うのは退職日の翌日です。

ですから、月末に退職すると翌月1日に資格を失うことになり、退職月の分まで保険料を徴収されることになります。

これが、月末以外の日に退職すれば、その月のうちに資格を失うことになりますから、退職月の保険料は発生しません。

退職は月末の1日前にするのがお得です。

 

社会保険料は、毎年4月から6月の給与支給額をもとに計算するのが原則となっています。

毎年4月から6月に支給される給与の計算期間は残業を減らしましょう。

たとえば、毎月末日締め切り翌月10日支払いの給与であれば、毎年3月から5月までの残業を減らすことになります。

また、昇給は7月支給分からにして、毎年4月から6月に支給される給与の増額を避けるという手もあります。

 

他にも、賞与の一部を退職金の積み立てに回すなど、使える手段は数多くあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

それでも、次のことを忘れてはいけません。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

ですから、保険料の削減は、どうやっても補償(給付)の減少に結びつきます。

このことをよく理解したうえで、会社と社員とがよく話し合い理解したうえで、実行に移すことが大事です。

また、適法に行うには、信頼できる国家資格者の社労士へのご相談をお勧めします。

 

2017.09.29.解決社労士

<国民皆保険>

日本では、すべての人々が公的な医療保険に加入し、病気やケガをした場合に誰でも必要な時に必要な医療を、保険を使って受けることができます。

これを国民皆保険といいます。

所得や健康状態にかかわらず、原則としてすべての人が加入し、所得などに応じて保険料を負担する公的な社会保険制度です。

これは、社会全体でリスクを分担することで、経済的な理由で必要な医療が受けられないことがないように配慮されているのです。

ここで「リスク」というのは、望ましくないことが発生する可能性のことをいっています。

 

<自己負担割合>

病院などの医療機関の窓口で保険証を提示することで、原則として医療費の3割の自己負担で医療を受けることができます。

小学校に入る前の子どもは2割、高齢者のうち70歳から74歳までの人も2割、 75歳以上の人は1割の自己負担となっています。

例外的に、70 歳以上の人のうち現役世代並みの所得がある人は、3割となっています。

また、子どもについては、都道府県や市町村などの地方自治体が、独自に自己負担割合を軽減している場合もあります。

 

<高額療養費制度>

3割の自己負担であっても、医療費が高額になることがあります。

家計で医療費負担が過重にならないよう、月ごとの自己負担額が一定の限度を超えた場合に、その超過分については、医療保険から支給を受けることができます。

これが高額療養費制度です。

一般的な所得の人(70歳未満)の限度額は、たとえば医療費が100万円である場合には、月約87,000円です。

 

2017.09.22.解決社労士

<健康保険証の効力>

会社で交付された健康保険証は、退職したり所定労働時間が減ったりして、健康保険の加入条件を満たさなくなると効力を失います。

この場合、保険証は会社を通じて協会けんぽなどの保険者に返却しなければならないのですが、手元にあったとしても使えません。

乾電池は電池切れの状態になっても、新品の電池と見た目は変わりがないのですが使えません。

これと同じように、退職後に保険証を使うことはできません。

このことは、扶養家族が扶養から外れた場合の、その扶養家族の保険証にも当てはまります。

 

<効力切れの保険証を誤って使ってしまうと>

退職後に誤って保険証を病院などの医療機関で使ってしまうと、後日、健康保険で支払われた医療費を、協会けんぽなどの保険者から資格を失った人に直接返還請求しているのです。

繰り返し請求されても返還しない場合は、裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収が行われます。

この場合、返還請求の対象となるのは自己負担額ではなくて医療費の全額です。

たとえば、5万円の医療費について自己負担3割で1万5千円を支払った場合に、返還請求を受けるのは1万5千円ではなくて5万円ということになります。

 

<返還請求の実態>

健康保険の資格喪失後、保険証を返却せずに医療機関等で使用して、協会けんぽから返還請求を行っているケースが全国で発生しています。

資格を失ったら速やかに保険証を返却しましょう。

 

【協会けんぽの法的手続の実施状況】

平成29年7月末累計 全国47支部で7,691件実施

 平成28年度以前    6,728件

 平成29年4月    169件

 平成29年5月    222件

 平成29年6月    307件

 平成29年7月    265件

 

2017.09.21.解決社労士

<サービスの内容>

届書・申請書作成支援サービスは、入力できるPDFファイルをホームページからダウンロードし、届書・申請書をパソコンで作成できるサービスです。

サービスの対象となる届書・申請書は29種類あります。

このサービスでは、ホームページやメールでの申請はできません。

必要事項を入力・記入した申請書を印刷のうえ、郵送等で加入している協会けんぽの各都道府県支部へ郵送します。

 

<便利な点>

・記入する項目の説明を参照しながら入力できます。

・記入漏れ等が自動でチェックされます。

・記入漏れ・記入誤りによる再提出の手間が少なくなります。

 

<注意する点>

手書きで記入する項目があります。

入力できる項目は、申請者が記入する欄のみです。

ただし、申請者が記入する欄のうち「被保険者の氏名欄」、「被扶養者のマイナンバー欄」は手書きでの記入となります。

事業主が記入する欄、医療機関が記入する欄は、手書きで記入します。

また、各申請書に押印が必要な場合があります。

 

<ダウンロードの方法>

 

↓ここをクリックして協会けんぽのホームページを表示します。

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/

 

左上のほうにある「申請書ダウンロード」の▼をクリックして、必要な書類を選択して「表示」をクリックします。

申請書様式のうち「入力用」と表示されているPDFデータをクリックしてダウンロードします。

 

2017.09.19.解決社労士

<無報酬の経営者>

会社の設立直後は利益が出ず、代表者は無報酬で頑張るということがあります。やがて利益が出たら、その利益に見合う報酬をもらうことにしようというわけです。

また、代表者の親族が名目的に役員に名を連ね、形式的に経営者扱いになっていることもあります。そして、この場合にも無報酬のことがあります。

 

<保険料負担の建前>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料は、その会社などで報酬を得て、その報酬の中から負担するというのが建前です。

ですから、無報酬なら保険料を負担することには無理があり、負担できないというのが常識的な判断になります。

 

<不都合の発生>

報酬が無かったり、低額だったりの場合には、健康保険料が国民健康保険料よりも安くて済みます。

また、出産手当金や傷病手当金といった給付を受けることもできます。

特に70歳以上であれば、厚生年金の加入義務がありませんから、保険料は健康保険料だけの負担となります。

こうしたことは、いかにも不公平で不合理に思われます。

 

<実際の運用>

無報酬の経営者は社会保険に加入しない、また、経営者が無報酬となった場合には社会保険の資格を失うというのが実際の取扱いです。

年金事務所でもこのように指導しています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

中には無理をして社会保険に加入していることにして、損をしている経営者の方もいらっしゃいます。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.07.解決社労士

<試用期間とは>

試用期間については、最高裁判所が解約権留保付労働契約だと言ったために、何か特別な契約期間であるかのように思われがちです。〔昭和441212日三菱樹脂事件判決〕

しかし、最高裁判所が試用期間について述べたのは、判決を下すのに必要があって述べたわけではなく、ついでに語っただけです。試用期間であれば、本採用後よりも解雇のハードルが低くなる趣旨のことを述べていますが、具体的に、どの項目についてどの程度低くなるのかは語っていません。

結局、試用期間も本採用後も労働契約の期間であることに変わりは無く、両者の違いを明確に説明することはできません。

それでも、試用期間であれば、本採用後とは違った扱いができるという勘違いは、多くの企業に存在しています。

 

<社会保険の加入基準>

週所定労働時間が正社員(フルタイムで働く正規職員)の4分の3以上で、月間所定労働日数も4分の3以上であれば、社会保険の加入基準を満たします。(特定適用事業所を除きます)

会社によって、正社員の所定労働時間・日数は違いますから、この基準は会社ごとに違うわけです。

加入の手続きを怠っていても、条件を満たすとともに加入したことになります。

そして、試用期間と本採用後とで加入基準の違いはありません。

基準を満たしている限り、試用期間の初日から社会保険に加入していることになります。

 

特定適用事業所とは、同一事業主(法人の場合はマイナンバー制度の法人番号が同一)の社会保険適用事業所の被保険者数(社会保険加入者数)が、1年で6か月以上500人を超えることが見込まれる法人・個人の事業所のことをいいます。 特定適用事業所は、平成2810月の健康保険・厚生年金保険の適用拡大により区分されました。

 

<年金事務所の指導>

算定基礎届提出時の調査の際には、試用期間中に社会保険の加入手続きをせず、本採用時に手続きをしている事業所に対して、試用期間の初日に遡って加入手続きをするよう、年金事務所の職員の方から指導があります。

そして、判明している社員については、遡って手続をするための書類も作成して、代表印の捺印もさせています。

こうして不足する期間の保険料については、他の社員の保険料とまとめて支払うことになります。

「でも、試用期間は社会保険に入れたくないのですが」というお話に対して、年金事務所の職員の方は、「それでは、試用期間中は1日の勤務時間や1か月の勤務日数を少なくして、社会保険の加入基準を満たさないようにしてください。それしかありません」という明快な説明をしています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険のルールは、基本的に全国統一でなければ不公平が発生してしまいます。ですから、会社オリジナルのルールで運用できる範囲は、極めて限られているのです。

そして、会社オリジナルのルールで運用したことによって、不利益が発生したことに気付いた退職者から申し出があれば、その損失を補てんすることになりかねません。

自社で行っていることに不安を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.28.解決社労士

<算定基礎届提出時の調査>

6月中旬、会社宛てに算定基礎届の用紙、総括表、総括表附表が郵送されてきます。このとき、提出日時を指定する内容のお手紙が同封されていることがあります。

一般には、算定基礎届関係の書類は事務センターに郵送するのですが、提出日時を指定された場合には、管轄の年金事務所に持参ということになっています。

提出にあたっては、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、源泉所得税領収証書などの書類や事業主印を持参するように案内されています。

そして、お手紙には「調査」という文字が入っていて、驚いてしまうかもしれません。何か不正を疑われているのか、怪しいと思われているのか、なぜ自分の会社が対象となったのかについての説明はありません。

実は、3年から5年に1回の間隔で、すべての事業所が調査対象となっています。無作為抽出なわけで、年金事務所が何かの意図をもって選んでいるわけではありません。

 

<調査の趣旨>

お手紙には、調査の趣旨として「社会保険適用の適正化」とだけ書かれています。

具体的には、次のような点が調査の対象となっています。

・社会保険の加入条件を満たす人について加入の届けがあるか

・社会保険の加入条件を満たしていない人が加入扱いになっていないか

・加入したときの報酬の届け出の金額が正しいか

・算定基礎届の内容が正しいか

・報酬が大きく変動して一定の条件を満たした場合の届け出があるか

これらの手続きについて、税理士などに頼んでしまっている会社もあります。しかし、税理士は年度単位で集計するのに対し、算定基礎届以外の手続きは日常的に発生します。そもそも、税理士の仕事ではなくて、社会保険労務士でなければ業務として行えない手続きなのです。〔社会保険労務士法27条〕

ですから、こうした手続きを顧問の税理士などが、きちんとできなくても仕方が無いですし、そもそも頼んではいけないのです。

 

<不備が見つかった場合>

手続きの誤りや不足を指摘されると、さかのぼって正しい手続きを行うことになります。保険料についても、支払い過ぎは還付されますし、不足はまとめて徴収されます。

社会保険料は高いですから、まとめて徴収されるのは辛いです。反対に還付されるのも、無利子で多額の金銭を貸し付けていたようなものですから喜べません。

社会保険というのは条件を満たせば自動的に加入しています。手続きをしていないのは、手続きをサボっているだけで、加入手続きをしなければ加入しないことになるわけではありません。赤ちゃんが生まれた時、出生届を出さなければ戸籍が無いだけで、赤ちゃんの存在が否定されるわけではないのと似ています。

 

<書類の追加郵送>

調査に必要な書類が不足している場合には、後から管轄の年金事務所に郵送するよう求められます。

そもそも調査の具体的な趣旨が示されていませんので、どのような書類が必要なのか、本当のところはわからなかったわけですから仕方ありません。

もっとも、調査の趣旨を良くわかるようにして案内を出していたら、多くの会社は尻込みしてしまうでしょう。

調査の趣旨を具体的に示さないのは、それなりの意図があるのかもしれません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

算定基礎届の提出日時を指定されたら、相談相手は税理士ではなくて社労士です。

このことは、税理士に確認すればすぐにわかります。ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.27.解決社労士

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

従業員から会社の責任者などに「約束通りにシフトに入れてください」と言うか、「実際の勤務に合わせて雇用契約書を作り直してください」と言うべきです。

 

<所定労働時間が無い?>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

2017.06.24.解決社労士

<社会保険への加入拒否>

社会保険への加入基準を満たす労働契約を会社と交わしたら、自動的に社会保険に加入します。

これは、赤ちゃんを産んでおきながら出生届を提出しなくても、生まれなかったことにはならないのと同じです。

ですから、一定以上の週所定労働時間、月間所定労働日数の約束で働き始めておきながら、社会保険への加入を拒否するというのは、法的には意味がありません。

会社は、本人が拒否していても、法令により社会保険加入手続きが義務づけられていますから、その義務に従って加入手続きを行うのが、法的には正しいということになります。

 

<会社が一方的にシフトを減らす行為>

会社は、本人が社会保険への加入手続きに反発したのに対抗して、加入基準を下回る一定未満の週所定労働時間、月間所定労働日数でシフトを組んだのでしょう。

しかし、本人の了解を得ることなく、このようなことをしても無効です。

会社は、社会保険への加入基準を満たす労働契約を交わしたのですから、これに拘束されます。本人との合意なしに労働契約の内容を変えることはできません。

 

<ではどうすれば良かったのか>

会社は、求人広告で所定労働時間や所定労働日数を示し、社会保険への加入も表示していたことでしょう。

そうでなくても、採用にあたって労働条件を再確認しています。

それにも拘わらず、本人が社会保険への加入を拒否するのであれば、社会保険の加入基準は客観的なものであり、本人の意思とは無関係であることを説明したうえで、一定の期限を設けて次のうちから1つを選択してもらうようにします。

・入社を取りやめる

・会社の社会保険加入手続きに合意する

・加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する

期限内に回答が無ければ、原則通り社会保険の加入手続きをおこなうこととしておきます。

また、「加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する」という選択肢は、会社の自由な意思によりサービスで設けるものですから、無くてもかまいません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

結局、このケースでは直接の法令違反も不法行為も無いので、違法の問題は存在しません。

ところが労働法に明るくない人が、「社会保険への加入を拒否したらシフトを減らされたのは違法ではないか」と問われたら戸惑ってしまいます。

何かおかしいと感じた時は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.05.解決社労士

<社会保険の加入基準>

社会保険の加入基準のうち、労働時間・日数については、労働契約によって定められた所定労働時間・所定労働日数が基準になります。

かつては、今後1年間の見込や勤務の実態が基準とされていたのですが、平成28101日に、基準のあいまいさが解消され明確化されました。

労働契約の内容は、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されたものですから、実態として妊婦さんの早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。

 

<産前産後の社会保険加入者の権利>

少子高齢化の傾向から、社会保険にも少子化対策が反映され、産前産後の加入者(被保険者)の権利は強化されています。

まず、産休(産前産後休業)と育休(育児休業)の間は、社会保険料が免除されます。かつては、育休中だけでしたが、産休中にも拡大されました。

また、産休中の生活保障のため健康保険から出産手当金が支給されます。かつては、賃金の60%の保障でしたが、66.6%に引き上げられました。

さらに、出産費用補てんのため、健康保険から1児につき原則として42万円が支給されます。この出産育児一時金も、最初は30万円でしたが数次にわたり増額されてきましたし、さらに増額が検討されています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

妊婦さんについて、社会保険から抜けることが検討されるなど、国の政策に反するような動きが出た場合、それが適法なのか妥当なのかについて、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.23.解決社労士

<資格取得時決定>

従業員の所定労働日数や所定労働時間が増加して新たに社会保険に加入する場合や、事業所が従業員を新たに雇用した場合には、その従業員に新たな労働条件で報酬を支払った実績がないため、事業主は就業規則や労働契約などの内容に基づき、以下の「資格取得時の決定」の規定に則って加入者(被保険者)の報酬月額を届け出ることとなります。

 

<標準報酬月額の決定方法>

1.月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合

被保険者の資格を取得した日現在の報酬額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額

2.日、時間、出来高または請負によって報酬が定められる場合

被保険者の資格を取得した月の前1か月間にその事業所で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額

3.上記1.または2.の方法では報酬の算定が困難である場合

被保険者の資格を取得した月の前1か月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額

4.上記1.から3.の複数に当たる報酬を受ける場合

各々の報酬について上記1.から3.によって算定した額の合算額

 

<標準報酬月額の適用期間>

決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月までの各月に適用されます。

ただし、被保険者が6月1日から12月31日までの間に資格取得した場合は、資格取得した月から翌年の8月までの各月に適用されます。

 

<訂正が必要な場合>

事業主は、被保険者が資格を取得した日から5日以内に、被保険者資格取得届を日本年金機構(事務センター又は年金事務所)へ提出します。

提出した後で誤りが見つかった場合や、実際の報酬が見込みと大きく異なった場合には、届出の取消しと遡っての届出を同時に行う形で、修正を行うことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なことは、お近くの年金事務所でご確認いただけますが、尋ねにくかったり、どのように相談したらよいか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.20.解決社労士

<覚書の効力>

新規採用のフリーターが、社会保険の加入基準を満たしているにもかかわらず、社会保険は親の扶養に入っていたいから、手取りが減るのは嫌だからといった理由で、加入を拒むことがあります。

こんなとき、「社会保険の未加入を希望します。御社にご迷惑をお掛けしません」という誓約書や覚書は効力がありません。

 

<ベニスの商人>

シェイクスピアのベニスの商人では、主人公が悪名高い金貸しに金を借りに行き、「指定された日付までに借りた金を返すことが出来なければ、身体の肉1ポンドを与えなければいけない」という契約書を交わします。

ところが主人公は借金を返せないので、金貸しは主人公を裁判に訴え、主人公の身体の肉1ポンドを要求します。

裁判では「肉は切り取っても良いが、契約書にない血を1滴でも流せば、契約違反として全財産を没収する」とされたという話です。

社会保険の加入基準を満たしているのに加入しない、加入させないというのは違法です。違法な内容について、誓約書や覚書を作っても無効です。

そもそも加入基準を含め、社会保険についてのルールは国が定めていますから、国との間で合意するのではなく、会社と従業員とで勝手に合意することは無意味なのです。

 

<かつて流行った悪行>

10年余り前のことですが、次のような困ったことがフリーターの間に、クチコミで広まりました。

会社に採用されたフリーターが、社会保険への加入を拒みます。「加入するなら退職する」とまで言われ、会社はやむなくこれに応じます。

1~2年後、フリーターは退職を申し出て、退職後に社会保険事務所(現在の年金事務所)に給与明細書などを持って行き、「こんなに働いているのに社会保険に入っていませんでした」と申し出ます。

会社に指導が入りますから、やむなくさかのぼっての加入手続きをします。保険料の支払い義務は第一に会社が負っていますから、会社が保険料を支払って、この退職したフリーターに本人負担分を請求しますが、もちろん無視されます。

こうして、このフリーターは保険料を支払わずに社会保険に加入できるのです。

 

<ではどうするか>

社会保険に加入するか、それとも、社会保険の加入基準を下回る勤務日数、勤務時間の労働契約で働くか、二つに一つだということです。

人手不足なので悩ましいですが、うっかり応募者の口車に乗って、やってはいけないことに同意してしまうと、後から会社に損失をもたらしかねないのです。

 

2017.04.07.解決社労士

<疑問点>

退職の翌月に、会社から保険料の本人負担分の請求が来ることもあり、来ないこともあります。どのように場合分けされているのでしょうか。

 

<保険料徴収の仕組み>

社会保険料は、本人負担分を給与から控除し、会社がこれに会社負担分を足して納付します。直接の納付義務は会社にあります。

そして、保険料の納付期限は翌月末です。4月分の保険料の納付期限は5月末です。

 

<退職と保険料の発生>

退職者は原則として、退職日の翌日に社会保険の資格を失います。そして、資格喪失日の前日が属する月までの社会保険料を負担します。

ですから、月末に退職した場合には、その月の保険料を負担します。しかし、月末以外の日に退職した場合には、前月までの保険料を負担します。

4月30日に退職の場合には、4月分の保険料を負担するのですが、4月12日に退職の場合には負担しません。

 

<給与から控除される保険料>

たとえば、給与が毎月20日締め切り、当月25日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料が控除されます。5月に支給される給与は、4月21日から4月30日までの給与ですから、月給の3分の1程度でしょう。

またたとえば、給与が毎月25日締め切り、当月末日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、やはり通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料を控除したいところですが、5月に支給される給与は、4月26日から4月30日までの給与ですから、月給の6分の1程度でしょう。この少ない給与から、住民税や所得税などと共に社会保険料を控除するのは、ちょっと無理かもしれません。ですから、別途退職者に請求する場合があるのです。

退職日が予めわかっている場合には、最後の給与から2か月分の保険料を控除することもあるのですが、急な解雇の場合などには間に合いませんから、退職後の請求になりやすいのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

また、急な解雇は不当解雇であることが多いものです。この点についても、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.04.解決社労士

<強制加入ということ>

社会保険は強制加入です。この点が、民間の生命保険などとは大きく異なります。

1か月の所定労働日数、1週間の所定労働時間などの加入基準を満たせば、手続きをしてもしなくても、法的には社会保険に加入していることになります。

ですから、厳密には「加入を拒否」ではなくて、「加入手続きへの協力を拒否」ということになります。

 

<会社のとるべき行動>

本来は国の広報が果たすべき役割なのですが、加入手続きに非協力的な従業員に対しては、会社が教育しなければなりません。

会社は、従業員が拒んでも加入手続きが法的に強制されているので、協力してもらわないと困るのだということを説明します。

ただ強制加入とはいえ、給与の手取り額が減ることも事実です。社会保険料の支払いに見合うメリットがあることを教える必要もあります。

 

<社会保険のメリット>

厚生年金は、保険料の半分を会社が負担し、国民年金よりも多額の老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が支給されます。平成298月以降は、保険料の納付が10年以上あれば、老齢厚生年金の受給資格を得られるようになります。

健康保険も、保険料の半分を会社が負担し、プライベートのケガや病気で、長期間仕事ができない場合に、賃金の約66%が補償される傷病手当金などがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険、労働保険、労務管理などについての教育も、社労士の専門分野です。保険料の仕組みや給付などについて、きちんと理解すれば、むしろ加入を希望するはずの公的保険制度です。困ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

 2017.03.07.解決社労士

<社会保険の加入基準>

大多数の会社では、1週間の所定労働時間が30時間以上で、1か月の所定労働日数が17日以上の従業員は、原則として社会保険の加入基準を満たすことになります。

そして、一度この基準を満たし社会保険に入った後で、労働時間が減少し、この基準を下回った場合には、社会保険から抜けるのが原則となります。

ただし、基準を下回るのが12か月程度で、やがて元の状態に戻ることが見込まれるなら、社会保険に入ったままとなります。

 

<労働契約(雇用契約)の変更>

労働時間が減少し、その状態が長く続くと見込まれる場合には、労働契約を変更する必要があります。

労働契約の変更は口頭でも可能ですが、労働条件は使用者から労働者に書面で示されるのが原則ですから、労働契約書の内容を改定し、新しい労働契約書を交わすのが一般的です。

実体に合わせて労働契約書を変更しておかないと、たとえば年次有給休暇の付与日数が変更されているのに、これに気付かないなどの不都合があります。

たとえば週5日勤務の従業員が、週4日勤務になって1週間の所定労働日数が30時間を下回れば、付与日数は減少します。

ところが、労働契約をそのままにしておいて、週5日勤務の契約で週4日の出勤となると、出勤率が8割を下回り、年次有給休暇が付与されないことにもなりかねません。

やはり、労働契約書は勤務の実態に合わせて改定しておくことをお勧めします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

顧問の社労士がいれば、従業員ひとり一人の勤務時間などの実態に合わせ、社会保険や雇用保険で必要な手続きや、労働契約の変更について、タイムリーに対応することができます。

しかし、社内に対応できる社員がいなければ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.11.解決社労士

<社会保険加入基準>

大企業(特定適用事業所)の例外はありますが、原則として、臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が正社員の4分の3以上というのが社会保険加入基準です。

万一、週の所定労働時間が定まっていない場合には、次の計算によって算定します。1年間の月数を「12」、週数を「52」として週単位の労働時間に換算するものです。

・1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間×12か月÷52週

・1年単位で定められている場合は、1年間の所定労働時間÷52週

・1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合は、その平均値

 

<正社員がいない場合>

この基準は、正社員の存在が前提になっています。

しかし、小規模の飲食店が1店舗のみの会社などでは、経営者の他にはパートとアルバイトだけで、正社員はいないという場合があります。

この場合には、もしその会社に正社員がいたとしたら、週何時間勤務で、月何日勤務になるかを想定して、その4分の3を基準とします。

一般には週40時間が法定労働時間ですが、従業員が10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業では、週44時間が法定労働時間となります。

ですから、この制限内で正社員の労働時間を想定することができます。

こうした会社で、週27時間勤務のパートがいた場合に、正社員の所定労働時間を週40時間と想定すれば、その4分の3にあたる30時間を下回るので、社会保険には入りません。しかし、正社員の所定労働時間を週36時間と想定すれば、その4分の3は27時間ですから、社会保険に入ることになります。

こうして、正社員のいない会社では、正社員の所定労働時間と所定労働日数の想定の仕方によって、ある程度は加入基準を選ぶことができるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

何事にも原則と例外があって、労働関係では、その区分が必ずしも「常識」に従っていないことが多いのです。

従業員のうち誰が、社会保険、雇用保険、労災保険の対象なのか、信頼できる社労士(社会保険労務士)に確認させることをお勧めします。

 

2017.02.02.解決社労士

<退職後の健康保険証>

退職後は健康保険の資格を失いますので、健康保険証は使用できません。

健康保険証さえあれば、保険診療が受けられるというわけではないのです。

退職後に、医療機関で健康保険証が使われた場合には、健康保険で支払われた医療費を、保険者である協会けんぽなどから資格を失った人に直接返還請求しています。

医療費が1万円の場合、本人負担は3千円ですが、保険者から残りの7千円が請求されることになります。

繰り返し請求しても、返還されない場合は、保険者は裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収を行っています。

実際、健康保険の資格を失った人が、健康保険証を返却せずに医療機関等で使用し、協会けんぽから返還請求を行っているケースは全国で発生しています。

うっかり健康保険証を使ってしまわないよう、資格を失ったら速やかに勤務先を通じで保険者に健康保険証を返却しましょう。

 

2017.01.30.解決社労士

<健康保険の考え方>

健康保険の「療養の給付」は、病気やケガをしたときの治療を対象として行われます。

このため、日常生活に何ら支障がないのに受ける診療(美容整形など)に健康保険は使えません。

妊娠・出産も病気ではないため、正常な状態での妊娠・出産は健康保険の適用から除外されています。

また、健康保険の目的からはずれるような病気やケガをしたときは給付が制限されることがあります。

 

<健康保険が使えないケース>

•美容を目的とする整形手術

•近視の手術など

•研究中の先進医療

•予防注射

•健康診断、人間ドック

•正常な妊娠・出産

•経済的理由による人工妊娠中絶

 

<例外的に健康保険が使えるケース>

•斜視等で労務に支障をきたす場合、生まれつきの口唇裂の手術、ケガの処置のための整形手術、他人に著しい不快感を与えるワキガの手術など 

•大学病院などで厚生労働大臣の定める診療を受ける場合  

•妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などによる異常分娩の場合

•母体に危険が迫った場合に母体を保護するための人工妊娠中絶

 

2017.01.01.解決社労士

<制度の趣旨と加入>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)は、会社などで働く「勤め人」が、収入に応じて保険料を出し合い、いざというときの生活の安定を図る目的で作られた制度です。

勤め人個人や事業主が希望して契約・加入する保険ではなく、法律により加入が強制され、手続きが義務づけられています。

一定の条件を満たせば、加入することになり、事業主に加入手続きが義務づけられています。手続きをしなくても、加入していることになり、事業主に保険料の納付義務も発生しています。

これは、赤ちゃんが生まれれば、出生届を出さなくても、生まれた事実に変わりはなく、親はその子をきちんと育て、学校にも通わせなければならないのと似ています。

 

<強制加入の事業所>

健康保険と厚生年金保険は、事業所を単位として適用されます。

常時5人以上の従業員を使用している事業所(事務所、工場、店舗など)は、強制的に加入させられる「適用事業所」です。

また、法人事業所は従業員が5人未満でも「適用事業所」です。つまり、法人の場合には、事業主1人だけの事業所であっても強制加入となります。

なお、

5人未満の個人事業所と、5人以上であってもサービス業の一部や農業・漁業などの個人事業所は、強制加入とはなりません。

 

<任意加入の事業所>

従業員が5人未満の個人事業所などでも、条件を満たせば厚生労働大臣の認可を受けて、適用事業所となることができます。

この認可の権限は、厚生労働大臣から日本年金機構理事長に委任されています。

認可を受けるには、その事業所の従業員の2分の1以上の同意を得て行います。この場合には、同意せず加入を希望しない従業員を含めて加入することになります。

具体的な手続きについては、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.19.

<「ねんきん定期便」に基づく従業員からの申し出>

「ねんきん定期便」は個人の自宅に届きますから、「賞与の分が年金記録からもれている」という指摘が、従業員から会社に対して行われることがあります。

会社が設立以来初めて賞与を支給したような場合には、会社の担当者が、手続きを知らなかったこともありえます。

早く気づけば、すぐに年金事務所に書類を提出すれば良いのですが、賞与を支払ってから既に2年以上経過している場合には、時効期間の問題もあります。

 

<でも大丈夫>

会社から自主的に届出もれがあったことを申し出る場合には、「事業主からの自主的な申出にかかる申出者リスト」(賞与支払届提出もれ用)という書類が用意されています。

この書類を、事業所を管轄する年金事務所の窓口に持参して相談します。

この「申出者リスト」に基づき、届出もれとなっている従業員に、その従業員の住所地を管轄する年金事務所より「お知らせ文書」が郵送されます。

そして「お知らせ文書」を受け取った従業員は、年金事務所の窓口で記録を確認することになるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

上記の「申出者リスト」については、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。これに必要事項を記入して、所轄の年金事務所に持参すれば良いのです。

しかし、この手続きをするにあたって不安なことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。こうした手続きを代行することも社労士の業務の一つです。

 

2016.12.03.

<様式変更の内容>

マイナンバー法の施行にともない省令が改正され、平成29年1月から社会保険関係の様式が変更される予定です。

現在は、健康保険・厚生年金保険の資格取得届、氏名変更届、資格喪失届に個人番号の記載欄が追加された様式の案が発表されています。

 

<経過措置>

様式変更による不都合を避けるため、以下の経過措置が設けられる予定となっています。

○健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、健康保険組合の加入者の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式と改正後の様式のどちらでも使用できます。

・健康保険について、提出先が健康保険組合の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式の備考欄等に個人番号を記入することにより使用できます。

○協会けんぽ(全国健康保険協会)または国民健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、協会けんぽまたは国民健康保険組合の加入者の場合は、当分の間、改正前の様式を使用します。

・提出先が厚生労働大臣または日本年金機構である場合の健康保険の手続(協会けんぽ加入者の手続)には、当分の間、改正前の様式を使用します。

 

<個人番号(マイナンバー)記入の免除>

以下の健康保険の届出等について、提出先が日本年金機構である場合には、当分の間、個人番号の記入が求められません。

・二以上事業所勤務届

・住所変更届

・給付制限事由該当等の届出

・被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

・被扶養者異動届

・育児休業等終了時報酬月額変更届

・産前産後休業終了時報酬月額変更届

・日雇労働者の適用除外申請

・日雇特例被保険者手帳の交付申請

・育児休業等取得者申出書

・産前産後休業取得者申出書

 

2016.11.29.

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法106条1項〕

労使協定というと三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が有名です。〔労働基準法36条〕

しかし、傷病手当金は健康保険の制度ですから、会社が従業員に周知する義務を負っていません。

健康保険や年金、労災保険や雇用保険、所得税の還付などについては、国が広報に努めるべき内容です。

 

<会社が説明する必要>

とはいえ、健康保険や年金、労災保険や雇用保険などの給付は、すべて請求手続きをしなければ給付されません。「求めよ、さらば与えられん」という感じです。

健康保険の保険料は、会社と従業員とで折半します。つまり、会社も保険料を負担しています。それなのに、わからないから給付を受けられないというのでは勿体ないです。

会社は、保険料を無駄にせず、従業員が給付を受けられるようにするため、傷病手当金、高額療養費、療養費支給申請など健康保険の給付や、労災保険で受けられる給付について、従業員に説明しておくべきです。少しでも記憶に残っていて「何かお金がもらえる制度があったような…」ということになれば、あとは人事担当者にたずねるなどして、手続きへと結びつくでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士に給与計算を委託している場合、ある従業員が長期間休んでいれば、会社にその理由を確認します。

健康保険に入っている従業員であれば傷病手当金の手続きに進みますし、勤務中のケガで休んでいれば労災保険の手続きに進みます。わからないから受け取れないということが防げるわけです。

また、様々な仕組みにより従業員が給付を受ける場合について、社労士が会社でレクチャーを行い、従業員からの質問にわかりやすく答えるというサービスもしています。

もし社内でまかなえないことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.26.

<事業所検索システム>

全国の事業所の厚生年金保険・健康保険の加入状況を、誰でも簡単に確認することができるようになりました。

これを使えば、求人広告を出している会社の社会保険加入状況がすぐにわかります。

平成2810月からは、同一事業主の適用事業所の加入者数の合計が、常時500人を超える場合「特定適用事業所」とされ、正社員の半分以上の時間働くパート社員など短時間労働者も、社会保険に入るようになりました。この「特定適用事業所」かどうかも確認できます。

週20時間台での勤務を考えている場合、社会保険に入るかどうかは大きな問題です。原則として「特定適用事業所」なら社会保険に入りますし、そうでなければ入りません。

 

<検索の方法>

「漢字で検索する」「カナで検索する」「法人番号で検索する」のうちから1つを選び、「事業所名称」「事業所所在地」「法人番号」のどれかを入力すれば、条件にあてはまる厚生年金保険・健康保険に加入している事業所(適用事業所)や厚生年金保険・健康保険から脱退した事業所(全喪事業所)の情報を、一覧で閲覧することができます。

 

https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

↑こちらが日本年金機構の検索ページです

 

<加入逃れもバレます>

この検索システムを使えば、社会保険の加入逃れをしている事業所もわかります。摘発される前に、自主的に手続きをした方が賢いと思います。

 

手続的なことで迷うようでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.04.

<第三者の行為による傷病届>

もともと保険というのは、保険料を負担した人やその関係者に給付があるわけです。

健康保険では会社と従業員が保険料を折半して、従業員や扶養家族が治療を受けると健康保険から給付が行われて、治療費の3割を負担するだけで済みます。

ところが無関係な第三者からケガをさせられて、治療費に保険が使われると、ケガをさせた第三者は、治療費の負担が減ったり負担がなくなったりして、不当に利益を得てしまいます。

こうした不都合が起こらないように、保険者である協会けんぽなどが、加害者に費用の負担を求めるための手続きが加わるのです。

 

<病院に提出が必要な書類>

協会けんぽなどの保険者に次の書類を速やかに提出しましょう。傷病手当金の請求をしなくても、治療を受ける場合には必要です。

・第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届

・損害賠償金納付確約書→加害者が書きます。治療費支払いの約束です。

・念書→被害者の損害賠償請求権を健康保険の保険者に譲り渡す約束です。

・負傷原因報告書→いつ、どこで、どうしてケガをしたのかの報告書です。

 

<保険給付の制限>

ケンカや、酒を飲みすぎてケガした場合には、全く健康保険が使えない場合と一部だけ使える場合があります。〔健康保険法117条〕

 

勤務中のケンカによるケガなど、労災保険の手続きについても同様の書類が必要になります。急がないと関係者の記憶が薄れたり、情報が集まらなくなったりします。第三者がからむ保険の手続きは複雑ですから、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談することをお勧めします。

 

2016.10.31.

<介護保険制度>

介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。その費用は、公費(税金)や高齢者の介護保険料のほか、40歳から64歳までの健康保険の加入者(介護保険第2号被保険者)の介護保険料(労使折半)などによりまかなわれています。

 

<64歳までの介護保険料>

40歳から64歳までの健康保険の加入者は、健康保険料と一緒に介護保険料を納めます。

介護保険料は「満40歳に達したとき」より徴収が始まります。

ここで、「満40歳に達したとき」とは、40歳の誕生日の前日のことです。そして、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料が徴収されます。

法律上は、誕生日の前日に1歳年をとるので、このように定められています。特に1日生まれの人は、前月の末日に40歳になるので注意しましょう。

 

<65歳からの介護保険料>

健康保険に加入していても、介護保険料は「満65歳に達したとき」より、健康保険料と一緒には徴収されなくなります。

「満65歳に達したとき」とは、65歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者ではなくなり、介護保険料が徴収されなくなります。

ただし、65歳以降は介護保険の第1号被保険者となり、お住まいの市区町村より介護保険料が徴収されることとなります。また、年金受給者の場合には、年金から介護保険料が差し引かれる形で徴収されることがあります。

こうして介護保険料は、亡くなるまで徴収が続くことになります。

 

2016.10.28.

<社会保険の加入基準の客観性>

健康保険と厚生年金の加入基準(資格取得基準)は、客観的に決まっています。そして、手続きをする/しないとは関係なく、基準を満たせば加入したことになります。

例えるなら、役所に出生届を提出する/しないに関係なく、赤ちゃんが生まれたという事実に変わりは無いのと同じです。出生届を提出しないからといって、その赤ちゃんが消滅するわけではなく、人権を無視できるわけでもありません。

社会保険の加入手続き(資格取得手続き)をしなくても、それは手続きが遅れているだけで、後から手続きすれば、さかのぼって効力が認められ、保険料が徴収されるということです。

 

<保険料の負担>

健康保険も厚生年金も、第一に利益を受けるのは加入者(被保険者)です。しかし、保険料は事業主と加入者とで折半します。そこで、従業員が基準を満たしているのに、つまり社会保険に加入しているのに、手続きをしないという不正が発生します。

もし、加入基準を満たしているのに、会社が手続きをしてくれなかったら、年金事務所などに相談です。

 

<従業員からの拒否>

従業員が基準を満たしていれば、会社は加入手続きをする義務があります。たとえ従業員が拒んでも同じです。「本人の希望」は関係ないのです。

会社としては、そのような従業員に対して、社会保険加入のメリットを説明して、気持よく手続きに応じるよう努めるでしょう。

もし、従業員が正しく理解していれば、社会保険への加入手続きを拒むことは無いでしょう。

 

<社会保険に加入したくない場合>

所定労働時間や所得を抑えて、社会保険の加入基準以下で勤務できるよう、会社と相談してはいかがでしょうか。

また平成2810月から、それまでの社会保険加入者数が500人を超えるような大きな会社では、加入基準が引き下げられています。そのため、大きな会社で勤務していて、基準変更によって新たに社会保険に入ることとなったのであれば、小さな会社に転職して加入しないようにすることも考えられます。

 

2016.10.18.

<交通事故にも健康保険が使えます>

国民健康保険、公務員共済、船員保険などを含めて健康保険は、加入者(被保険者)と扶養家族(被扶養者)の病気、ケガ、出産、死亡に関して、必要な保険給付を行うことを目的とする制度です。

ケガや死亡の原因が交通事故でも、日常生活上のケガや病気の場合と同じく、健康保険で医師の診療を受けることができます。〔昭和431012日保険発第106号通達〕

 

<社会一般の誤解>

古くから世間一般で、交通事故診療には健康保険が使用できないとの誤解が生じていました。

そのため現在でも、医療機関から「健康保険は使用できない」という説明を受ける場合があります。

しかし、健康保険を使用しての診療(保険診療)、使用しない診療(自由診療)のどちらで治療を受けるかは患者が選択できます。

 

<当然の例外>

なお、業務または公務上の事故や、通勤中の事故など、労災保険法や公務員災害補償法の適用がある事故については、健康保険は使えません。〔健康保険法55条、国家公務員共済組合法60条、地方公務員等共済組合法62条〕

 

2016.10.14.

<海外療養費とは>

海外では日本国内の健康保険証をそのまま使うことができません。

海外療養費は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるものです。

 

<海外療養費の支給対象>

日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は、給付の対象になりません。

また、療養(治療)目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。日本で実施できない診療(治療)を行った場合でも、保険給付の対象になりません。

 

<海外療養費の支給金額>

日本国内の医療機関で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額が支給されます。

日本と海外での医療体制や治療方法などが異なるため、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも、支給金額が大幅に少なくなることがあります。

 

<海外療養費支給申請の流れ(協会けんぽ)>

「海外療養費支給申請書」および必要な添付書類を用意

→ 申請書および添付書類を神奈川支部に郵送

→ 神奈川支部で海外療養費の審査

→ 神奈川支部から審査の結果を申請者(被保険者)に通知

 

<窓口一本化の目的など>

海外療養費の審査効率化などを目的としています。

「海外療養費支給申請書」については神奈川支部に提出することとなりますが、各支部に提出した場合は神奈川支部に転送されます。

 

<注意点>

海外療養費の申請書は、平成28年7月から「療養費支給申請書(立替等)」から独立しましたので、海外療養費支給申請書をご使用ください。

海外で治療費の支払いをした翌日から2年を経過すると、権利の時効消滅により申請できなくなりますので、ご注意ください。

 

※協会けんぽ 神奈川支部

〒240-8515 横浜市保土ヶ谷区神戸町134

横浜ビジネスパークイーストタワー2F

海外療養費グループ(電話:045-287-0011)

 

2016.09.27.

<出産手当金とは?>

健康保険に入っている人(被保険者)が、出産のために会社を休み、その間に通常の給与が支給されないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、被保険者の出産であることが必要です。被保険者とは保険料を負担している人のことですから、扶養家族(被扶養者)は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28日×3か月+1日=85日という計算により、実際の運用では妊娠85日以上が基準となっています。

さらに、給与の支給が無いか、出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額は?>

実際の支給金額は、次の計算式によって計算されます。

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<支給期間は?>

出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(双子や三つ子など多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。

出産日は出産の日以前の期間に含まれます。

また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

 

<資格喪失後の出産手当金>

会社を辞めたり、勤務時間が減少することによって、健康保険の資格を喪失した後の出産でも、出産手当金が支給されることがあります。

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者の資格喪失の日の前日に、現に出産手当金の支給を受けているか、受けられる状態(出産日以前42日目が加入期間であること、かつ、退職日は出勤していないこと)であれば、資格喪失後も所定の期間の範囲内で引き続き支給を受けることができます。

2016.09.24.

<高額療養費制度とは?>

自己負担額が高額となった場合に、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。また、病院などの窓口での支払を、一定の限度額までにできるしくみもあります。

ただし、健康保険外の診療、食事代、差額ベッド代などは対象外です。先進医療など健康保険が適用されない医療については、生命保険会社でこれらに対応できる保険に入ることをご検討ください。

 

<高額療養費制度の具体的な内容>

重い病気で病院に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。

保険加入者本人(被保険者)、扶養家族(被扶養者)ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢および所得に応じて一定の計算式により算出されます。

また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。(世帯合算)

なお、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000 円以上ある場合も同様です。(7074歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)

なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります。(多数該当)

 

<高額療養費の現物給付>

70歳未満であっても、従来の「入院される方」「外来で在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料及び在宅末期医療総合診療料を算定される方」に加え、「外来で療養を受ける方」の高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができるようになりました。

この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」に健康保険証のコピーを添付して提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と健康保険証を提出してください。

病気が徐々に悪化して、計画的に入院する場合には利用しやすい制度ですが、突然の入院の場合には利用がむずかしい場合もあります。

 

<長期高額疾病についての負担軽減>

人工透析を実施している慢性腎不全の患者については、自己負担の限度額は 10,000 円となっています。

これを超える額は現物給付されるので、医療機関の窓口での負担は最大でも10,000 円で済みます。

ただし、診療のある月の標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の保険加入者本人(被保険者)またはその扶養家族(被扶養者)については、自己負担限度額は20,000 円となります。

この他、血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群の人についても、自己負担の限度額は10,000 円となっています。

なお、人工透析患者などについては、医師の意見書等を添えて全国健康保険協会の都道府県支部に申請し、「健康保険特定疾病療養受療証」の交付を受け、医療機関の窓口にその受療証と健康保険証を提出してください。

 

2016.09.03.

<必要な場合>

保険証や高齢受給者証を紛失したときだけでなく、印字が見にくくなったときも、「健康保険被保険者証再交付申請書」や「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を保険者に提出することで、新しく発行してもらえます。

ここで保険者とは、協会けんぽなど健康保険を運営している機関のことで、保険証に表示されています。

なお、外出時の紛失や盗難の場合は、保険証の再交付よりもまずは警察署へ届け出ることを強くお勧めします。

 

<会社など事業所で働く人とその家族の場合>

勤務先を通じて「健康保険被保険者証再交付申請書」・「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を保険者に提出します。

この用紙には、被保険者(保険加入者)記入欄と事業所記入欄の両方があります。

再交付した保険証等は、勤務先に郵送されます。

 

<任意継続で加入の人とその家族の場合>

勤務先を退職後、任意継続で健康保険に入っている場合には、加入者から保険者へ直接、「健康保険被保険者証再交付申請書」・「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を郵送します。

その後、保険者から加入者に保険証が郵送されます。

 

2016.08.23.

<退職後の健康保険>

職場で健康保険に入っていた人が退職すると、次のいずれかに加入する手続きが必要です。

1.任意継続健康保険

加入していた健康保険の保険者(協会けんぽなど)が窓口です。

2.国民健康保険 

お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口で手続きします。

3.家族の健康保険の被扶養者(扶養家族)

家族が加入する健康保険の保険者(保険証に書いてあります)にお尋ねください。

 

<健康保険の任意継続>

退職や労働時間の短縮などによって健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者の資格を喪失したときに、一定条件のもとに個人の希望(意思)により、個人で継続して加入できる制度です。

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、被扶養者(扶養家族)の保険料はかかりません。

 

<国民健康保険の保険料(保険税)>

国民健康保険の世帯人員数や前年の所得などに応じて決定されます。また、保険料の減免制度があります。

市区町村によって保険料(保険税)の算定方法が異なります。お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。

 

<健康保険の任意継続の保険給付>

傷病手当金と出産手当金を除き、原則として在職中に受けられる保険給付と同様の給付を受けることができます。

※傷病手当金と出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り給付対象となります。

 

2016.08.14.

<特定保健指導とは>

生活習慣病予防健診(健康保険加入者向け)や特定健康診査(扶養家族向け)の結果から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクが高いと判断された40歳以上の人に、保健師などが生活習慣改善のアドバイスを行うものです。

あくまでもメタボ予備軍に対する指導です。すでにメタボと認定された人には治療が必要です。予備軍からメタボに転落しないように指導するわけです。

ですから、この指導を受けるのは恥ずかしいことではありません。指導を受けずにメタボになってしまうことのほうが恥ずかしいのです。

 

<特定保健指導を受けるときの費用>

健康保険加入者(被保険者)は無料です。

扶養家族(被扶養者)については実施機関によって異なります。

費用については、協会けんぽ支部ホームページの「特定保健指導実施機関一覧(ご家族)」で確認できます。

 

<特定保健指導を受ける手続き>

健康保険加入者(被保険者)は、勤務先を通じて協会けんぽに申し込みます。

勤務先によって、マンツーマンの指導であったり、講義形式であったりします。

扶養家族(被扶養者)には、特定保健指導の対象となる場合に限り、自宅に「特定保健指導利用券」が郵送されます。届いたら、近所の特定保健指導実施機関に申し込みます。

 

2016.08.10.

<保険料の納付期限>

厚生年金保険料、健康保険料、船員保険料、児童手当拠出金は、翌月末が納付期限となっています。

口座振替または納入告知書により納付することになっています。

 

<納付期限までに納付されない場合>

電話や文書によって年金事務所などへの来所を求め、また、事業所を訪問し、納付督励を行い早期の完納を促します。

さらに、厚生年金保険料などを納付期限までに納めない事業所に対しては、督促状を送付するとともに、電話などによる納付督励を行います。督促状で指定した期限までに完納されない場合、滞納保険料などを回収するための滞納処分に入ります。

なお、事業所の実情によっては、分割納付による完納を認め、早期に完納される場合は、指定した期限を過ぎても滞納処分は猶予されます。

しかし、納付督励によって完納の見込が立たない場合には、財産調査を行い、必要に応じ滞納処分(差押え・換価)を行います。

なお、滞納額が高額で悪質な滞納事業所については、国税庁に徴収を委任する仕組みがあります。

 

<滞納処分の流れ1 納付指導>

納付指導により作成する納付計画は、原則として毎月分の保険料の納付と、滞納している保険料の分割納付により、できるだけ早期に滞納が解消されるような計画とします。分割の金額については、事業の経営状況などを踏まえ、適切と考えられる金額に設定するようにしています。

 

<滞納処分の流れ2 財産調査>

財産調査は、取引先金融機関に預金残高の確認を行うほか、必要に応じ取引先企業全般に対し売掛金などの債権の有無を調査します。

また、滞納事業所の不動産など、財産全般についても調査を行います。

 

<滞納処分の流れ3 差押え・換価>

財産調査の結果把握した不動産、預金、売掛金債権などについて、必要に応じ差押えを行います。

預金や売掛などの債権類については速やかに取り立てて収納し、不動産などで換価が必要なものは、公売によって金銭化した後に保険料などとして収納します。

 

<滞納処分の流れ4 滞納整理の国税庁委任>

納付指導に従わないなど悪質な滞納事業所については、国税庁に保険料などの徴収を委任することができるようになっています。

 

<延滞金>

厚生年金保険料などを滞納し、督促状の指定期限日までに完納しないときは、納期限の翌日から完納の日の前日までの期間の日数に応じ、保険料額(保険料額に1,000円未満の端数があるときは、その端数を切捨て)に一定の割合を乗じて計算した延滞金が徴収されます。

最初の3か月:年利2.8%(平成27年)

3か月超の期間:年利9.1%( 〃 )

 

2016.08.06.

<現物給付とは>

健康保険では、保険医療機関の窓口に保険証を提示して診療を受ける現物給付が原則ですが、やむを得ない事情で現物給付を受けることができないときや、治療のために装具が必要になったときなどは、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費(被扶養者の場合は家族療養費)として、払い戻しを受けることができます。

保険証を提示して診療を受けると3割負担で済むというのが実感ですが、健康保険で7割は現物の診療が給付されたと考えます。

父親が母親の外出中に子供の発熱に気づき、あわてて病院につれて行って保険証を忘れた場合、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで家族療養費を請求します。

腰痛のため医師が必要を認めてコルセットを使うことになった場合、コルセットを作り販売する業者に、直接には健康保険が適用されません。この場合にも、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費として、払い戻しを受けることができます。

 

<払い戻される療養費の範囲>

療養費は、必ずしも支払った医療費の全額が払い戻されるわけではありません。被保険者(保険加入者)や被扶養者(扶養家族)が保険医療機関で保険診療を受けた場合を基準に計算した額(実際に支払った額が保険診療基準の額より少ないときは、実際に支払った額)から一部負担金相当額を差し引いた額が払い戻されます。また、健康保険で認められない費用は除外されます。

 

2016.08.05.

<出産育児一時金>

子どもが生まれたときは出産育児一時金が受けられます。昔は分娩費(ぶんべんひ)などと呼ばれていました。

出産育児一時金は、被保険者(健康保険に入って保険料を支払っている人)だけではなく、被扶養者(健康保険の扶養家族)が出産した時に、協会けんぽなどの保険者に申請すると1児につき42万円が支給されます。(産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.4万円)

双子や三つ子なら人数分が支給されます。

 

<誰が出産した場合か>

平成1410月以前は、被保険者の他には配偶者のみに「配偶者出産育児一時金」が支給されていましたが、法改正により被保険者の被扶養者が出産したとき「家族出産育児一時金」が支給されるようになりました。

こうして、扶養に入っていれば未婚の娘でも妹でも、支給されるようになったのです。

そもそも結婚するかどうかは、当事者の自由です。〔日本国憲法24条〕

入籍していないと支給されないというのは平等権の侵害です。〔日本国憲法141項〕

少子化対策の流れの中で、やっと憲法の趣旨が届いた感じです。

 

2016.07.21.

<試用期間と社会保険>

社会保険は試用期間の初日から加入します。

たしかに、2か月以内の期間を定めて使用される人は社会保険に加入しません。結果的に契約期間を延長することになったら、加入することになるだけです。

しかし、「試用期間」という場合、試用期間が2か月なら2か月で契約終了というわけではなく、その後本契約に移行するわけですから、「2か月以内の期間を定めて使用される」という場合にはあてはまりません。

 

<試用期間に加入基準を満たさない場合>

平成28年10月に法改正される前の話ですが、たとえば正社員が1日8時間、週5日勤務の会社で、試用期間の契約社員は1日5.5時間、週5日勤務という契約にすれば、試用期間は加入基準を満たしませんので、社会保険には加入しないということになります。

これは、違法でも脱法でもありません。

とはいえ、このような条件で入社することを希望する応募者がどれだけ集まるかは疑問です。

 

2016.07.05.

<保険者算定>

一般的な方法によって報酬月額が算定できない場合や、算定結果が著しく不当になる場合は、保険者等(年金事務所または健康保険組合)が特別な算定方法により、報酬月額を決定することとしています。

この算定方法を「保険者算定」といいます。〔健康保険法44条、厚生年金法24条〕

算定対象月に減給処分があった場合は、まさにこの「保険者算定」をする場合にあたります。

ところが、このケースは特殊なので、手引き類にも見当たりません。ですから、直接、年金事務所や協会けんぽの支部、あるいは健康保険組合に問い合わせるということになります。

実際、健康保険組合によってルールが違うようですし、すべての年金事務所で同じ回答が得られる保証もありません。

ただ、随時改定については「減給処分は固定的賃金の変動にはあたらない」という運用基準がありますから、減給処分がなかったものとして修正平均額を算出するのが主流と思われます。

 

<もう一つの留意点>

減給処分は、一つの懲戒処分では平均賃金の1日分の半額が限度です。〔労働基準法91条〕

これは、月給が30万円だと、30万円÷30日÷2=5千円というのが限度額になります。

また、いくつもの懲戒処分が重なった場合でも、その総額は賃金1か月分の10分の1が限度です。〔労働基準法91条〕

これは、月給が30万円だと、30万円÷10=3万円というのが限度額になります。

そして、ある月に減給処分があっても、算定対象月は3か月ありますから、その影響は、1つの懲戒処分で1,667円、複数の懲戒処分が重なって1万円が限度ということになります。

もし、定時決定(算定基礎届)の担当者が、算定方法に悩むほどの減給であれば、労働基準法の限界を超える減給がされていないかチェックする必要がありそうです。

 

2016.07.03.

<入院期間中の食事の費用負担>

入院患者は、食事の費用のうち標準負担額というものを支払います。

この標準負担額というのは、平均的な家計での食事を参考に、厚生労働大臣が定めた金額です。

平成18年4月1日からは、1日単位から1食単位の金額に変更されました。

これは、医療機関で提供される食事の内容が変わるわけではなく、食事の負担額について、食数にかかわらず1日単位で計算していたものを、1食単位の計算に変えたものです。

 

<標準負担額>

1食の標準負担額は、一般の世帯で平成28、29年度は360円、平成30年度は460円です。

ただし、住民税非課税世帯などは負担が減額されます。

標準負担額の軽減措置を受ける場合は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」に被保険者証と低所得の証明書を添付して、全国健康保険協会の都道府県支部に提出します。申請が認められると「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されますから、被保険者証と認定証を医療機関の窓口へ提出することで標準負担額の軽減措置がうけられます。

低所得の証明は、低所得者世帯(住民税の非課税世帯)の人については、住所地の市区役所または、町村役場等で証明を受けた住民税の非課税証明、所得が一定基準に満たない場合は非課税証明に給与や年金の源泉徴収票、生活保護法の要保護者については、福祉事務所長が行う標準負担額認定該当の証明が必要となります。

 

<一般の治療の自己負担額との関係>

多くの方は、原則として3割の自己負担で治療を受けることになりますが、入院期間中の食事については、あくまでも標準負担額が適用されます。

つまり、食事代は治療費とは別計算です。どちらも健康保険の適用があるのですが、計算方法が違うわけです。

このことから、高額療養費についても、食事の費用は計算対象から外れます。

 

2016.07.01.

<全く支払わないケース>

厚生年金の加入基準を満たしている従業員について、加入手続きを行わなければ、会社は従業員分と会社分の両方について、保険料を不正に免れることになります。

この場合、年金事務所や会計検査院の調査が入れば、不正がバレて会社が是正を求められます。今後、マイナンバーの社会保険への導入が行われれば、手間のかかる調査をしなくても手軽に不正をあばけるようになります。

また、加入基準を満たす従業員が、年金事務所に労働時間/日数の資料を持参して相談すれば、勤務先の会社に調査が入ります。

 

<金額をごまかすケース>

従業員の給与から控除する保険料は正しい金額でも、その一部を会社が着服して、残りを納付するということがあります。

たとえば、従業員の月給が30万円で、これに応じた保険料を給与から控除しておきながら、日本年金機構に月給20万円で届を出しておけば、月給20万円を基準に計算した保険料の納付で済みます。

この場合、年金事務所や会計検査院の調査が入れば、不正がバレて会社が是正を求められます。

また、日本年金機構から毎年1回、誕生月に厚生年金保険の加入者(被保険者)にも、年金加入記録を確認してもらうため「ねんきん定期便」が郵送されています。これを見れば、保険料の基準となっている給与や賞与が正しいか確認できます。

 

<もしもごまかされていたら>

労働時間/日数や給与・賞与、保険料として天引きされている金額などの資料をきちんと保管しましょう。退職直後に、厚生労働省や総務省に調査してもらいましょう。在職中に調査が入ると、会社から退職に追い込まれることがありえます。

また、会社の手続きに社会保険労務士が関与しているようでしたら、都道府県の社会保険労務士会にもご相談ください。こちらも退職後がお勧めです。

 

2016.06.06.

<傷病手当金>

傷病手当金は、業務以外の原因による病気やケガでの休業中に、健康保険加入者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、健康保険加入者が病気やケガのために仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

その条件の一つに、「労務不能」があります。仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、健康保険加入者の仕事の内容を考慮して判断されます。

 

<労務不能の基準>

労務不能の期間は、主に療養担当者つまり治療を担当する医師の判断によります。対象者の仕事内容から考えて、病気やケガの回復具合から働けるかどうかを判断するのです。

医師は病気やケガの具合を判断することは得意なのですが、対象者の仕事内容を具体的に知っているわけではありませんから、労務不能の判断はこの点でむずかしいものがあります。

傷病手当金を受給する人は、担当する医師にご自分の仕事内容をわかりやすく説明する必要があります。特に病気との関係で、仕事上の困難な部分をよく説明しておきたいものです。

 

<実際に支給対象となる期間>

仕事を休んだ日と、労務不能と判断された日の重なった日が、支給対象の期間です。ただし、最初の3日間は待期期間といって、支給されない期間です。

労務不能とされない日に仕事を休んでも、ご本人の意思で大事をとって休んだにすぎないことになります。

また、労務不能とされた日に仕事をすれば、働いて給料がでている限り、傷病手当金は支給されません。

 

2016.05.28.

<法令などの社会保険加入基準>

会社で働く人は、一定の条件を満たした場合、社会保険(健康保険と厚生年金)に入らなければなりません。会社には、入らせる義務があります。

その一定の条件とは次の3つです。

・会社が社会保険に加入している事業所(適用事業所)であること

・正社員など正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数があること

・臨時、日雇い、季節的業務で働く人ではないこと

 

<実践的な社会保険加入基準>

雇い入れ通知書、労働条件通知書、労働契約、就業規則などから、今後1年間の勤務を予測して、正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数が見込まれるなら、社会保険に加入となります。

また、この基準で対象外とされても、現実に3か月連続で正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数の実績が発生すれば、年金事務所では社会保険への加入を指導します。

 

<社会保険に入る入らないの損得>

プライベートのケガや病気で働けないとき、健康保険なら傷病手当金によって給料の67%が保障されます。この傷病手当金は、国民健康保険にはありません。

年金は、国民年金よりも厚生年金のほうが、将来受け取る老齢年金も、万一の場合に受け取る障害年金も金額が多いのが一般です。

保険料の負担は、社会保険なら会社が半分負担で、国民年金や国民健康保険では全額自己負担です。それでも、給料から控除される社会保険の保険料は多額だと感じられます。会社にとっては、従業員が社会保険に入ると会社の保険料負担が発生しますから、入って欲しくないと考えるかもしれません。

結局、将来の生活や万一のことを考えると社会保険に入るのが得で、今の生活費を重視するならば入らないほうが楽といえそうです。

 

<シフト調整が正当な場合>

たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合に、労働契約で所定労働時間が1日7時間、1週28時間、週4日勤務のシフト制で働く従業員は、社会保険には入らないことになります。

労働契約上も、社会保険に入らないことになっているので、会社も従業員も入らない前提です。この場合に、この前提が崩れないように、労働契約の範囲内でシフト調整するのは正しいことです。

 

<シフト調整が不当な場合>

たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合に、労働契約で所定労働時間が1日7時間、1週35時間、週5日勤務のシフト制で働く従業員は、社会保険に入ることになります。

もし、社会保険料の負担を逃れるなどの目的があって、会社が社会保険に入る手続きを怠れば、それ自体違法ですし、シフト調整は単なる悪あがきにすぎません。

また、最初から雇い入れ通知書、労働条件通知書、労働契約がないのは、それ自体違法ですし、社会保険加入基準を満たさないようにシフト調整をするというのはおかしなことです。年金事務所の調査が入っても指摘を逃れるかもしれませんが、労働基準監督署の調査が入ればアウトです。

 

<結論として>

わざとシフト調整して社会保険に入れない企業があったとして、それが正しいのか、それともブラックなのかは、労働契約の内容次第だということになります。

 

2016.05.20.

基本的には、健康保険証があれば3割の費用負担で医療サービスを受けることができます。しかし、健康保険の財源は保険料と税金です。不誠実な人に無駄づかいを許してしまうのは道義に反します。そこで、次のようなルールが設けられています。

 

<わざとケガした場合>

わざとケガした場合や、自分の故意の犯罪行為で病気になったりケガをしたときは、健康保険が使えません。〔健康保険法116条〕

ただし、自殺による死亡については埋葬料が支給されます。

 

<ケンカなど>

ケンカや、酒を飲みすぎてケガした場合には、全く健康保険が使えない場合と一部だけ使える場合があります。〔健康保険法117条〕

 

<少年院・刑事施設に入ったとき>

少年院などに収容されたとき、刑事施設、労役場、これらに準ずる施設に収容されたときは、病気・ケガ・出産について健康保険が使えません。〔健康保険法118条〕

 

<療養に関する指示に従わないとき>

正当な理由なく療養に関する指示に従わないときは、健康保険が一部使えなくなることがあります。〔健康保険法119条〕

 

<不正行為をしたとき>

不正行為によって、健康保険を使った者については、6か月以内の期間を決めて、傷病手当金や出産手当金の全部または一部を支給しないことにできます。〔健康保険法120条〕

 

2016.05.14.

<保険を使えるのはどんなとき>

整骨院や接骨院で骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉ばなれの施術を受けた場合に保険の対象になります。

ただし、骨折と脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。

また、病院や診療所などの保険医療機関で同じケガの治療中は、施術を受けても保険の対象になりません。

 

<もともと保険を使えない施術>

単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。

このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。

 

<費用の精算についての特例>

本来は、患者が費用の全額を支払った後、自ら協会けんぽなどの保険者へ請求をおこない支給を受ける「償還払い」が原則です。

しかし、柔道整復については、例外的な取扱いとして、患者が自己負担分を柔道整復師に支払い、柔道整復師が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する「受領委任」という方法が認められています。

このため、多くの整骨院・接骨院等の窓口では、病院・診療所にかかったときと同じように自己負担分のみ支払うことにより、施術を受けることができます。

なお、柔道整復師が患者に代わって保険請求を行うため、施術を受けるときには、必要書類に患者がサインをすることになります。

 

2016.05.02.

<保険料控除の趣旨>

保険料控除は、所得控除の1つです。支払った保険料に応じて、一定の金額が保険料負担者のその年の所得から差し引かれる制度です。税率を掛ける前の所得が低くなることにより所得税、住民税の負担が軽減されます。

私たちに何か事故があって、本来であれば国が救済にあたるべき場合でも、私たちが自主的に保険に入っていれば、万一のときに国の負担が軽減されるため、その分、税金を優遇しようという趣旨です。

 

<会社での手続き>

従業員が控除対象となる生命保険、地震保険、社会保険に加入している場合、会社に「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」を提出してその内容を伝えます。

この申告書の左側2/3が生命保険と地震保険の記入欄、右下1/4が社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除の記入欄です。

生命保険料控除には、介護保険料控除や個人年金保険料控除を含みます。

地震保険料控除には、旧長期損害保険料控除に関する経過措置を含みます。

社会保険料は、主に扶養家族の国民年金保険料と国民健康保険料です。

保険料控除には、原則として控除証明書の添付が必要です。

たとえば、生命保険料控除証明書は10月中旬から11月頃にかけて、保険会社から従業員の自宅に送られてきます。あらかじめ従業員に告知しておくことも必要でしょう。

 

2016.03.03.

<厚生年金保険料の給与天引き>

会社は、厚生年金加入者(=被保険者)の給与から厚生年金保険料を控除します。

控除する金額は、その被保険者の標準報酬月額に保険料率を乗じた額の半額となります。保険料は会社と被保険者が折半するからです。

控除する金額=その被保険者の標準報酬月額×保険料率÷2

1円未満の端数が生じるときは、四捨五入して円単位にします。

 

<標準報酬月額とは?>

厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料の計算に用います。

現在の標準報酬月額は、1等級(9万8千円)から30等級(62万円)までの30等級に分かれています。

 

<定時決定と随時改定>

毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。

また、報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。

 

<注意ポイント>

随時改定のしくみは、実際にはかなり複雑です。

社会保険労務士であれば、よく理解しているのですが、他の士業の方の中には、定時決定しか知らない方も多いのが実態です。

手続きを外注している場合には、一度社労士のチェックを受けることをお勧めします。

 

2016.03.02.

<出産育児一時金とは?>

出産育児一時金は、健康保険の加入者(被保険者)やその扶養家族(被扶養者)が出産した時に、協会けんぽなどの保険者に申請すると1児につき42万円が支給される一時金です。

たとえば、未婚の娘が出産した場合にも、娘が扶養家族なら家族出産育児一時金として対象となります。

また、「1児につき」ですから双子なら2倍、三つ子なら3倍の金額が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合は40万4千円です。この産科医療補償制度というのは医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

 

<支給の条件は?>

妊娠85日以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶であることが必要です。

ですから、会社で出産祝い金の支給対象外となる場合であっても、出産育児一時金の支給対象となることがあります。

 

<特別な支給方法>

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽなどの保険者から医療機関等に、直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。この場合、出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので大変助かります。

もちろん、出産後に健康保険の加入者(被保険者)が直接受け取ることもできます。

 

<出産費貸付制度>

出産費用に充てるため、出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度があります。

対象者は、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、出産予定日まで1か月以内の方、または妊娠4か月以上で医療機関等に一時的な支払いを要する方です。

 

<資格喪失後の出産育児一時金>

退職などにより、健康保険の加入者(被保険者)でなくなった場合でも、資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、資格喪失日から6ヵ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。

たとえば、健康保険に加入していた女性が退職して資格を喪失し、夫の扶養に入ってから出産した場合には、本人の出産育児一時金か、夫の家族出産育児一時金のどちらか一方を選んで支給を受けます。

また、健康保険の加入者(被保険者)の資格喪失後にその被扶養者だった家族が出産しても、家族出産育児一時金は支給されません。

 

2016.02.23.

<傷病手当金とは?>

傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

被保険者は、給与天引きなどにより保険料を支払っている人です。

 

<支給の条件は?>

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 業務や通勤によるケガは労災保険で補償されますから対象外です。

・仕事に就くことができないこと

 医師の判断によります。大事をとって休業しても対象外です。

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

 最初の3日が、たまたま年次有給休暇でもOKです。

・休業した期間について給与の支払いがないこと

 給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

<支給される期間は?>

傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。

これも、医師が労務不能を認めた期間に限ります。

 

<支給される金額は?>

傷病手当金は、1日につき健康保険加入者(被保険者)の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。

標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。

標準報酬月額は、原則として4月から6月までの給与の総支給額を基準に、その年9月以降の保険料の計算基準となる月給です。

 

2016.02.22.

<出産手当金とは?>

健康保険に入っている人が、出産のために仕事を休み給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、被保険者の出産であることが必要です。被保険者とは保険料を負担している人で、扶養家族は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28×3+1=85という計算により、実際の運用は妊娠85日以上で行われています。

さらに、給料の支払いが無いか、出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額は?>

〔平成28年3月31日までの支給金額〕

1日あたりの金額=(休んだ日の標準報酬月額)÷30日×2/3

〔平成28年4月1日からの支給金額〕

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<注意したいこと>

出産手当金と同様に、出産にあたってもらえる給付金には、「出産育児一時金」があります。

こちらの方は、被保険者だけでなく扶養家族の出産も含まれます。扶養に入っている未婚の娘が出産した場合などにも支給されます。

 

2016.02.05.

<傷病手当金とは?>

健康保険に入っている人が、業務外の病気やケガで仕事ができず、給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、業務外の病気やケガで仕事ができない期間について、医師の証明が必要です。仕事ができないわけではないけれど、大事をとってお休みするというのは対象外となります。

また、4日以上連続して仕事を休んでいることが必要です。最初の3日間を「待期期間」といって、ここに公休や有給休暇が含まれていてもかまいません。

さらに、給料の支払いが無いか、傷病手当金の金額より少ないことが条件です。

医師が証明した期間と、実際に仕事を休んだ期間とで、重なる日について支給されます。

 

<支給金額は?>

〔平成28年3月31日までの支給金額〕

1日あたりの金額=(休んだ日の標準報酬月額)÷30日×2/3

〔平成28年4月1日からの支給金額〕

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

 

2016.02.04.

<社会保険の資格取得>

社会保険に加入すること、正確には被保険者となることを「資格取得」といいます。

社会保険が適用される会社に入社すると、その日に被保険者となって、当日から健康保険で治療が受けられるのが原則です。

入社日に資格取得するということです。

 

<社会保険の資格喪失>

社会保険から脱退すること、正確には被保険者ではなくなることを「資格喪失」といいます。

会社を辞めるとき、退職当日まで使っていた保険証が翌日には使えません。

退職日の翌日に資格喪失するということです。

 

<同日得喪とは?>

社会保険の「資格喪失」の日に、同じ社会保険の「資格取得」が行われることを、「同日得喪」といいます。

定年退職後に同じ会社で再雇用された場合に、賃金が低下することもあります。しかし、社会保険料の随時改定という仕組みで保険料が安くなるのは、4か月先ということになります。

そこで、60歳から64歳までの老齢厚生年金受給権者が再雇用となった場合などには、退職の翌月分から保険料を安くできるよう、特別に「同月得喪」という手続きがあるのです。

このとき、基礎年金番号は変わりませんが、保険証の番号は変わります。かかりつけの病院には、「保険証の番号が変わりました」と申し出る必要があります。

 

2016.01.27.

<賞与にも社会保険料がかかります>

賞与についても健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料と同率の保険料を納付することになっています。

会社が社会保険加入の社員へ賞与を支給した場合には、支給日より5日以内に「被保険者賞与支払届」により支給額等を届出します。

この届出内容により標準賞与額が決定され、これにより賞与の保険料額が決定されます。

 

<賞与の社会保険料の計算方法>

実際に支払われた賞与額(税引き前の総支給額)の1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」とします。

その「標準賞与額」に健康保険・厚生年金保険の保険料率をかけた額が、社会保険料となります。保険料は、事業主と被保険者が折半で負担します。

 

<賞与の社会保険料の上限額>

標準賞与額の上限は、健康保険では年度の累計額540万円(年度は毎年41日から翌年331日まで)、厚生年金保険は1か月あたり150万円とされていますが、同月内に2回以上支給されるときは合算した額で上限額が適用されます。

 

2016.01.15.