解雇の記事

<やる気そのものは見えない>

いかにも「やる気」がなさそうな社員は、他の社員に悪影響を及ぼします。しかし、「やる気」というのは、心の中のことですから目に見えません。それでも、「やる気」のないことが客観的に外部にあらわれていれば、それを理由とする解雇も可能です。

 

<法的規制>

「退職に関する事項」は、就業規則の絶対的必要記載事項ですから、就業規則に必ず規定しなければなりません。〔労働基準法893号〕

就業規則に定めていない理由での解雇はできません。しかし、どんな理由でも解雇できるわけではありません。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とするとされています。〔労働契約法16条〕

 

<具体的な規定例>

具体的な就業規則の規定例としては、次のようになります。

「労働者が次のいずれかに該当するときは解雇することがある。

1.勤務状況が著しく不良で改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。

2.勤務成績または業務能率が著しく不良で向上の見込みがなく、他の職務にも転換できないなど就業に適さないとき。」

1.は「やる気」のなさが、遅刻、早退、欠勤などに形となってあらわれた場合、

2.は「やる気」のなさが、仕事の成果に形となってあらわれた場合の規定です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働法の改正が重ねられ、労働判例が集積されるにつれ、「不当解雇」のハードルが低くなっています。「常識的に考えて解雇は当然」と思われる場合でも、客観的には「不当解雇」であると判断されるケースが大半になっています。

解雇を検討する場合には、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.08.解決社労士

<違法解雇と呼べるもの>

労働基準法により違法とされ、罰則が規定されている解雇には次のものがあります。〔労働基準法119条1号〕

・業務災害を理由とする休業期間中と業務復帰後30日間の解雇〔労働基準法19条〕

・産前産後休業期間中と業務復帰後30日間の解雇〔労働基準法19条〕

・法定の解雇予告・解雇予告手当が無い解雇〔労働基準法20条〕

これらの場合には、国家により使用者に刑罰が科されるという規定です。

この刑罰とは別に、労働者から使用者に対して、不法行為を理由とする損害賠償の請求がありえます。〔民法709条〕

前者が刑事的な側面の話で、後者が民事的な側面の話です。

 

<不当解雇は無効>

一方で、不当解雇というのは、使用者が労働者を解雇したつもりになっていて、それが不当であるために無効とされる場合を言います。

労働契約法に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されているのが不当解雇です。罰則はありません。〔労働契約法16条〕

解雇が有効になるのは、解雇を通告された本人が客観的に合理的な理由があると納得できる場合であって、しかも、世間一般の人々が「やむを得ない」と納得できる事情がある場合に限られるのです。

たとえば、毎日普通に勤務していた男性社員が、社長の好きなアイドルの歌を嫌いだと言ったがために、30日分の解雇予告手当を渡されると同時に解雇を通告された場合、違法解雇ではありませんが、不当解雇になります。つまり、解雇予告手当を支払ったとしても、解雇が無効になるわけです。

こうした場合、使用者が罰せられることはないのですが、解雇が無効なのに退職扱いされた労働者は、使用者に対して損害の賠償を請求できます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

有効な解雇は条件が厳しいものです。

無効とされない解雇を考える経営者も、不当解雇されたと感じる労働者も、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.18.解決社労士

<解雇の有効性についての判断基準>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16 条〕

この規定は、裁判所が判断を下すのに使った理論が条文となったものですから、その趣旨は様々な形で解雇の有効性の判断基準にあらわれます。

 

<就業規則に解雇の理由が無ければ>

まず、解雇の理由(事由)は、就業規則に必ず記載する事項とされています。〔労働基準法89 条3 号〕

つまり、就業規則に規定の無い理由で解雇することはできません。

また労働者が、解雇の予告をされた日から退職する日までの間に、解雇の理由について証明書を請求した場合には、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。〔労働基準法22 条2 項〕

ですから、使用者が就業規則に規定の無い理由で労働者を解雇した場合には、労働者に有利な証拠書類を交付することになってしまいます。

 

<就業規則に解雇の理由があっても>

つぎに、裁判所はあいまいさの残る規定について、使用者に対して厳密な立証を求めます。

たとえば、営業成績が「著しく不良」という規定であれば、使用者はその程度が客観的かつ具体的に重大であることを証明しなければなりません。

また、将来の改善・回復の見込みが無いなどの「将来の予測」については、客観的な立証が必要とされます。

今日の判例は、使用者に困難な立証を求めることによって、「解雇は最後の手段であるべき」との態度を示しているのです。

 

<能力不足を理由とする解雇>

そして裁判では、労働者の能力が職場全体の中で相対的に低いというだけでは、能力不足による解雇が認められていません。

使用者は、解雇を検討する前に、配置転換や再教育による能力向上、あるいは降格処分など、解雇を回避するための措置を求められます。

 

<目標未達成を理由とする解雇>

結局、市場動向の変化や会社の業績に左右されない、客観的で合理的な目標が就業規則に規定されていて、その目標を達成できないことを理由に解雇する場合であって、教育研修を十分に行い、配置転換や降格処分も行ったのになお効果が無く、やむを得ず解雇を通告するのでなければ、その有効性は疑わしいということになってしまいます。

そもそも、条件付きの解雇通告というのは、それだけで労働者の立場を不安定にしますから、どんなに工夫を重ねても、有効性に自信を持てないものなのです。

こんなむずかしいことにチャレンジするよりは、信頼できる社労士(社会保険労務士)と相談して、充実した教育研修システムや、納得のいく人事考課制度を構築したほうが、会社も社員も成長するのではないでしょうか。

 

2017.02.07.解決社労士

<結論として>

ここで言う解雇とは、懲戒解雇ではなく会社が期待しただけの働きができないことによる普通解雇でしょう。

結論から言うと、労働契約の内容によるということになります。

労働契約は口頭でも成立しますが、基本的な労働条件については会社から労働者に書面を交付して確認することが法定されています。

ところが書面が作成されていなかったり、そもそも基本的なことを決めていなかったりすれば、トラブルが発生するのは当たり前です。

 

<年俸制の考え方>

厚生労働省のモデル就業規則に年俸制の規定が無いことからも明らかですが、プロ野球の制度を真似してサラリーマンに年俸制を当てはめるのは無理があります。

取締役であれば委任契約ですから、年俸制がしっくりきます。

実際にサラリーマンに年俸制を適用する場合、今後の活躍ぶりを期待してあらかじめ年俸を決める場合と、過去の実績から年俸を決める場合があります。

過去の実績から決める場合は良いのですが、これからの活躍を期待して年俸を決めたのに、期待を裏切ったら減俸できるのか、さらには普通解雇できるのかという問題になります。

こうしたことは、労働契約の内容が不合理でなければ、労働契約の内容に従うということです。

ところが口頭でも決めていなければ、解決の手掛かりがありません。結局、会社と年俸制社員の話し合いで決めるしかありません。

 

<あらかじめ職位・職種を定めた社員の解雇>

年俸制でなくても、あらかじめ経理部長とか店長とか職位や職種を定めて中途採用することがあります。

労働契約で「何をどのレベルで」ということが明確になっていれば、普通解雇も困難ではないでしょう。

しかし、「当社の経理部長にふさわしい働きぶり」とか、「当社の店長として標準的な業務」では、裁判などで客観的に認定できないですから、紛争になるのは目に見えてます。

ところが口頭でも決めていなければ、解決の手掛かりがありません。結局、会社とその社員の話し合いで決めるしかありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は手続きを代行するだけではありません。労働と社会保険に関する法律と人事・労務管理の専門家として、企業経営の3要素(ヒト・モノ・カネ)のうち、採用から退職までのヒトに関するエキスパートです。

顧問先の企業でトラブルが発生しないように予防策を講じることで、経費、労力、時間、精神力の負担を軽減します。

万一トラブルが発生した場合には、両当事者の主張内容を法的観点から整理し、その正当性、反論可能性を明らかにしたうえで、実体と証明の両面からのご対応をご提案いたします。人の感情に配慮して、お互いに怨みを残さない解決を目指します。これは、顧問先でなくてもスポットでも対応いたします。

是非、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.12.15.

次の事項を理由に解雇することは、一部の例外を除き禁止されています。だからといって、別の理由をでっち上げて解雇しても無効です。

 

・労働者の国籍、信条、社会的身分〔労働基準法3条〕

・労働者の性別〔男女雇用機会均等法6条〕

・労働者が労働基準監督機関に申告したこと〔労働基準法104条〕

・女性労働者が婚姻したこと、妊娠・出産したこと〔男女雇用機会均等法9条〕

・個別労働関係紛争に関し、都道府県労働局長にその解決の援助を求めたこと〔個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条〕

・男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に係る個別労働紛争に関し、都道府県労働局長に、その解決の援助を求めたり、調停の申請をしたこと

・労働者が育児・介護休業等の申出をしたこと、又は育児・介護休業等をしたこと〔育児・介護休業法〕

・労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又はこれを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等〔労働組合法7条〕

・公益通報をしたこと〔公益通報者保護法3条〕

 

ちょっと耳慣れない法律もありますが、すべては労働者を保護するための規定です。

中には、会社にとって不都合なことや、会社に逆らっているかのような内容もあります。

しかし、うっかり解雇すれば、それは無効となるばかりではなく、慰謝料請求の対象ともなりますので、くれぐれもご注意ください。

 

2016.04.19.

<解雇の検討>

入社4年目の正社員が、ある時期から遅刻を繰り返すようになります。

上司が注意しても、ただただ謝るだけです。

定期健康診断の結果も正常ですし、同僚からの勧めもありメンタルクリニックで受診したのですが、正常の範囲内という診断でした。

それにしても全く仕事が手につかない様子です。

社長が直に面談してみたところ、個人的な悩みを抱えているとのことでしたが、具体的なことは何も話してもらえませんでした。

社長と上司が、就業規則を見ながら考え込んでしまいました。

 

<ひな形の規定>

これは、ネットから就業規則のひな形をコピーして、少しアレンジして使っていると起こりうる事件なのです。

あるひな形には、次のように書いてあります。

 

(解雇)第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

①勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。

〔厚生労働省のモデル就業規則〕

 

もっともよく使われているひな形だけあって、さすがに良く出来ています。

この条文は、次のことを言っています。

・働きぶりがあまりにもひどいこと

・普通に働けるようになるとは思えないこと

・社員としての役割を果たせないこと

この3つの条件を備えていたら、解雇もありうるということです。

ここでの解雇は、仕事での発揮能力の低下を理由とするものですから、懲戒解雇ではなくて普通解雇となります。

それにしても、「著しく」と言えるのか、「改善の見込みがない」のか、「職責を果たし得ない」のか、そのように断言できるのでしょうか。

 

<モデル就業規則の基本的な考え方>

実は、厚生労働省のモデル就業規則は、労働者の権利を侵害することが無いように、また違法な行為が行われないように配慮されて作られています。

特に解雇というのは、会社が労働者の権利を一方的に奪うことになりますから、慎重な規定になっているわけです。

しかし、会社がこの規定を根拠に解雇しようとして、裁判にでもなったなら、会社は「勤務状況が著しく不良」「改善の見込みがない」という証明をしなければ、勝ち目が無いでしょう。

 

<こうすればOK>

こうした困ったことにならないようにするには、就業規則を次のように定めることです。

 

(解雇)第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

①  勤務状況が不良で、労働者としての職責を果たしていないとき。

 

会社としては、遅刻・欠勤・早退の事実を証明し、きちんと勤務できていないということだけ証明すれば良いのです。

このように言うと、簡単に解雇できそうですが、実際には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

会社としては、就業規則に最低限の条件だけを定めておき、余計な証明責任を負わないようにして、あとは実質的に見て、客観的で合理的な理由があるか、世間一般の感覚で考えてやむを得ないと言えるかを判断すれば良いのです。

むやみに解雇することはいけませんが、解雇のハードルを上げ過ぎないように注意したいものです。

 

2016.04.18.

<解雇予告とは?>

会社が従業員を解雇しようとする場合に、少なくとも30日前には解雇する旨を通知しなくてはならないというものです。

もし30日以上前に解雇予告をしなかった場合には、使用者は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う義務が生じます。〔労働基準法20条〕

 

<予告と手当の組み合わせ>

予告期間と解雇予告手当を組み合わせることもできます。

たとえば、17日前に予告して平均賃金の13日分の解雇予告手当を支払うこともできます。併せて30日になれば良いのです。

ただし、解雇予告の当日は24時間ありませんので、1日としてカウントできません。今月30日をもって解雇という場合には、13日に予告すれば17日前の予告となります。

 

<解雇予告手当の支払い時期>

解雇予告手当は解雇の通知とともに支払います。

この手当は、給与ではなく支払うことによって効力が発生する特殊な手当なので、「次の給与と一緒に支払います」ということはできません。

もし給与と一緒に支払ったなら、その日に予告したものとして予告期間が計算されてしまいますので注意しましょう。

 

2016.02.27.