2025/10/17|1,203文字
離職票(雇用保険被保険者離職票)は、離職者が失業給付を受ける際に必要となる重要な書類です。その中でも「離職理由」は、給付の受給資格や給付制限の有無に大きく影響するため、正確かつ適切に記載されている必要があります。ここでは、離職理由を変更しなければならない場合とその手順について、分かりやすく解説します。
<離職理由を変更しなければならない主なケース>
次のような場合、離職票の離職理由を変更する必要が生じることがあります。
- 離職理由の記載に誤りがある場合
実際は「会社都合退職」なのに「自己都合退職」と記載されている
退職理由が事実と異なる、または曖昧な表現になっている
- 会社と労働者の認識が異なる場合
退職勧奨や契約更新拒否など、本人の意思によらない退職であるにもかかわらず、会社が自己都合と判断している
- ハローワークから指摘された場合
離職票の内容に不備があるとハローワークが判断し、訂正を求めることがある
<離職理由変更の手順>
離職理由の変更は、原則として「事業主(会社)」が行うものですが、退職者自身が動くことで訂正が可能になる場合もあります。次にその手順を示します。
- 離職票を確認する
まず、会社から交付された離職票(特に「離職票-2」)の「離職理由」欄を確認します。記載内容が事実と異なる場合は、証拠をもとに訂正を求める準備をします。
- 会社に訂正を依頼する
退職者が会社に対して、離職理由の訂正を申し出ます。次のような証拠があると説得力が高まります。
・退職勧奨のメールや書面
・契約更新拒否の通知
・就業規則や雇用契約書の内容
・退職面談の記録
会社が訂正に応じた場合は、ハローワークに「離職票の訂正届」を提出してもらいます。
- 会社が訂正に応じない場合
会社が訂正を拒否した場合でも、退職者はハローワークに申し立てることができます。
【ハローワークでの申立手順】
・離職票と本人確認書類を持参してハローワークへ行く
・離職理由が事実と異なる旨を申し立てる
・必要に応じて証拠書類を提出する
・ハローワークが会社に事実確認を行う
・調査の結果、訂正が認められれば、離職票の離職理由が変更される
※この手続は「異議申立」と呼ばれ、ハローワークが中立的に判断します。
<注意ポイント>
離職理由が「会社都合退職」と認められると、待期期間後すぐに失業給付を受けられる可能性があります(自己都合の場合は給付制限あり)。
離職票の訂正は、失業給付の申請前に行うのが望ましいですが、申請後でも訂正は可能です。
訂正が認められた場合、失業給付の開始時期や金額に影響することがあります。
<実務の視点から>
離職票の離職理由は、失業給付の受給に直結する重要な情報です。記載内容に誤りがある場合は、会社に訂正を依頼し、それが難しい場合はハローワークに申し立てることで、正しい離職理由に修正することが可能です。証拠を整え、冷静に対応することで、適切な給付を受けるための道が開けます。