2026/08/20|1,542文字
ハラスメントとは「相手に精神的・身体的な苦痛を与える迷惑行為」全般を指します。職場では、法律や厚生労働省の指針により具体的な種類や判断基準が示されています。
ハラスメントを受けた場合、加害者に損害賠償請求が可能です。ただし、請求が認められるには「違法性」「被害の証拠」「因果関係」などが必要です。
<ハラスメントとは何か>
- 基本的な意味
ハラスメント(harassment)は、相手に不快感・苦痛・不利益を与える行為を広く指します。
「嫌がらせ」「いじめ」「圧力」「侮辱」などが含まれます。
- 職場で問題になる主なハラスメント
職場では、厚生労働省が次のような代表的なハラスメントを示しています。
・パワーハラスメント(パワハラ)
立場の優位性を背景に、暴言・過度な叱責・無視・過大な業務命令などを行うこと。
・セクシュアルハラスメント(セクハラ)
性的な言動により相手を不快にさせる行為。
例:性的な冗談、体に触れる、容姿への執拗なコメントなど。
・マタニティハラスメント(マタハラ)
妊娠・出産・育休などを理由に不利益な扱いをすること。
◯その他のハラスメント
・アルコールハラスメント
・モラルハラスメント(人格否定・精神的攻撃)
・SOGIハラスメント(性的指向・性自認への差別的言動)
・カスタマーハラスメント(顧客からの過度なクレーム・暴言)
- 「ハラスメントかどうか」の判断基準
パワハラについては、労働施策総合推進法で次の3要件が示されています。
1.職場での優位性を背景とした言動
2.業務の適正な範囲を超えている
3.身体的・精神的な苦痛を与え就業環境を悪化させる
つまり、「上司が叱った=全部パワハラ」ではありません。
業務上必要な指導の範囲を超えた場合にハラスメントとなります。
<ハラスメントを受けたら損害賠償請求できる>
ただし、請求が認められるには一定の条件があります。
損害賠償の請求は民法に基づきます。
裁判で認められるには、次の3つが必要です。
①違法性
加害者の行為が「社会的に許容されないレベル」であること。
・暴言・人格否定
・机を叩く、物を投げる
・性的な言動
・長期間の無視
・過大な業務量の押し付け
・妊娠・育休を理由とした不利益扱い など
②被害の発生
精神的苦痛や経済的損害が生じていること。
・うつ病などの精神疾患
・休職による収入減
・通院費
・退職せざるを得なくなったことによる損害 など
③因果関係
「ハラスメント行為が原因で被害が発生した」と証明できること。
④損害賠償請求の対象となるもの
裁判で賠償請求が認められる可能性がある損害は次のとおりです。
・慰謝料(精神的苦痛)
・休業損害(働けなかった期間の収入)
・治療費(通院・薬代)
・退職による損害(退職せざるを得なかった場合)
・弁護士費用の一部
慰謝料の相場はケースによって大きく異なりますが、数十万円〜数百万円程度が多いとされています。
⑤加害者だけでなく会社に請求できる場合もある
職場のハラスメントでは、加害者本人だけでなく、会社(使用者)に対しても損害賠償請求できる場合があります。
会社には「安全配慮義務」「職場環境配慮義務」があるためです。
会社に責任が生じる例
・ハラスメントを相談したのに放置された
・加害者を注意・配置転換などで対応しなかった
・ハラスメントが常態化していた
・相談窓口が機能していなかった
この場合、加害者+会社の両方に対して損害賠償請求が可能となります。
⑥請求するために重要な「証拠」
損害賠償は証拠が非常に重要です。
次のようなものが役立ちます。
・メール・LINE・チャットの記録
・録音
・日記(いつ・どこで・何をされたか)
・医師の診断書
・同僚の証言
・会社への相談記録
「証拠が弱いと請求が難しい」ため、ハラスメントを感じたら早めに記録を残すことが大切です。