人事考課に関連したパワハラ

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2020/01/28|1,473文字

 

<人事考課権の濫用>

人事考課権者が、不当に低い評価をすることがあります。

好き嫌いによって恣意的に、あるいは懲らしめるために意図的に、低い評価をするような場合が考えられます。

必要な業務に伴って、不必要な人権侵害を行うのがパワハラです。

人事考課そのものは必要なことですが、不当に低い評価を行うことによって、対象者の給与・賞与や昇進・昇格に不利益が及べば、それは財産権や名誉権などの侵害となりますから、パワハラとなることは明白です。

これが一次考課者によって行われた場合には、二次考課者や最終考課者などが修正することも多いでしょう。

しかし、最終考課者が行ったような場合には、過去の慣行に反して明らかに不当であるとか、根拠が示されていないなどを指摘できない限り、社員からパワハラを主張することは困難です。

この場合には、経営者によって不当な評価が行われる会社として、世間の批判にさらされ、会社そのものが淘汰されていく結果を招きかねません。

 

<過大な目標設定>

目標管理制度を利用している会社や、社員に何らかの目標を設定させている会社では、そもそも設定された目標が、社員の置かれている立場や役割に比べて過大であることもあります。

目標達成率に応じて評価が決定され、賞与の支給額に連動しているような場合であれば、特定の社員だけ不当に過大な目標を設定させ、達成率の低いことを理由に退職に追い込もうとする意図が見えることもあります。

また、人件費の削減を狙い、一様に過大な目標を設定させるということもあります。

目標の設定そのものは必要な業務ですが、不当に財産権や人格権を侵害するような場合には、やはりパワハラと言わざるを得ません。

こうした場合には、目標の達成率が評価される段階になると、その不当性を判断することが困難になりますから、社員としては目標設定の段階で異議を申し出るべきです。

反対に、目標の達成率が評価される段階で、社員から目標の不当性が主張された場合には、会社から社員に対して、その根拠の提出を求めるべきでしょう。

 

<評価結果のフィードバックでのパワハラ>

人事考課の結果は、社員一人ひとりにフィードバックし、十分に説明することによって、評価結果を理解させ、次に向けてどのように努力すべきかの指針を与えなければなりません。

このとき起こりがちなのは、評価の低い社員に対して、あるいは評価の低い項目について、上司から必要以上の精神的ダメージが加えられることです。

評価結果のフィードバック面談は必要な業務ですが、不当な屈辱を与えるのは人格権の侵害であり、パワハラとなってしまいます。

上司は、必要のない言葉を添えないように、十分注意して面談に臨む必要があります。

もっとも、低い評価にショックを受けて、社員が泣き出してしまうようなケースでも、必ずしもパワハラが行われたとは限りませんので、会社としては慎重な見極めが必要です。

 

<トラブル回避のために>

社員が納得できるところまではいかなくても、少なくとも理解できる説明をすることでトラブルは回避できます。

これには、評価や目標の根拠事実を数多く示すことが必要ですから、評価をする側がこれをなるべく多く集めておく努力が求められます。

また、客観的な評価基準が無く、上司の裁量で評価している場合や、評価基準はあっても具体的な内容が曖昧な場合には、人事考課制度の改善が必要となります。

さらに、人事考課権者の能力不足や理解不足でパワハラの問題が生じないようにするには、人事考課の実施時期の前に必ず考課者研修を行うことが望ましいといえます。

 

解決社労士