2025/05/02|1,025文字
<休職期間中の産前休業>
産前休業について、労働基準法は次のように規定しています。
【労働基準法第65条第1項:産前休業】
使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。 |
このように、産前休業は法定された休業ですが、妊娠中の女性からの請求を待って発生するものです。
ですから、何らかの事情により、本人から産前休業の請求が無いまま休職期間が満了すれば、自動退職(自然退職)となることもあるわけです。
しかし、一般には本人からの請求があって、休職期間中に産前休業が開始されることになります。
この場合には、法定の制度である産前休業が、会社の制度である休職に優先して適用されます。
つまり、休職期間の満了をもって自動退職(自然退職)とはなりません。
むしろ、産休の期間とその後30日間は解雇が制限されます。〔労働基準法第19条本文〕
<休職期間中の産後休業>
産後休業について、労働基準法は次のように規定しています。
【労働基準法第65条第2項:産後休業】
使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。 |
このように、産後休業は産前休業と同様に法定された休業ですが、出産した女性からの請求を待たずに当然に発生するものです。
ですから、休職期間中に産後休業が開始された場合には、法定の制度である産後休業が、会社の制度である休職に優先して適用されます。
つまり、休職期間の満了をもって自動退職(自然退職)とはなりません。
やはり、産休の期間とその後30日間は解雇が制限されます。〔労働基準法第19条本文〕
<実務の視点から>
休職に優先して産休が適用されることによって、残っていた休職期間がどうなるのか、法令には規定がありません。
これについては、各企業の就業規則に任されていることになります。
産休や育休が終了してから、休職期間の残された期間が進行する、期間がリセットされ改めて休職期間がスタートするなど、就業規則に定めることになります。
休職期間が短縮されたり終了したりというのは、産休や育休の取得による不利益取扱ですから許されません。
休職中の産休はレアケースですが、産休を取得する社員が多い職場では、予め就業規則に規定しておいてはいかがでしょうか。