定年後の継続雇用

2023/09/23|1,040文字

 

<定年年齢の規制>

事業主が定年制を設ける場合には、定年を60歳以上とすることが義務化されています。〔高年齢者雇用安定法第8条〕

これにより、60歳未満の定年を定めた就業規則等の規定は無効とされます。

法令違反とならないように、法改正に先駆けて就業規則を変更し続けるのが正しいのです。

 

<定年後の継続雇用の規制>

定年の定めをしている事業主に対して、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずべきことが定められています。〔高年齢者雇用安定法第9条〕

義務付けられる雇用確保措置のうち継続雇用制度には、勤務延長制度と再雇用制度とがあります。

勤務延長制度は、原則として役職・職務、仕事内容、賃金水準などが変わりません。

これに対し、再雇用制度は一度労働契約を終了させた後に、再び新しく労働契約を締結するものです。

つまり、定年の65歳への引上げが義務付けられるわけではありませんし、必ずしも勤務延長制度を選択しなければならないわけでもありません。

再雇用制度を選択し、新しい労働契約によって、役職・職務、仕事内容、賃金水準などが変わることもあるわけです。

 

<再雇用制度を選択する場合の規制>

再雇用制度を選択した場合であっても、再雇用にあたって、事業主が極端に労働条件を下げた労働契約を提案した場合には、実質的に再雇用拒否と見られますから、解雇権の濫用と同視され、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずべき義務に反します。

つまり、高年齢者雇用安定法第9条に違反することになります。

では、どの程度条件を下げても再雇用拒否と見なされないかというと、まだ裁判例の集積も通達も不十分ですから明確な基準は見当たりません。

結局、具体的な事例に即して、社会通念に照らして相当かどうかで判断することになります。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

勤務延長制度であれば、トラブルは少ないと思います。

しかし、再雇用制度の場合には、労働条件の低下を伴うことが通常で、労使の話し合いが決裂してしまい、トラブルになることが多いものです。

同じ労働条件の低下であっても、ただ「この条件になります」と言うのと、なぜそのような条件を提示することになるのかについて、具体的な説明を尽くした場合とでは、事業主から示される誠意に大きな差が出てきます。

こんなときは、信頼できる社労士(社会保険労務士)が間に入り、社労士が事業主から説明を受け、定年を迎える人にわかりやすく具体的な説明をするというのが、トラブルを未然に防ぐための良い方法でしょう。

 

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