労働基準法で最も罰則が重い犯罪は最高刑が懲役10年の強制労働です。奴隷にするような極端な場合でなくても成立します

2024/08/05|809文字

 

<労働基準法の規定>

労働基準法は、その第5条で強制労働を禁止し、次の罰則規定を置いています。

 

第百十七条  第五条の規定に違反した者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

 

<強制労働の意味>

「今どき強制労働なんて」と思われてしまうかもしれません。「強制労働」というと、ピラミッド建設に駆り出される奴隷のようなイメージを抱いてしまうのでしょう。

しかし、労働基準法の規定を見ると、次のように書かれています。

 

(強制労働の禁止)

第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 

ここにいう不当に拘束する手段には、長期労働契約(第14条)、労働契約不履行に関する賠償予定(第16条)、前借金相殺(第17条)、強制貯金(第18条)などがあります。〔昭和63年3月14日基発第150号通達〕

ここで、カッコの中の「〇条」は、労働基準法の条文を示しています。

 

<辞めさせてくれない会社>

自分の勤務先が、労働基準法や労働安全衛生法に違反している企業であることに気づき、退職を申し出たけれども辞めさせてもらえないという労働相談は、相変わらず多いのです。

辞めさせてもらえないというのは、具体的には「辞めるなら違約金を支払え」と本人や身元保証人に迫るようです。

これなどは、労働基準法第16条の「労働契約不履行に関する賠償予定」があることを示していて、「退職するな!働き続けろ!」というわけですから、強制労働の禁止に違反していると思われます。

 

<実務の視点から>

法律の世界は、法律のことを知っている人の味方です。

法律のことを良く知らない人は、良く知っている人を味方に付けて身を守りましょう。

労働関係法令についていえば、信頼できる社労士を味方に付けるのが安心です。

不安に思うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

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