社会保険の記事

<強制加入ということ>

社会保険は強制加入です。この点が、民間の生命保険などとは大きく異なります。

1か月の所定労働日数、1週間の所定労働時間などの加入基準を満たせば、手続きをしてもしなくても、法的には社会保険に加入していることになります。

ですから、厳密には「加入を拒否」ではなくて、「加入手続きへの協力を拒否」ということになります。

 

<会社のとるべき行動>

本来は国の広報が果たすべき役割なのですが、加入手続きに非協力的な従業員に対しては、会社が教育しなければなりません。

会社は、従業員が拒んでも加入手続きが法的に強制されているので、協力してもらわないと困るのだということを説明します。

ただ強制加入とはいえ、給与の手取り額が減ることも事実です。社会保険料の支払いに見合うメリットがあることを教える必要もあります。

 

<社会保険のメリット>

厚生年金は、保険料の半分を会社が負担し、国民年金よりも多額の老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が支給されます。平成298月以降は、保険料の納付が10年以上あれば、老齢厚生年金の受給資格を得られるようになります。

健康保険も、保険料の半分を会社が負担し、プライベートのケガや病気で、長期間仕事ができない場合に、賃金の約66%が補償される傷病手当金などがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険、労働保険、労務管理などについての教育も、社労士の専門分野です。保険料の仕組みや給付などについて、きちんと理解すれば、むしろ加入を希望するはずの公的保険制度です。困ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

 2017.03.07.解決社労士

<社会保険加入基準>

大企業(特定適用事業所)の例外はありますが、原則として、臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が正社員の4分の3以上というのが社会保険加入基準です。

万一、週の所定労働時間が定まっていない場合には、次の計算によって算定します。1年間の月数を「12」、週数を「52」として週単位の労働時間に換算するものです。

・1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間×12か月÷52週

・1年単位で定められている場合は、1年間の所定労働時間÷52週

・1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合は、その平均値

 

<正社員がいない場合>

この基準は、正社員の存在が前提になっています。

しかし、小規模の飲食店が1店舗のみの会社などでは、経営者の他にはパートとアルバイトだけで、正社員はいないという場合があります。

この場合には、もしその会社に正社員がいたとしたら、週何時間勤務で、月何日勤務になるかを想定して、その4分の3を基準とします。

一般には週40時間が法定労働時間ですが、従業員が10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業では、週44時間が法定労働時間となります。

ですから、この制限内で正社員の労働時間を想定することができます。

こうした会社で、週27時間勤務のパートがいた場合に、正社員の所定労働時間を週40時間と想定すれば、その4分の3にあたる30時間を下回るので、社会保険には入りません。しかし、正社員の所定労働時間を週36時間と想定すれば、その4分の3は27時間ですから、社会保険に入ることになります。

こうして、正社員のいない会社では、正社員の所定労働時間と所定労働日数の想定の仕方によって、ある程度は加入基準を選ぶことができるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

何事にも原則と例外があって、労働関係では、その区分が必ずしも「常識」に従っていないことが多いのです。

従業員のうち誰が、社会保険、雇用保険、労災保険の対象なのか、信頼できる社労士(社会保険労務士)に確認させることをお勧めします。

 

2017.02.02.解決社労士

<制度の趣旨と加入>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)は、会社などで働く「勤め人」が、収入に応じて保険料を出し合い、いざというときの生活の安定を図る目的で作られた制度です。

勤め人個人や事業主が希望して契約・加入する保険ではなく、法律により加入が強制され、手続きが義務づけられています。

一定の条件を満たせば、加入することになり、事業主に加入手続きが義務づけられています。手続きをしなくても、加入していることになり、事業主に保険料の納付義務も発生しています。

これは、赤ちゃんが生まれれば、出生届を出さなくても、生まれた事実に変わりはなく、親はその子をきちんと育て、学校にも通わせなければならないのと似ています。

 

<強制加入の事業所>

健康保険と厚生年金保険は、事業所を単位として適用されます。

常時5人以上の従業員を使用している事業所(事務所、工場、店舗など)は、強制的に加入させられる「適用事業所」です。

また、法人事業所は従業員が5人未満でも「適用事業所」です。つまり、法人の場合には、事業主1人だけの事業所であっても強制加入となります。

なお、

5人未満の個人事業所と、5人以上であってもサービス業の一部や農業・漁業などの個人事業所は、強制加入とはなりません。

 

<任意加入の事業所>

従業員が5人未満の個人事業所などでも、条件を満たせば厚生労働大臣の認可を受けて、適用事業所となることができます。

この認可の権限は、厚生労働大臣から日本年金機構理事長に委任されています。

認可を受けるには、その事業所の従業員の2分の1以上の同意を得て行います。この場合には、同意せず加入を希望しない従業員を含めて加入することになります。

具体的な手続きについては、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.12.19.

<様式変更の内容>

マイナンバー法の施行にともない省令が改正され、平成29年1月から社会保険関係の様式が変更される予定です。

現在は、健康保険・厚生年金保険の資格取得届、氏名変更届、資格喪失届に個人番号の記載欄が追加された様式の案が発表されています。

 

<経過措置>

様式変更による不都合を避けるため、以下の経過措置が設けられる予定となっています。

○健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、健康保険組合の加入者の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式と改正後の様式のどちらでも使用できます。

・健康保険について、提出先が健康保険組合の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式の備考欄等に個人番号を記入することにより使用できます。

○協会けんぽ(全国健康保険協会)または国民健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、協会けんぽまたは国民健康保険組合の加入者の場合は、当分の間、改正前の様式を使用します。

・提出先が厚生労働大臣または日本年金機構である場合の健康保険の手続(協会けんぽ加入者の手続)には、当分の間、改正前の様式を使用します。

 

<個人番号(マイナンバー)記入の免除>

以下の健康保険の届出等について、提出先が日本年金機構である場合には、当分の間、個人番号の記入が求められません。

・二以上事業所勤務届

・住所変更届

・給付制限事由該当等の届出

・被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

・被扶養者異動届

・育児休業等終了時報酬月額変更届

・産前産後休業終了時報酬月額変更届

・日雇労働者の適用除外申請

・日雇特例被保険者手帳の交付申請

・育児休業等取得者申出書

・産前産後休業取得者申出書

 

2016.11.29.

<事業所検索システム>

全国の事業所の厚生年金保険・健康保険の加入状況を、誰でも簡単に確認することができるようになりました。

これを使えば、求人広告を出している会社の社会保険加入状況がすぐにわかります。

平成2810月からは、同一事業主の適用事業所の加入者数の合計が、常時500人を超える場合「特定適用事業所」とされ、正社員の半分以上の時間働くパート社員など短時間労働者も、社会保険に入るようになりました。この「特定適用事業所」かどうかも確認できます。

週20時間台での勤務を考えている場合、社会保険に入るかどうかは大きな問題です。原則として「特定適用事業所」なら社会保険に入りますし、そうでなければ入りません。

 

<検索の方法>

「漢字で検索する」「カナで検索する」「法人番号で検索する」のうちから1つを選び、「事業所名称」「事業所所在地」「法人番号」のどれかを入力すれば、条件にあてはまる厚生年金保険・健康保険に加入している事業所(適用事業所)や厚生年金保険・健康保険から脱退した事業所(全喪事業所)の情報を、一覧で閲覧することができます。

 

https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

↑こちらが日本年金機構の検索ページです

 

<加入逃れもバレます>

この検索システムを使えば、社会保険の加入逃れをしている事業所もわかります。摘発される前に、自主的に手続きをした方が賢いと思います。

 

手続的なことで迷うようでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.04.

<社会保険の加入基準の客観性>

健康保険と厚生年金の加入基準(資格取得基準)は、客観的に決まっています。そして、手続きをする/しないとは関係なく、基準を満たせば加入したことになります。

例えるなら、役所に出生届を提出する/しないに関係なく、赤ちゃんが生まれたという事実に変わりは無いのと同じです。出生届を提出しないからといって、その赤ちゃんが消滅するわけではなく、人権を無視できるわけでもありません。

社会保険の加入手続き(資格取得手続き)をしなくても、それは手続きが遅れているだけで、後から手続きすれば、さかのぼって効力が認められ、保険料が徴収されるということです。

 

<保険料の負担>

健康保険も厚生年金も、第一に利益を受けるのは加入者(被保険者)です。しかし、保険料は事業主と加入者とで折半します。そこで、従業員が基準を満たしているのに、つまり社会保険に加入しているのに、手続きをしないという不正が発生します。

もし、加入基準を満たしているのに、会社が手続きをしてくれなかったら、年金事務所などに相談です。

 

<従業員からの拒否>

従業員が基準を満たしていれば、会社は加入手続きをする義務があります。たとえ従業員が拒んでも同じです。「本人の希望」は関係ないのです。

会社としては、そのような従業員に対して、社会保険加入のメリットを説明して、気持よく手続きに応じるよう努めるでしょう。

もし、従業員が正しく理解していれば、社会保険への加入手続きを拒むことは無いでしょう。

 

<社会保険に加入したくない場合>

所定労働時間や所得を抑えて、社会保険の加入基準以下で勤務できるよう、会社と相談してはいかがでしょうか。

また平成2810月から、それまでの社会保険加入者数が500人を超えるような大きな会社では、加入基準が引き下げられています。そのため、大きな会社で勤務していて、基準変更によって新たに社会保険に入ることとなったのであれば、小さな会社に転職して加入しないようにすることも考えられます。

 

2016.10.18.

<平成28年9月分の社会保険料額表>

 

↓厚生年金保険料額表(平成28年9月分)は日本年金機構ホームページに

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2016/201608/0829.html

 

↓都道府県ごとの健康保険料を含む社会保険の料額表(平成28年9月分)は協会けんぽホームページに

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h28/h28ryougakuhyou9gatu

 

<1か月限定の理由>

 

平成28年10月分からは、厚生年金保険の標準報酬月額の下限が88,000円に変更となることから、これらの料額表は平成28年9月分のみの適用となります。

 

↓厚生年金保険の標準報酬月額の下限に新たな等級が追加されます。

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/20160516.pdf

 

2016.09.09.

<変更の理由>

平成28年10月よりパート・アルバイトの社会保険への加入義務が拡大されます。

短時間労働者であっても、次の条件を満たす人は新たに加入対象者となります。

・労働時間が週20時間以上であること

・月額賃金が88,000円以上であること(年収106万円以上)

・勤務期間が1年以上見込まれること

・社会保険に加入している従業員が501人以上いる企業に雇われていること

ただし、学生は適用除外となっています。

こうして新たに加入することとなった人を、区分するために各種届出様式の一部が変更になります。

 

<変更になる様式>

・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

・厚生年金保険 70歳以上被用者該当・不該当届

・健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届

・厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎・月額変更・賞与支払届

・健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届

・健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届

・厚生年金保険 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額変更届

・健康保険・厚生年金保険 産前産後休業終了時報酬月額変更届

・厚生年金保険 70歳以上被用者産前産後休業終了時報酬月額変更届

 

手続きについて法改正へのご対応は信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.08.

<試用期間と社会保険>

社会保険は試用期間の初日から加入します。

たしかに、2か月以内の期間を定めて使用される人は社会保険に加入しません。結果的に契約期間を延長することになったら、加入することになるだけです。

しかし、「試用期間」という場合、試用期間が2か月なら2か月で契約終了というわけではなく、その後本契約に移行するわけですから、「2か月以内の期間を定めて使用される」という場合にはあてはまりません。

 

<試用期間に加入基準を満たさない場合>

平成28年10月に法改正される前の話ですが、たとえば正社員が1日8時間、週5日勤務の会社で、試用期間の契約社員は1日5.5時間、週5日勤務という契約にすれば、試用期間は加入基準を満たしませんので、社会保険には加入しないということになります。

これは、違法でも脱法でもありません。

とはいえ、このような条件で入社することを希望する応募者がどれだけ集まるかは疑問です。

 

2016.07.05.

<保険者算定>

一般的な方法によって報酬月額が算定できない場合や、算定結果が著しく不当になる場合は、保険者等(年金事務所または健康保険組合)が特別な算定方法により、報酬月額を決定することとしています。

この算定方法を「保険者算定」といいます。〔健康保険法44条、厚生年金法24条〕

算定対象月に減給処分があった場合は、まさにこの「保険者算定」をする場合にあたります。

ところが、このケースは特殊なので、手引き類にも見当たりません。ですから、直接、年金事務所や協会けんぽの支部、あるいは健康保険組合に問い合わせるということになります。

実際、健康保険組合によってルールが違うようですし、すべての年金事務所で同じ回答が得られる保証もありません。

ただ、随時改定については「減給処分は固定的賃金の変動にはあたらない」という運用基準がありますから、減給処分がなかったものとして修正平均額を算出するのが主流と思われます。

 

<もう一つの留意点>

減給処分は、一つの懲戒処分では平均賃金の1日分の半額が限度です。〔労働基準法91条〕

これは、月給が30万円だと、30万円÷30日÷2=5千円というのが限度額になります。

また、いくつもの懲戒処分が重なった場合でも、その総額は賃金1か月分の10分の1が限度です。〔労働基準法91条〕

これは、月給が30万円だと、30万円÷10=3万円というのが限度額になります。

そして、ある月に減給処分があっても、算定対象月は3か月ありますから、その影響は、1つの懲戒処分で1,667円、複数の懲戒処分が重なって1万円が限度ということになります。

もし、定時決定(算定基礎届)の担当者が、算定方法に悩むほどの減給であれば、労働基準法の限界を超える減給がされていないかチェックする必要がありそうです。

 

2016.07.03.

<法令などの社会保険加入基準>

会社で働く人は、一定の条件を満たした場合、社会保険(健康保険と厚生年金)に入らなければなりません。会社には、入らせる義務があります。

その一定の条件とは次の3つです。

・会社が社会保険に加入している事業所(適用事業所)であること

・正社員など正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数があること

・臨時、日雇い、季節的業務で働く人ではないこと

 

<実践的な社会保険加入基準>

雇い入れ通知書、労働条件通知書、労働契約、就業規則などから、今後1年間の勤務を予測して、正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数が見込まれるなら、社会保険に加入となります。

また、この基準で対象外とされても、現実に3か月連続で正規職員の4分の3以上の労働時間と労働日数の実績が発生すれば、年金事務所では社会保険への加入を指導します。

 

<社会保険に入る入らないの損得>

プライベートのケガや病気で働けないとき、健康保険なら傷病手当金によって給料の67%が保障されます。この傷病手当金は、国民健康保険にはありません。

年金は、国民年金よりも厚生年金のほうが、将来受け取る老齢年金も、万一の場合に受け取る障害年金も金額が多いのが一般です。

保険料の負担は、社会保険なら会社が半分負担で、国民年金や国民健康保険では全額自己負担です。それでも、給料から控除される社会保険の保険料は多額だと感じられます。会社にとっては、従業員が社会保険に入ると会社の保険料負担が発生しますから、入って欲しくないと考えるかもしれません。

結局、将来の生活や万一のことを考えると社会保険に入るのが得で、今の生活費を重視するならば入らないほうが楽といえそうです。

 

<シフト調整が正当な場合>

たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合に、労働契約で所定労働時間が1日7時間、1週28時間、週4日勤務のシフト制で働く従業員は、社会保険には入らないことになります。

労働契約上も、社会保険に入らないことになっているので、会社も従業員も入らない前提です。この場合に、この前提が崩れないように、労働契約の範囲内でシフト調整するのは正しいことです。

 

<シフト調整が不当な場合>

たとえば、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合に、労働契約で所定労働時間が1日7時間、1週35時間、週5日勤務のシフト制で働く従業員は、社会保険に入ることになります。

もし、社会保険料の負担を逃れるなどの目的があって、会社が社会保険に入る手続きを怠れば、それ自体違法ですし、シフト調整は単なる悪あがきにすぎません。

また、最初から雇い入れ通知書、労働条件通知書、労働契約がないのは、それ自体違法ですし、社会保険加入基準を満たさないようにシフト調整をするというのはおかしなことです。年金事務所の調査が入っても指摘を逃れるかもしれませんが、労働基準監督署の調査が入ればアウトです。

 

<結論として>

わざとシフト調整して社会保険に入れない企業があったとして、それが正しいのか、それともブラックなのかは、労働契約の内容次第だということになります。

 

2016.05.20.