雇い止めの上手な伝え方

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2020/03/07|1,314文字

 

<有期労働契約の打ち切り>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

一定の場合に、「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めの有効性の判断材料>

上記の労働契約法第19条は、数多くの判決がベースとなって規定されたものですから、雇い止めの有効性を判断するには、裁判に現れたケースを基準に具体的に考える必要があります。

そして、結論としては、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

 

【雇い止めが有効となりやすい事情】

・業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

・契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

・契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

・他の労働者も契約更新されていないこと。

・雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

<どう伝えたら良いか悩む理由>

会社側が、雇い止めの対象者に、契約を更新しないという判断を伝える場合には、契約の打ち切りが不当だという法的主張をされないか、また、感情的に納得してもらえないのではないかということで悩みます。

とくに、自分自身が判断したのではなく、上司や人事部門の決定による場合には、自分の気持ちとは関係なく事実を伝えなければなりませんから辛いものです。

 

<法的主張についての不安>

ポイントは、合理的な理由の説明です。これには事前の準備が必要です。

労働条件通知書、雇用契約書といった労働条件を示した書面に、契約を更新しない場合の具体的な理由と、判断するのは会社側であることが明記されていれば、「ここに書いてある通り」という説明で十分なことも多いでしょう。

労働条件通知書の契約更新の条件は、可能な限り具体的なものとしておくこと、条件の充足を判断するのは会社側であることを明記しておきましょう。

 

<感情的な納得>

雇い止めされる従業員からすると、理屈では理解できても、感情的に納得がいかないという場合もあります。

ポイントは、日頃からのコミュニケーションです。これにも事前の準備が必要です。

日常的な雑談だけでなく、部門長や人事担当者との定期的な面談が必要です。

ここでは、次回の契約更新の可能性など、重要な話もすることになります。

雇い止めをする場合には、契約期間の終了まで多くの日数を残して話を切り出さなければなりません。

次の仕事を探すなど、従業員側にも時間的な余裕が必要だからです。

そして、対象となる従業員の話を十分に聞き、十分な説明をすることが大切です。

 

解決社労士