2025/07/16|944文字
<会社のハラスメント相談窓口>
ハラスメント相談窓口とは、職場で発生するパワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)など、さまざまなハラスメントに関する相談を受け付け、適切に対応するための社内窓口です。
労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)に基づき、一定規模以上の企業にはハラスメント相談対応体制の整備が義務付けられています。その中心的な役割を果たすのが、この相談窓口です。
<窓口の役割と機能>
相談窓口の主な機能は以下の通りです。
◯相談対応:被害者だけでなく、目撃者や加害者とされる人からの相談にも対応します。
◯事実確認と初期対応:客観的な聞き取りを行い、必要に応じて関係部署と連携して事実確認を行います。
◯再発防止策の提案・実施:問題が確認された場合は、加害者への指導や職場環境の改善策を講じます。
◯相談者のプライバシー保護:相談内容は原則として秘密厳守され、報復などの不利益な取扱いは禁止されています。
<窓口設置のポイント>
効果的な相談窓口を機能させるには、以下の観点が重要です。
◯相談しやすい環境づくり
利用者に「安心して相談できる」と感じてもらうためには、相談員の対応姿勢、窓口の案内方法、匿名性の確保などに配慮が必要です。
◯中立性の確保
上司や加害者と利害関係にある人物が相談員にならないようにするなど、公平で客観的な対応が求められます。
◯専門知識のある相談員の配置
労働法やメンタルヘルスに関する基礎知識を持った人材を窓口に配置することが望ましいです。必要に応じて外部専門家と連携することも有効です。
<社内周知と啓発>
相談窓口が存在していても、従業員にその存在や利用方法が知られていなければ意味がありません。定期的な研修や社内報、ポスター、イントラネットなどを活用し、「困ったら相談していい」と思える文化づくりが求められます。
<実務の視点から>
ハラスメント防止対策は法令順守の観点だけでなく、職場の生産性や信頼関係、ひいては企業の社会的評価にも影響を与える大切な取り組みです。
相談窓口はその最前線であり、従業員の声を聴く重要なチャンネルでもあります。
形式的に置くだけではなく、実質的に機能する窓口とすることが求められます。