健康保険が適用されるメガネもあります

2024/10/30|1,707文字

 

<健康保険の適用対象外とされるもの>

健康保険制度は、加入者(被保険者)が保険料を出し合い、助け合う仕組みです。

全ての医療や関連するものを対象としてしまうと、健康保険財政を圧迫し保険料が高額になってしまいます。

こうした事態を防止するため、保障の範囲が限られているのです。

この趣旨から、次のようなものは健康保険の対象外とされています。

 

健康診断、結核診断、人間ドックなどの費用

高度先進医療費

差額ベッド代

正常な出産にかかる費用

日常生活や疲労による肩こり・腰痛等の整骨院、針・きゅう、マッサージ等の施術費

入院時の雑費や日用品代

入院時の食事代

美容整形の手術代

予防注射の料金

入院患者のお見舞いをする人の交通費

その他、医師が治療を必要と認めないものの費用

 

<療養費の支給という方法>

健康保険では、保険医療機関の窓口に保険証(健康保険被保険者証)を提示して診療を受ける現物給付が原則となっています。

しかし、やむを得ない事情で、保険医療機関で保険診療を受けることができず、自費で受診したときなど特別な場合には、その費用について療養費が支給されます。

メガネは一種の装具ですから、健康保険が適用されるのだとすれば、それは療養費の支給という形で行われるはずです。

次のように、保険診療を受けるのが困難だったときは、療養費が支給されます。

・健康保険の加入手続中(資格取得届の手続中)で、保険証(被保険者証)が未交付のため、保険診療が受けられなかったとき

・感染症予防法により、隔離収容された場合で薬価を徴収されたとき

・療養のため、医師の指示により義手・義足・義眼・コルセットを装着したとき

・生血液の輸血を受けたとき

・柔道整復師等から施術を受けたとき

また、やむを得ない事情のため、保険診療が受けられない医療機関で診察や手当を受けたとき、例えば旅行中に、すぐに手当を受けなければならない急病やケガにもかかわらず、近くに保険医療機関がなかったので、やむを得ず保険医療機関となっていない病院で自費診察をしたときなどにも療養費が支給されます。

この場合、やむを得ない理由が認められなければ、療養費は支給されません。

 

<療養費の支給には申請手続が必要>

療養費の支給を申請するには、療養費支給申請書と添付書類を健康保険の保険者に提出して行います。

たとえば協会けんぽの場合、療養費支給申請書には、立替払等用と治療用装具用とがあります。

また添付書類は、その内容により細かく定められています。

 

【添付書類の一例】

医療費を自費で支払った場合 ○診療内容を記載した明細書

○領収書(領収明細書)

生血液を輸血した場合 ○輸血証明書

○領収書

治療用装具を購入、装着した場合 ○領収書
装具の名称、種類および内訳別の費用額・義肢装具士の氏名(押印でも可)・オーダーメイドまたは既製品の別(既製品の場合は製品名・メーカー名)が記載された領収書〇医師が記入・証明した「治療用装具製作指示装着証明書」

〇靴型装具の場合、療養費の支給申請書を行う靴型装具の現物写真

小児弱視等の治療用眼鏡やコンタクトレンズを購入した場合 〇領収書
〇医師の「眼鏡等作成指示書」のコピー
〇「眼鏡等作成指示書」に視力等の検査結果が明記されていない場合は、視力等の検査結果のコピー

 

<小児弱視等の治療用眼鏡等についての療養費>

平成18(2006)年4月1日から、小児の弱視、斜視、先天白内障術後の屈折矯正の治療用として用いる眼鏡とコンタクトレンズの作成費用が、健康保険の適用となりました。

ただし、療養費の支給となりますから、眼鏡やコンタクトレンズの代金が3割負担で7割引となるのではなく、一度全額支払っておいて後から7割が返金される形での健康保険適用です。

対象年齢は9歳未満に限られていて、治療用眼鏡等が給付対象です。一般的な近視などに用いる視力矯正用の眼鏡は対象外です。

手続としては、眼鏡を購入した後に、所定の書類を加入する健康保険の保険者に提出し、療養費支給申請をすることによって、国で定めた交付基準の範囲内で保険給付されます。

残念ながら、大人の使用する近視や老眼の視力矯正用の眼鏡には、健康保険が適用されないということになります。

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