2023/06/10|888文字
<始末書の目的>
始末書とは、不都合な事実が発生した場合に、その事実を発生させた人が、事実の内容と原因・責任を明らかにし、再発防止を約束して、反省と謝罪の意思を示す文書です。これは業務ではありませんから、書かせることは懲戒となります。懲戒権の濫用が問題にならないよう配慮が必要です。
顛末(てんまつ)書は、事の顛末を示す報告書です。必要に応じて報告書を書くのは、業務に含まれます。事実の内容と原因を明らかにすれば良いのですが、再発防止策の提案を含めることもあります。
会社によっては始末書と顛末書を混同しているケースも見られます。
<事実の内容>
ここは5W1Hを意識して客観的に書く部分です。
感情を入れたり、クドクドとお詫びの言葉を入れたり、長々と書いてしまうと、分かりにくくなって読む人がイライラします。
事実がわかるように簡潔に要領よく書きましょう。
<発生の原因>
ここも客観的に書く部分です。
不都合な事実の発生原因には、多くのものが思い浮かびますが、その中でも特に主要な原因をいくつか書きます。
ここも、感情を入れたり、クドクドとお詫びの言葉を入れたり、長々と書いてしまうのは禁物です。
<再発防止策の提示>
会社が始末書の提出によって得られる利益としては、不都合な事実の発生に最も深くかかわった本人から、再発防止策を示してもらうことにあるでしょう。
ですから、ここには具体的なことを書く必要があります。
「もっと注意すれば…」のような抽象的なことを書いても役に立ちません。
自分と同じ立場に立たされた人が、同様のことをしてしまわないためには、具体的にどうしたら良いのかを書きます。
<反省と謝罪>
ここは主観的にお詫びの言葉を書く部分です。
どれほど反省しているか、自分自身、再発防止策をどのように実行していくかという内容も必要です。
最後に、「寛大な措置をお願いいたします」「今後は規則に従います」「相応の処分を受ける覚悟でおります」など、結びの言葉を添えます。
懲戒の実質的・形式的有効要件を満たしていないのに、会社が従業員に始末書を書かせるのは不法行為となり、損害賠償責任が発生します。