労災で最初の3日間の休業補償

2023/06/26|693文字

 

<業務災害についての法令の規定>

労働者が業務上負傷しまたは疾病にかかった場合、その傷病による療養のため労働できずに賃金を受けない日(休業日)の第4日目から休業補償給付が支給されます。〔労災保険法第14条〕

労災保険法の対象とはならない休業日の第1日目から第3日目(待期期間)までは、事業主が平均賃金の60%以上を補償することになっています。〔労働基準法第76条〕

そして、労働者の業務災害による負傷などについては、労働基準法により、事業主に補償義務が課せられています。

しかし、労災保険より給付された場合に、事業主は補償義務を免除されることになっています。〔労働基準法第84条〕

事業主は、このために労災保険に入らされているわけです。

 

<結論として>

労働基準法第76条の休業補償についても、休業第4日目以降について労災給付が行われた場合は、事業主はその補償義務を免除されることになります。

一方、休業補償給付が行われない第1日目から第3日目までについては、事業主が労働基準法に基づいて、その補償を行うことになります。

つまり、被災者は労災保険からは休業の最初の3日間(待期期間)の補償を受けられないのですが、その3日間分は事業主から補償を受けることになります。

 

<通勤災害についての法令の規定>

なお、通勤災害に対する保険給付は、労災保険法で独自に定められた制度です。

通勤災害における休業日の第1日目から第3日目までについては、事業主に補償義務は課せられていないのです。

これは、業務上の災害については事業主の責任が重いのに対して、通勤途上の災害については事業主に責任を問うことが適当ではないからです。

 

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