2023/11/24|748文字
<会社の利益の確保>
会社に損害が発生しないようにするには、社員にして欲しくないことを、懲戒規定にもれなく定めておかなければなりません。
しかし、想定外のことで会社に損害が発生することもあり、すべてを規定しておくことは困難です。
SNSやブログへの悪ふざけの投稿では、この問題がクローズアップされました。
<包括的な規定>
懲戒規定の中に「その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき」という条文を見ることがあります。
こうしておけば、すべてを網羅しているようにも見えます。
しかし、「悪いことをしたら処分します」という規定を置くようなもので、あまりに具体性を欠いていますから有効性は疑わしいです。
こうした規定を根拠に懲戒処分を行うことは、社員に対する人権侵害の恐れが大きいといえます。
それだけではなく、このような規定があることを知った社員は、委縮してしまい伸び伸びと活躍することができなくなってしまうでしょう。
<解釈が分かれる規定>
「会社の名誉を傷つけ、業務に悪影響を及ぼす行為」が懲戒処分の対象に規定されているとします。
この規定の中の「、」が曲者(くせもの)です。
なぜなら「、」は、「または」の意味にも「かつ」の意味にも解釈されてしまいます。
「または」と解釈すれば処分の対象は増え、「かつ」と解釈すれば処分の対象は減ります。
このようなあやふやな規定がある場合には、懲戒処分が検討されている対象社員に有利に解釈しなければなりません。
そうしないと、人権侵害となる恐れが大きいからです。
<社労士(社会保険労務士)の立場から>
会社の就業規則に定めてある懲戒規定がおかしいので改善したい、あるいは、いざ懲戒処分を行おうとしたら迷いが生じたということであれば、ぜひ、刑法が得意な信頼できる社労士にご相談ください。