音信不通の社員への対応

2023/08/14|1,241文字

 

<初期対応>

まず電話をかけます。

1~2回電話をかけて出ないからといって、「音信不通」扱いにはできません。

家族と同居しているのなら、固定電話や家族の電話にもかけてみます。

何回も電話をかけて出ないようなら、職場の部門長などが自宅を訪問します。

自宅の玄関先で、人の気配が無く電気のメーターがほとんど動いていないような状態であれば、中で社員が倒れている可能性もあります。

賃貸物件であれば、大家さんや管理会社にも連絡して、中の様子を確認してもらいましょう。

こうして不在が確認された場合には、実家などの連絡先や、職場で仲良くしている社員に心当たりを聞いてみるなどが必要です。

 

<所在不明の場合>

会社側に、その社員がパワハラを受けていたなどの落ち度が無く、本人が出勤して来ないのなら、自己都合退職で処理できないものかと思えてきます。

しかし、本人が何か事故や事件に巻き込まれていて、出勤できず連絡もとれなかったことについて責任が無い場合には、会社の対応が十分だったかという問題が発生します。

ですから、後に紛争とならないよう十分な配慮が必要です。

そして、本当に紛争となった場合には、会社として十分な対応をしたことの証明が必要となります。

こうした場合に備えて、電話連絡の日時の記録は重要です。

時間帯を変えて、何回も電話することとその記録を残すことが必要です。

自宅を訪問した際の記録も正確に残しておきましょう。

 

<退職扱いの可能性>

本人からの申し出が無く、会社から退職扱いにするのであれば「解雇」になります。

解雇の場合には、会社から社員に解雇を通告しなければなりません。

音信不通であれば、簡単には解雇の通告ができませんし、社員が未成年者でなければ、家族が代理人として解雇の通告を受けるわけにもいきません。

こんなときは、就業規則の中に自動退職(自然退職)の規定があれば、それに従って退職扱いとすることもできます。

「30日間以上にわたって音信不通で欠勤が続いている場合には退職とする」というような規定です。

 

<万一に備えて>

新人の採用にあたっては、本人の連絡先だけではなく、実家や家族など緊急時の連絡先を確認しておく必要があります。

就業規則に自動退職(自然退職)の規定を置き、社員に周知しなければなりません。

店長など部門長には、社員が出勤して来なくなった場合の対応マニュアルを渡して、教育しておくことも必要です。

 

<連絡がとれた場合>

単なる寝坊なら笑って許せます。

しかし、パワハラ、セクハラ、うつ病など、本人がすぐには言い出せない原因が潜んでいることもあります。

突然出勤しなかったという事実があれば、それを重く受け止め、人事担当者はその後の様子について、きちんとフォローしていく必要があります。

 

新人採用前後の手続も、就業規則の作成や改善も、例外的な退職手続も、すべて社労士が専門家として対応する職務です。

万一に備えての準備も、トラブルに発展しうる事実が発生したときにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

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