健康保険の記事

<出産育児一時金>

昔は分娩費(ぶんべんひ)などと呼ばれていました。

出産育児一時金は、健康保険の加入者(被保険者)やその扶養家族(被扶養者)が出産した時に、協会けんぽなどの保険者に申請すると1児につき42万円が支給される一時金です。

また、「1児につき」ですから双子なら2倍、三つ子なら3倍の金額が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合は40万4千円です。この産科医療補償制度というのは医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

 

<未婚の娘の出産>

平成14年10月以前は、被保険者の他には配偶者のみに「配偶者出産育児一時金」が支給されていましたが、法改正により被保険者の被扶養者が出産したとき「家族出産育児一時金」が支給されるようになりました。

こうして、扶養に入っていれば未婚の娘でも妹でも、支給されるようになったのです。

そもそも結婚するかどうかは、当事者の自由です。〔日本国憲法24条〕

入籍していないと支給されないというのは平等権の侵害です。〔日本国憲法14条1項〕

少子化対策の流れの中で、やっと憲法の趣旨が届いた感じです。

 

 <支給の条件>

妊娠85日以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶であることが必要です。

ですから、会社で出産祝い金の支給対象外となる場合であっても、出産育児一時金の支給対象となることがあります。

 

<直接支払制度>

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽなどの保険者から医療機関等に、直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。この場合、出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので大変助かります。

もちろん、出産後に健康保険の加入者(被保険者)が直接受け取ることもできます。

 

<出産費貸付制度>

出産費用に充てるため、出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度があります。

対象者は、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、出産予定日まで1か月以内の方、または妊娠4か月以上で医療機関等に一時的な支払いを要する方です。

 

<資格喪失後の出産育児一時金>

退職などにより、健康保険の加入者(被保険者)でなくなった場合でも、資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、資格喪失日から6ヵ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。

たとえば、健康保険に加入していた女性が退職して資格を喪失し、夫の扶養に入ってから出産した場合には、本人の出産育児一時金か、夫の家族出産育児一時金のどちらか一方を選んで支給を受けます。

ただし、健康保険の加入者(被保険者)の資格喪失後にその被扶養者だった家族が出産しても、家族出産育児一時金は支給されません。

 

2018.10.26.解決社労士

<傷病手当金とは>

傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

被保険者は、給与天引きなどにより保険料を支払っている人です。

国民健康保険の被保険者は対象外です。

 

<支給の条件>

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 業務や通勤によるケガは労災保険で補償されますから対象外です。

・仕事に就くことができないこと

 医師の判断によります。大事をとって休業しても対象外です。

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

 最初の3日が、たまたま年次有給休暇でもOKです。

・休業した期間について給与の支払いがないこと

 給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

<支給される期間>

傷病手当金が支給される期間は、支給開始から最長1年6か月です。

医師が労務不能を認めた日と、実際に休業した日が重なっている期間に限ります。

 

<支給される金額>

傷病手当金は、1日につき健康保険加入者(被保険者)の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。

標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。

標準報酬月額は、原則として4月から6月までの給与の総支給額を基準に、その年9月以降の保険料の計算基準となる月給です。

ここでの標準報酬月額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を用います。法改正により、平成28(2016)年4月1日からこのようになりました。

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

 

2018.10.02.解決社労士

 

平成30(2018)年10月1日以降に日本年金機構で受け付ける「健康保険被扶養者(異動)届」について、添付書類の取扱いが変更になります。

 

<認定事務の変更>

厚生労働省から「日本国内に住んでいる家族を扶養家族(被扶養者)に認定する際の身分関係と生計維持関係の確認について、申立てのみによる認定は行わず、証明書類に基づく認定を行うこと」という事務の取扱いが示されました。

これを受けて、日本年金機構への届出に際して【添付書類一覧】の書類の添付が必要になりました。

なお、一定の要件を満たした場合には、書類の添付を省略することが可能となります。

 

<添付書類の変更>

扶養認定を受ける人の続柄や年間収入を確認するため、【添付書類一覧】のうち、扶養認定を受ける人が保険加入者(被保険者)と同居しているときは№1,2を、別居しているときは№1,2,3を添付します。

 

【添付書類一覧】

添 付 書 類

目的

添付の省略ができる場合

1

次のうちどれか1つ( 90 日以内に発行されたもの)

・戸籍謄本

・戸籍抄本

・住民票

保険加入者(被保険者)と扶養認定を受ける人が同居していて、保険加入者(被保険者)が世帯主である場合に限ります。

続柄の

確認

次の両方に該当するとき

・保険加入者(被保険者)と扶養認定を受ける人のどちらもマイナンバーが届書に記載されていること

・左記の書類により、扶養認定を受ける人の続柄が届書の記載と同じであることを確認した旨を、事業主が届書に記載していること

2

年間収入が「130 万円未満」であることを確認できる課税証明書等の書類

 

ただし、扶養認定を受ける人が次のどちらかに該当する場合は「180 万円未満」です(収入には公的年金も含まれます)。

・60 歳以上の人

・障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者

収入の

確認

次のどちらかに該当するとき

・16 歳未満のとき

・扶養認定を受ける人が、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることを確認した旨を、事業主が届書に記載しているとき(障害年金、遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合は、受取金額の確認ができる通知書等のコピーの添付が必要です)。

3

仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類

・振込の場合 … 預金通帳等の写し

・送金の場合 … 現金書留の控え(写し)

次のどちらかに該当するとき

・16 歳未満のとき

・16 歳以上の学生のとき

 

なお、保険加入者(被保険者)と扶養認定を受ける人との同居については、日本年金機構で確認を行うため、原則として、書類の添付は不要ですが、確認できない場合には、別途、住民票の提出を求められることがあります。

 

2018.09.24.解決社労士

<出産手当金>

健康保険に入っている人が、出産のために仕事を休み普通に給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

まず、被保険者の出産であることが必要です。被保険者とは保険料を負担している人で、扶養家族は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28 × 3 + 1 = 85 という計算により、実際の運用は妊娠85日以上で行われています。

さらに、給料の支払いが無いか、出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額>

1日あたりの支給額は次の計算式で示されます。

1日あたりの金額 =(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷ 30日 × 2/3

数年前に法改正があって、このように「標準報酬月額を平均した額」になりました。

平成28(2016)年3月31日までの支給金額は、もっと簡単で、次の計算式で求められました。

1日あたりの金額 =(休んだ日の標準報酬月額)÷ 30日 × 2/3

前産後休業中に標準報酬月額が変わると、出産手当金の金額も変わってしまったわけです。

 

<注意したいこと>

出産にあたってもらえる給付金には、「出産育児一時金」もあります。

こちらの方は、被保険者だけでなく扶養家族の出産にも支給されます。

扶養している妻だけでなく、扶養に入っている未婚の娘が出産した場合などにも支給されます。

少子化対策で、出産をめぐる健康保険の給付は法改正による充実が進んでいます。

「○○さんのときはこうだった」というのではなく、最新の情報を確認して手続きを進めたいものです。

 

2018.08.21.解決社労士

<傷病手当金と労災保険>

傷病手当金は、健康保険に入っている人が、プライベートの生活が原因の病気やケガで仕事ができず給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

業務や通勤などが原因の病気やケガであれば、労災保険が適用されますから健康保険の給付は対象外となります。

この場合、健康保険の適用は無いのですが、もっと有利な労災保険の給付があります。

ですから、労災保険が適用されるかどうか微妙なケースであれば、所轄の労働基準監督署に確認するなどしてみて、対象外であれば傷病手当金の手続きをするのが良いでしょう。

下手に確認してヤブヘビになることを恐れるのであれば、社会保険労務士などに代わって確認してもらうことも考えましょう。

 

<もらえる条件>

まず、業務外の病気やケガで仕事ができない期間について医師の証明が必要です。

仕事ができないわけではないけれど、大事をとってお休みするというのは対象外となります。

反対に、医師による労務不能の証明があるのに本人が無理して勤務してしまうと、傷病手当金は減額あるいは不支給となるのが一般です。

また、4日以上連続して仕事を休んでいることが必要です。最初の3日間を「待期期間」といって、ここに公休や有給休暇が含まれていてもかまいません。

さらに、給料の支払いが無いか、傷病手当金の金額より少ないことが条件です。

医師が証明した期間と、実際に仕事を休んだ期間とで、重なる日について支給されます。

 

<支給金額>

次の計算式によって算出された金額が支給されます。

1日あたりの金額 =(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷ 30日 × 2/3

これは、平成28(2016)年4月1日から法改正によって変更になっています。

それまでは、次の計算式が使われていました。

1日あたりの金額=(休んだ日の標準報酬月額)÷30日×2/3

これだと、健康状態が悪くなって本来の仕事ができなくなり、たとえば正社員から賃金の安いパート社員になって、さらに病状が悪化して休業するようになったようなケースでは、低くなった標準報酬月額を基準とした傷病手当金が支給されることになります。

ケガの場合はともかく、徐々に病状が悪化して入院するような場合には、支払ってきた保険料に対して給付の金額が少なくなってしまいます。

無理をせず早めに入院したほうが、傷病手当金の金額が下がらずに済むというケースも考えられます。

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。

「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。

文書料には健康保険が適用されませんし、文書料をいくらにするかは病院の判断に任されています。

交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

労災保険の手続きをしないのは、「労災かくし」となり違法となることもありますが、健康保険の給付を受けるかどうかは本人(被保険者)の自由です。

手続きのための書類は、会社と本人と医師の3者が記入しますが、前提として本人の意思を確認して手続きを進めたいものです。

 

2018.08.20.解決社労士

<誕生日の前日に1歳年をとる>

「年齢計算ニ関スル法律」という古い法律に次の規定があります。

 

年齢は出生の日より之を起算す

民法第143条の規定は年齢の計算に之を準用す

 

つまり、誕生日の前日の「午後12時」(2400秒)に年をとります。

「前日午後12時」と「当日午前0時」は、時刻としては同じですが日付は違うという理屈です。

学校でも、42日生まれから翌年41日生まれまでを1学年としています。41日から翌年331日までの間に○歳になる生徒の集団ということです。

おそらく「誕生日に年をとる」だと、229日生まれの人は、4年に1回しか年をとらないので不都合だからでしょう。

2月29日生まれの人は、前日の228日に年をとることにして、救済しているのだと思います。

 

<就業規則にある定年の規定>

会社の就業規則で、「65歳の誕生日が属する月の月末をもって定年とする」なら勘違いは無いのですが、「65歳に達した日の属する月の月末をもって定年とする」だと、毎月1日生まれの人の定年退職日を間違えてしまいやすいのです。

たとえば、41日生まれの人の場合、前者の規定なら4月末で定年、後者の規定なら3月末で定年です。

間違った運用を長く続けているのなら、就業規則の方を改定しましょう。

 

<保険年齢という考え方>

満年齢で計算したうえで、1年未満の端数については6か月以下のものは切り捨て6か月を超えるものは切り上げて計算する方式があります。端数についての「67入」です。

たとえば、299か月の保険加入者(被保険者)は30歳として取り扱われるわけです。

これは、保険年齢方式と呼ばれ、健康診断でも健診機関によっては個人の問診票にこの年齢が記載されます。

従業員から「私の年齢が1歳多い」というクレームが出ることもあります。

こうした場合には、健康診断のお知らせの中に保険年齢の説明を加えておくことをお勧めします。

 

2018.07.11.解決社労士

<加入者と事業主の取組が料率に反映>

協会けんぽでは、平成30(2018)年度からインセンティブ(報奨金)制度が導入されています。ただし、保険料率への反映は平成32(2020)年度からとなっています。

この制度は、協会けんぽの各都道府県支部の加入者と事業主の取組に応じて、インセンティブ(報奨金)を付与し、それを健康保険料率に反映させるものです。

 

<反映のさせ方>

まず、制度の財源となる保険料率として、新たに全支部の保険料率の中に段階的に一定の割合を盛り込みます。

 

平成30年度(平成32年度保険料率):0.004%

平成31年度(平成33年度保険料率):0.007%

平成32年度(平成34年度保険料率):0.01%

 

そして、特定健診・保健指導の実施率やジェネリック医薬品の使用割合などの評価指標に基づき、全支部をランクづけし、ランキングで上位過半数に該当した支部については、支部ごとの得点数に応じた報奨金によって保険料率を引き下げます。

 

<具体的な評価指標>

1.生活習慣病予防検診や特定健診の受診率

2.特定保健指導の実施率

3.特定保健指導対象者の減少率

4.医療機関への受診勧奨を受けた要治療者の医療機関受診率

5.後発(ジェネリック)医薬品の使用割合

これらに取り組むと、医療費の削減が期待されるわけですから、その努力に応じて都道府県支部単位で保険料率を下げるという、公平をはかる制度だと考えられます。

 

2018.06.14.解決社労士

<健康保険の対象となる場合>

急性などの外傷性の打撲・捻挫・および挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼には健康保険が適用されます。

ただし、骨折・脱臼については、応急処置を除き医師の同意が必要です。

 

<健康保険の対象とならない場合>

次のような場合には、「健康保険が使える」と説明を受けていても、全額または一部が自己負担となり、接骨院から請求されるか、「協会けんぽ」などの保険者から請求されることがあります。

・単なる肩こり、筋肉疲労

・慰安目的のあん摩・マッサージ代わりの利用

・病気(神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなど)からくる痛み・こり

・脳疾患後遺症などの慢性病

・過去の交通事故等による後遺症

・症状の改善の見られない長期の治療

・医師の同意のない骨折や脱臼の治療(応急処置を除く)

・仕事中や通勤途上におきた負傷(労災保険が適用される可能性があります)

 

<柔道整復師にかかる場合の注意事項>

負傷原因、治療年月日、治療内容などについて、「協会けんぽ」などの保険者から問い合わせが入ることもありますので、次の点に注意しましょう。

・負傷の原因を正しく伝える

・「療養費支給申請書」は内容をよく確認し自分で署名または捺印する

・領収証をもらう

・治療が長引く場合は医師の診断を受ける

 

2018.02.26.解決社労士

<健康保険の民営化>

中小企業で働く人やその家族が加入している健康保険は、従来、国が運営し政府管掌健康保険と呼ばれていました。

このときに健康保険を運営していたのは社会保険庁でした。

平成20101日、新たに全国健康保険協会が設立され、ここが健康保険を運営することになりました。

この協会が運営する健康保険の愛称を「協会けんぽ」といいます。

 

<組織や職員>

協会は、非公務員型の法人として新たに設立された健康保険の保険者であり、職員は公務員ではなく民間職員です。

理事長や各都道府県の支部長はすべて民間出身者の登用です。

そして、民間のノウハウを積極的に採り入れています。

 

<サービス>

民間のノウハウやIT・システムを活用し、加入者や事業主などをお客さまと捉え、顧客視点からサービスの向上を図っています。

 

<地域密着>

都道府県ごとに支部を設け、地域の身近な保険者として地域の加入者や事業主の意見に基づき、生活習慣病の予防など地域の実情に応じた事業を展開しています。

 

<仕事の仕方>

民間の法人として職員の意識改革を図り、能力と実績に基づく人事制度の徹底を図るとともに、業務改革を進め、運営の効率化を図っています。

 

<変わらないのは>

医療機関で受診した場合の自己負担の割合や高額な医療費の場合の負担の限度額、傷病手当金などの現金給付の金額や要件など、健康保険の給付の内容は、協会設立後も原則としてこれまでと変わりません。

 

2018.01.12.解決社労士

<傷病手当金支給申請書>

傷病手当金支給申請書の提出先は、健康保険証に書いてある保険者です。

そして申請書の形式は、保険者が決めています。

たとえば、協会けんぽの申請書であれば、1セット4枚で、次の内容になっています。

1,2枚目 = 申請者情報、申請内容

3枚目 = 事業主の証明 ※事業主とは会社などのことです。

4枚目 = 療養担当者の意見書 ※療養担当者とは医師などのことです。

 

<記入する人>

1,2枚目の申請者情報、申請内容は、仕事を休んだ健康保険加入者(被保険者)自身または、被保険者が亡くなった場合は相続人が記入します。

会社の担当者が、ほとんど代筆してくれることもあります。

3枚目の事業主の証明は、会社の担当者や顧問の社会保険労務士が記入します。

4枚目の療養担当者の意見書は、担当医師が記入します。

 

会社が傷病手当金の書類を書いてくれなくて困るというのは、事業主の証明の部分を書いてくれないということになります。

1,2枚目の書き方がわからないのであれば、保険者に確認することになります。

 

<会社が知らないケース>

会社に傷病手当金のことを知っている人がいないとか、書類の書き方がわからないとかいう理由で、書類を書いてもらえないということがあります。

この場合には、事業主の証明を自分で代筆して、ゴム印と代表印だけもらうのが早いと思います。

自分で書くのが難しければ、書き慣れている人に依頼しましょう。

 

<会社が労災を隠しているケース>

たとえば、パワハラが原因でうつ病になった場合には、本来は労災保険の手続きをとるのが正しいのです。

こんなとき、うつ病になった被害者から傷病手当金の書類を書くように求められると、会社は労災の責任を問われることを恐れて、書類の作成から逃げることも考えられます。

労災の認定をするのは、所轄の労働基準監督署や労働局ですから、少しでも業務に原因がありそうな場合であれば、お近くの労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。

労災にあたるケースであれば、労働基準監督署が会社に対して、労災保険の手続きをするように指導してくれます。

 

<会社が社会保険料をごまかしているケース>

会社が社会保険加入者(被保険者)の給料などを過少申告して、社会保険料を少なめに支払っていることがあります。

健康保険も保険ですから、手当金の金額は保険料に見合ったものとなります。

ですから、傷病手当金の手続きをとると、支給額が不当に少ないことがわかってしまい、不正が発覚することになります。

会社の不正が疑われる場合には、お近くの年金事務所などで相談することをお勧めします。

 

<会社が意地悪をしているケース>

会社と申請者が何らかの対立関係にあれば、会社が意地悪をして書類を書いてくれないことも考えられます。

こうしたケースでは、労働組合や議員さんに相談して何とか解決できたという話も聞かれます。

しかし、健康保険法に次の規定があります。

 

(報告等)

第百九十七条 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者を使用する事業主に、第四十八条に規定する事項以外の事項に関し報告をさせ、又は文書を提示させ、その他この法律の施行に必要な事務を行わせることができる。

2 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提出させることができる

 

(罰則)

第二百十六条 事業主が、正当な理由がなくて第百九十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

 

これらを根拠に、会社を説得するよう保険者にお願いしてみてはいかがでしょうか。

保険者は「…できる」という規定ですから、保険者に義務付けられているわけではないので、あくまでも熱心にお願いすることになります。

罰則も「十万円以下の過料」と決して重くはないですが、会社に対するプレッシャーにはなるでしょう。

 

<原因がわからないケース>

以上のどれにもあてはまらないケースもあるでしょう。

傷病手当金の書類を会社が書いてくれない理由がさっぱりわからないのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.09.解決社労士

<国民皆保険>

日本では、すべての人々が公的な医療保険に加入し、病気やケガをした場合に誰でも必要な時に必要な医療を、保険を使って受けることができます。

これを国民皆保険といいます。

所得や健康状態にかかわらず、原則としてすべての人が加入し、所得などに応じて保険料を負担する公的な社会保険制度です。

これは、社会全体でリスクを分担することで、経済的な理由で必要な医療が受けられないことがないように配慮されているのです。

ここで「リスク」というのは、望ましくないことが発生する可能性のことをいっています。

 

<自己負担割合>

病院などの医療機関の窓口で保険証を提示することで、原則として医療費の3割の自己負担で医療を受けることができます。

小学校に入る前の子どもは2割、高齢者のうち70歳から74歳までの人も2割、 75歳以上の人は1割の自己負担となっています。

例外的に、70 歳以上の人のうち現役世代並みの所得がある人は、3割となっています。

また、子どもについては、都道府県や市町村などの地方自治体が、独自に自己負担割合を軽減している場合もあります。

 

<高額療養費制度>

3割の自己負担であっても、医療費が高額になることがあります。

家計で医療費負担が過重にならないよう、月ごとの自己負担額が一定の限度を超えた場合に、その超過分については、医療保険から支給を受けることができます。

これが高額療養費制度です。

一般的な所得の人(70歳未満)の限度額は、たとえば医療費が100万円である場合には、月約87,000円です。

 

2017.09.22.解決社労士

<健康保険証の効力>

会社で交付された健康保険証は、退職したり所定労働時間が減ったりして、健康保険の加入条件を満たさなくなると効力を失います。

この場合、保険証は会社を通じて協会けんぽなどの保険者に返却しなければならないのですが、手元にあったとしても使えません。

乾電池は電池切れの状態になっても、新品の電池と見た目は変わりがないのですが使えません。

これと同じように、退職後に保険証を使うことはできません。

このことは、扶養家族が扶養から外れた場合の、その扶養家族の保険証にも当てはまります。

 

<効力切れの保険証を誤って使ってしまうと>

退職後に誤って保険証を病院などの医療機関で使ってしまうと、後日、健康保険で支払われた医療費を、協会けんぽなどの保険者から資格を失った人に直接返還請求しているのです。

繰り返し請求されても返還しない場合は、裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収が行われます。

この場合、返還請求の対象となるのは自己負担額ではなくて医療費の全額です。

たとえば、5万円の医療費について自己負担3割で1万5千円を支払った場合に、返還請求を受けるのは1万5千円ではなくて5万円ということになります。

 

<返還請求の実態>

健康保険の資格喪失後、保険証を返却せずに医療機関等で使用して、協会けんぽから返還請求を行っているケースが全国で発生しています。

資格を失ったら速やかに保険証を返却しましょう。

 

【協会けんぽの法的手続の実施状況】

平成29年7月末累計 全国47支部で7,691件実施

 平成28年度以前    6,728件

 平成29年4月    169件

 平成29年5月    222件

 平成29年6月    307件

 平成29年7月    265件

 

2017.09.21.解決社労士

<サービスの内容>

届書・申請書作成支援サービスは、入力できるPDFファイルをホームページからダウンロードし、届書・申請書をパソコンで作成できるサービスです。

サービスの対象となる届書・申請書は29種類あります。

このサービスでは、ホームページやメールでの申請はできません。

必要事項を入力・記入した申請書を印刷のうえ、郵送等で加入している協会けんぽの各都道府県支部へ郵送します。

 

<便利な点>

・記入する項目の説明を参照しながら入力できます。

・記入漏れ等が自動でチェックされます。

・記入漏れ・記入誤りによる再提出の手間が少なくなります。

 

<注意する点>

手書きで記入する項目があります。

入力できる項目は、申請者が記入する欄のみです。

ただし、申請者が記入する欄のうち「被保険者の氏名欄」、「被扶養者のマイナンバー欄」は手書きでの記入となります。

事業主が記入する欄、医療機関が記入する欄は、手書きで記入します。

また、各申請書に押印が必要な場合があります。

 

<ダウンロードの方法>

 

↓ここをクリックして協会けんぽのホームページを表示します。

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/

 

左上のほうにある「申請書ダウンロード」の▼をクリックして、必要な書類を選択して「表示」をクリックします。

申請書様式のうち「入力用」と表示されているPDFデータをクリックしてダウンロードします。

 

2017.09.19.解決社労士

<退職後の健康保険証>

退職後は健康保険の資格を失いますので、健康保険証は使用できません。

健康保険証さえあれば、保険診療が受けられるというわけではないのです。

退職後に、医療機関で健康保険証が使われた場合には、健康保険で支払われた医療費を、保険者である協会けんぽなどから資格を失った人に直接返還請求しています。

医療費が1万円の場合、本人負担は3千円ですが、保険者から残りの7千円が請求されることになります。

繰り返し請求しても、返還されない場合は、保険者は裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収を行っています。

実際、健康保険の資格を失った人が、健康保険証を返却せずに医療機関等で使用し、協会けんぽから返還請求を行っているケースは全国で発生しています。

うっかり健康保険証を使ってしまわないよう、資格を失ったら速やかに勤務先を通じで保険者に健康保険証を返却しましょう。

 

2017.01.30.解決社労士

<健康保険の考え方>

健康保険の「療養の給付」は、病気やケガをしたときの治療を対象として行われます。

このため、日常生活に何ら支障がないのに受ける診療(美容整形など)に健康保険は使えません。

妊娠・出産も病気ではないため、正常な状態での妊娠・出産は健康保険の適用から除外されています。

また、健康保険の目的からはずれるような病気やケガをしたときは給付が制限されることがあります。

 

<健康保険が使えないケース>

•美容を目的とする整形手術

•近視の手術など

•研究中の先進医療

•予防注射

•健康診断、人間ドック

•正常な妊娠・出産

•経済的理由による人工妊娠中絶

 

<例外的に健康保険が使えるケース>

•斜視等で労務に支障をきたす場合、生まれつきの口唇裂の手術、ケガの処置のための整形手術、他人に著しい不快感を与えるワキガの手術など 

•大学病院などで厚生労働大臣の定める診療を受ける場合  

•妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)などによる異常分娩の場合

•母体に危険が迫った場合に母体を保護するための人工妊娠中絶

 

2017.01.01.解決社労士

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法106条1項〕

労使協定というと三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が有名です。〔労働基準法36条〕

しかし、傷病手当金は健康保険の制度ですから、会社が従業員に周知する義務を負っていません。

健康保険や年金、労災保険や雇用保険、所得税の還付などについては、国が広報に努めるべき内容です。

 

<会社が説明する必要>

とはいえ、健康保険や年金、労災保険や雇用保険などの給付は、すべて請求手続きをしなければ給付されません。「求めよ、さらば与えられん」という感じです。

健康保険の保険料は、会社と従業員とで折半します。つまり、会社も保険料を負担しています。それなのに、わからないから給付を受けられないというのでは勿体ないです。

会社は、保険料を無駄にせず、従業員が給付を受けられるようにするため、傷病手当金、高額療養費、療養費支給申請など健康保険の給付や、労災保険で受けられる給付について、従業員に説明しておくべきです。少しでも記憶に残っていて「何かお金がもらえる制度があったような…」ということになれば、あとは人事担当者にたずねるなどして、手続きへと結びつくでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士に給与計算を委託している場合、ある従業員が長期間休んでいれば、会社にその理由を確認します。

健康保険に入っている従業員であれば傷病手当金の手続きに進みますし、勤務中のケガで休んでいれば労災保険の手続きに進みます。わからないから受け取れないということが防げるわけです。

また、様々な仕組みにより従業員が給付を受ける場合について、社労士が会社でレクチャーを行い、従業員からの質問にわかりやすく答えるというサービスもしています。

もし社内でまかなえないことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.26.

<第三者の行為による傷病届>

もともと保険というのは、保険料を負担した人やその関係者に給付があるわけです。

健康保険では会社と従業員が保険料を折半して、従業員や扶養家族が治療を受けると健康保険から給付が行われて、治療費の3割を負担するだけで済みます。

ところが無関係な第三者からケガをさせられて、治療費に保険が使われると、ケガをさせた第三者は、治療費の負担が減ったり負担がなくなったりして、不当に利益を得てしまいます。

こうした不都合が起こらないように、保険者である協会けんぽなどが、加害者に費用の負担を求めるための手続きが加わるのです。

 

<病院に提出が必要な書類>

協会けんぽなどの保険者に次の書類を速やかに提出しましょう。傷病手当金の請求をしなくても、治療を受ける場合には必要です。

・第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届

・損害賠償金納付確約書→加害者が書きます。治療費支払いの約束です。

・念書→被害者の損害賠償請求権を健康保険の保険者に譲り渡す約束です。

・負傷原因報告書→いつ、どこで、どうしてケガをしたのかの報告書です。

 

<保険給付の制限>

ケンカや、酒を飲みすぎてケガした場合には、全く健康保険が使えない場合と一部だけ使える場合があります。〔健康保険法117条〕

 

勤務中のケンカによるケガなど、労災保険の手続きについても同様の書類が必要になります。急がないと関係者の記憶が薄れたり、情報が集まらなくなったりします。第三者がからむ保険の手続きは複雑ですから、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談することをお勧めします。

 

2016.10.31.

<介護保険制度>

介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。その費用は、公費(税金)や高齢者の介護保険料のほか、40歳から64歳までの健康保険の加入者(介護保険第2号被保険者)の介護保険料(労使折半)などによりまかなわれています。

 

<64歳までの介護保険料>

40歳から64歳までの健康保険の加入者は、健康保険料と一緒に介護保険料を納めます。

介護保険料は「満40歳に達したとき」より徴収が始まります。

ここで、「満40歳に達したとき」とは、40歳の誕生日の前日のことです。そして、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料が徴収されます。

法律上は、誕生日の前日に1歳年をとるので、このように定められています。特に1日生まれの人は、前月の末日に40歳になるので注意しましょう。

 

<65歳からの介護保険料>

健康保険に加入していても、介護保険料は「満65歳に達したとき」より、健康保険料と一緒には徴収されなくなります。

「満65歳に達したとき」とは、65歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者ではなくなり、介護保険料が徴収されなくなります。

ただし、65歳以降は介護保険の第1号被保険者となり、お住まいの市区町村より介護保険料が徴収されることとなります。また、年金受給者の場合には、年金から介護保険料が差し引かれる形で徴収されることがあります。

こうして介護保険料は、亡くなるまで徴収が続くことになります。

 

2016.10.28.

<交通事故にも健康保険が使えます>

国民健康保険、公務員共済、船員保険などを含めて健康保険は、加入者(被保険者)と扶養家族(被扶養者)の病気、ケガ、出産、死亡に関して、必要な保険給付を行うことを目的とする制度です。

ケガや死亡の原因が交通事故でも、日常生活上のケガや病気の場合と同じく、健康保険で医師の診療を受けることができます。〔昭和431012日保険発第106号通達〕

 

<社会一般の誤解>

古くから世間一般で、交通事故診療には健康保険が使用できないとの誤解が生じていました。

そのため現在でも、医療機関から「健康保険は使用できない」という説明を受ける場合があります。

しかし、健康保険を使用しての診療(保険診療)、使用しない診療(自由診療)のどちらで治療を受けるかは患者が選択できます。

 

<当然の例外>

なお、業務または公務上の事故や、通勤中の事故など、労災保険法や公務員災害補償法の適用がある事故については、健康保険は使えません。〔健康保険法55条、国家公務員共済組合法60条、地方公務員等共済組合法62条〕

 

2016.10.14.

<海外療養費とは>

海外では日本国内の健康保険証をそのまま使うことができません。

海外療養費は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるものです。

 

<海外療養費の支給対象>

日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は、給付の対象になりません。

また、療養(治療)目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。日本で実施できない診療(治療)を行った場合でも、保険給付の対象になりません。

 

<海外療養費の支給金額>

日本国内の医療機関で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額が支給されます。

日本と海外での医療体制や治療方法などが異なるため、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも、支給金額が大幅に少なくなることがあります。

 

<海外療養費支給申請の流れ(協会けんぽ)>

「海外療養費支給申請書」および必要な添付書類を用意

→ 申請書および添付書類を神奈川支部に郵送

→ 神奈川支部で海外療養費の審査

→ 神奈川支部から審査の結果を申請者(被保険者)に通知

 

<窓口一本化の目的など>

海外療養費の審査効率化などを目的としています。

「海外療養費支給申請書」については神奈川支部に提出することとなりますが、各支部に提出した場合は神奈川支部に転送されます。

 

<注意点>

海外療養費の申請書は、平成28年7月から「療養費支給申請書(立替等)」から独立しましたので、海外療養費支給申請書をご使用ください。

海外で治療費の支払いをした翌日から2年を経過すると、権利の時効消滅により申請できなくなりますので、ご注意ください。

 

※協会けんぽ 神奈川支部

〒240-8515 横浜市保土ヶ谷区神戸町134

横浜ビジネスパークイーストタワー2F

海外療養費グループ(電話:045-287-0011)

 

2016.09.27.

<出産手当金とは?>

健康保険に入っている人(被保険者)が、出産のために会社を休み、その間に通常の給与が支給されないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、被保険者の出産であることが必要です。被保険者とは保険料を負担している人のことですから、扶養家族(被扶養者)は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28日×3か月+1日=85日という計算により、実際の運用では妊娠85日以上が基準となっています。

さらに、給与の支給が無いか、出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額は?>

実際の支給金額は、次の計算式によって計算されます。

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<支給期間は?>

出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(双子や三つ子など多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。

出産日は出産の日以前の期間に含まれます。

また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

 

<資格喪失後の出産手当金>

会社を辞めたり、勤務時間が減少することによって、健康保険の資格を喪失した後の出産でも、出産手当金が支給されることがあります。

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者の資格喪失の日の前日に、現に出産手当金の支給を受けているか、受けられる状態(出産日以前42日目が加入期間であること、かつ、退職日は出勤していないこと)であれば、資格喪失後も所定の期間の範囲内で引き続き支給を受けることができます。

2016.09.24.

<高額療養費制度とは?>

自己負担額が高額となった場合に、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。また、病院などの窓口での支払を、一定の限度額までにできるしくみもあります。

ただし、健康保険外の診療、食事代、差額ベッド代などは対象外です。先進医療など健康保険が適用されない医療については、生命保険会社でこれらに対応できる保険に入ることをご検討ください。

 

<高額療養費制度の具体的な内容>

重い病気で病院に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。

保険加入者本人(被保険者)、扶養家族(被扶養者)ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢および所得に応じて一定の計算式により算出されます。

また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。(世帯合算)

なお、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000 円以上ある場合も同様です。(7074歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)

なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります。(多数該当)

 

<高額療養費の現物給付>

70歳未満であっても、従来の「入院される方」「外来で在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料及び在宅末期医療総合診療料を算定される方」に加え、「外来で療養を受ける方」の高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができるようになりました。

この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」に健康保険証のコピーを添付して提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と健康保険証を提出してください。

病気が徐々に悪化して、計画的に入院する場合には利用しやすい制度ですが、突然の入院の場合には利用がむずかしい場合もあります。

 

<長期高額疾病についての負担軽減>

人工透析を実施している慢性腎不全の患者については、自己負担の限度額は 10,000 円となっています。

これを超える額は現物給付されるので、医療機関の窓口での負担は最大でも10,000 円で済みます。

ただし、診療のある月の標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の保険加入者本人(被保険者)またはその扶養家族(被扶養者)については、自己負担限度額は20,000 円となります。

この他、血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群の人についても、自己負担の限度額は10,000 円となっています。

なお、人工透析患者などについては、医師の意見書等を添えて全国健康保険協会の都道府県支部に申請し、「健康保険特定疾病療養受療証」の交付を受け、医療機関の窓口にその受療証と健康保険証を提出してください。

 

2016.09.03.

<必要な場合>

保険証や高齢受給者証を紛失したときだけでなく、印字が見にくくなったときも、「健康保険被保険者証再交付申請書」や「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を保険者に提出することで、新しく発行してもらえます。

ここで保険者とは、協会けんぽなど健康保険を運営している機関のことで、保険証に表示されています。

なお、外出時の紛失や盗難の場合は、保険証の再交付よりもまずは警察署へ届け出ることを強くお勧めします。

 

<会社など事業所で働く人とその家族の場合>

勤務先を通じて「健康保険被保険者証再交付申請書」・「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を保険者に提出します。

この用紙には、被保険者(保険加入者)記入欄と事業所記入欄の両方があります。

再交付した保険証等は、勤務先に郵送されます。

 

<任意継続で加入の人とその家族の場合>

勤務先を退職後、任意継続で健康保険に入っている場合には、加入者から保険者へ直接、「健康保険被保険者証再交付申請書」・「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を郵送します。

その後、保険者から加入者に保険証が郵送されます。

 

2016.08.23.

<退職後の健康保険>

職場で健康保険に入っていた人が退職すると、次のいずれかに加入する手続きが必要です。

1.任意継続健康保険

加入していた健康保険の保険者(協会けんぽなど)が窓口です。

2.国民健康保険 

お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口で手続きします。

3.家族の健康保険の被扶養者(扶養家族)

家族が加入する健康保険の保険者(保険証に書いてあります)にお尋ねください。

 

<健康保険の任意継続>

退職や労働時間の短縮などによって健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者の資格を喪失したときに、一定条件のもとに個人の希望(意思)により、個人で継続して加入できる制度です。

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、被扶養者(扶養家族)の保険料はかかりません。

 

<国民健康保険の保険料(保険税)>

国民健康保険の世帯人員数や前年の所得などに応じて決定されます。また、保険料の減免制度があります。

市区町村によって保険料(保険税)の算定方法が異なります。お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。

 

<健康保険の任意継続の保険給付>

傷病手当金と出産手当金を除き、原則として在職中に受けられる保険給付と同様の給付を受けることができます。

※傷病手当金と出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り給付対象となります。

 

2016.08.14.

<特定保健指導とは>

生活習慣病予防健診(健康保険加入者向け)や特定健康診査(扶養家族向け)の結果から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクが高いと判断された40歳以上の人に、保健師などが生活習慣改善のアドバイスを行うものです。

あくまでもメタボ予備軍に対する指導です。すでにメタボと認定された人には治療が必要です。予備軍からメタボに転落しないように指導するわけです。

ですから、この指導を受けるのは恥ずかしいことではありません。指導を受けずにメタボになってしまうことのほうが恥ずかしいのです。

 

<特定保健指導を受けるときの費用>

健康保険加入者(被保険者)は無料です。

扶養家族(被扶養者)については実施機関によって異なります。

費用については、協会けんぽ支部ホームページの「特定保健指導実施機関一覧(ご家族)」で確認できます。

 

<特定保健指導を受ける手続き>

健康保険加入者(被保険者)は、勤務先を通じて協会けんぽに申し込みます。

勤務先によって、マンツーマンの指導であったり、講義形式であったりします。

扶養家族(被扶養者)には、特定保健指導の対象となる場合に限り、自宅に「特定保健指導利用券」が郵送されます。届いたら、近所の特定保健指導実施機関に申し込みます。

 

2016.08.10.

<現物給付とは>

健康保険では、保険医療機関の窓口に保険証を提示して診療を受ける現物給付が原則ですが、やむを得ない事情で現物給付を受けることができないときや、治療のために装具が必要になったときなどは、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費(被扶養者の場合は家族療養費)として、払い戻しを受けることができます。

保険証を提示して診療を受けると3割負担で済むというのが実感ですが、健康保険で7割は現物の診療が給付されたと考えます。

父親が母親の外出中に子供の発熱に気づき、あわてて病院につれて行って保険証を忘れた場合、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで家族療養費を請求します。

腰痛のため医師が必要を認めてコルセットを使うことになった場合、コルセットを作り販売する業者に、直接には健康保険が適用されません。この場合にも、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費として、払い戻しを受けることができます。

 

<払い戻される療養費の範囲>

療養費は、必ずしも支払った医療費の全額が払い戻されるわけではありません。被保険者(保険加入者)や被扶養者(扶養家族)が保険医療機関で保険診療を受けた場合を基準に計算した額(実際に支払った額が保険診療基準の額より少ないときは、実際に支払った額)から一部負担金相当額を差し引いた額が払い戻されます。また、健康保険で認められない費用は除外されます。

 

2016.08.05.

<入院期間中の食事の費用負担>

入院患者は、食事の費用のうち標準負担額というものを支払います。

この標準負担額というのは、平均的な家計での食事を参考に、厚生労働大臣が定めた金額です。

平成18年4月1日からは、1日単位から1食単位の金額に変更されました。

これは、医療機関で提供される食事の内容が変わるわけではなく、食事の負担額について、食数にかかわらず1日単位で計算していたものを、1食単位の計算に変えたものです。

 

<標準負担額>

1食の標準負担額は、一般の世帯で平成28、29年度は360円、平成30年度は460円です。

ただし、住民税非課税世帯などは負担が減額されます。

標準負担額の軽減措置を受ける場合は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」に被保険者証と低所得の証明書を添付して、全国健康保険協会の都道府県支部に提出します。申請が認められると「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されますから、被保険者証と認定証を医療機関の窓口へ提出することで標準負担額の軽減措置がうけられます。

低所得の証明は、低所得者世帯(住民税の非課税世帯)の人については、住所地の市区役所または、町村役場等で証明を受けた住民税の非課税証明、所得が一定基準に満たない場合は非課税証明に給与や年金の源泉徴収票、生活保護法の要保護者については、福祉事務所長が行う標準負担額認定該当の証明が必要となります。

 

<一般の治療の自己負担額との関係>

多くの方は、原則として3割の自己負担で治療を受けることになりますが、入院期間中の食事については、あくまでも標準負担額が適用されます。

つまり、食事代は治療費とは別計算です。どちらも健康保険の適用があるのですが、計算方法が違うわけです。

このことから、高額療養費についても、食事の費用は計算対象から外れます。

 

2016.07.01.

<傷病手当金>

傷病手当金は、業務以外の原因による病気やケガでの休業中に、健康保険加入者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、健康保険加入者が病気やケガのために仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

その条件の一つに、「労務不能」があります。仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、健康保険加入者の仕事の内容を考慮して判断されます。

 

<労務不能の基準>

労務不能の期間は、主に療養担当者つまり治療を担当する医師の判断によります。対象者の仕事内容から考えて、病気やケガの回復具合から働けるかどうかを判断するのです。

医師は病気やケガの具合を判断することは得意なのですが、対象者の仕事内容を具体的に知っているわけではありませんから、労務不能の判断はこの点でむずかしいものがあります。

傷病手当金を受給する人は、担当する医師にご自分の仕事内容をわかりやすく説明する必要があります。特に病気との関係で、仕事上の困難な部分をよく説明しておきたいものです。

 

<実際に支給対象となる期間>

仕事を休んだ日と、労務不能と判断された日の重なった日が、支給対象の期間です。ただし、最初の3日間は待期期間といって、支給されない期間です。

労務不能とされない日に仕事を休んでも、ご本人の意思で大事をとって休んだにすぎないことになります。

また、労務不能とされた日に仕事をすれば、働いて給料がでている限り、傷病手当金は支給されません。

 

2016.05.28.

基本的には、健康保険証があれば3割の費用負担で医療サービスを受けることができます。しかし、健康保険の財源は保険料と税金です。不誠実な人に無駄づかいを許してしまうのは道義に反します。そこで、次のようなルールが設けられています。

 

<わざとケガした場合>

わざとケガした場合や、自分の故意の犯罪行為で病気になったりケガをしたときは、健康保険が使えません。〔健康保険法116条〕

ただし、自殺による死亡については埋葬料が支給されます。

 

<ケンカなど>

ケンカや、酒を飲みすぎてケガした場合には、全く健康保険が使えない場合と一部だけ使える場合があります。〔健康保険法117条〕

 

<少年院・刑事施設に入ったとき>

少年院などに収容されたとき、刑事施設、労役場、これらに準ずる施設に収容されたときは、病気・ケガ・出産について健康保険が使えません。〔健康保険法118条〕

 

<療養に関する指示に従わないとき>

正当な理由なく療養に関する指示に従わないときは、健康保険が一部使えなくなることがあります。〔健康保険法119条〕

 

<不正行為をしたとき>

不正行為によって、健康保険を使った者については、6か月以内の期間を決めて、傷病手当金や出産手当金の全部または一部を支給しないことにできます。〔健康保険法120条〕

 

2016.05.14.