労働時間の記事

労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)が改正され、平成29年10月1日から適用されています。

 

<改正点1>

地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮することが盛り込まれました。

 

↓これを受けて

 

事業主の皆さんは、子どもの学校休業日や地域のお祭り、イベント等に合わせて労働者が年次有給休暇を取得できるよう配慮することが求められます。

また、平成30年4月から、キッズウィークがスタートします。

分散化された子どもの学校休業日に合わせて子供たちの親を含め、労働者が年次有給休暇を取得できるよう配慮することが求められます。

 

<改正点2>

公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者について、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討することが盛り込まれました。

 

↓これを受けて

 

事業主の皆さんは、公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者のための休暇制度等を設けることについて検討を迫られることになります。

また、労働者が裁判員として刑事裁判に参画することは「公の職務の執行」に当たり、裁判員法第100条により、労働者が裁判員としての職務を行うため休暇を取得したこと等により、解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。

 

<改正点3>

仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間を短縮すること、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について、事業場の実情を踏まえ検討することが盛り込まれました。

 

↓これを受けて

 

労働基準法上、年次有給休暇は、入社6か月後に付与され(8割以上の出勤要件あり。)、その日から起算して6年後に最大付与日数となりますが、事業主の皆さんは、仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間や年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について前向きに検討することになります。

 

<罰則はないけれど>

事業主が労働時間等見直しガイドラインに積極的に取り組まなくても、罰則があるわけではありません。

しかし、求人に対する応募者の数と質、労働者の定着率に大きな差が生じることになります。

人手不足クライシスとも言われる今、前向きな取組による費用対効果を考えつつというのでは手遅れになりかねません。

人手不足は嵐のようにやって来て去って行くのではなく、今後も続く見込みです。

自社にとって何をどうするのがベストか迷うところがあれば、ぜひ信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.10.解決社労士

<過労死等防止対策白書とは>

平成29年10月6日に、政府が過労死等防止対策推進法に基づき、「過労死等防止対策白書」(正式には「平成29年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」)を閣議決定しました。

その具体的な内容は、厚生労働省ホームページからダウンロードできます。

政府刊行物センターなどで販売されるのは、10月下旬からの予定となっています。

 

過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)

(年次報告)

第6条 政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 

この条文によると、行政府である内閣が、国民の代表者で構成される国会に対して、我が国における過労死等の状況と政府が講じた対策を報告するものであることがわかります。

 

<過労死等防止対策>

厚生労働省では、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいくとしています。

ここで「過労死等」というのは、業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害と定義されています。

マスコミなどで報道されている場合には、「過労死」という言葉が使われていても、必ずしも定義が明確ではないので注意が必要です。

 

<政府の設定した目標>

政府は平成27年7月24日に、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定しました。

その中で、具体的な目標が次のように設定されています。

 

週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする(平成32年まで)

一般の事業では、法定の週労働時間が40時間ですから、1週間の法定外残業時間を20時間未満にしようということです。

 

・年次有給休暇取得率を70%以上にする(平成32年まで)

労働基準法に定められている年次有給休暇について、付与された日数の70%以上を取得させるということです。

 

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にする(平成29年まで)

大企業では対策が進んでいますが、80%以上というのは頭数が基準ではなく事業場数が基準ですから、中小企業にも対策が求められていることになります。

 

これらの目標が、行政府である内閣から、国民の代表者で構成される国会に対して示されたということは、もし目標が達成できなければ、政府は国民に対して政治責任を負うということです。

 

政府が労働関係の政策を推進する場合、一般には次の手順で行っていると思います。

1. 国民に周知するための広報を強化する。

2. 国会に企業の努力義務を定める法案を提出して成立させる。

3. 罰則付きの法的義務を定める改正法案を提出して成立させる。

4. 指導と取締りを強化し、罰則の適用を厳格にしていく。

 

今回のように目標の期限がタイトな場合には、手順が省略されて急ピッチで進められることもあります。

各企業は法改正の動向に敏感に反応し、ある程度先回りして対応の計画・準備をすることが必要になります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

各企業が法改正に先回りして対応するというのはむずかしいと思います。

現状で、次のような問題を抱えている企業は、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

・月間80時間以上の残業が当たり前になっている社員がいる。

・労働時間の把握が不正確な社員がいる。

・社員が年次有給休暇を取得できていない。

・経営者がメンタルヘルス対策について具体的な宣言をしていない。

 

2017.10.07.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

労働時間に対しては賃金を支払わなければなりません。

 

<喫煙やおしゃべりの時間は労働時間なのか>

それでは、上の労働時間の定義からすると、喫煙やおしゃべりの時間は労働時間になるのでしょうか?

使用者の指揮命令から離れ、自由に喫煙やおしゃべりを許されている時間は、労働時間にはあたりません。

しかし、本当に使用者の指揮命令から離れていれば、労働者が喫煙のために離席してもおしゃべりしても、使用者側である管理職の皆さんは気付かないはずなのです。

管理職の皆さんが「なんだ、またタバコか」「いつまで、おしゃべりしているんだ」と不快に感じるのは、そうした労働者を指揮命令下に置いているからなのです。

ということは、使用者の指揮命令下にあって、労働時間であるにもかかわらず、使用者が喫煙やおしゃべりを黙認している時間ということになります。

したがって、喫煙やおしゃべりの時間を、労働時間から差し引くこと、給与計算のうえで欠勤控除することには無理があるといえるのです。

 

<管理職失格の証し>

「うちの部下は、何度もタバコを吸いに行ったり、おしゃべりしたりする。ああいう時間は、給料を払わなくてもいいのでは?」と言う管理職がいたら、その人は管理職として不適格です。

なぜなら、部下を指揮命令下に置く能力が不足しているからです。そういう人は、担当者として実績を上げたとしても、管理能力は無いのですから、スーパー担当者としての、あるいは専門職やプロフェッショナルとしての処遇をしてあげるべきなのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

ある管理職から、部下のサボりを相談されたら、人事部門は部下の方に目を向けます。しかし、顧問の社労士であれば、そうした話を持ちかけた管理職に目を向けます。

会社を正しい方向に導くには、第三者である専門家の目が必要であることの一例です。

会社を強くしたい成長させたいと本気で考えるのであれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.31.解決社労士

<基本的な資質不足>

仕事をサボるような人は、採用しないのが一番です。

採用面接の段階で、次のような傾向が見られる人は、サボり癖のあることが疑われますので、よく観察して怪しければ採用を見送るのが得策です。

・履歴書の文字が乱雑

・履歴書の文字が抜けている

・濁点や半濁点が付いていない

・カタカナのコとユ、シとツ、ナとメ、ソとリとンが書き分けられない

・身だしなみがルーズ

・態度が馴れ馴れしい

履歴書については、作成に制限時間は無いですし、何度でも再確認できるわけですから、ここで手を抜いている人は仕事でも手を抜きます。

 

<労働時間の把握>

労働時間の把握が大雑把な会社でサボるのは簡単です。

そうでなくても、たとえば労働基準法に従い、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されている社員については、使用者の指揮監督が十分に及びません。

本当にみなし労働時間制が必要か、再検討の余地があります。

また、労働時間の適正な把握は、使用者に義務付けられています。そして、この義務を果たすため、社員にも協力を求めることができます。

ですから、社員にも一定の義務を課しつつ、労働時間の把握をきちんとしましょう。

具体的には、電話やメールでの定時報告、日報の活用などが考えられます。

 

<適正な人事考課>

たとえサボっていても、十分な営業成績を維持していれば、勤務態度の悪さで他の社員に対する悪影響はあるものの、大目に見ることもできるでしょう。

しかし、サボりは営業成績の低下となって現れることが多いものです。適正な人事考課を行い、給与や賞与などに反映させることができるように、仕組みを整えましょう。

サボってもサボらなくても、成果を上げても上げなくても、給与や賞与に大きな差が出ないのなら、サボりたくなるのは当然です。

 

<人事異動との関係>

営業部門に異動となった時から、開放感や自由を感じてでしょうか、サボり出す社員もいます。

この場合には、再び内勤に戻すことを打診し、改善が見られなければ、実際に異動させるしかないでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

GPSを使うなど厳格な管理は、社員の反発を招き、士気が低下するかも知れません。

それぞれの職場に合った仕組みの導入・活用と社員教育については、信頼できる社労士にご相談ください。

サボりを無くして、生産性を向上させましょう。

 

2017.07.30.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

<直行直帰の場合の労働時間>

会社に立ち寄らず、直接工事現場などに行き、そこから直接帰宅する場合には、自宅から現場までの移動時間と現場から自宅までの移動時間が、使用者の指揮命令下に置かれない状態のことがあります。

この場合には、現場での勤務時間が労働時間ということになります。

ですから、なんとなく移動時間を労働時間に含めて賃金を計算しているのであれば、会社の人件費負担がその分だけ多めになっている可能性があります。

 

<労働時間となる場合>

直行直帰の移動時間でも、使用者の指揮命令下に置かれているものと評価され、その時間に対する賃金の支払いが必要な場合も多いものです。たとえば、次のような場合には労働時間となります。

・使用者から自宅を何時に出発するかを指示されている場合

・一度会社に立ち寄ってから現場に向かう場合の会社から現場までの移動時間

・移動中に同僚と仕事の打合せをするように使用者から指示されている場合

・一緒に移動するメンバーの中に行動や時間の管理をする者がいる場合

・使用者から移動中に物品の監視をするように指示されている場合

 

<黙認で労働時間となるケース>

たとえば、使用者から移動中の打合せを指示していなくても、それがなんとなく自主的に行われていて、使用者側が見て見ぬふりをしていたら、黙示の指示があったものとみなされ、労働時間になってしまう場合もあります。

複数のメンバーで直行直帰する場合には、「仕事の話などせず趣味の話でもしながらくつろいで過ごしなさい」ということになっていれば、労働時間にはならないわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

実際に労働時間に含まれるかどうかは、専門的で客観的な判断が必要になりますから、就業規則に定めるなどルール化する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

後になってから、未払い賃金を請求されると、一度に予定外の出費が発生しますから注意したいところです。

 

2017.07.24.解決社労士

<報告書の負担>

報告書の作成には、個人差はあるものの、それなりの時間がかかります。

報告書の無駄を省くことは、会社にとって人件費の削減となり、生産性が向上し、一方で社員のストレス軽減となります。

つまり、メンタルヘルス対策にもなるのです。

 

<報告書の種類>

日報、週報、月報という時間の区切りにより内容が異なってきます。日報は一番負担が重く、人件費がかかります。月報は負担が軽い一方で、情報の伝達が遅くなる可能性があります。

本当に毎日の報告が必要なのか、毎週の報告が必要なのか、項目ごとに見直しをかけてみましょう。

 

<報告書の内容>

そのタイミングで数字は必要か、翌日ではダメなのか、感想は必要か、事実だけではダメなのか、見直すポイントが最も多いのは報告書の内容です。

その内容が必要だとしても、その報告書の中に必要なのか、別の報告書に移した方が良いのではないかを検討してみましょう。

 

<手書きかパソコンか>

パソコンを使って報告書を作成させるのが主流となっています。

しかし、手書きなら30分で作成できる報告書を、パソコンで3時間かけて作っていたら、おそらく無駄な残業時間が発生しています。なにより、本人のストレスが半端ではありません。

どうしてもパソコンが苦手な社員には、手書きで報告書を作成させましょう。メールで送信する必要があるのなら、誰かがスキャンしてメールに添付すれば良いだけです。

 

<報告書作成の時間帯>

営業社員などが帰社後に報告書を作成するパターンは多いものです。しかし、翌日や翌々日に作成してはダメなのでしょうか。

帰社後に報告書を作成したら、その時間は丸々残業時間になります。「営業手当」を支給しているから残業代を支払わないというのは、ブラック企業のやることです。

持ち帰って自宅で書かせるのも、残業時間となります。その時間に対する割増賃金を支払わないのも、これまたブラック企業のやることです。

しかし、翌日の手空き時間や移動時間に書かせるのなら、残業時間とはなりにくいでしょう。たしかに、仕事の密度が上がって辛いかもしれませんが、本人にとっても長時間労働の予防になりますし、会社にとっては人件費の削減になります。

 

<報告書作成のための教育>

短時間で優れた報告書を作成できるよう、社員教育も大事です。教育にお金と時間をかければ、何倍にもなってかえってきます。

「飢えた人に魚を与えれば、一日の飢えから救うことができる。代わりに魚の釣り方を教えれば、一生の飢えから救うことができる」という名言があります。

人手不足の時代には、どうしても社員教育が後回しになります。しかし、これでは会社の成長が望めません。

人手不足の対策としても、一人ひとりの能力向上は重要です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

報告書の見直しにしても、社員教育にしても、社内でまかないきれない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.21.解決社労士

<サボりが発覚したら>

「勤務時間中に営業社員が仕事をサボっている」という情報が入ったら、まずは事実を確認しましょう。

その営業社員がサボっていた日時と時間帯、場所、行動、服装、一緒にいた人、手荷物など、人違いであるなどの言い逃れができないようにしましょう。押さえられる証拠があれば、それも集めて保管しておきます。

 

<本人への事情聴取>

あくまでも、就業規則に具体的に違反するようなサボりであった場合や、欠勤控除をすべき長時間のサボりであったことが前提ですが、その営業社員と面談して事実確認をします。

本人が事実を認め反省していれば、口頭で注意し、注意の内容を文書にして、社長あるいは担当役員まで確認の署名をもらい、本人の署名も得ておきます。この文書を会社で保管します。ちょっと面倒に思われますが、サボりを繰り返した場合には、懲戒処分をするにあたって必要な手順となります。

本人が事実を認めない場合には、営業日報の内容などを手掛かりに事実を確認します。また、他の社員やお客様などからも情報を集めます。こうしてサボりの事実が確認できた場合には、本人の反省が無い分だけ、懲戒処分を検討する必要性が高まります。

反対に、人違いや勘違いなどが判明した場合には、丁重にお詫びし、情報収集の相手となった社員やお客様の誤解も解いてあげなければなりません。

 

<サボりを繰り返すなら>

口頭注意から、文書による注意へと切り替えます。それでも繰り返すなら、さらに重い懲戒処分、そして退職勧奨や懲戒解雇へと進むこともあるでしょう。

こうしたことを正しく行うのは、骨の折れることです。

失敗すると、本人が反省するどころか、会社に対して慰謝料を含め損害の賠償を求めてくることもあります。

最初にサボりが発見された時点で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.08.解決社労士

<違法残業の発生パターン>

次のような状況下で、法定労働時間を超える勤務をさせると違法残業となります。

・三六協定の労働基準監督署長への届出をしていない

・三六協定の有効期限が切れたままになっている(有効期間は最長1年)

・労働者代表の選出方法が民主的ではないなどにより三六協定が無効

また、三六協定の限度を超える勤務をさせた場合にも違法残業となります。

結局、違法残業というのは、有効な三六協定が届出されない状態で法定労働時間を超える勤務があった場合と、三六協定に違反する勤務があった場合を指すものだといえます。

 

<建設業の特殊性>

三六協定には、法定労働時間を上回って勤務させる場合の限度時間を定めます。

この限度時間についても、労働省(現厚生労働省)告示「労働時間の延長の限度等に関する基準」により、その上限が定められています。

一般には、1か月で45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)、1年で360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は320時間)と規定されています。

ところが建設業では、この基準が適用除外となっています。工事の受注量は変動しやすいですし、作業は天候に左右されやすいですから、時間外労働に一定の上限を設けることはむずかしいからです。

こうしたことから、労働基準法上、建設業では残業が無制限にできてしまうことになります。

 

<残業時間の基準>

しかし、法的な制限が無いというだけで、長時間労働によって労働者に何があっても責任を負わないということではありません。

「法定労働時間を上回る残業時間が1か月で100時間を超えた場合、または、直近2~6か月の平均が80時間を超えた場合」という基準が、次のように多く用いられています。

・「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日付基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)

・「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付基発1226第1号厚生労働省労働基準局長通達)

・ハローワークで雇用保険給付手続きをした場合に自己都合退職ではなく会社都合退職として特定受給資格者となる基準

このように、建設業の場合でも、健康管理措置上の上限があると考えられます。

 

2017.05.04.解決社労士

<出勤日や勤務時間を決めておかないやり方>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

ただ、これではヒマなときに多くの人がシフトに入り、忙しいときに人手が足りないという不合理が発生してしまいます。

 

<せめて出勤日数が決まっていれば>

話し合いで出勤日数の基準が決められていれば、少なくともその日数分は、シフトに入らなければ、契約違反になります。

もし、雇い主側の都合でシフトに入れる日数が少ないのであれば、法律上は、労働者から足りない日数分の給与を、損害として賠償請求できる場合があります。

しかも、嫌がらせや差別でシフトに入れなかったのであれば、精神的損害に対する賠償を請求できることもあります。

 

<休業手当の支払いが必要となる場合>

労働基準法は、もともとの出勤日に会社側の責任で出勤させられなくなったら、平均賃金の60%以上の休業手当を支払うことを義務付けています。

会社側の判断で回避できる可能性があったのに、休業せざるを得なくなったときは、会社に責任があるとされています。

たとえば、経営不振で操業を減らす、資材や取引先の都合で操業できない、お客が少ないため営業を中止するという理由で休業することは、経営上の判断が招いた結果ですから、休業手当を支払う必要があります。

しかし、会社の判断では回避できない理由、たとえば天災や地震により操業が不可能になった、会社の行動とは関係ない理由で法令等に基づき休業を命じられたなどの理由による休業については、会社に責任はないとされています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

以上のことから、出勤日や勤務時間を決めておかなければ、会社が負わなくて済む責任もあるといえます。しかし、効率の良い人員配置は出来なくなってしまいます。

どのように労働条件を決めるのが効率的か、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.15.解決社労士

<社会保険の加入基準>

大多数の会社では、1週間の所定労働時間が30時間以上で、1か月の所定労働日数が17日以上の従業員は、原則として社会保険の加入基準を満たすことになります。

そして、一度この基準を満たし社会保険に入った後で、労働時間が減少し、この基準を下回った場合には、社会保険から抜けるのが原則となります。

ただし、基準を下回るのが12か月程度で、やがて元の状態に戻ることが見込まれるなら、社会保険に入ったままとなります。

 

<労働契約(雇用契約)の変更>

労働時間が減少し、その状態が長く続くと見込まれる場合には、労働契約を変更する必要があります。

労働契約の変更は口頭でも可能ですが、労働条件は使用者から労働者に書面で示されるのが原則ですから、労働契約書の内容を改定し、新しい労働契約書を交わすのが一般的です。

実体に合わせて労働契約書を変更しておかないと、たとえば年次有給休暇の付与日数が変更されているのに、これに気付かないなどの不都合があります。

たとえば週5日勤務の従業員が、週4日勤務になって1週間の所定労働日数が30時間を下回れば、付与日数は減少します。

ところが、労働契約をそのままにしておいて、週5日勤務の契約で週4日の出勤となると、出勤率が8割を下回り、年次有給休暇が付与されないことにもなりかねません。

やはり、労働契約書は勤務の実態に合わせて改定しておくことをお勧めします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

顧問の社労士がいれば、従業員ひとり一人の勤務時間などの実態に合わせ、社会保険や雇用保険で必要な手続きや、労働契約の変更について、タイムリーに対応することができます。

しかし、社内に対応できる社員がいなければ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.11.解決社労士

※この記事の執筆後、労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドラインが平成29年1月20日に作られました。

 

<基準の存在>

労働時間をどのような方法で把握すべきかについて、法令には規定がありません。しかし使用者には、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務があり、その責務を誠実に履行しなければなりません。

そのため、労働時間の把握については、厚生労働省から基準が示されています。これに反する自己流の把握方法であれば、労働基準監督署などによる行政の調査が入ったとき、指摘を受け改善が求められることになります。

 

<厚生労働省の示す基準>

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(平成13年4月6日基発339通達)により明らかにされています。

その内容は、次のとおりです。

1.始業・終業時刻の確認及び記録使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

2.始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。

イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

3.自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置

上記2.の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は、次の措置を講ずること。

ア 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

イ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。

ウ 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働時間の把握方法については、会社によって大きな違いが見られます。どのような方法であれ、通達の基準を満たしていれば大丈夫です。

しかし、注意しなければならないのは、通達に示されているように、会社は労働時間を管理される労働者に対して説明と教育を行う義務があること、運用の現状について定期的に確認し改善しなければならないことです。

よくあるパターンは、会社がルールだけ決めて、あとは労働者にお任せしてしまい、退職者からサービス残業や長時間労働を指摘されて、対応に追われるというものです。

顧問の社労士がいれば、日常業務に埋もれてしまいがちな労働時間の把握についても、常に目を光らせ定期的な確認と従業員教育を行うことで、トラブルの発生を未然に防止できます。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.12.02.

<月間所定労働日数の必要性>

月給制の場合に、残業手当や欠勤控除の計算基準となる時間単価は、

月給÷(1日の所定労働時間×月間所定労働日数)

で計算されます。

これが毎月変動すると、給与計算をする人は大変です。いきおい、残業手当も欠勤控除も計算しなくなるのではないでしょうか。

残業手当を計算しないと、ブラック企業の代名詞であるサービス残業が発生します。

欠勤控除を計算しないと、遅刻しても叱られるだけで、給料が減らないわけですから、なんとなく遅刻が増えてくるでしょう。

きちんと残業手当を支払っている会社では、頭の良い人が仕事をためておいて、残業単価の高いときにまとめて残業するということもあるでしょう。これでは、わざと仕事を遅らせることになります。

やはり、毎月一定の月間所定労働日数を設定しておく必要があるでしょう。

 

<年間労働日数からの算出>

たとえば、土日・祝日と1229日~13日だけが休日だとします。

これなら年間の労働日数の計算は、単純なように見えます。それでも、祝日は日曜日と重なると月曜日が振替休日になるのですが、土曜日と重なっても振替休日は生じません。体育の日のように、日曜日と重ならない祝日もあります。

年末年始の1229日~13日も、カレンダーによって短かったり長かったりします。こうして休日の数は、その年によって増えたり減ったりするのです。

これらすべてについて、確率を計算しながら平均値を求めるのは少し面倒です。

最近新設された山の日のように、祝日が増えることもあります。

むしろ、最近3年間の本来の出勤日を数えて平均値をとった方が楽な場合が多いでしょう。

そして、月間所定労働日数は年間労働日数を12で割れば計算できます。1日未満の端数は、労働者に不利にならないように切り捨てるのが基本です。

 

<給与計算にあたって間違えやすいこと>

たとえば、月間所定労働日数を22日と決めたとします。

ある人が、会社のルールに従って休みをとっていたら、ある月は24日出勤となり、また別の月は20日出勤となったとします。

このとき「休日出勤手当が発生するのかな?」「欠勤になるのかな?」と迷うことがあるようです。

しかし、答えはどちらもノーです。

月給制の場合に、残業手当や欠勤控除の計算基準となる時間単価は、

月給÷(1日の所定労働時間×月間所定労働日数)

で計算されます。

つまり、月間所定労働日数は時間単価の計算に使うだけです。

休日出勤や欠勤は、1週間を一区切りとして計算しますので、ここに月間所定労働日数は出てこないのです。遅刻・早退や残業も1日単位での計算が基本です。

結局、月間所定労働日数は給与計算をする人だけが意識していて、他の従業員はカレンダーを見ながら会社のルールに従って出勤していることになります。

 

月間所定労働日数を固定した日数に決めないまま給与計算をしている会社、あるいは外部に委託している会社は、従業員のモチベーションを低下させている恐れがあります。

これを含め、給与計算について失敗が無いか、信頼できる社労士(社会保険労務士)にチェックさせることをお勧めします。

 

2016.10.07.

<実例として>

小さな飲食店では、アルバイトがシフト制で、始業時刻も終業時刻もその日によって違うということがあります。休憩もあったり無かったり、休憩開始の時刻もその日によって臨機応変にというわけです。

シフトを組む段階で、お店の都合とアルバイトの都合とをすり合わせて何とかしのいでいるわけですから、あらかじめ決めておくというのが無理なようにも思えます。

ましてや当日のお客様の状態によって、当初の計画どおりにはいかないこともあります。

「雇い入れ通知書」「労働条件通知書」をきちんとアルバイトに交付しなければ、労働基準法違反とは言われるけれど、決めようがなければ許してもらえるのでしょうか。

いえ、ダメです。労働条件の明示義務違反については、30万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法120条1号)〕

何とかしなければなりません。

 

<ではどうするか>

労働条件が決まっていないと、年次有給休暇付与の有無や日数が決まらない、社会保険や雇用保険の加入対象かどうかがわからない、残業代の計算もできないなどなど、ブラック企業丸出しの状態になります。

これを避けるには、平均値から「標準」となるものを割り出して、「雇い入れ通知書」「労働条件通知書」に示せば良いのです。

つまり、入社時は本人の実績が無いですから、同じような状態のアルバイトを参考に、「標準的な始業時刻」「標準的な終業時刻」を決めます。この通りに働くわけではなく、あくまでも年次有給休暇などの基準として使うわけです。

同じように、「標準的な休憩時間」「標準的な時間外労働」「標準的な休日出勤の日数」なども決めます。

これで「雇い入れ通知書」が作れます。

そして、ある程度勤務が続いて、実態が「雇い入れ通知書」と離れてしまったら、内容を修正して「労働条件通知書」に示せば良いのです。

 

「平均値と言われてもよくわからない」という場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。書類の作り方だけではなく、効率の良いシフトの組み方など、実質的な内容についての相談も可能です。

 

2016.10.02.

<実例として>

いつもは午前9時に出勤して、正午から午後1時まで昼食休憩をとり、午後6時までが定時で、しばしば残業している人がいるとします。これはかなり一般的な例でしょう。

この人が仕事の都合で正午に出勤し、翌日の午前2時まで出勤した場合には、午後10時から翌日午前2時までが深夜労働となり、2割5分以上の割増賃金の対象となることは明らかです。

また、途中で午後6時から1時間の夕食休憩をとったとして、正午から翌日午前2時までのうち、勤務開始から実働8時間を超える午後9時以降の勤務時間について、残業手当が発生することも明らかです。

しかし、真夜中の0時で一度区切って、正午から真夜中の0時までの12時間から1時間の休憩時間を引いてこの日は11時間勤務として、真夜中の0時から2時間の勤務は翌日の勤務時間としてカウントして良いのでしょうか。

言い換えれば、ある日の勤務時間を集計するのに、真夜中の0時で区切って良いのでしょうか。

 

<法令の規定>

実は法令には規定がありません。

それでは困るので、通達が出されています。法律は国会が作るのですが、あまり細かいところまでは規定し切れませんので、行政機関が解釈の基準を出しているのです。

日付をまたいで勤務した場合には、翌日の始業時刻までの労働が前日の勤務とされます。〔昭和63年1月1日基発第1号通達〕

こんなとき、ある人の始業時刻がきちんと決まっていなければ計算できません。そこで、労働基準法は基本的な労働条件について書面で労働者に通知するなどの義務を規定しているわけです。それでも、わからないときは通常の始業時刻で計算するしかありません。

通常の始業時刻をまたいで長時間勤務した場合には、そこまでで一度集計して残業時間を確定して残業手当を支給することになります。そして、通常の始業時刻から翌日分の勤務時間を計算すれば良いのです。

 

法令に規定が無いとき、自社で基準を作ると、通達違反であったり、判例とは違っていたり、あるいは典型的な不合理を含むものであったりという失敗が起こりがちです。迷ったら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.10.01.

<事件として報道されるキッカケ>

飲食店の素直なアルバイトAくんが店長に呼ばれます。

店長「売り上げが下がっているのでキミには辞めてもらうことになった」

Aくん「はい、わかりました」

翌日、Aくんは親戚のおじさんに、アルバイトをクビになった話をします。

おじさん「解雇予告手当は?もらっていないなら労基署に相談だな」

Aくん「はい、わかりました」

Aくんが労基署の監督官に事情を話します。

監督官「時給は?1日と1週間の所定労働時間は?書類をもらったでしょ」

Aくん「時給はたしか950円です。所定…とか、書類とかはありません」

こうして、労基署はアルバイト先の店舗に連絡し、さらに調査に入ります。

この飲食店がチェーン店だと、本社や各店舗に調査が入り、報道機関の知るところとなる可能性があります。

キッカケは、こんなものです。アルバイトのAくんが無知で素直でも、家族や親戚までがすべてそうだとは限りません。

 

<なぜそんなことになるのか?>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

30万円の損失で済めばマシです。マスコミやネットの書き込みの威力で、1店舗だけでなく会社全体が立ち直れなくなる可能性があります。

 

<なぜバレるのか?おおごとになるのか?>

所定労働時間が決まっていなければ、解雇予告手当だけでなく、年次有給休暇を取得した場合の賃金計算や、残業した時の割増賃金の計算ができません。

つまり、所定労働時間が決まっていないアルバイトについては、会社が有給休暇を与える気もなく、残業手当を払う気もないのだということが、労基署にはバレバレなのです。調査に入るのは当然でしょう。

 

<どうしたらよいのか?>

飲食店では、アルバイトが2時間勤務の日もあれば10時間勤務の日もあるというシフトのことがあります。アルバイトやお店の都合で、1週間全く勤務しないことも週6日勤務することもあります。

このような場合には、固定した所定労働時間を決めることができません。

しかし、実態に合わせて平均値で規定しても、有給休暇や残業手当の計算は可能となります。

たとえば、「9:00から21:00の間で実働平均5時間」「週平均3.5日勤務」としておき、実態と大きく離れたら、書面を作り直して交付すればよいのです。

これで、アルバイトの年次有給休暇の付与日数についても、迷うことはありません。有給休暇の取得については、労働基準法の改正も予定されています。1週間の所定勤務日数と所定労働時間が決まっていないので、付与日数すらわからないという危険な状況は解消しておきたいものです。

A4判で両面印刷すれば、1人の労働者に交付する書面は、たったの1枚で済みます。これを怠るのは、そのリスクを考えると得策ではないでしょう。

 

2016.08.17.

<みなし労働時間制が必要なケース>

出張や外回りの営業のように事業場外で行われる業務は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難になる場合が発生します。

こうした場合に労働時間を適正に算定するため、みなし労働時間制が必要となります。

 

<みなし労働時間の算定方法>

労働者が労働時間の全部または一部について、事業場外で業務に従事した場合に、労働時間を算定するのが困難なときには、所定労働時間だけ労働したものとみなされます。〔労働基準法38条の2第1項〕

ただし、その業務を遂行するため通常の場合、所定労働時間を超えて労働することが必要になる場合には、その業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。〔労働基準法38条の2第1項但書〕

この場合、業務の遂行に通常必要とされる時間は、会社と労働者代表などとの労使協定により定めることができます。〔労働基準法38条の2第2項〕

 

<みなし労働時間の注意点>

労働の一部が事業場外で行われ、残りが事業場内で行われる場合は、事業場外での労働についてのみ、みなし労働時間が算定されます。

また、労働時間の算定が困難かどうかは、使用者の具体的な指揮監督や時間管理が及ぶか否かなどにより客観的に判断されます。現在では、携帯電話などで随時指示が出されるケースが多く、こうした場合には原則として適用対象となりません。

 

2016.02.06.

<労働時間とは?>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

<着替えの時間は労働時間?>

就業時間中に着用を義務づけられている制服や、特定の作業を行う場合に必ず着用することになっている作業服に着替える時間は労働時間です。

もちろん、出勤してきたときの元の私服に着替える時間も労働時間です。

 

<他に労働時間となるのは?>

昼休み中の来客当番や電話番、参加が義務づけられている研修や行事、警報や電話への対応が義務づけられている仮眠時間も労働時間です。

 

<黙認で労働時間となるケース>

残業というのは、労働者が使用者から命令されて行うものです。

労働者がやりたくてやるのでもなく、労働者の勝手な判断でやるのでもありません。

ですから、たった1回だけ、労働者の勝手な判断で残業していたら、使用者から「勝手な残業は許しません」と注意して終わります。

しかし、何度も繰り返されていて、使用者側が見て見ぬふりをしていたら、残業について黙示の承認があったものとみなされます。

すると、時間外割増賃金が発生します。

これを防ぐため、就業規則には「自己判断での残業は許されないこと」「業務終了後は職場に残ってはならないこと」を規定しておきましょう。

 

<労働時間とならないのは?>

通勤時間と同様に、出張先への往復時間も労働時間とはなりません。

ただし、物品の運搬を目的とする業務の移動時間は労働時間に該当します。

 

2016.01.26.

就業規則が無いのならせめて、雇い入れ通知書(労働条件通知書)を交付するか、雇用契約書を交わすかしましょうという記事を書いたところ、くわしく知りたいという、お問い合わせをいただきました。

 

<明示義務とは?>

働く人が、どこで何の仕事をして、いくらもらえるかなど、基本的なことを知らずに働かされたのでは困ります。

そこで、人を雇う時には、雇い主に、具体的な労働条件を、明確に示す義務があるのです。

 

<最低限必要な事項>

明示しなければならないことは、次のようにメチャクチャ多いのです。

契約期間、契約更新の基準(短期間の臨時雇用を除きます)、働く場所、仕事の中味、始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交代勤務について、賃金の決定の仕方、賃金の計算方法、賃金の支払の方法、賃金が何日締め何日払いか、昇給について、退職について(解雇の理由も)。

 

<面倒でも…>

これだけではなく、決まっていれば、明示を義務付けられる項目もあります。

明示しなければ、罰金もあるのですが、きちんとしておくことで、会社を守るために役立ちます。

定めたことが、明示されていれば、会社が主張できることも増えるのです。

 

2016.01.14.

<フレックスタイム制とは?>

労働者が、決まった期間の中で、決まった時間だけ労働する約束にします。そして、出勤日も、始業終業の時間も、柔軟に決められることにします。

たとえば、カレンダー上の日数で、1か月が30日の月ならば、171時間働くというように、決めておきます。そして、6時間しか働かない日、10時間働く日など、フレキシブルに勤務するのです。

 

<フレックスタイム制のメリット>

労働者にとっては、生活と仕事のバランスを図ることができます。ワークライフバランスですね。

また、使用者にとっても、効率的な労働力の提供を受けることにより、生産性の向上を図ることができます。

この制度を使わなければ、ある日に2時間残業して、別の日に2時間早帰りして、相殺するというのはできません。なぜなら、割り増し賃金の分だけ、労働者が損するからです。でも、フレックスタイム制なら、この相殺もOKです。

 

<生産性向上のハズが…>

労働者の一人ひとりが、自分の好きなときに勤務してもいいとなると、昨日も朝寝坊、今日も朝寝坊、一体いつ来るの?ってことになりそうです。

そして、さっきまでいた人が、いつの間にか帰ってしまった!頼みたいことがあったのに…ということにもなるでしょう。

こんなことでは、仕事が回りません。

 

<こうして活用しましょう!>

労働者が、始業終業の時間を、自由に決められるというのは、会社から強制されないという意味なのです。一人ひとりが、その日の気分で変えられるというわけではありません。

出勤日と勤務時間帯は、職場内での仕事の連動をよく考えて、みんなで話し合って決めましょう。この話し合いによるコミュニケーションの強化も、隠れた効果の一つです。

そして、決めた結果は、自分の部署だけでなく、よその部署にも知らせておくようにしましょう。事務所内のホワイトボードと、ネットで共有したスケジュール表があれば万全です。

 

2016.01.11.