2025/07/21|866文字
<アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)>
アンコンシャス・バイアスとは、私たちが意識しないうちに持っている「思い込み」や「先入観」のことを指します。
これは経験や文化、社会的背景から無意識のうちに身についたもので、判断や行動に影響を与えるにもかかわらず、本人には気づきにくいという特徴があります。
たとえば次のような判断を、無意識にしてしまうことがあります。
「若いからまだ責任ある仕事は無理だろう」
「女性は感情的になりやすい」
「男性は論理的でリーダー向き」
<問題とされる理由>
無意識であるがゆえに、本人の意図とは無関係に周囲に不公平をもたらすリスクがあります。特に以下のような場面で問題となりやすいでしょう。
・採用・昇進判断:評価のつもりが偏見による判断になっている場合
・会議での発言機会や意見の扱い:特定の属性に対して発言を無意識に軽視してしまう
・職場の配属や業務アサイン:能力より先入観で決めてしまうことによる機会不平等
つまり、アンコンシャス・バイアスが放置されると、多様性のある職場の形成を妨げたり、職場の信頼関係を損なったりする要因になりかねません。
<対策のヒント>
「アンコンシャス」は気づかないことですから、気づくことが対策となります。
- 自分のバイアスに「気づく」
研修やセルフチェックを通じて、自分がどのようなバイアスを持っているかを理解することが第一歩です。
- 「なぜそう思ったのか?」と問い直す習慣
判断や決定に至る思考プロセスを振り返るクセをつけると、思い込みに気づきやすくなります。
- 事実と意見を区別する
「〇〇だからきっと△△だろう」という憶測と、客観的な実績やデータを分けて評価する意識が大切です。
- 異なる視点との対話を増やす
多様な背景を持つ人との会話や共同作業を通じて、自分の価値観の幅を広げていくことも有効です。
<実務の視点から>
アンコンシャス・バイアスは「誰にでもあるもの」であり、完全になくすことは難しいかもしれません。
しかし、「気づいて対処しようとする意識」こそが、組織をよりフェアで多様性に富んだものにする鍵です。