2025/07/20|1,267文字
<リワークプログラム>
リワーク(Rework)プログラムとは、うつ病や適応障害、不安障害などの精神疾患により休職していた方が、スムーズかつ継続的に職場復帰できるよう支援するリハビリテーション的なプログラムです。
医療機関、地域の復職支援施設、企業の産業保健部門などが連携して行います。
近年では、職場ストレスによる精神疾患が社会的課題として認知される中で、復職の可否判断や就労継続を支援する「復職支援の仕組み」として多くの企業が注目しています。
<リワークプログラムの目的>
リワークプログラムには、次のような複数の目的があります。
◯再休職の予防
十分な回復を確認したうえで復職の準備を整え、職場での再発・再休職のリスクを低減します。
◯生活・就労リズムの再構築
長期休職中に崩れがちな生活リズムや集中力、作業遂行能力などを整えるトレーニングを行います。
◯社会的スキルの再獲得
グループワークやロールプレイを通じて、対人関係やストレスマネジメントの力を再確認します。
<実施主体と利用できる場所>
・精神科・心療内科などの医療機関内のリワークデイケア
・地域障害者職業センター(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)
・ハローワークとの連携による就労支援プログラム
・企業内の産業医・保健師・人事部門による支援体制(「職場リワーク」)
<プログラムの内容(例)>
・生活リズム調整:起床・通所・昼食・退所など決まった時間での活動
・作業系プログラム:PC作業、読書、集中力訓練
・認知行動療法プログラム:思考のクセや感情の扱い方を学ぶ
・ストレス対処法の習得:マインドフルネス、自己分析、休息技法など
・復職シミュレーション:通勤訓練や模擬業務の実施
・復職判断の支援:主治医・産業医・支援機関が連携して復職可能性を検討
<利用の流れ(標準的なケース)>
・主治医と相談し、リワークプログラムの紹介を受ける
・支援機関の見学・利用申込
・通所開始(週数回から徐々に頻度を上げる)
・定期的な振り返り・目標設定
・産業医面談や職場との連携による復職準備
・復職 → 職場定着支援へ
<利用のための条件・費用>
・医療機関でのプログラムは、健康保険が適用される場合が多く、費用は比較的低額です。
・地域障害者職業センター等での支援は原則無料で、紹介状などが必要となる場合があります。
・一部の民間支援事業者では、有料のプログラムもあります。
<注意点と成功のポイント>
・職場との連携がカギ:復職後の配置や業務内容について、企業側との事前調整が重要です。
・本人の主体性と目標設定:プログラム任せではなく、本人の「もう一度働きたい」という意思が出発点になります。
・家族や同僚の理解促進:復職後の周囲のサポートが就労継続に大きく影響します。
<実務の視点から>
リワークプログラムは、単なる「通院の延長」ではなく、“仕事に戻る準備をする場”としての専門的な支援です。
病気の再発を防ぎ、自信をもって再び社会に戻るプロセスを支えるこの制度は、これからの「共に働く社会」においてますます重要になっていくでしょう。