解雇の記事

<退職してもらう方法の選択>

業務上のミスが多く、その程度も重い場合、十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い場合には、仕方なく会社を辞めてもらうことになります。

その方法としては、退職勧奨や普通解雇があります。

解雇が有効となる条件がそろっているような場合には、会社から対象者に退職を勧め、本人がこれに応じる合意退職が成立しやすいでしょう。

しかし、解雇が有効となる条件が欠けている場合、能力不足などにより転職がむずかしい社員の場合、実力に比べて高額な給与が支給されているような場合には、なかなか本人が退職勧奨に応じないものです。

また、能力不足そのものを理由とする懲戒解雇はできませんので、「このままだと懲戒解雇になる」などの説明をして退職願いを提出させた場合でも、錯誤〔民法95条〕、強迫〔民法96条〕による退職の意思表示の無効が主張され、取り消されてしまう可能性があります。

さらに、反省を示す意図で退職願いが出されたのに対し、会社側がその意図を知りうるのに退職手続きを進めたような場合には、心裡留保〔民法93条〕により退職の意思表示が無効となる可能性もあります。

 

<普通解雇による退職>

こうして、能力不足によるミスの連発が見られる場合には、普通解雇を検討することになります。

普通解雇のつもりで解雇を通告しても、法的な条件を満たしていなければ解雇権の濫用とされ無効となります。これが不当解雇です。不当解雇の場合には、解雇したつもりになっていても、それは無効だということです。

解雇が有効となるためには、次の条件を満たしている必要があります。

・就業規則に定めてある普通解雇の具体的な理由にあたること

・解雇権の濫用〔労働契約法16条〕ではないこと

・解雇予告義務〔労働基準法20条〕が果たされていること

・解雇が法律上の制限に違反していないこと

 

<証拠固め>

退職勧奨に応じた社員や、普通解雇をした社員から、合意退職や解雇の無効を主張されることがあります。これに備えて会社は証拠を保管しておく必要があります。ところが実際には、会社側に証拠が残っていないことが多く、退職者の主張を覆せないことによるトラブルが後を絶ちません。

会社が「十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い」という証拠を持っていなければ、真実はそうであったとしても、裁判官はその事実を認定できません。注意・指導・教育の日時と内容、そしてその後の対象社員の変化などを、文書に残しておく必要があります。

会社経営者、上司、同僚、部下、取引先などは、基本的に会社の味方ですから、その証言は信頼できる証拠にはなりません。

また、そもそも業務上のミスが多いので辞めてもらいたいわけですから、いつどのようなミスがあったのか、会社はどう対処したのかという基礎的な証拠も必要なわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

たとえば、解雇権の濫用とされる基準は、労働契約法16条を読んだだけでは具体的なことがわかりません。具体的な事案に即した専門的な判断が要求されるのです。

社員に退職してもらうことを検討する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.25.解決社労士

<パートやアルバイトなどの定義>

正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの用語は、法律用語というわけではなくて、それぞれの企業で定義を決めています。そして実際には、明確な定義を決めていない企業も数多くあります。

このように、パートなどが法律用語ではない以上、各企業が特定の従業員をどのような名称で区分しようとも、それを根拠に正社員と違った扱いができることにはならないのです。

 

<パートやアルバイトの解雇>

ところが、パートやアルバイトであればいつでも解雇できるものと誤解されていることがあります。もちろん、全くの誤りです。

むしろ、契約期間の途中で解雇するのは、定年の他に期間を定められていない正社員よりもむずかしいのです。

客観的に「やむを得ない」理由が無ければ、契約期間中に解雇することはできません。〔労働契約法17条1項、民法28条〕

「やむを得ない」理由とは、期間を定めて雇用しているにもかかわらず、その約束を破って、期間満了前に雇用契約を終了しなければならないような特別重大な理由をいいます。

ですから、余程のことがない限り、契約期間の途中で解雇することはできません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

期間満了と共に解雇する場合にも、決して自由に行えるわけではありません。

解雇したつもりになっていても、不当解雇であれば解雇は無効なのです。

その人を採用するかどうかは、基本的に企業側の自由なのですが、採用したからには雇い続ける努力をしなさいというのが、労働法全体の趣旨となっています。

それでもなお、解雇を考えなければならないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.22.解決社労士

<同じ解雇でも>

懲戒解雇は、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書などに具体的な規定が無ければできません。

しかし普通解雇は、これらに規定が無い場合でも民法が適用されるので、一定の条件を満たせば可能です。

 

〔民法第627条第1項〕

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

〔民法第627条第2項〕

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

 

通常、給与計算には締切日がありますので、給与支給が月1回であれば第2項の方が適用されます。

 

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。具体的には、雇用契約書、労働条件通知書などです。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.15.解決社労士

<解雇を希望する従業員>

従業員の方から解雇を希望するというのは、それ自体、不自然な話です。解雇という言葉の意味からして、会社から従業員に対して労働契約の解除を申し出るのが解雇ですから。

それでも、全く本人の自由な意思で退職を希望する場合や、会社から退職勧奨があった場合に、「解雇にしてください」という申し出は実際にあるのです。

本人の説明によると、失業手当(雇用保険の求職者給付の基本手当)をもらうのに有利だからと言うのです。

退職勧奨の場合には、すでに労働者に有利になっているので、解雇扱いでさらに有利になることは無いのですが、自己都合退職から解雇への理由変更なら有利になりますし、助成金の受給を予定しないのなら会社に不利益なことはなさそうにも思えます。

しかし、絶対に応じてはいけません。

 

<見えなかった下心>

雇用保険の手続きにあたっては、本当の退職理由を記入しなければ違法になります。会社が退職理由を偽ること自体、コンプライアンスの点で問題があります。

しかし、こんな単純な話ではありません。

今や簡単には解雇が認められず、退職者からの不当解雇の主張が通ってしまうという現実があります。

ということは、本人が希望したにもかかわらず、後から会社に対して不当解雇の主張をして、多額の金銭を要求するというリスクがあるのです。

 

<退職者からの要求>

まず、平均賃金の30日分の解雇予告手当の請求があります。

つぎに、不当解雇であり解雇が無効であったことによる賃金支払の要求があります。不当解雇というのは、会社が解雇したつもりになっていて、実は解雇が無効なわけですから、裁判などで争いが長引けば、その間の賃金支払義務は消えないということになります。

ついでに、未払い残業代や慰謝料の請求まで加わることもあります。

 

<会社の対抗措置>

会社としては、解雇を撤回し「今まで通り勤務してください」と申し出るという作戦をとることも可能です。もちろん、解雇扱いになっていた期間の賃金支払義務は消えません。しかし、本当のところは本人が希望して退職しているわけですから、いまさら仕事に復帰する可能性は低いでしょう。

ただし、最初から弁護士と相談して行動していた場合や、労働組合に支援してもらっている場合には、仕事への復帰も想定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

普通とは違った話が従業員から出てきたときに、経営者は自分の中の常識に従って判断しがちです。

そして、これが会社にとって大きな打撃となることもあります。

少しでもおかしいと思ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.11.解決社労士

<一般的な規定>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」〔労働契約法16条〕

解雇を通告し、解雇したつもりになっていても、それが不当解雇であって無効であるために、従業員の立場は失われないということですから、働いていなくても賃金の支払いが必要になるなど大変なことになります。

不当解雇というのは、解雇したつもりで、実は解雇できていない状態ですから危険です。

 

<個別的な規定>

解雇を制限する規定としては、次のようなものがあります。

・国籍、信条、社会的身分による差別的取扱いの禁止〔労働基準法3条〕

・公民権行使を理由とする解雇の禁止〔労働基準法7条〕

・業務上の負傷・疾病の休業期間等、産前産後休業期間等の解雇制限〔労働基準法19条〕

・性別を理由とする差別的取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法6条4号〕

・婚姻、妊娠、出産、産前産後休業を理由する不利益取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法9条〕

・育児休業、介護休業、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置の申出等を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔育児介護休業法10条、16条、16条の4、16条の9、18条の2、20条の2、23条の2〕

・通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止〔パートタイム労働法8条〕

・都道府県労働局長に対し個別労働関係紛争解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔個別労働関係紛争解決促進法4条3項、5条2項〕

・法違反を監督官庁(労基署等)に申告したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔労働基準法104条2項、最低賃金法34条2項、労働安全衛生法97条2項、賃金確保法14条2項〕

・公益通報したことを理由とする解雇の無効〔公益通報者保護法3条〕

・不当労働行為の禁止〔労働組合法7条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「常識」に従った解雇は、法的には不当解雇であることが多いものです。

解雇を検討するなら、一度、信頼できる社労士にご相談ください。

何の落ち度もない従業員を退職に追い込むようなことはできませんが、納得して退職していただくためのお手伝いはさせていただきます。

 

2017.06.09.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.06.解決社労士

<雇い止めとは>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることをいいます。

契約更新の繰り返しにより、一定の期間雇用を継続したにもかかわらず、会社が期間満了時に突然退職させるなどの場合にはトラブルとなりがちです。

 

<雇い止めが無効とされる場合>

労働者から契約更新の申出があった場合に、会社がこれを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには、今までと同じ条件で、契約が更新されることがあります。〔労働契約法19条〕

雇い止めが無効とされないためには、具体的にどうしたら良いのか、以下にポイントを示します。

 

<正社員との違いの明確化>

正社員用の就業規則とは別に、専用の就業規則を備え、労働時間は正社員よりも短く、採用手順も簡略なものを定めておきましょう。

 

<業務内容の臨時性>

業務内容を、特定の臨時的なものに限定し、負担も責任も正社員より軽いことを明確にします。

 

<更新への期待>

雇い入れの時に、労働条件通知書の内容を具体的に説明し、契約更新について誤解が生じないようにしておきます。

 

<契約更新の手続き>

契約の更新にあたっては、労働者と個別に面談し、これを踏まえて更新後の労働条件通知書を渡します。なんとなくの更新にしてはいけません。

 

<契約不更新の実績を作る>

職場の人間関係を悪くしたり、新人をいじめたり、勤務成績の悪い労働者について、契約を更新しない実績を作っておきましょう。

会社側が、我慢したり、人情に流されたりしていては、イザというときに困ります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の状況を踏まえて、具体的にどうすれば良いのか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.18.解決社労士

<法律による制約>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。〔労働契約法16条〕

実際、この条文を適用しても解雇が無効とされないケースは、かなり限られています。つまり、簡単には解雇できないことになっています。

入社して間もなくの解雇は、「採用取消」などと呼ばれますが、実態は解雇ですから、解雇としての法的規制を受けます。

 

<まるで詐欺のようなケース>

採用選考の段階で、労働者から会社に対して「業務に支障の出る病気は無い」「病気治療のための通院でしばしば欠勤するようなことは無い」と申し出ていたにもかかわらず、入社後に雇い入れ時健康診断で「要治療」の結果が出てしまい、仕事にも支障が出るし、通院のために毎週1日午後3時に早退しなければならないことが発覚し、本人がこれを知っていて嘘をついていたというケースなら、解雇(採用取消)も正当なものと認められやすいでしょう。

 

<業務の転換すらできないケース>

雇い入れ時健康診断であれ、定期健康診断であれ、その結果がかなり悪くて今の業務を続けさせることが困難であれば、会社は職務の転換をしてあげなければなりません。

しかし、比較的小規模な会社であれば、転換させようにも、適当な仕事が見つからないかもしれません。会社は、新たに仕事を作るような義務は負っていません。

このようなケースであれば、解雇も正当なものとして有効となることが多いでしょう。

ただし、会社に休職の制度があるのなら、それも検討したいところです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

ただ単に健診結果が悪いだけで解雇を通告しても、不当解雇として無効になります。

具体的なケースで会社がどうすべきか、失敗しないためには、信頼できる社労士にご相談ください。

すでに、解雇があって不当解雇が疑われるケースでは、社労士の中でも、特定社労士の業務となりますので、特定社労士にご相談ください。

 

2017.04.21.解決社労士

<やる気そのものは見えない>

いかにも「やる気」がなさそうな社員は、他の社員に悪影響を及ぼします。しかし、「やる気」というのは、心の中のことですから目に見えません。それでも、「やる気」のないことが客観的に外部にあらわれていれば、それを理由とする解雇も可能です。

 

<法的規制>

「退職に関する事項」は、就業規則の絶対的必要記載事項ですから、就業規則に必ず規定しなければなりません。〔労働基準法893号〕

就業規則に定めていない理由での解雇はできません。しかし、どんな理由でも解雇できるわけではありません。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とするとされています。〔労働契約法16条〕

 

<具体的な規定例>

具体的な就業規則の規定例としては、次のようになります。

「労働者が次のいずれかに該当するときは解雇することがある。

1.勤務状況が著しく不良で改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。

2.勤務成績または業務能率が著しく不良で向上の見込みがなく、他の職務にも転換できないなど就業に適さないとき。」

1.は「やる気」のなさが、遅刻、早退、欠勤などに形となってあらわれた場合、

2.は「やる気」のなさが、仕事の成果に形となってあらわれた場合の規定です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働法の改正が重ねられ、労働判例が集積されるにつれ、「不当解雇」のハードルが低くなっています。「常識的に考えて解雇は当然」と思われる場合でも、客観的には「不当解雇」であると判断されるケースが大半になっています。

解雇を検討する場合には、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.08.解決社労士

<違法解雇と呼べるもの>

労働基準法により違法とされ、罰則が規定されている解雇には次のものがあります。〔労働基準法119条1号〕

・業務災害を理由とする休業期間中と業務復帰後30日間の解雇〔労働基準法19条〕

・産前産後休業期間中と業務復帰後30日間の解雇〔労働基準法19条〕

・法定の解雇予告・解雇予告手当が無い解雇〔労働基準法20条〕

これらの場合には、国家により使用者に刑罰が科されるという規定です。

この刑罰とは別に、労働者から使用者に対して、不法行為を理由とする損害賠償の請求がありえます。〔民法709条〕

前者が刑事的な側面の話で、後者が民事的な側面の話です。

 

<不当解雇は無効>

一方で、不当解雇というのは、使用者が労働者を解雇したつもりになっていて、それが不当であるために無効とされる場合を言います。

労働契約法に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されているのが不当解雇です。罰則はありません。〔労働契約法16条〕

解雇が有効になるのは、解雇を通告された本人が客観的に合理的な理由があると納得できる場合であって、しかも、世間一般の人々が「やむを得ない」と納得できる事情がある場合に限られるのです。

たとえば、毎日普通に勤務していた男性社員が、社長の好きなアイドルの歌を嫌いだと言ったがために、30日分の解雇予告手当を渡されると同時に解雇を通告された場合、違法解雇ではありませんが、不当解雇になります。つまり、解雇予告手当を支払ったとしても、解雇が無効になるわけです。

こうした場合、使用者が罰せられることはないのですが、解雇が無効なのに退職扱いされた労働者は、使用者に対して損害の賠償を請求できます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

有効な解雇は条件が厳しいものです。

無効とされない解雇を考える経営者も、不当解雇されたと感じる労働者も、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.18.解決社労士

<解雇の有効性についての判断基準>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16 条〕

この規定は、裁判所が判断を下すのに使った理論が条文となったものですから、その趣旨は様々な形で解雇の有効性の判断基準にあらわれます。

 

<就業規則に解雇の理由が無ければ>

まず、解雇の理由(事由)は、就業規則に必ず記載する事項とされています。〔労働基準法89 条3 号〕

つまり、就業規則に規定の無い理由で解雇することはできません。

また労働者が、解雇の予告をされた日から退職する日までの間に、解雇の理由について証明書を請求した場合には、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。〔労働基準法22 条2 項〕

ですから、使用者が就業規則に規定の無い理由で労働者を解雇した場合には、労働者に有利な証拠書類を交付することになってしまいます。

 

<就業規則に解雇の理由があっても>

つぎに、裁判所はあいまいさの残る規定について、使用者に対して厳密な立証を求めます。

たとえば、営業成績が「著しく不良」という規定であれば、使用者はその程度が客観的かつ具体的に重大であることを証明しなければなりません。

また、将来の改善・回復の見込みが無いなどの「将来の予測」については、客観的な立証が必要とされます。

今日の判例は、使用者に困難な立証を求めることによって、「解雇は最後の手段であるべき」との態度を示しているのです。

 

<能力不足を理由とする解雇>

そして裁判では、労働者の能力が職場全体の中で相対的に低いというだけでは、能力不足による解雇が認められていません。

使用者は、解雇を検討する前に、配置転換や再教育による能力向上、あるいは降格処分など、解雇を回避するための措置を求められます。

 

<目標未達成を理由とする解雇>

結局、市場動向の変化や会社の業績に左右されない、客観的で合理的な目標が就業規則に規定されていて、その目標を達成できないことを理由に解雇する場合であって、教育研修を十分に行い、配置転換や降格処分も行ったのになお効果が無く、やむを得ず解雇を通告するのでなければ、その有効性は疑わしいということになってしまいます。

そもそも、条件付きの解雇通告というのは、それだけで労働者の立場を不安定にしますから、どんなに工夫を重ねても、有効性に自信を持てないものなのです。

こんなむずかしいことにチャレンジするよりは、信頼できる社労士(社会保険労務士)と相談して、充実した教育研修システムや、納得のいく人事考課制度を構築したほうが、会社も社員も成長するのではないでしょうか。

 

2017.02.07.解決社労士

<結論として>

ここで言う解雇とは、懲戒解雇ではなく会社が期待しただけの働きができないことによる普通解雇でしょう。

結論から言うと、労働契約の内容によるということになります。

労働契約は口頭でも成立しますが、基本的な労働条件については会社から労働者に書面を交付して確認することが法定されています。

ところが書面が作成されていなかったり、そもそも基本的なことを決めていなかったりすれば、トラブルが発生するのは当たり前です。

 

<年俸制の考え方>

厚生労働省のモデル就業規則に年俸制の規定が無いことからも明らかですが、プロ野球の制度を真似してサラリーマンに年俸制を当てはめるのは無理があります。

取締役であれば委任契約ですから、年俸制がしっくりきます。

実際にサラリーマンに年俸制を適用する場合、今後の活躍ぶりを期待してあらかじめ年俸を決める場合と、過去の実績から年俸を決める場合があります。

過去の実績から決める場合は良いのですが、これからの活躍を期待して年俸を決めたのに、期待を裏切ったら減俸できるのか、さらには普通解雇できるのかという問題になります。

こうしたことは、労働契約の内容が不合理でなければ、労働契約の内容に従うということです。

ところが口頭でも決めていなければ、解決の手掛かりがありません。結局、会社と年俸制社員の話し合いで決めるしかありません。

 

<あらかじめ職位・職種を定めた社員の解雇>

年俸制でなくても、あらかじめ経理部長とか店長とか職位や職種を定めて中途採用することがあります。

労働契約で「何をどのレベルで」ということが明確になっていれば、普通解雇も困難ではないでしょう。

しかし、「当社の経理部長にふさわしい働きぶり」とか、「当社の店長として標準的な業務」では、裁判などで客観的に認定できないですから、紛争になるのは目に見えてます。

ところが口頭でも決めていなければ、解決の手掛かりがありません。結局、会社とその社員の話し合いで決めるしかありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は手続きを代行するだけではありません。労働と社会保険に関する法律と人事・労務管理の専門家として、企業経営の3要素(ヒト・モノ・カネ)のうち、採用から退職までのヒトに関するエキスパートです。

顧問先の企業でトラブルが発生しないように予防策を講じることで、経費、労力、時間、精神力の負担を軽減します。

万一トラブルが発生した場合には、両当事者の主張内容を法的観点から整理し、その正当性、反論可能性を明らかにしたうえで、実体と証明の両面からのご対応をご提案いたします。人の感情に配慮して、お互いに怨みを残さない解決を目指します。これは、顧問先でなくてもスポットでも対応いたします。

是非、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.12.15.

次の事項を理由に解雇することは、一部の例外を除き禁止されています。だからといって、別の理由をでっち上げて解雇しても無効です。

 

・労働者の国籍、信条、社会的身分〔労働基準法3条〕

・労働者の性別〔男女雇用機会均等法6条〕

・労働者が労働基準監督機関に申告したこと〔労働基準法104条〕

・女性労働者が婚姻したこと、妊娠・出産したこと〔男女雇用機会均等法9条〕

・個別労働関係紛争に関し、都道府県労働局長にその解決の援助を求めたこと〔個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条〕

・男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に係る個別労働紛争に関し、都道府県労働局長に、その解決の援助を求めたり、調停の申請をしたこと

・労働者が育児・介護休業等の申出をしたこと、又は育児・介護休業等をしたこと〔育児・介護休業法〕

・労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又はこれを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等〔労働組合法7条〕

・公益通報をしたこと〔公益通報者保護法3条〕

 

ちょっと耳慣れない法律もありますが、すべては労働者を保護するための規定です。

中には、会社にとって不都合なことや、会社に逆らっているかのような内容もあります。

しかし、うっかり解雇すれば、それは無効となるばかりではなく、慰謝料請求の対象ともなりますので、くれぐれもご注意ください。

 

2016.04.19.

<解雇の検討>

入社4年目の正社員が、ある時期から遅刻を繰り返すようになります。

上司が注意しても、ただただ謝るだけです。

定期健康診断の結果も正常ですし、同僚からの勧めもありメンタルクリニックで受診したのですが、正常の範囲内という診断でした。

それにしても全く仕事が手につかない様子です。

社長が直に面談してみたところ、個人的な悩みを抱えているとのことでしたが、具体的なことは何も話してもらえませんでした。

社長と上司が、就業規則を見ながら考え込んでしまいました。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(解雇)第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

①勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに良く出来ています。

この条文は、次のことを言っています。

・働きぶりがあまりにもひどいこと

・普通に働けるようになるとは思えないこと

・社員としての役割を果たせないこと

この3つの条件を備えていたら、解雇もありうるということです。

ここでの解雇は、仕事での発揮能力の低下を理由とするものですから、懲戒解雇ではなくて普通解雇となります。

それにしても、「著しく」と言えるのか、「改善の見込みがない」のか、「職責を果たし得ない」のか、そのように断言できるのでしょうか。

 

<モデル就業規則の基本的な考え方>

実は、厚生労働省のモデル就業規則は、労働者の権利を侵害することが無いように、また違法な行為が行われないように配慮されて作られています。

特に解雇というのは、会社が労働者の権利を一方的に奪うことになりますから、慎重な規定になっているわけです。

しかし、会社がこの規定を根拠に解雇しようとして、裁判にでもなったなら、会社は「勤務状況が著しく不良」「改善の見込みがない」という証明をしなければ、勝ち目が無いでしょう。

 

<こうすればOK>

こうした困ったことにならないようにするには、就業規則を次のように定めることです。

 

(解雇)第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

①  勤務状況が不良で、労働者としての職責を果たしていないとき。

 

会社としては、遅刻・欠勤・早退の事実を証明し、きちんと勤務できていないということだけ証明すれば良いのです。

このように言うと、簡単に解雇できそうですが、実際には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

会社としては、就業規則に最低限の条件だけを定めておき、余計な証明責任を負わないようにして、あとは実質的に見て、客観的で合理的な理由があるか、世間一般の感覚で考えてやむを得ないと言えるかを判断すれば良いのです。

むやみに解雇することはいけませんが、解雇のハードルを上げ過ぎないように注意したいものです。

 

2016.04.18.

<解雇予告とは?>

会社が従業員を解雇しようとする場合に、少なくとも30日前には解雇する旨を通知しなくてはならないというものです。

もし30日以上前に解雇予告をしなかった場合には、使用者は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う義務が生じます。〔労働基準法20条〕

 

<予告と手当の組み合わせ>

予告期間と解雇予告手当を組み合わせることもできます。

たとえば、17日前に予告して平均賃金の13日分の解雇予告手当を支払うこともできます。併せて30日になれば良いのです。

ただし、解雇予告の当日は24時間ありませんので、1日としてカウントできません。今月30日をもって解雇という場合には、13日に予告すれば17日前の予告となります。

 

<解雇予告手当の支払い時期>

解雇予告手当は解雇の通知とともに支払います。

この手当は、給与ではなく支払うことによって効力が発生する特殊な手当なので、「次の給与と一緒に支払います」ということはできません。

もし給与と一緒に支払ったなら、その日に予告したものとして予告期間が計算されてしまいますので注意しましょう。

 

2016.02.27.