2023/12/01|972文字
<スーパーマーケットと経営者を逮捕・送検>
江戸川労働基準監督署長は、スーパーマーケット経営会社とその代表取締役等を労働基準法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検したことがあります。
<逮捕・送検の理由>
このスーパーマーケット経営会社の代表取締役は、東京都江戸川区内の2店舖で勤務する従業員に残業代を支払いませんでした。
そこで、江戸川労働基準監督署労働基準監督官が、割増賃金の不払につき是正指導し、その是正措置結果について報告をするよう求めました。
ところが、この代表取締役は、部長A、課長Bと共謀し、労働基準監督官に対し、実際には支払をしていないのに、過去の賃金不払残業に対する割増賃金を遡及して支払ったとする虚偽の内容を記載した是正報告書を提出しました。
このウソの報告書提出が逮捕・送検の理由です。
<捜査が入ったキッカケ>
この会社に対しては、二度にわたり、江戸川労働基準監督署が、割増賃金の不払について是正するよう監督指導を行ってきました。
ところが、その指導にもかかわらず、違反行為を続けてきたので捜査に着手したのです。
そしてこの会社は、是正指導に対して是正報告を行っていたのですが、本社などを家宅捜索したところ、実際には遡及支払を行っていないことがわかり、ウソの報告であったことが判明したのです。
<サービス残業に対する指導>
各労働基準監督署では、事業者に対して適正な労働時間管理の徹底を図り、賃金不払残業を起こさせないことを重点とした監督指導を実施しています。
また、是正指導にも関わらず改善の意欲が認められず、賃金不払残業を繰り返し、または労働基準監督署に対し虚偽の報告を行うなど重大悪質な事業者に対しては、書類送検を含めて厳正に対処しています。
<実務の視点から>
労働基準監督署は、退職者などからの申告に基づき、会社に抜き打ちの調査をすることがあります。
また、事前に調査内容や調査日時を通知したうえで調査に入ることもあります。
通知があった場合には、ぜひ信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。
調査への立会や、その後の報告書作成・提出を含め、会社の負担を最小限にして速やかな対応をすることができます。
また、顧問の社労士がいれば、抜き打ち調査への対応も安心です。
※労基署による監督をわかりやすく調査と表示したところがあります。