社会保険の記事

<社会保険の資格取得>

社会保険に加入すること、正確には被保険者となることを「資格取得」といいます。

社会保険が適用される会社に入社すると、その日に被保険者となって、当日から健康保険で治療が受けられるのが原則です。

入社日に資格取得するということです。

たとえ試用期間であっても、試用期間の初日から社会保険に加入します。

これを避けるためには、試用期間だけ所定の勤務日数や労働時間を短縮して、社会保険の加入基準以下で勤務してもらうことも可能ではあります。

しかし、試用期間をこうした条件にしてしまったのでは、採用を決定しても入社を辞退される可能性が高いので得策ではありません。

 

  <社会保険の資格喪失>

社会保険から脱退すること、正確には被保険者ではなくなることを「資格喪失」といいます。

会社を辞めるとき、退職当日まで使っていた保険証が翌日には使えません。

退職日の翌日に資格喪失するということです。

 

  <同日得喪>

社会保険の「資格喪失」の日に、同じ社会保険の「資格取得」が行われることを、「同日得喪」といいます。

定年退職後に同じ会社で再雇用された場合には、賃金が低下することもあります。同一労働同一賃金の考え方を厳密に解釈すると、これは許されないようにも思われますが、最高裁判所も平成30(2018)年6月1日の長澤運輸事件判決で、ある程度の賃金低下を容認しています。

この場合に、賃金の低下を反映して保険料が安くなるのは、一般の随時改定の仕組みによると4か月も先ということになります。

そこで、60歳から64歳までの老齢厚生年金受給権者が再雇用となった場合などには、退職の翌月分から保険料を安くできるよう、特別に「同月得喪」という手続きがあるのです。

このとき、基礎年金番号は変わりませんが、保険証の番号は変わります。

かかりつけの病院には、「保険証の番号が変わりました」と申し出る必要があります。

ここで注意したいのは、保険料が下がるということは、傷病手当金の金額も下がるということです。

定年を機に、持病の入院治療を考えているような場合には、同日得喪を利用しない手もあります。

手続きをするのは会社ですが、同日得喪をするかどうかは、このようなデメリットも本人に説明したうえで決めていただく必要があるでしょう。

 

2018.08.05.解決社労士

<賞与にかかる社会保険料>

年3回以下支給される賞与についても、健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料と同率の保険料を納付することになっています。

会社が社会保険加入の社員へ賞与を支給した場合には、支給日より5日以内に「被保険者賞与支払届」により支給額等を届け出ます。

この届出内容により標準賞与額が決定され、これにより賞与の保険料額が決定されます。

なお、年4回以上支給される賞与は、賞与支払届の対象とはならず、報酬月額に加算され標準報酬月額の計算基準に含まれます。

 

<賞与の社会保険料の計算方法>

算定基礎届や月額変更届で使われる標準報酬月額保険料額表は使いません。

実際に支払われた賞与額(税引き前の総支給額)の1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」とします。

その「標準賞与額」に健康保険・厚生年金保険の保険料率をかけた額が、社会保険料となります。保険料は、事業主と被保険者が折半で負担します。

 

<賞与の社会保険料の上限額>

標準賞与額の上限は、健康保険では年度の累計額573万円(年度は毎年41日から翌日331日まで)です。

また、厚生年金保険は1か月150万円とされていますが、同月内に2回以上支給されるときは合算した額で上限額が適用されます。

ここに示した上限額は、法改正により変更となる場合がありますので、最新情報をご確認ください。

 

2018.07.24.解決社労士

<誕生日の前日に1歳年をとる>

「年齢計算ニ関スル法律」という古い法律に次の規定があります。

 

年齢は出生の日より之を起算す

民法第143条の規定は年齢の計算に之を準用す

 

つまり、誕生日の前日の「午後12時」(2400秒)に年をとります。

「前日午後12時」と「当日午前0時」は、時刻としては同じですが日付は違うという理屈です。

学校でも、42日生まれから翌年41日生まれまでを1学年としています。41日から翌年331日までの間に○歳になる生徒の集団ということです。

おそらく「誕生日に年をとる」だと、229日生まれの人は、4年に1回しか年をとらないので不都合だからでしょう。

2月29日生まれの人は、前日の228日に年をとることにして、救済しているのだと思います。

 

<就業規則にある定年の規定>

会社の就業規則で、「65歳の誕生日が属する月の月末をもって定年とする」なら勘違いは無いのですが、「65歳に達した日の属する月の月末をもって定年とする」だと、毎月1日生まれの人の定年退職日を間違えてしまいやすいのです。

たとえば、41日生まれの人の場合、前者の規定なら4月末で定年、後者の規定なら3月末で定年です。

間違った運用を長く続けているのなら、就業規則の方を改定しましょう。

 

<保険年齢という考え方>

満年齢で計算したうえで、1年未満の端数については6か月以下のものは切り捨て6か月を超えるものは切り上げて計算する方式があります。端数についての「67入」です。

たとえば、299か月の保険加入者(被保険者)は30歳として取り扱われるわけです。

これは、保険年齢方式と呼ばれ、健康診断でも健診機関によっては個人の問診票にこの年齢が記載されます。

従業員から「私の年齢が1歳多い」というクレームが出ることもあります。

こうした場合には、健康診断のお知らせの中に保険年齢の説明を加えておくことをお勧めします。

 

2018.07.11.解決社労士

<70歳以上被用者の算定基礎届>

70歳以上の被用者の標準報酬月額相当額は、4月~6月に受けた報酬の平均月額に合わせて毎年改定されます。

事業主は、「算定基礎届」に各被用者の報酬を記入し、69歳以下の算定基礎届と共に提出します。

昨年までは、70歳以上の被用者だけ別の用紙で届出を行っていましたが、今年からは69歳以下の算定基礎届の用紙を使います。

この場合、備考欄の「1.70歳以上被用者算定」に○を付け、マイナンバー(個人番号)を記入します。ただし、マイナンバーは健康保険組合への届出には不要です。

 

<70歳以上被用者とは>

70歳以上の被用者は、70歳以上であって厚生年金保険の適用事業所に新たに雇用された人、または被保険者が70歳到達後も継続して使用される場合で、次のすべてに該当する人をいいます。

 

・70歳以上であること

・過去に厚生年金保険の被保険者期間があること

・厚生年金保険適用事業所に使用される人、または法人事業所の事業主であって、週の所定労働時間と月の所定労働日数が社会保険加入の条件を満たしていること

 

<老齢厚生年金の支給調整>

平成19(2007)4月から、適用事業所に就労して稼得能力のある70歳以上の年金受給者については、60歳台後半の在職老齢年金と同様の仕組みが適用されています。

このため、70歳以上の人が、厚生年金保険の適用事業所に使用される場合、事業主は、70歳以上の従業員(被用者)の雇用、退職、報酬額についての届出が必要となります。

70歳以上の被用者は、70歳になると厚生年金保険の資格を喪失するため、在職中であっても、厚生年金保険の保険料を納付する必要はありません。

しかし、届出により、老齢厚生年金の全部または一部が支給停止となる場合があります。

具体的には、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円以下の場合は、年金の全額が支給されますが、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円を超える場合は、超えた額の2分の1が支給停止されます。

さらに支給停止額が基本月額を超えるときは、加給年金額も停止されます。

ここで「停止」というのは、一時的に支給が止まり後から支払われるという意味ではなく、支払われないという意味です。

 

2018.06.10.解決社労士

<対象となる人>

定時決定(算定基礎届)は原則として、その年の71日現在、社会保険の加入者(被保険者)である人全員が対象になります。

・531日までに加入(資格取得)した人で、71日現在も加入者(被保険者)である人

・71日かこれ以降に、退職や勤務時間の減少などにより脱退(資格喪失)する人(資格喪失日でいうと72日かこれ以降)

・休職中、育児休業中、介護休業中、欠勤中の人

・刑事施設や労役場などに拘禁中の人

なお、定時決定という手続きのために提出する届を算定基礎届といいます。

 

<対象とならない人>

・61日かこれ以降に、加入(資格取得)した人

・630日かこれ以前に、退職や勤務時間の減少などにより脱退(資格喪失)した人(資格喪失日でいうと71日かこれ以前)

・7月~9月に月額変更届、産前産後休業終了時変更届、育児休業等終了時変更届を提出する予定の人

なお、随時改定という手続きのために提出する届を月額変更届といいます。

 

<見込みや予定が変わった人>

・算定基礎届を提出する時点では、8月か9月に月額変更届を提出する見込みだったが、その後、残業代や通勤手当などの変動により、月額変更届を提出しないことになった場合には、遅れて算定基礎届を提出することになります。

・算定基礎届を提出する時点では、8月か9月に月額変更届を提出する見込みではなかったが、その後、残業代や通勤手当などの変動により、月額変更の条件を満たすことになった場合には、算定基礎届の提出とは別に算定基礎届を提出することになります。

 

2018.06.09.解決社労士

<定時決定(算定)での特例>

従来から業務の性質上、4月~6月の3か月間の報酬をもとに算出した標準報酬月額と、前年7月~当年6月までの1年間の報酬の月平均額によって算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差があり、この差が業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合には、申し立てにより、過去1年間の月平均報酬月額により標準報酬月額を算定することができるようになっています。

社会保険料の定時決定(算定)では、4月~6月の3か月間の報酬をもとに標準報酬月額を算出するのが原則ですが、この3か月間だけ極端に残業代が多かったり少なかったりすると、著しく不当な標準報酬月額となるため、これを避けるために年平均の額で計算することができるわけです。

これは、事業主の申立書と本人の同意等を提出することによって行います。

 

<随時改定(月変)での特例>

こうした定時決定(算定)でのやり方が、通達により平成30(2018)年10月以降の随時改定(月変)にも適用されることとなりました。

これにより業務の性質上、繁忙期に残業代の増加が著しく、この時期に昇給したような場合で、通常の随時改定(月変)では著しく不当になる場合には、年間平均によることができるようになります。

年間平均で随時改定(月変)を行うには、次の条件を満たす必要があります。

・現在(改定前)の標準報酬月額と、通常の随時改定による報酬月額に2等級以上の差がある。

・非固定的賃金を年間平均した場合の3か月の報酬月額の平均が、通常の随時改定による報酬月額と2等級以上差がある。

・現在の標準報酬月額と、年間平均した場合の報酬月額との差が1等級以上ある。

・繁忙期に残業が集中するなどの傾向が、業務の性質上、例年見込まれる。

 

2018.06.08.解決社労士

<法律の規定>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料を、従業員の給与から控除(天引き)する形で徴収することについては、健康保険法と厚生年金保険法に次のような規定があります。

 

健康保険法(保険料の源泉控除)

第百六十七条 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

厚生年金保険法(保険料の源泉控除)

第八十四条 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

どちらも、ほぼ同じ内容です。

 

これらの法律によると、今月支給される給与から、前月分の社会保険料を控除することになります。

そして会社は、従業員から徴収した保険料に会社負担分を加えて、今月末までに前月分の社会保険料を納めることになります。

この仕組みを考える時に、「いつ勤務した分の給与か」は問題にしません。あくまでも、「いつ支給された給与か」だけを考えます。

 

<新規に入社した従業員の場合>

社会保険は、その月の1日に加入(資格取得)しても、月末に加入しても、その月の分の保険料が徴収されます。

入社月に給与が支給されるのであれば、その前月は社会保険に加入していませんから、その給与から社会保険料は控除しません。

入社月の翌月に初めて給与が支給されるのであれば、その前月は社会保険に加入していますから、その給与から社会保険料を控除します。

 

入社月の翌月に初めて給与が支給されるのであれば、社会保険料の控除の都合を考えて、入社日についてのルールを設定しておくことをお勧めします。

たとえば、給与の支給について、月末締切り翌月10日支払いのルールだとすると、28日に入社した場合、最初の給与が少なくて社会保険料を控除できないことも多いでしょう。

この場合には、社会保険料を別に支払ってもらうことになりますが、入社早々の出費は厳しいものがあります。

そこで、「毎月21日以降は入社日としない」などの運用ルールがお勧めなのです。

 

入社月に給与が支給される会社で、最初の給与から社会保険料を控除している場合もあります。

これは、健康保険法や厚生年金保険法の規定とは違うことをしているのですが、労使協定を交わして、そのように運用している限り問題ありません。〔労働基準法241項但書〕

しかし、労使協定を交わさずに行うのは良くありません。

健康保険法や厚生年金保険法には、これについての罰則が無いのですが、賃金を全額支払う義務に違反してしまいます。〔労働基準法241項本文〕

これには、三十万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法120条〕

 

<退職する従業員の場合>

社会保険の脱退(資格喪失)の場合には、月末に脱退する場合に限り、その月の分の保険料が徴収されます。

月末以外の脱退なら、その月の保険料は徴収されません。

 

退職月に最後の給与が支給される場合、退職日によっては、欠勤控除によって給与が少額となり、社会保険料を控除できないこともあります。

こうした事態を想定して、健康保険法と厚生年金保険法には、退職の場合には例外的に前月と当月の2か月分の保険料を控除できるという規定になっているわけです。

この場合、退職月の給与が少額になる見込みであれば、退職月の前月の給与から2か月分の保険料を控除することになります。

 

退職月の翌月に最後の給与が支給される場合、月末退職を除いては、社会保険料を控除しないのが正しいのですが、うっかり控除してしまった場合には、すぐに返金しましょう。

 

2018.02.25.解決社労士

<同居していなくても扶養家族となり得る人>

社会保険加入者(被保険者)の収入により生計を維持していることを前提として、次の人は扶養家族になり得ます。

・配偶者(内縁を含む)

・子、孫、兄弟姉妹

・父母、祖父母など(直系尊属)

 

<同居していれば扶養家族となり得る人>

社会保険加入者(被保険者)の収入により生計を維持していることを前提として、次の人は扶養家族になり得ます。

・叔父、叔母、伯父、伯母、甥、姪とその配偶者

・ひ孫

・兄弟姉妹の配偶者

・配偶者の父母

・その他3親等内の親族

・内縁関係の配偶者の父母や子(配偶者の死後を含む)

 

内縁は、入籍していない事実上の夫婦関係です。

一般には、他に入籍している配偶者がいないことや、夫婦としての生活実態があることなどが条件となります。

 

2018.01.21.解決社労士

<原則の基準>

扶養される家族の年間収入が130万円未満で、社会保険加入者(扶養する側の被保険者)の年間収入の半分未満であれば、扶養家族(被扶養者)になるというのが原則の基準です。

ただし、扶養される家族の年間収入が130万円未満であれば、社会保険加入者の年間収入の半分以上であっても、社会保険加入者の収入によって生計を維持していると認められる場合には、扶養家族になることができます。

 

<60歳以上の家族など>

扶養される家族が60歳以上の場合と、障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合には、年間収入の基準が180万円未満となります。

 

<別居の場合>

扶養される家族が社会保険加入者と別居している場合には、年間収入が130万円未満で社会保険加入者からの仕送り額よりも少ない場合に、扶養家族になることができます。

 

<20代から50代の配偶者>

20歳から59歳の配偶者を扶養家族とする場合には、健康保険の手続きと同時に国民年金の手続きが必要です。

社会保険に加入している側の配偶者が、勤務先に「国民年金第3号被保険者関係届」を提出します。

 

2018.01.20.解決社労士

<契約形態と社会保険>

正社員、限定正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの労働契約の形態は、勤務先の会社が独自の基準で区分しているに過ぎません。

一方で、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入基準は法令により定められ、各企業の社内基準によって左右されることはありません。

結論として、アルバイトなどであっても、法令による加入基準を満たせば、各企業の方針や個人の考えとは無関係に社会保険に加入することになり、企業は手続きをする義務を負うことになります。

 

<試用期間と社会保険>

入社後、従業員としての適格性をみるため、一定の試用期間を設けることがあります。

この期間であっても、労働基準法はもちろん、健康保険法や厚生年金保険法の適用がありますから、試用期間の初日から社会保険への加入が義務付けられています。

なお、短期間の契約社員として採用し、その後に適性を判断して正社員に切り替えるような場合でも、最初の契約期間が実質的に見て試用期間に当たる場合には、採用日から社会保険に加入しなければなりません。

 

<外国人と社会保険>

在留資格で就労が認められている外国人は、国籍に関係なく社会保険に入ります。

これは、「日本人が日本の社会保険に入る」というのではなく、「日本に住んでいる人が日本の社会保険に入る」という考え方であることを意味します。

 

2018.01.19.解決社労士

<法人の事業所>

法人であれば強制適用となりますので、手続きが義務付けられます。

これは従業員のいない事業主だけの法人であっても同じです。

また、事業主や従業員の意思とは無関係です。

 

<5人以上の個人事業所>

常時5人以上の従業員を使用している会社、工場、商店、事務所などの個人事業所は、原則として強制適用となります。

しかし、5人未満の個人事業所は強制適用とはなりません。

また、常時5人以上の労働者を使用する事業所であっても、個人事業所であれば、飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等の自由業等は強制適用ではありません。

 

<任意適用事業所>

上記のような強制適用事業所を除く事業所は、社会保険の適用が強制されません。

しかし、年金事務所で手続きをすることによって、社会保険の適用を受けることができます。

適用事業所となるためには、その事業所の従業員の半数以上の同意を得る必要があります。

こうして任意適用事業所となった場合には、加入を希望しない従業員も含めて加入することになります。

 

2018.01.18.解決社労士

<社会保険の制度>

健康保険や厚生年金保険は、会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い、いざという時の生活の安定を図る目的で作られた制度です。

公的な制度ですから、労働者個人や事業主が自由に契約・加入するものではなく、客観的な基準により法令で加入が義務づけられています。

 

<法定手続きの必要性>

健康保険や厚生年金保険に加入し適用事業所になった場合、事業主は従業員の資格関係や報酬関係の手続きを法令に従い適時適切に行う必要があります。

社内にわかる人がいない場合でも、放置することは許されず、社外の専門家である社会保険労務士に委託するなどして手続きを行う必要があります。

日本年金機構では、社会保険制度の適正な運営を図ることを目的として、事業所調査を実施し、出勤簿や賃金台帳などの法定帳簿を確認しています。

こうした帳簿類の作成・保管や調査への立会いも、社会保険労務士に委託することができます。

 

<手続きが必要となる場合>

次のような場合には、健康保険や厚生年金保険の手続きが必要となります。

・従業員を採用し加入基準を満たす場合

・従業員の退職や死亡などにより加入基準を満たさなくなった場合

・扶養家族の追加や変更があった場合

・加入者の氏名や住所に変更があった場合

・年1回、報酬月額の定時決定を行う場合

・加入者の報酬に大きな変動があって随時改定を行う場合

・賞与を支給した場合

これらの他、加入者が給付を受ける場合にも、事業主は手続きを行ったり、加入者に積極的に協力する義務を負っています。

 

2018.01.16.解決社労士

<追加の書類が必要となる場合>

標準報酬月額の等級が2以上上がって、あるいは、24下がって月額変更届を提出する場合とは異なり、等級が5以上下がる場合には、賃金の変動や支払額の確認を厳密にするため、追加の添付書類が必要となります。

これは、手続きが遅れて、改定月の初日から60日以上経過してしまった場合にも同様です。

 

<法人の役員以外>

固定的賃金の変動があった月の前月分から変動後3か月分(合計4か月分)の賃金台帳のコピー(給与明細書や所得税源泉徴収簿のコピーも可)が必要です。

また、支払基礎日数の確認のため、固定的賃金の変動があった月から3か月分の出勤簿またはタイムカードのコピーが必要です。

 

<株式会社・有限会社の役員>

固定的賃金の変動があった月の前月分から変動後3か月分(合計4か月分)の所得税源泉徴収簿のコピー(報酬・給与明細書や報酬・賃金台帳のコピーも可)が必要です。

また、次のうちどれが1つのコピーも必要です。

・役員報酬の変更がわかる株主総会・役員会などの議事録

・代表者による報酬決定通知書

・役員間の報酬協議書

・役員報酬等債権放棄を証する書類

 

<その他の法人の役員>

株式会社・有限会社の役員の場合と内容が同一の書類を添付する必要があります。

法人の形式が異なることにより、書類の名称が異なっているのは問題ありません。

 

2018.01.15.解決社労士

<社会保険の加入>

資格取得届の取得日が正しいことを確認するため、加入月の賃金台帳のコピーが必要です。

その他、次の書類のコピーのうちどれか1つが必要です。

・出勤簿 ・労働者名簿 ・議事録 ・辞令

 

<社会保険の脱退>

資格喪失届の喪失日が正しいことを確認するため、退職月の賃金台帳のコピーが必要です。

その他、次の書類のコピーのうちどれか1つが必要です。

・退職月の出勤簿 ・離職票(事業主控) ・議事録 ・辞令

なお、退職ではなく所定労働日数や所定労働時間の減少による脱退の場合には、その事実がわかる書類のコピーが必要です。

 

<扶養家族の変更>

被扶養者(異動)届の遡り期間について、収入の条件を確認するための書類が必要です。

その他、次の書類のコピーのうちどれか1つが必要です。

・退職が理由の場合には、離職票、解雇通知書、辞令など

・入学が理由の場合には、入学日のわかる在学証明書

・結婚が理由の場合には、戸籍抄本など

・その他、変更の事実確認が取れる書類

 

以上のような余計な手間がかかることを避けるため、速やかな手続きをお勧めします。

 

2018.01.14.解決社労士

<免除の期間>

育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業と育児休業に準じる休業)期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、加入者(被保険者)分も事業主分も免除されます。

保険料の徴収が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月までです。育児休業終了日が月末(月の末日)の場合は育児休業終了月までになります。

 

<手続き>

加入者(被保険者)から育児休業等取得の申出があった場合、事業主が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出します。

 

この申出は、加入者(被保険者)が次に掲げる育児休業等を取得する度に、事業主が手続きする必要があります。

また、この申出は、現に、申出に係る休業をしている間に行わなければなりません。

 

(ア)1歳に満たない子を養育するための育児休業

(イ)1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するための育児休業

(ウ)1歳6か月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業

(エ)1歳から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業(ただし上記(イ)の場合は1歳6ヶ月から、上記(ウ)の場合は2歳から)

 

加入者(被保険者)の育児休業等期間が予定日前に終了した場合に、事業主は「育児休業等取得者終了届」を日本年金機構へ提出することになります。

 

<効果>

免除期間中も加入者(被保険者)の資格に変更はなく、保険給付には育児休業等取得直前の標準報酬月額が用いられます。

将来受け取る年金の計算にも、育児休業等取得直前の標準報酬月額が用いられます。

 

<最近の法改正>

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正により、平成29年1月1日から、次のような子についても育児休業等の保険料免除の対象となりました。

1.養親となる者が養子となる者を監護することとされた期間に監護されているその養子となる子(監護期間中の子)

2.里親である労働者に委託されている児童(要保護児童)

 

2018.01.04.解決社労士

<社会保険の加入基準>

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が通常の労働者(正社員など)の4分の3以上であれば社会保険に加入します。

会社の意向や労働者の希望とは無関係な客観的な基準です。

 

さらに、短時間労働者について、平成28101日に基準が変更されました。

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が通常の労働者(正社員など)の4分の3未満であっても、次の5つの条件を全て満たす場合には、社会保険が適用されます。

・週の所定労働時間が20時間以上

・勤務期間が1年以上見込まれること

・月額賃金が8.8万円以上

・学生以外

・社会保険の加入者が501人以上の企業に勤務していること

 

このように、社会保険に入る基準は客観的なものであり、事業主が加入手続きをしていなくても、法律上は、基準を満たせば社会保険に加入していることになります。

 

<労働者側が約束した場合>

労働者が社会保険に入る約束をした場合には「加入条件を満たしたならば加入手続きに協力する」「加入条件を満たす労働条件で働く」のいずれかの約束だと理解されます。

加入条件を満たしたのに「私は社会保険料を支払いたくない」と言う労働者がいます。この場合には事業主が期限を区切って、所定労働時間を減らすか、手続きに応じるかの選択を迫ることになります。

 

<事業主側が約束した場合>

事業主が社会保険に入らせる約束をした場合で「加入条件を満たしたならば加入手続きを行う」という約束ならば、適法に運営することの表明に過ぎません。

しかし、「加入条件を満たす労働条件で働かせる」という約束ならば、基準よりも少ない所定労働時間で労働契約をしようとすることは約束違反になります。両者で良く話し合う必要があります。

 

<労働契約は口頭でも成立する>

労働契約は、契約書を交わさなくても口頭で成立します。

しかし、「社会保険に入る約束」というのは、労働契約の成立前でも後でもできることです。

こうしたことで無用な争いが発生することは避けたいところです。

迷った時には、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.12.06.解決社労士

<待期期間の不思議>

健康保険の傷病手当金、労災保険の休業(補償)給付、雇用保険の基本手当(昔の失業手当)には、待期期間があります。

給付の理由があっても、最初の一定の日数は給付されません。しかし、その理由は意外と知られていませんので、ここにご紹介させていただきます。

なお、「待機期間」ではなくて「待期期間」です。

「待機」は、準備を整えてチャンスの到来を待つことです。待機児童、自宅待機、待機電力の「待機」はこの意味で使われています。

「待期」は、約束の時期を待つことです。待期期間の「待期」はこの意味で使われています。

 

<傷病手当金の待期期間>

健康保険の傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなっても、最初の継続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

これは、仮病による支給申請を防止するためだそうです。

3日間の無給を犠牲にしてまで、嘘のケガや病気で傷病手当金の申請をしないだろうという考えによります。

ただ、年次有給休暇の取得も考えられますから、効果は疑わしいと思います。

 

<休業(補償)給付の待期期間>

労災保険の休業(補償)給付は、ケガや病気で働けなくなっても、最初の継続または断続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

仮病による支給申請の防止というのは、傷病手当金と同じです。

しかし、年次有給休暇のこともありますし、通勤災害による休業補償給付ではなくて、業務災害による休業給付ならば、最初の3日間は事業主が労働基準法の規定により休業補償を行うことになりますから、ますます効果は疑わしいものです。

 

<雇用保険の基本手当の待期期間>

ハローワークに離職票を提出し求職の申し込みをした日から7日間は、待期期間とされ基本手当の支給対象期間とされません。

本当に失業状態にあるといえるのかを確認するために設けられているとされます。しかし、失業状態にあることの確認は、待期期間を設けるだけでは不十分でしょう。

なお自己都合退職者には、7日間の待期期間の後、さらに最大3か月の給付制限期間が設けられています。これは、自分の都合で退職しているので、経済的な備えなどができるはずだということで設けられています。

不思議なことに、この給付制限期間のことを「たいききかん」と呼んでいる人もいます。

 

<待期期間の役目>

以下は、私個人の考えですので悪しからず。

火災保険や自動車保険その他の損害保険では、免責金額が設定されているのが一般的です。免責金額以下の損害に対しては保険金が支払われないのです。

保険会社から見ると、少額の損害で保険金を支払ったり、そのための手続きや処理をしたりで経費を使わなくてもよいので助かります。また、保険加入者にとっても、その分だけ保険料が安くなるわけです。

健康保険、労災保険、雇用保険で、1日限りの休業や失業に対してまで給付をするというのでは、手続きにかかわる人々の人件費が大変です。また、ある程度以下の給付は切り捨てて、その分だけ保険料を安くするという要請は公的保険という性質上、大きいものと考えられます。

以上のことから待期期間は、損害保険の免責金額のような役目を果たしているものと思われます。

2017.12.01.解決社労士

<かつて流行った広告>

「社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)を減額できます」

こんな広告が流行っていた時期がありました。

その多くは、社労士(社会保険労務士)が出していたものです。

社会保険料を減額するということは、会社の負担も社会保険に加入している社員の負担も減ります。

社労士に報酬を支払ってでも、社会保険料を減額するのは得だという話でした。

その具体的な手法は、法による規制をかいくぐって行う脱法行為が中心でした。

 

<厚生労働省の対応>

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が予定通りに集まらなければ、年金制度や健康保険制度の維持に支障が出るかもしれません。

ですから、脱法行為による社会保険料の減額を厚生労働省が放置するわけがないのです。

結局、脱法行為が増えるたびに、厚生労働省が社会保険料の計算ルールを追加して、その脱法行為ができないようにしていったのです。

こうして社会保険料を減額する効果は失われていきました。

 

<保険のしくみ>

厚生年金保険も健康保険も「保険」です。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

特に、社会保険(厚生年金保険と健康保険)は保険者を選ぶことができません。

保険契約の内容も、制度として法定されています。

保険料を減額すれば、社会保険に加入している社員への補償(給付)も減額されるわけです。

 

<不当な保険料減額のリスク>

社会保険に加入している社員が将来もらう老齢厚生年金には、支払った保険料が反映されています。

もし、会社が違法なことをして少なめの保険料しか納めていなかったなら、老齢厚生年金も少なめになります。

こうした社員は、老齢厚生年金の受給額が不当に少ないと気付いたら、会社を訴えようとするかもしれません。

しかし、気付くまでに長い年数が経過して時効の壁があるでしょうし、会社が無くなっているかもしれません。

 

厚生年金保険に加入している社員が障害者になってしまい、障害厚生年金を受給するときに、受給額が不当に低いと気付けば、その時点で会社を訴えるかもしれません。

厚生年金保険に加入している社員が万一亡くなって、遺族が遺族厚生年金を受給するようになれば、遺族が会社を訴えるかもしれません。

 

健康保険に加入している社員が、プライベートの病気やケガで入院したような場合には、休業期間の賃金を補償するため傷病手当金が支給されます。

この支給額は、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

健康保険に加入している社員が、産休を取った場合にも、休業期間の賃金を補償するため出産手当金が支給されます。

この支給額も、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

病気、ケガ、出産をきっかけに退職を考える社員もいるでしょう。この場合には、会社を訴えたい気持ちも強くなると思われます。

 

<社会保険料を減額する方法>

社会保険料は、入社月について丸々1か月分が徴収されますから、1日に入社しても月末に入社しても保険料は同額です。

中途採用であっても、入社日は1日にするのがお得です。

 

社会保険料は、社会保険の資格を失った月の前月分までが徴収されます。たとえば退職の場合、資格を失うのは退職日の翌日です。

ですから、月末に退職すると翌月1日に資格を失うことになり、退職月の分まで保険料を徴収されることになります。

これが、月末以外の日に退職すれば、その月のうちに資格を失うことになりますから、退職月の保険料は発生しません。

退職は月末の1日前にするのがお得です。

 

社会保険料は、毎年4月から6月の給与支給額をもとに計算するのが原則となっています。

毎年4月から6月に支給される給与の計算期間は残業を減らしましょう。

たとえば、毎月末日締め切り翌月10日支払いの給与であれば、毎年3月から5月までの残業を減らすことになります。

また、昇給は7月支給分からにして、毎年4月から6月に支給される給与の増額を避けるという手もあります。

 

他にも、賞与の一部を退職金の積み立てに回すなど、使える手段は数多くあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

それでも、次のことを忘れてはいけません。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

ですから、保険料の減額は、どうやっても補償(給付)の減額に結びつきます。

このことをよく理解したうえで、会社と社員とがよく話し合い理解したうえで、実行に移すことが大事です。

また、適法に行うには、信頼できる国家資格者の社労士へのご相談をお勧めします。

 

2017.09.29.解決社労士

<無報酬の経営者>

会社の設立直後は利益が出ず、代表者は無報酬で頑張るということがあります。やがて利益が出たら、その利益に見合う報酬をもらうことにしようというわけです。

また、代表者の親族が名目的に役員に名を連ね、形式的に経営者扱いになっていることもあります。そして、この場合にも無報酬のことがあります。

 

<保険料負担の建前>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料は、その会社などで報酬を得て、その報酬の中から負担するというのが建前です。

ですから、無報酬なら保険料を負担することには無理があり、負担できないというのが常識的な判断になります。

 

<不都合の発生>

報酬が無かったり、低額だったりの場合には、健康保険料が国民健康保険料よりも安くて済みます。

また、出産手当金や傷病手当金といった給付を受けることもできます。

特に70歳以上であれば、厚生年金の加入義務がありませんから、保険料は健康保険料だけの負担となります。

こうしたことは、いかにも不公平で不合理に思われます。

 

<実際の運用>

無報酬の経営者は社会保険に加入しない、また、経営者が無報酬となった場合には社会保険の資格を失うというのが実際の取扱いです。

年金事務所でもこのように指導しています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

中には無理をして社会保険に加入していることにして、損をしている経営者の方もいらっしゃいます。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.07.解決社労士

<試用期間とは>

試用期間については、最高裁判所が解約権留保付労働契約だと言ったために、何か特別な契約期間であるかのように思われがちです。〔昭和441212日三菱樹脂事件判決〕

しかし、最高裁判所が試用期間について述べたのは、判決を下すのに必要があって述べたわけではなく、ついでに語っただけです。試用期間であれば、本採用後よりも解雇のハードルが低くなる趣旨のことを述べていますが、具体的に、どの項目についてどの程度低くなるのかは語っていません。

結局、試用期間も本採用後も労働契約の期間であることに変わりは無く、両者の違いを明確に説明することはできません。

それでも、試用期間であれば、本採用後とは違った扱いができるという勘違いは、多くの企業に存在しています。

 

<社会保険の加入基準>

週所定労働時間が正社員(フルタイムで働く正規職員)の4分の3以上で、月間所定労働日数も4分の3以上であれば、社会保険の加入基準を満たします。(特定適用事業所を除きます)

会社によって、正社員の所定労働時間・日数は違いますから、この基準は会社ごとに違うわけです。

加入の手続きを怠っていても、条件を満たすとともに加入したことになります。

そして、試用期間と本採用後とで加入基準の違いはありません。

基準を満たしている限り、試用期間の初日から社会保険に加入していることになります。

 

特定適用事業所とは、同一事業主(法人の場合はマイナンバー制度の法人番号が同一)の社会保険適用事業所の被保険者数(社会保険加入者数)が、1年で6か月以上500人を超えることが見込まれる法人・個人の事業所のことをいいます。 特定適用事業所は、平成2810月の健康保険・厚生年金保険の適用拡大により区分されました。

 

<年金事務所の指導>

算定基礎届提出時の調査の際には、試用期間中に社会保険の加入手続きをせず、本採用時に手続きをしている事業所に対して、試用期間の初日に遡って加入手続きをするよう、年金事務所の職員の方から指導があります。

そして、判明している社員については、遡って手続をするための書類も作成して、代表印の捺印もさせています。

こうして不足する期間の保険料については、他の社員の保険料とまとめて支払うことになります。

「でも、試用期間は社会保険に入れたくないのですが」というお話に対して、年金事務所の職員の方は、「それでは、試用期間中は1日の勤務時間や1か月の勤務日数を少なくして、社会保険の加入基準を満たさないようにしてください。それしかありません」という明快な説明をしています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険のルールは、基本的に全国統一でなければ不公平が発生してしまいます。ですから、会社オリジナルのルールで運用できる範囲は、極めて限られているのです。

そして、会社オリジナルのルールで運用したことによって、不利益が発生したことに気付いた退職者から申し出があれば、その損失を補てんすることになりかねません。

自社で行っていることに不安を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.28.解決社労士

<算定基礎届提出時の調査>

6月中旬、会社宛てに算定基礎届の用紙、総括表、総括表附表が郵送されてきます。このとき、提出日時を指定する内容のお手紙が同封されていることがあります。

一般には、算定基礎届関係の書類は事務センターに郵送するのですが、提出日時を指定された場合には、管轄の年金事務所に持参ということになっています。

提出にあたっては、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、源泉所得税領収証書などの書類や事業主印を持参するように案内されています。

そして、お手紙には「調査」という文字が入っていて、驚いてしまうかもしれません。何か不正を疑われているのか、怪しいと思われているのか、なぜ自分の会社が対象となったのかについての説明はありません。

実は、3年から5年に1回の間隔で、すべての事業所が調査対象となっています。無作為抽出なわけで、年金事務所が何かの意図をもって選んでいるわけではありません。

 

<調査の趣旨>

お手紙には、調査の趣旨として「社会保険適用の適正化」とだけ書かれています。

具体的には、次のような点が調査の対象となっています。

・社会保険の加入条件を満たす人について加入の届けがあるか

・社会保険の加入条件を満たしていない人が加入扱いになっていないか

・加入したときの報酬の届け出の金額が正しいか

・算定基礎届の内容が正しいか

・報酬が大きく変動して一定の条件を満たした場合の届け出があるか

これらの手続きについて、税理士などに頼んでしまっている会社もあります。しかし、税理士は年度単位で集計するのに対し、算定基礎届以外の手続きは日常的に発生します。そもそも、税理士の仕事ではなくて、社会保険労務士でなければ業務として行えない手続きなのです。〔社会保険労務士法27条〕

ですから、こうした手続きを顧問の税理士などが、きちんとできなくても仕方が無いですし、そもそも頼んではいけないのです。

 

<不備が見つかった場合>

手続きの誤りや不足を指摘されると、さかのぼって正しい手続きを行うことになります。保険料についても、支払い過ぎは還付されますし、不足はまとめて徴収されます。

社会保険料は高いですから、まとめて徴収されるのは辛いです。反対に還付されるのも、無利子で多額の金銭を貸し付けていたようなものですから喜べません。

社会保険というのは条件を満たせば自動的に加入しています。手続きをしていないのは、手続きをサボっているだけで、加入手続きをしなければ加入しないことになるわけではありません。赤ちゃんが生まれた時、出生届を出さなければ戸籍が無いだけで、赤ちゃんの存在が否定されるわけではないのと似ています。

 

<書類の追加郵送>

調査に必要な書類が不足している場合には、後から管轄の年金事務所に郵送するよう求められます。

そもそも調査の具体的な趣旨が示されていませんので、どのような書類が必要なのか、本当のところはわからなかったわけですから仕方ありません。

もっとも、調査の趣旨を良くわかるようにして案内を出していたら、多くの会社は尻込みしてしまうでしょう。

調査の趣旨を具体的に示さないのは、それなりの意図があるのかもしれません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

算定基礎届の提出日時を指定されたら、相談相手は税理士ではなくて社労士です。

このことは、税理士に確認すればすぐにわかります。ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.27.解決社労士

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

従業員から会社の責任者などに「約束通りにシフトに入れてください」と言うか、「実際の勤務に合わせて雇用契約書を作り直してください」と言うべきです。

 

<所定労働時間が無い?>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

2017.06.24.解決社労士

<社会保険への加入拒否>

社会保険への加入基準を満たす労働契約を会社と交わしたら、自動的に社会保険に加入します。

これは、赤ちゃんを産んでおきながら出生届を提出しなくても、生まれなかったことにはならないのと同じです。

ですから、一定以上の週所定労働時間、月間所定労働日数の約束で働き始めておきながら、社会保険への加入を拒否するというのは、法的には意味がありません。

会社は、本人が拒否していても、法令により社会保険加入手続きが義務づけられていますから、その義務に従って加入手続きを行うのが、法的には正しいということになります。

 

<会社が一方的にシフトを減らす行為>

会社は、本人が社会保険への加入手続きに反発したのに対抗して、加入基準を下回る一定未満の週所定労働時間、月間所定労働日数でシフトを組んだのでしょう。

しかし、本人の了解を得ることなく、このようなことをしても無効です。

会社は、社会保険への加入基準を満たす労働契約を交わしたのですから、これに拘束されます。本人との合意なしに労働契約の内容を変えることはできません。

 

<ではどうすれば良かったのか>

会社は、求人広告で所定労働時間や所定労働日数を示し、社会保険への加入も表示していたことでしょう。

そうでなくても、採用にあたって労働条件を再確認しています。

それにも拘わらず、本人が社会保険への加入を拒否するのであれば、社会保険の加入基準は客観的なものであり、本人の意思とは無関係であることを説明したうえで、一定の期限を設けて次のうちから1つを選択してもらうようにします。

・入社を取りやめる

・会社の社会保険加入手続きに合意する

・加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する

期限内に回答が無ければ、原則通り社会保険の加入手続きをおこなうこととしておきます。

また、「加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する」という選択肢は、会社の自由な意思によりサービスで設けるものですから、無くてもかまいません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

結局、このケースでは直接の法令違反も不法行為も無いので、違法の問題は存在しません。

ところが労働法に明るくない人が、「社会保険への加入を拒否したらシフトを減らされたのは違法ではないか」と問われたら戸惑ってしまいます。

何かおかしいと感じた時は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.05.解決社労士

<社会保険の加入基準>

社会保険の加入基準のうち、労働時間・日数については、労働契約によって定められた所定労働時間・所定労働日数が基準になります。

かつては、今後1年間の見込や勤務の実態が基準とされていたのですが、平成28101日に、基準のあいまいさが解消され明確化されました。

労働契約の内容は、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されたものですから、実態として妊婦さんの早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。

 

<産前産後の社会保険加入者の権利>

少子高齢化の傾向から、社会保険にも少子化対策が反映され、産前産後の加入者(被保険者)の権利は強化されています。

まず、産休(産前産後休業)と育休(育児休業)の間は、社会保険料が免除されます。かつては、育休中だけでしたが、産休中にも拡大されました。

また、産休中の生活保障のため健康保険から出産手当金が支給されます。かつては、賃金の60%の保障でしたが、66.6%に引き上げられました。

さらに、出産費用補てんのため、健康保険から1児につき原則として42万円が支給されます。この出産育児一時金も、最初は30万円でしたが数次にわたり増額されてきましたし、さらに増額が検討されています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

妊婦さんについて、社会保険から抜けることが検討されるなど、国の政策に反するような動きが出た場合、それが適法なのか妥当なのかについて、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.23.解決社労士

<資格取得時決定>

従業員の所定労働日数や所定労働時間が増加して新たに社会保険に加入する場合や、事業所が従業員を新たに雇用した場合には、その従業員に新たな労働条件で報酬を支払った実績がないため、事業主は就業規則や労働契約などの内容に基づき、以下の「資格取得時の決定」の規定に則って加入者(被保険者)の報酬月額を届け出ることとなります。

 

<標準報酬月額の決定方法>

1.月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合

被保険者の資格を取得した日現在の報酬額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額

2.日、時間、出来高または請負によって報酬が定められる場合

被保険者の資格を取得した月の前1か月間にその事業所で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額

3.上記1.または2.の方法では報酬の算定が困難である場合

被保険者の資格を取得した月の前1か月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額

4.上記1.から3.の複数に当たる報酬を受ける場合

各々の報酬について上記1.から3.によって算定した額の合算額

 

<標準報酬月額の適用期間>

決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月までの各月に適用されます。

ただし、被保険者が6月1日から12月31日までの間に資格取得した場合は、資格取得した月から翌年の8月までの各月に適用されます。

 

<訂正が必要な場合>

事業主は、被保険者が資格を取得した日から5日以内に、被保険者資格取得届を日本年金機構(事務センター又は年金事務所)へ提出します。

提出した後で誤りが見つかった場合や、実際の報酬が見込みと大きく異なった場合には、届出の取消しと遡っての届出を同時に行う形で、修正を行うことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なことは、お近くの年金事務所でご確認いただけますが、尋ねにくかったり、どのように相談したらよいか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.20.解決社労士

<覚書の効力>

新規採用のフリーターが、社会保険の加入基準を満たしているにもかかわらず、社会保険は親の扶養に入っていたいから、手取りが減るのは嫌だからといった理由で、加入を拒むことがあります。

こんなとき、「社会保険の未加入を希望します。御社にご迷惑をお掛けしません」という誓約書や覚書は効力がありません。

 

<ベニスの商人>

シェイクスピアのベニスの商人では、主人公が悪名高い金貸しに金を借りに行き、「指定された日付までに借りた金を返すことが出来なければ、身体の肉1ポンドを与えなければいけない」という契約書を交わします。

ところが主人公は借金を返せないので、金貸しは主人公を裁判に訴え、主人公の身体の肉1ポンドを要求します。

裁判では「肉は切り取っても良いが、契約書にない血を1滴でも流せば、契約違反として全財産を没収する」とされたという話です。

社会保険の加入基準を満たしているのに加入しない、加入させないというのは違法です。違法な内容について、誓約書や覚書を作っても無効です。

そもそも加入基準を含め、社会保険についてのルールは国が定めていますから、国との間で合意するのではなく、会社と従業員とで勝手に合意することは無意味なのです。

 

<かつて流行った悪行>

10年余り前のことですが、次のような困ったことがフリーターの間に、クチコミで広まりました。

会社に採用されたフリーターが、社会保険への加入を拒みます。「加入するなら退職する」とまで言われ、会社はやむなくこれに応じます。

1~2年後、フリーターは退職を申し出て、退職後に社会保険事務所(現在の年金事務所)に給与明細書などを持って行き、「こんなに働いているのに社会保険に入っていませんでした」と申し出ます。

会社に指導が入りますから、やむなくさかのぼっての加入手続きをします。保険料の支払い義務は第一に会社が負っていますから、会社が保険料を支払って、この退職したフリーターに本人負担分を請求しますが、もちろん無視されます。

こうして、このフリーターは保険料を支払わずに社会保険に加入できるのです。

 

<ではどうするか>

社会保険に加入するか、それとも、社会保険の加入基準を下回る勤務日数、勤務時間の労働契約で働くか、二つに一つだということです。

人手不足なので悩ましいですが、うっかり応募者の口車に乗って、やってはいけないことに同意してしまうと、後から会社に損失をもたらしかねないのです。

 

2017.04.07.解決社労士

<疑問点>

退職の翌月に、会社から保険料の本人負担分の請求が来ることもあり、来ないこともあります。どのように場合分けされているのでしょうか。

 

<保険料徴収の仕組み>

社会保険料は、本人負担分を給与から控除し、会社がこれに会社負担分を足して納付します。直接の納付義務は会社にあります。

そして、保険料の納付期限は翌月末です。4月分の保険料の納付期限は5月末です。

 

<退職と保険料の発生>

退職者は原則として、退職日の翌日に社会保険の資格を失います。そして、資格喪失日の前日が属する月までの社会保険料を負担します。

ですから、月末に退職した場合には、その月の保険料を負担します。しかし、月末以外の日に退職した場合には、前月までの保険料を負担します。

4月30日に退職の場合には、4月分の保険料を負担するのですが、4月12日に退職の場合には負担しません。

 

<給与から控除される保険料>

たとえば、給与が毎月20日締め切り、当月25日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料が控除されます。5月に支給される給与は、4月21日から4月30日までの給与ですから、月給の3分の1程度でしょう。

またたとえば、給与が毎月25日締め切り、当月末日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、やはり通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料を控除したいところですが、5月に支給される給与は、4月26日から4月30日までの給与ですから、月給の6分の1程度でしょう。この少ない給与から、住民税や所得税などと共に社会保険料を控除するのは、ちょっと無理かもしれません。ですから、別途退職者に請求する場合があるのです。

退職日が予めわかっている場合には、最後の給与から2か月分の保険料を控除することもあるのですが、急な解雇の場合などには間に合いませんから、退職後の請求になりやすいのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

また、急な解雇は不当解雇であることが多いものです。この点についても、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.04.解決社労士

<強制加入ということ>

社会保険は強制加入です。この点が、民間の生命保険などとは大きく異なります。

1か月の所定労働日数、1週間の所定労働時間などの加入基準を満たせば、手続きをしてもしなくても、法的には社会保険に加入していることになります。

ですから、厳密には「加入を拒否」ではなくて、「加入手続きへの協力を拒否」ということになります。

 

<会社のとるべき行動>

本来は国の広報が果たすべき役割なのですが、加入手続きに非協力的な従業員に対しては、会社が教育しなければなりません。

会社は、従業員が拒んでも加入手続きが法的に強制されているので、協力してもらわないと困るのだということを説明します。

ただ強制加入とはいえ、給与の手取り額が減ることも事実です。社会保険料の支払いに見合うメリットがあることを教える必要もあります。

 

<社会保険のメリット>

厚生年金は、保険料の半分を会社が負担し、国民年金よりも多額の老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が支給されます。平成298月以降は、保険料の納付が10年以上あれば、老齢厚生年金の受給資格を得られるようになります。

健康保険も、保険料の半分を会社が負担し、プライベートのケガや病気で、長期間仕事ができない場合に、賃金の約66%が補償される傷病手当金などがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険、労働保険、労務管理などについての教育も、社労士の専門分野です。保険料の仕組みや給付などについて、きちんと理解すれば、むしろ加入を希望するはずの公的保険制度です。困ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

 2017.03.07.解決社労士

<社会保険の加入基準>

大多数の会社では、1週間の所定労働時間が30時間以上で、1か月の所定労働日数が17日以上の従業員は、原則として社会保険の加入基準を満たすことになります。

そして、一度この基準を満たし社会保険に入った後で、労働時間が減少し、この基準を下回った場合には、社会保険から抜けるのが原則となります。

ただし、基準を下回るのが12か月程度で、やがて元の状態に戻ることが見込まれるなら、社会保険に入ったままとなります。

 

<労働契約(雇用契約)の変更>

労働時間が減少し、その状態が長く続くと見込まれる場合には、労働契約を変更する必要があります。

労働契約の変更は口頭でも可能ですが、労働条件は使用者から労働者に書面で示されるのが原則ですから、労働契約書の内容を改定し、新しい労働契約書を交わすのが一般的です。

実体に合わせて労働契約書を変更しておかないと、たとえば年次有給休暇の付与日数が変更されているのに、これに気付かないなどの不都合があります。

たとえば週5日勤務の従業員が、週4日勤務になって1週間の所定労働日数が30時間を下回れば、付与日数は減少します。

ところが、労働契約をそのままにしておいて、週5日勤務の契約で週4日の出勤となると、出勤率が8割を下回り、年次有給休暇が付与されないことにもなりかねません。

やはり、労働契約書は勤務の実態に合わせて改定しておくことをお勧めします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

顧問の社労士がいれば、従業員ひとり一人の勤務時間などの実態に合わせ、社会保険や雇用保険で必要な手続きや、労働契約の変更について、タイムリーに対応することができます。

しかし、社内に対応できる社員がいなければ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.11.解決社労士

<社会保険加入基準>

大企業(特定適用事業所)の例外はありますが、原則として、臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が正社員の4分の3以上というのが社会保険加入基準です。

万一、週の所定労働時間が定まっていない場合には、次の計算によって算定します。1年間の月数を「12」、週数を「52」として週単位の労働時間に換算するものです。

・1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間×12か月÷52週

・1年単位で定められている場合は、1年間の所定労働時間÷52週

・1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合は、その平均値

 

<正社員がいない場合>

この基準は、正社員の存在が前提になっています。

しかし、小規模の飲食店が1店舗のみの会社などでは、経営者の他にはパートとアルバイトだけで、正社員はいないという場合があります。

この場合には、もしその会社に正社員がいたとしたら、週何時間勤務で、月何日勤務になるかを想定して、その4分の3を基準とします。

一般には週40時間が法定労働時間ですが、従業員が10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業では、週44時間が法定労働時間となります。

ですから、この制限内で正社員の労働時間を想定することができます。

こうした会社で、週27時間勤務のパートがいた場合に、正社員の所定労働時間を週40時間と想定すれば、その4分の3にあたる30時間を下回るので、社会保険には入りません。しかし、正社員の所定労働時間を週36時間と想定すれば、その4分の3は27時間ですから、社会保険に入ることになります。

こうして、正社員のいない会社では、正社員の所定労働時間と所定労働日数の想定の仕方によって、ある程度は加入基準を選ぶことができるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

何事にも原則と例外があって、労働関係では、その区分が必ずしも「常識」に従っていないことが多いのです。

従業員のうち誰が、社会保険、雇用保険、労災保険の対象なのか、信頼できる社労士(社会保険労務士)に確認させることをお勧めします。

 

2017.02.02.解決社労士

<制度の趣旨と加入>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)は、会社などで働く「勤め人」が、収入に応じて保険料を出し合い、いざというときの生活の安定を図る目的で作られた制度です。

勤め人個人や事業主が希望して契約・加入する保険ではなく、法律により加入が強制され、手続きが義務づけられています。

一定の条件を満たせば、加入することになり、事業主に加入手続きが義務づけられています。手続きをしなくても、加入していることになり、事業主に保険料の納付義務も発生しています。

これは、赤ちゃんが生まれれば、出生届を出さなくても、生まれた事実に変わりはなく、親はその子をきちんと育て、学校にも通わせなければならないのと似ています。

 

<強制加入の事業所>

健康保険と厚生年金保険は、事業所を単位として適用されます。

常時5人以上の従業員を使用している事業所(事務所、工場、店舗など)は、強制的に加入させられる「適用事業所」です。

また、法人事業所は従業員が5人未満でも「適用事業所」です。つまり、法人の場合には、事業主1人だけの事業所であっても強制加入となります。

なお、

5人未満の個人事業所と、5人以上であってもサービス業の一部や農業・漁業などの個人事業所は、強制加入とはなりません。

 

<任意加入の事業所>

従業員が5人未満の個人事業所などでも、条件を満たせば厚生労働大臣の認可を受けて、適用事業所となることができます。

この認可の権限は、厚生労働大臣から日本年金機構理事長に委任されています。

認可を受けるには、その事業所の従業員の2分の1以上の同意を得て行います。この場合には、同意せず加入を希望しない従業員を含めて加入することになります。

具体的な手続きについては、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.19.

<「ねんきん定期便」に基づく従業員からの申し出>

「ねんきん定期便」は個人の自宅に届きますから、「賞与の分が年金記録からもれている」という指摘が、従業員から会社に対して行われることがあります。

会社が設立以来初めて賞与を支給したような場合には、会社の担当者が、手続きを知らなかったこともありえます。

早く気づけば、すぐに年金事務所に書類を提出すれば良いのですが、賞与を支払ってから既に2年以上経過している場合には、時効期間の問題もあります。

 

<でも大丈夫>

会社から自主的に届出もれがあったことを申し出る場合には、「事業主からの自主的な申出にかかる申出者リスト」(賞与支払届提出もれ用)という書類が用意されています。

この書類を、事業所を管轄する年金事務所の窓口に持参して相談します。

この「申出者リスト」に基づき、届出もれとなっている従業員に、その従業員の住所地を管轄する年金事務所より「お知らせ文書」が郵送されます。

そして「お知らせ文書」を受け取った従業員は、年金事務所の窓口で記録を確認することになるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

上記の「申出者リスト」については、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。これに必要事項を記入して、所轄の年金事務所に持参すれば良いのです。

しかし、この手続きをするにあたって不安なことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。こうした手続きを代行することも社労士の業務の一つです。

 

2016.12.03.

<様式変更の内容>

マイナンバー法の施行にともない省令が改正され、平成29年1月から社会保険関係の様式が変更される予定です。

現在は、健康保険・厚生年金保険の資格取得届、氏名変更届、資格喪失届に個人番号の記載欄が追加された様式の案が発表されています。

 

<経過措置>

様式変更による不都合を避けるため、以下の経過措置が設けられる予定となっています。

○健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、健康保険組合の加入者の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式と改正後の様式のどちらでも使用できます。

・健康保険について、提出先が健康保険組合の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式の備考欄等に個人番号を記入することにより使用できます。

○協会けんぽ(全国健康保険協会)または国民健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、協会けんぽまたは国民健康保険組合の加入者の場合は、当分の間、改正前の様式を使用します。

・提出先が厚生労働大臣または日本年金機構である場合の健康保険の手続(協会けんぽ加入者の手続)には、当分の間、改正前の様式を使用します。

 

<個人番号(マイナンバー)記入の免除>

以下の健康保険の届出等について、提出先が日本年金機構である場合には、当分の間、個人番号の記入が求められません。

・二以上事業所勤務届

・住所変更届

・給付制限事由該当等の届出

・被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

・被扶養者異動届

・育児休業等終了時報酬月額変更届

・産前産後休業終了時報酬月額変更届

・日雇労働者の適用除外申請

・日雇特例被保険者手帳の交付申請

・育児休業等取得者申出書

・産前産後休業取得者申出書

 

2016.11.29.

<事業所検索システム>

全国の事業所の厚生年金保険・健康保険の加入状況を、誰でも簡単に確認することができるようになりました。

これを使えば、求人広告を出している会社の社会保険加入状況がすぐにわかります。

平成2810月からは、同一事業主の適用事業所の加入者数の合計が、常時500人を超える場合「特定適用事業所」とされ、正社員の半分以上の時間働くパート社員など短時間労働者も、社会保険に入るようになりました。この「特定適用事業所」かどうかも確認できます。

週20時間台での勤務を考えている場合、社会保険に入るかどうかは大きな問題です。原則として「特定適用事業所」なら社会保険に入りますし、そうでなければ入りません。

 

<検索の方法>

「漢字で検索する」「カナで検索する」「法人番号で検索する」のうちから1つを選び、「事業所名称」「事業所所在地」「法人番号」のどれかを入力すれば、条件にあてはまる厚生年金保険・健康保険に加入している事業所(適用事業所)や厚生年金保険・健康保険から脱退した事業所(全喪事業所)の情報を、一覧で閲覧することができます。

 

https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

↑こちらが日本年金機構の検索ページです

 

<加入逃れもバレます>

この検索システムを使えば、社会保険の加入逃れをしている事業所もわかります。摘発される前に、自主的に手続きをした方が賢いと思います。

 

手続的なことで迷うようでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.04.

<社会保険の加入基準の客観性>

健康保険と厚生年金の加入基準(資格取得基準)は、客観的に決まっています。そして、手続きをする/しないとは関係なく、基準を満たせば加入したことになります。

例えるなら、役所に出生届を提出する/しないに関係なく、赤ちゃんが生まれたという事実に変わりは無いのと同じです。出生届を提出しないからといって、その赤ちゃんが消滅するわけではなく、人権を無視できるわけでもありません。

社会保険の加入手続き(資格取得手続き)をしなくても、それは手続きが遅れているだけで、後から手続きすれば、さかのぼって効力が認められ、保険料が徴収されるということです。

 

<保険料の負担>

健康保険も厚生年金も、第一に利益を受けるのは加入者(被保険者)です。しかし、保険料は事業主と加入者とで折半します。そこで、従業員が基準を満たしているのに、つまり社会保険に加入しているのに、手続きをしないという不正が発生します。

もし、加入基準を満たしているのに、会社が手続きをしてくれなかったら、年金事務所などに相談です。

 

<従業員からの拒否>

従業員が基準を満たしていれば、会社は加入手続きをする義務があります。たとえ従業員が拒んでも同じです。「本人の希望」は関係ないのです。

会社としては、そのような従業員に対して、社会保険加入のメリットを説明して、気持よく手続きに応じるよう努めるでしょう。

もし、従業員が正しく理解していれば、社会保険への加入手続きを拒むことは無いでしょう。

 

<社会保険に加入したくない場合>

所定労働時間や所得を抑えて、社会保険の加入基準以下で勤務できるよう、会社と相談してはいかがでしょうか。

また平成2810月から、それまでの社会保険加入者数が500人を超えるような大きな会社では、加入基準が引き下げられています。そのため、大きな会社で勤務していて、基準変更によって新たに社会保険に入ることとなったのであれば、小さな会社に転職して加入しないようにすることも考えられます。

 

2016.10.18.

<保険料の納付期限>

厚生年金保険料、健康保険料、船員保険料、児童手当拠出金は、翌月末が納付期限となっています。

口座振替または納入告知書により納付することになっています。

 

<納付期限までに納付されない場合>

電話や文書によって年金事務所などへの来所を求め、また、事業所を訪問し、納付督励を行い早期の完納を促します。

さらに、厚生年金保険料などを納付期限までに納めない事業所に対しては、督促状を送付するとともに、電話などによる納付督励を行います。督促状で指定した期限までに完納されない場合、滞納保険料などを回収するための滞納処分に入ります。

なお、事業所の実情によっては、分割納付による完納を認め、早期に完納される場合は、指定した期限を過ぎても滞納処分は猶予されます。

しかし、納付督励によって完納の見込が立たない場合には、財産調査を行い、必要に応じ滞納処分(差押え・換価)を行います。

なお、滞納額が高額で悪質な滞納事業所については、国税庁に徴収を委任する仕組みがあります。

 

<滞納処分の流れ1 納付指導>

納付指導により作成する納付計画は、原則として毎月分の保険料の納付と、滞納している保険料の分割納付により、できるだけ早期に滞納が解消されるような計画とします。分割の金額については、事業の経営状況などを踏まえ、適切と考えられる金額に設定するようにしています。

 

<滞納処分の流れ2 財産調査>

財産調査は、取引先金融機関に預金残高の確認を行うほか、必要に応じ取引先企業全般に対し売掛金などの債権の有無を調査します。

また、滞納事業所の不動産など、財産全般についても調査を行います。

 

<滞納処分の流れ3 差押え・換価>

財産調査の結果把握した不動産、預金、売掛金債権などについて、必要に応じ差押えを行います。

預金や売掛などの債権類については速やかに取り立てて収納し、不動産などで換価が必要なものは、公売によって金銭化した後に保険料などとして収納します。

 

<滞納処分の流れ4 滞納整理の国税庁委任>

納付指導に従わないなど悪質な滞納事業所については、国税庁に保険料などの徴収を委任することができるようになっています。

 

<延滞金>

厚生年金保険料などを滞納し、督促状の指定期限日までに完納しないときは、納期限の翌日から完納の日の前日までの期間の日数に応じ、保険料額(保険料額に1,000円未満の端数があるときは、その端数を切捨て)に一定の割合を乗じて計算した延滞金が徴収されます。

最初の3か月:年利2.8%(平成27年)

3か月超の期間:年利9.1%( 〃 )

 

2016.08.06.

<試用期間と社会保険>

社会保険は試用期間の初日から加入します。

たしかに、2か月以内の期間を定めて使用される人は社会保険に加入しません。結果的に契約期間を延長することになったら、加入することになるだけです。

しかし、「試用期間」という場合、試用期間が2か月なら2か月で契約終了というわけではなく、その後本契約に移行するわけですから、「2か月以内の期間を定めて使用される」という場合にはあてはまりません。

 

<試用期間に加入基準を満たさない場合>

平成28年10月に法改正される前の話ですが、たとえば正社員が1日8時間、週5日勤務の会社で、試用期間の契約社員は1日5.5時間、週5日勤務という契約にすれば、試用期間は加入基準を満たしませんので、社会保険には加入しないということになります。

これは、違法でも脱法でもありません。

とはいえ、このような条件で入社することを希望する応募者がどれだけ集まるかは疑問です。

 

2016.07.05.

<保険者算定>

一般的な方法によって報酬月額が算定できない場合や、算定結果が著しく不当になる場合は、保険者等(年金事務所または健康保険組合)が特別な算定方法により、報酬月額を決定することとしています。

この算定方法を「保険者算定」といいます。〔健康保険法44条、厚生年金法24条〕

算定対象月に減給処分があった場合は、まさにこの「保険者算定」をする場合にあたります。

ところが、このケースは特殊なので、手引き類にも見当たりません。ですから、直接、年金事務所や協会けんぽの支部、あるいは健康保険組合に問い合わせるということになります。

実際、健康保険組合によってルールが違うようですし、すべての年金事務所で同じ回答が得られる保証もありません。

ただ、随時改定については「減給処分は固定的賃金の変動にはあたらない」という運用基準がありますから、減給処分がなかったものとして修正平均額を算出するのが主流と思われます。

 

<もう一つの留意点>

減給処分は、一つの懲戒処分では平均賃金の1日分の半額が限度です。〔労働基準法91条〕

これは、月給が30万円だと、30万円÷30日÷2=5千円というのが限度額になります。

また、いくつもの懲戒処分が重なった場合でも、その総額は賃金1か月分の10分の1が限度です。〔労働基準法91条〕

これは、月給が30万円だと、30万円÷10=3万円というのが限度額になります。

そして、ある月に減給処分があっても、算定対象月は3か月ありますから、その影響は、1つの懲戒処分で1,667円、複数の懲戒処分が重なって1万円が限度ということになります。

もし、定時決定(算定基礎届)の担当者が、算定方法に悩むほどの減給であれば、労働基準法の限界を超える減給がされていないかチェックする必要がありそうです。

 

2016.07.03.

<全く支払わないケース>

厚生年金の加入基準を満たしている従業員について、加入手続きを行わなければ、会社は従業員分と会社分の両方について、保険料を不正に免れることになります。

この場合、年金事務所や会計検査院の調査が入れば、不正がバレて会社が是正を求められます。今後、マイナンバーの社会保険への導入が行われれば、手間のかかる調査をしなくても手軽に不正をあばけるようになります。

また、加入基準を満たす従業員が、年金事務所に労働時間/日数の資料を持参して相談すれば、勤務先の会社に調査が入ります。

 

<金額をごまかすケース>

従業員の給与から控除する保険料は正しい金額でも、その一部を会社が着服して、残りを納付するということがあります。

たとえば、従業員の月給が30万円で、これに応じた保険料を給与から控除しておきながら、日本年金機構に月給20万円で届を出しておけば、月給20万円を基準に計算した保険料の納付で済みます。

この場合、年金事務所や会計検査院の調査が入れば、不正がバレて会社が是正を求められます。

また、日本年金機構から毎年1回、誕生月に厚生年金保険の加入者(被保険者)にも、年金加入記録を確認してもらうため「ねんきん定期便」が郵送されています。これを見れば、保険料の基準となっている給与や賞与が正しいか確認できます。

 

<もしもごまかされていたら>

労働時間/日数や給与・賞与、保険料として天引きされている金額などの資料をきちんと保管しましょう。退職直後に、厚生労働省や総務省に調査してもらいましょう。在職中に調査が入ると、会社から退職に追い込まれることがありえます。

また、会社の手続きに社会保険労務士が関与しているようでしたら、都道府県の社会保険労務士会にもご相談ください。こちらも退職後がお勧めです。

 

2016.06.06.

<法令などの社会保険加入基準>

会社で働く人は、一定の条件を満たした場合、社会保険(健康保険と厚生年金)に入らなければなりません。会社には、入らせる義務があります。

その一定の条件とは次の3つです。

・会社が社会保険に加入している事業所(適用事業所)であること

・正社員など正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数があること

・臨時、日雇い、季節的業務で働く人ではないこと

 

<実践的な社会保険加入基準>

雇い入れ通知書、労働条件通知書、労働契約、就業規則などから、今後1年間の勤務を予測して、正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数が見込まれるなら、社会保険に加入となります。

また、この基準で対象外とされても、現実に3か月連続で正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数の実績が発生すれば、年金事務所では社会保険への加入を指導します。

 

<社会保険に入る入らないの損得>

プライベートのケガや病気で働けないとき、健康保険なら傷病手当金によって給料の67%が保障されます。この傷病手当金は、国民健康保険にはありません。

年金は、国民年金よりも厚生年金のほうが、将来受け取る老齢年金も、万一の場合に受け取る障害年金も金額が多いのが一般です。

保険料の負担は、社会保険なら会社が半分負担で、国民年金や国民健康保険では全額自己負担です。それでも、給料から控除される社会保険の保険料は多額だと感じられます。会社にとっては、従業員が社会保険に入ると会社の保険料負担が発生しますから、入って欲しくないと考えるかもしれません。

結局、将来の生活や万一のことを考えると社会保険に入るのが得で、今の生活費を重視するならば入らないほうが楽といえそうです。

 

<シフト調整が正当な場合>

たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合に、労働契約で所定労働時間が1日7時間、1週28時間、週4日勤務のシフト制で働く従業員は、社会保険には入らないことになります。

労働契約上も、社会保険に入らないことになっているので、会社も従業員も入らない前提です。この場合に、この前提が崩れないように、労働契約の範囲内でシフト調整するのは正しいことです。

 

<シフト調整が不当な場合>

たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合に、労働契約で所定労働時間が1日7時間、1週35時間、週5日勤務のシフト制で働く従業員は、社会保険に入ることになります。

もし、社会保険料の負担を逃れるなどの目的があって、会社が社会保険に入る手続きを怠れば、それ自体違法ですし、シフト調整は単なる悪あがきにすぎません。

また、最初から雇い入れ通知書、労働条件通知書、労働契約がないのは、それ自体違法ですし、社会保険加入基準を満たさないようにシフト調整をするというのはおかしなことです。年金事務所の調査が入っても指摘を逃れるかもしれませんが、労働基準監督署の調査が入ればアウトです。

 

<結論として>

わざとシフト調整して社会保険に入れない企業があったとして、それが正しいのか、それともブラックなのかは、労働契約の内容次第だということになります。

 

2016.05.20.

<保険料控除の趣旨>

保険料控除は、所得控除の1つです。支払った保険料に応じて、一定の金額が保険料負担者のその年の所得から差し引かれる制度です。税率を掛ける前の所得が低くなることにより所得税、住民税の負担が軽減されます。

私たちに何か事故があって、本来であれば国が救済にあたるべき場合でも、私たちが自主的に保険に入っていれば、万一のときに国の負担が軽減されるため、その分、税金を優遇しようという趣旨です。

 

<会社での手続き>

従業員が控除対象となる生命保険、地震保険、社会保険に加入している場合、会社に「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」を提出してその内容を伝えます。

この申告書の左側2/3が生命保険と地震保険の記入欄、右下1/4が社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除の記入欄です。

生命保険料控除には、介護保険料控除や個人年金保険料控除を含みます。

地震保険料控除には、旧長期損害保険料控除に関する経過措置を含みます。

社会保険料は、主に扶養家族の国民年金保険料と国民健康保険料です。

保険料控除には、原則として控除証明書の添付が必要です。

たとえば、生命保険料控除証明書は10月中旬から11月頃にかけて、保険会社から従業員の自宅に送られてきます。あらかじめ従業員に告知しておくことも必要でしょう。

 

2016.03.03.

<厚生年金保険料の給与天引き>

会社は、厚生年金加入者(=被保険者)の給与から厚生年金保険料を控除します。

控除する金額は、その被保険者の標準報酬月額に保険料率を乗じた額の半額となります。保険料は会社と被保険者が折半するからです。

控除する金額=その被保険者の標準報酬月額×保険料率÷2

1円未満の端数が生じるときは、四捨五入して円単位にします。

 

<標準報酬月額とは?>

厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料の計算に用います。

現在の標準報酬月額は、1等級(9万8千円)から30等級(62万円)までの30等級に分かれています。

 

<定時決定と随時改定>

毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。

また、報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。

 

<注意ポイント>

随時改定のしくみは、実際にはかなり複雑です。

社会保険労務士であれば、よく理解しているのですが、他の士業の方の中には、定時決定しか知らない方も多いのが実態です。

手続きを外注している場合には、一度社労士のチェックを受けることをお勧めします。

 

2016.03.02.