2024/01/28|1,662文字
<1分>
残業手当の計算をするにあたり、残業時間は1分単位で計算します。
「15分未満を切り捨て」などは、賃金全額払の原則に反します。〔労働基準法第24条〕
タイムレコーダーは、1分単位で労働時間を記録していますから当然といえば当然です。
現在の技術水準からすれば、秒単位での記録も可能でしょう。
しかし、そこまでは求められていません。
<45分・60分>
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては最低45分、8時間を超える場合においては最低60分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。〔労働基準法第34条第1項〕
労働時間が6時間以下であれば、休憩時間が無くてもかまいません。
しかし、食事の時間帯を挟む場合には、食事を摂るのに必要なだけの休憩時間が与えられるルールとなっているのが一般です。
<8時間>
1日の法定労働時間は8時間です。〔労働基準法第32条第2項〕
変形労働時間制を取らない限り、これを超えて労働させれば違法です。
ただし、所轄の労働基準監督署長に三六協定の届出を行えば、その範囲内での時間外労働は罰せられません。〔労働基準法第36条第1項〕
<40時間>
1週間の法定労働時間は40時間です。〔労働基準法第32条第1項〕
(小規模な特例措置対象事業では44時間)
変形労働時間制を取らない限り、これを超えて労働させれば違法です。
ただし、所轄の労働基準監督署長に三六協定の届出を行えば、その範囲内での時間外労働は罰せられません。〔労働基準法第36条第1項〕
「1週間」というのは、日曜日から土曜日までの7日間をいいます。
しかし、就業規則で、これとは別の7日間を1週間とすることもできます。
<42時間・45時間>
1年単位の変形労働時間制により労働する労働者について、三六協定を締結する場合、1か月の法定労働時間を超える労働時間の上限は42時間です。
これに該当しない労働者については、45時間が上限となります。
変形労働時間制というのは、勤務時間帯を柔軟にして、労働時間を削減する制度ですから、上限に差が設けられているのです。
これらは、特別条項が適用されない場合の上限です。〔労働基準法第36条第4項〕
<80時間>
法定時間外労働の上限は、法定休日労働の時間と合わせて、複数月平均80時間以内に制限されています。〔労働基準法第36条第6項第3号〕
複数月平均80時間以内というのは、過去2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のどの平均も80時間以内ということです。
実務的には、過去5か月の時間外労働の実績から、「今月は何時間までの残業が許されるか」を毎月計算して管理することになります。
<100時間>
法定時間外労働の上限は、法定休日労働の時間と合わせて、1か月100時間未満に制限されています。〔労働基準法第36条第6項第2号〕
100時間なら1発アウトということになります。
<320時間・360時間>
1年単位の変形労働時間制により労働する労働者について、三六協定を締結する場合、1年の法定労働時間を超える労働時間の上限は320時間です。
これに該当しない労働者については、360時間が上限となります。
変形労働時間制というのは、勤務時間帯を柔軟にして、労働時間を削減する制度ですから、上限に差が設けられているのです。
これらは、特別条項が適用されない場合の上限です。〔労働基準法第36条第4項〕
<720時間>
三六協定の特別条項によって、上記の年320時間または360時間を超えて労働させる1年の時間外労働の上限です。
<基準を守っても負う責任>
以上に掲げた基準のすべてについて、懲役や罰金の罰則が定められています。
労働者の承諾があったとしても、違法が適法に変わるということはありません。
しかも、これらの厳しい制限をしっかり守っていたとしても、労働契約法第5条の安全配慮義務を尽くしていることにはなりません。
民事責任を問われ、多額の賠償責任を負わされることもあるわけです。
人を雇うということは、それだけ責任が重いのです。