ダブルワーク ― 厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険はどうなってるのか

2024/02/23|1,257文字

 

<ダブルワークとは>

ダブルワークは、その名の通り、「2つの仕事を掛け持つこと」を指します。例えば、午前中はコンビニで働き、夜は塾講師として働くというスタイルがダブルワークに該当します。

ダブルワークは、2つ以上の仕事を掛け持っている状態ですが、どちらも本業ではなく、アルバイトやパート、フリーランス、非正規雇用として働いているのが一般的です。

ダブルワークは、「兼業」とほぼ同じ意味だと考えられます。

 

<副業との違い>

副業は、企業などに勤めている正社員が休日などの空き時間を使って、別の仕事を行うことを指します。本業の仕事を持っている人がサブとして別の仕事を行うことを意味します。

ダブルワークは本業を持っていない人が仕事を掛け持つことを指すため、副業とダブルワークは厳密には意味が異なります。

 

<ダブルワークの厚生年金保険>

社会保険の適用拡大によって、(任意)特定適用事業所となっている企業で雇用されている場合には、1週間の所定労働時間が20時間台でも、厚生年金保険に加入することがあります。

2つの企業で、それぞれ加入基準を満たしていれば、両方で厚生年金保険に加入することになります。この場合には、主たる企業(事業所)を選択して管轄する年金事務所を決定します。

各企業(事業所)で受ける報酬月額を合算して標準報酬月額を決定し、保険料はそれぞれの事業所で受ける報酬月額に基づいて按分されることになります。

 

<ダブルワークの健康保険>

健康保険についても、厚生年金保険と同様のことが当てはまりますが、健康保険証は1枚のみを持つことになります。どちらの健康保険証を持つかは、自分で決めることができます。

 

<ダブルワークの雇用保険>

雇用保険は、原則として1つの企業(事業所)でしか加入できません。基本的には給与が多い方での加入となります。

ただし、65歳以上であれば、一定の要件のもとで本人の申請によりマルチジョブホルダーとして、複数の企業で雇用保険に加入することができます。

 

<ダブルワークの労災保険>

労災保険は、両方の企業で加入となります。

改正労災保険法は、その第1条で、ダブルワークの労働者を「事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者」と表現し、「複数事業労働者」と呼んでいます。

そして、「二以上の事業の業務を要因とする事由」による労災について、その対象とすることを明示しています。

さらに、ケガをしたとき、病気になったときに、1つの企業でのみ雇用されている場合、または、すべての企業を退職している場合であっても、そのケガや病気などの原因・要因となるものが、2つ以上の企業で雇用されていた際に存在していたならば対象になるとしています。

 

<ダブルワークの手続き>

ダブルワークは、自分のスキルを磨きたい、もっと稼ぎたいといった理由から興味を持つ人が増えています。

企業も副業を解禁する動きが活発化しており、ダブルワークを実現しやすい環境になってきました。

ただし、社会保険や労働保険、税金について理解し、適切な手続きを行うことが大切です。

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