離職票の作成

2024/01/14/1,214文字

 

<離職と離職票>

雇用保険の「離職」は退職よりも広い概念で、雇用保険に加入していた労働者が、会社を退職したり、雇用契約の変更によって、週所定労働時間が20時間未満となったりすることにより、雇用保険の資格を失うことをいいます。

離職票というのは、離職したことを証明する書類で、雇用保険で失業手当(基本手当)を受けるために必要なものです。正式には「雇用保険被保険者離職票」といいます。

離職票は、会社からハローワークに離職証明書を提出することで発行され、離職者に送付されます。離職票には、離職者の基本情報や賃金支払状況、離職理由などが記載されています。

 

<離職票の作成義務>

会社は離職票の作成義務を負っています。

離職票は、離職者が失業手当を受けるために必要な書類ですから、離職者が発行を希望しない場合を除き、必ず発行しなければなりません。また、離職者が59歳以上である場合は、必ず発行しなければなりません。

離職票の発行に必要な書類をハローワークに提出しない場合や、発行を拒否する場合は、雇用保険法違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。〔雇用保険法第83条第4号〕

 

<離職票の要否は慎重に判断>

離職票を作成しなくてもよい場合とは、退職後すぐに別の会社に就職するなどを理由に、離職者が積極的に離職票の発行を希望しない場合などが考えられます。離職票は、失業手当の申請に必要な書類であるため、手当を受ける予定がない場合は、必要を感じないということです。

離職票を作成するにあたっては、離職者が氏名、住所、離職理由などを記入し署名することになっています。これだけのことでも面倒に思い、離職票は不要だと言う離職者もいるのです。こうした場合には、後々トラブルにならないよう、次のような対応が必要でしょう。

 

・離職者に離職票の必要性や手続の方法を説明し、理解と協力を求める。

・離職者に離職票の発行に必要な書面を送付し、署名(捺印)を返送するように促す。

・離職者が署名(捺印)を拒否する場合は、その理由を記録し、事業主が代わりに捺印する。

・離職者と連絡が取れない場合は、ハローワークに相談したうえで、離職票の発行を依頼する。

 

離職票の発行は、雇用保険法に基づく使用者の義務です。離職者の協力が得られない場合でも、できる限りの努力をして離職票を作成し、ハローワークに提出するようにしましょう。

 

<離職から数年後の離職票作成>

離職の時点では、離職票を作成しなくてもよいと言っていた離職者が、数年経ってから、離職票の交付を求めてきた場合でも、会社はこれを拒否することができません。

こうなると、会社の人事部門の担当者は、その離職者の離職前のタイムカードや賃金台帳を、倉庫から探してくるなどしてでも、離職票を作成せざるを得ないのです。

手間がかからずに作成・交付できるようにするためにも、給与計算システムの導入や手続の電子化を進めるようお勧めします。

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