2024/05/27|861文字
<週休を増やす>
会社の方針により、週休1日あるいは隔週週休2日から完全週休2日に変更したら、従業員の休日は増加しますから、年次有給休暇を多少減らしても良いのではないかという話です。
昔から週休1日あるいは隔週週休2日のルールだった会社が、採用難などを理由に、完全週休2日として応募者を増やそうとすることもあります。
また、事業の成長が見込めず、従業員も高齢化していることから、人員を削減するのではなく、休日を増やして対応することもあります。
要は、「休日も休暇も同じ休み」なので、合計の日数が増えるなら問題ないのではないかという考え方です。
<休日と休暇>
労働基準法の定義によると、休日は労働義務のない日、 休暇は労働義務のある日に労働が免除される日です。
休日は、従業員から会社に対して申請や届出をしなくても、最初から当然に休みです。
一方で、休暇は、従業員から会社に対し届出をして休みます。
そして労働基準法は、休日と休暇のそれぞれに基準を定めて、この基準を下回ることを許しません。
結局、休日を大幅に増やしても、年次有給休暇が基準を下回るのは違法です。
たとえ、年次有給休暇が法定の基準を上回っている会社であっても、これを減らすことは不利益変更となりますから、厳格な要件を満たした場合にのみ許されます。
<実務の視点から>
休日が増えれば、労働時間が減る可能性が高いでしょう。
この場合に、月給を減らすことに問題はないのか、減らせるとしてどの程度まで可能かは、それぞれの具体的なケースに応じた判断が必要です。
これは、かなり専門的な話になります。
許される減給であっても、その手続や手順が誤っていると、月給の変更が無効となり、会社は変更前の月給を支払う義務を負うことになります。
一般に、人は変化を嫌います。
労働条件の改善であっても、上手に行わなければ従業員の反感を買い、退職者が出てしまいます。
良かれと思った変更で、労働基準法違反の犯罪が成立し、刑事罰の対象となることもあります。
労働条件や人事制度の変更は、その検討段階から、信頼できる社労士にご相談ください。