社員の違法薬物使用への対応

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2020/01/04|1,257文字

 

<会社の対応>

社員が、違法薬物を自己使用したり、社内外で販売したりの事実が判明したら、会社はどのように対応すべきでしょうか。

社員の問題行為が発覚した場合、会社として取るべき対応としては、懲戒処分、人事異動、人事考課への反映、再教育などが考えられます。

しかし、違法薬物の取り扱いは犯罪行為ですから、基本的には懲戒処分が中心となります。

 

<懲戒解雇の検討>

違法薬物の自己使用や販売は、他人から発見されないように行われますので、勤務中の違法薬物使用・販売が発覚するのは稀であり、勤務外での行動が問題とされるのが一般です。

そして、社員は勤務中、会社に対して労務を提供する義務を負っていますが、勤務時間外の職場外での行動は基本的に自由です。

ですから、こうしたプライベートの時間の行為について、懲戒処分を行うというのは例外に当たります。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、犯罪行為について次の懲戒規定を置いています。

 

【懲戒の事由】

第66条 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。 

 

会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。

 

社外での犯罪行為であれば、プライベートなものであり会社が関与しないとするのでしょう。

しかし、違法薬物の自己使用や販売は刑罰法規に触れる行為であり、発覚すれば会社の信用が低下しうる事実です。

社外での犯罪行為でも、会社に損害を与えうるのですから、自社の就業規則がモデル就業規則と同様に「会社内」と限定しているのであれば、「会社内外」への変更をお勧めします。

 

<その他の懲戒処分の検討>

モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)には、次のような規定も置かれています。

 

【懲戒の事由】

第66条  労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。

 

③ 過失により会社に損害を与えたとき。

 

違法薬物の自己使用や販売は、会社の名誉や信用を侵害するなど損害を与える意図で行われるわけではありませんが、「過失により」という規定を適用して、懲戒処分を行うことは可能です。

特に、違法薬物を買い受けて使用した他の社員が中毒症状を示し、勤務できなくなったような場合には、会社の損害は明らかですから反論の余地はありません。

そうではなくても、企業秩序に不当な悪影響を与えた場合には、懲戒処分の対象となりえます。

 

<対応にあたり心がけること>

犯罪だから、違法薬物の使用は許されないからと、つい感情に走ってしまい、適正な手続きを経ずに懲戒解雇を通告してしまい、反対に不当解雇を主張されることもあります。

まずは、具体的な事実を確認し、会社への影響を見定め、適正な手続きを経て懲戒処分を行うように心がけましょう。

 

解決社労士