2023/08/07|1,263文字
<労働基準監督署が調査(監督)に入るケース>
労働基準監督署が企業の調査(監督)に入るケースとしては、次の3つが多いでしょう。
・方面(ほうめん)という部署が、労働基準法の順守状況を確認するため。
・安全衛生課という部署が、労働安全衛生や労働環境の状況を確認するため。
・労災課という部署が、労災発生後の再発防止策を確認するため。
<方面による調査(監督)>
多いのは、サービス残業と過重労働のチェックです。
これらの前提として、労働時間の適正な把握・管理も対象となります。
労働基準法などの法令違反は「是正勧告書」で、その他の改善すべき点は「指導票」で指導が行われます。
これに対して、企業は「是正報告書」を提出して、改善したことを報告します。
これにて一件落着となっても、ほとぼりが冷めると元に戻ることもありますから、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。
最初の調査で何一つ指摘を受けていなければ、再調査ということもありません。
<安全衛生課による調査(監督)>
労働安全衛生法などの順守状況が確認されます。
たとえば、機械類の操作がある場合には、現場にマニュアルがあるか、わかりやすい警告表示があるかなどがチェックされます。
また、重量物の取り扱いがある場合には、誰が作業を行っているか、特に女性が制限を超えて重量物を扱っていないかなどがチェックされます。
もし、これらについて是正を求められても、改善することは比較的簡単ですが、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。
このときには、安全教育の実施について、実績資料の提示を求められることもあります。
<労災課による調査(監督)>
同種の労災事故が繰り返され、あるいは重大な労災事故があった場合には、3か月~1年半後に調査が入ることがあります。
このときは、「企業が自主的に行っている労災の再発防止策」を監督署が確認します。きちんと出来ていれば良いのですが、不十分なら「是正勧告書」「指導票」による指導が行われます。
そして、この指導があった場合には、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。
<社会保険労務士の役割>
以上のように、最初の調査(監督)で何も指摘されなければ、再調査(再監督)ということも無いのですが、「何も指摘されない」というのはかなり少数です。
会社の中に、専任の担当者がいない場合には、顧問の社労士が対応することになります。
現場任せにしておくと、いつの間にか最初の調査が入った時点の状態に戻ってしまっていることが多いものです。
社労士は、労働基準監督署の調査が入っても指摘事項が最小限になるよう、普段から労働環境の改善や労災発生防止策についてアドバイスします。
もちろん、実際に調査が入ることになれば、この調査にも立ち会いますし、その後の監督署からの指導へも対応します。
監督署の担当官にしても、専門家がいれば安心ですから、スムーズに事が進みます。