店舗・営業所が複数ある場合には就業規則の保管場所にも注意を払う必要があります

2024/07/19|1,150文字

 

<就業規則の有効性>

裁判所の判断によると、就業規則はその変更を含め、周知されていないと効力がありません。

これは、労働基準監督署長への届出の有無とは無関係です。

このことから明らかなように、届出が法令により義務づけられているものの、就業規則は届出で有効になるわけではなく、周知することによって有効になるのです。

知らないルールは守りようがありませんから、ある意味当然のことです。

 

<周知の意味>

「周知」という言葉は、本来、周(あまね)く=広く知らせるという意味です。

しかし、就業規則を有効にするために求められる周知は、一人ひとりの従業員がそれを読んて理解することではありません。

就業規則ができたこと、変更されたことだけ、一人ひとりの従業員に伝えておいて、あとは見ようと思えば見られる状態にしておけば良いのです。

たとえば、就業規則のファイルを休憩室やロッカー室に置いておくとか、パソコンやスマホで見られるようにしておくのです。

ただし、アルバイトやパート社員などを含め、すべての従業員に見られるようにしておく必要があります。

 

<事業の拠点が複数ある場合>

本部の他に営業所や店舗など、会社の事業の拠点が複数ある場合には、すべての職場で就業規則を周知する必要があります。

周知されていない職場の従業員に対しては、就業規則の効力がありません。

こうした職場では、たとえば懲戒処分ができないことになります。

印刷した就業規則のファイルを置いておくのなら、本部だけでなく、すべての営業所や店舗などに置く必要があります。

そして、アルバイトでも気軽に見られるよう、休憩室などに置くのが普通です。

店長や所長の机の引き出しに入っていたのでは周知になりません。

就業規則をパソコンで見る形になっている場合には、アルバイトでも気軽に見られる状態にしておく必要があります。

正社員は会社のパソコンで見られるけれど、アルバイトは会社のパソコンを使いづらいというのでは、アルバイトに対して周知になりません。

 

<会社目線の素人判断では>

「就業規則の変更は社員に知らせなくても労働基準監督署長に届け出れば有効」「まず届出をしてから社員に知らせるのが正しい」という誤解は生じやすいものです。

就業規則に限らず、「うちは昔からこれでやっている」ということで、毎回、間違いを繰り返していたり、法改正を知らずに違法な状態から抜け出せずにいたりということもあります。

顧問社労士は、社内に労働法違反の点がないか、もし労働基準監督署の立入調査(臨検監督)が入ったら、どの部分の違法性を指摘されるか、あるいはどのような改善を求められるかというチェックも行っているはずです。

少しでも不安に感じることがあれば、スポットでも信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

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